このさえずりに思いを乗せて【完結】   作:月白弥音

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最終回です!


今回は揺(@98Yuruyuru )さんが挿絵を描いてくださいました!
ありがとうございます!



揺さんはPixivでもイラストを公開してます。
どれも可愛いイラストで私はとても好きです!
みなさんも是非見てください!
リンクはこちら→https://pixiv.me/98_yuru



ランキングにもルーキー日間、日間(加点式・透明)に乗ることができました。
皆様のおかげです!
本当にありがとうございます!
それでは最終回お楽しみください!


5 My Feel is…(最終回)

ーーことり、よーちゃんのことわかってるつもりだったのに……

 

 

 

ーーことり、よーちゃんのこと何もわかってなかったのかな……

 

 

 

 

ーーなんでよーちゃん、ことりの気持ち気づいてくれないの……?

 

 

 

ベッドに横になったことりはあの日以来、そのことばかり考えていた。

1人でいるのが苦痛で昼間はなるべく誰かと共にいるようにしていたが、それでも夜になればどうしても1人の時間ができてしまう。

悩み疲れるのか、いつもいつの間にか寝てしまうが、今のことりにとってはその寝るということさえもストレスになってしまっていた。

どこか、本気で悩んでいないように感じられてしまうから。

そんな彼女に対しても、慈悲なく時間は過ぎ去っていく……

もう、日本を発つ日が1週間後に迫っていた。

 

 

 

 

「揺一くんに出発の日伝えたの?」

 

「……ううん……」

 

「そう……そこはことりに任せるって言ったから私は何も言わないけど、ちゃんと会いたい人には伝えるのよ。すぐに会えるってことはなくなるんだから」

 

「うん……」

 

目を伏せてそう言うことりはまだどうするのか悩んでいるようだった。

 

 

 

 

あの日を境に二人の距離は少し離れてしまっていた。

RINEをする頻度も前より減り、下手すると会話がない日すらあるようになっていた。

 

 

 

 

 

 

自分がちゃんと伝えなかっただけなのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それを理解しているだけに理不尽に揺一に怒りが向いてしまう自分が許せなかった。

そして、彼に何かひどいことを言ってしまうそうで何も伝えられずにいたことり。

ただ時間だけが無慈悲にすぎていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旅立ちの日。

空港に送ってもらったことり。

 

「お母さん、いろいろ本当にありがとう。向こうでも頑張ってくるね!」

 

柔らかな笑顔を見せてお礼を言った彼女は車を降り、空港の中にむかおうとする。

 

「ことり!」

 

「え?」

 

母に呼び止められ振り向いたことりは首を傾げた。

 

「みんなにお別れ、しなくていいの?」

 

「うん……きっと私、みんなとあったらまた泣いちゃうと思うから……」

 

「そう……」

 

ことりは、結局誰にも連絡しなかった。

以前、留学すると一度決めた時と同じように。

唯一違うのは穂乃果や海未にしっかりと伝えてあることだ。

 

「お母さんもここで大丈夫だよ。送ってくれてありがとう。向こう付いたらすぐ連絡するね」

 

「ことり」

 

再び呼び止められたことりが振り向いた瞬間。

 

「きゃ」

 

「ことり、体調に気を付けてね」

 

ことりは抱きしめられていた。

 

「お母さん……」

 

腕から解放されたことりは大きな目をうるませていた。

何かを決意するかのようにことりは勢いよく振り向いて母に背を向ける。

そしてもうことりは振り返らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

出発ロビーで時間まで待つことり。

高校時代、仲間と共にいた空港に、今は1人でいる。

その状況が彼女を余計に不安にさせる。

その不安を取り除きたくてことりは近くにある免税店を見始めた。

ひとつひとつの店をざっと見ていくことり。

いつもならそれを楽しめるはずだったが、それでもことりの不安は消えなかった。

 

 

ロビーの椅子に戻ったことりは落ち着かないように座っていた。

 

『まもなく……』

 

ことりが乗るべき飛行機に関するアナウンスが流れる。

ことりが日本にいる時間もあと少しだった。

 

「だって、可能性感じたんだ。そうだ、ススメ」

 

自分たちの始まりの歌。

自分が前向きになるために時々歌っていた。

本来ならだれかが繋いでくれるはずの続き。

だが、それをつないでくれる人はいない。

 

「後悔したくない、目の前に」

 

「「僕らの、道がある」」

 

「え……?」

 

声が被った。

しかもその声に聞き覚えがあった。

 

「よー、ちゃん……?」

 

「ったく、黙っていなくなろうなんて許さないよ?」

 

少し息を切らせた揺一が立っていた。

彼は少し怒っているようだった。

 

「どうして……?」

 

「おばさんから聞いた。なんで教えてくれなかったの?」

 

「だって……」

 

目を伏せてうつむくことり。

 

「だって?」

 

「だって……だって! よーちゃん、ことりのことわかってくれないんだもん!」

 

「ことりのこと……?」

 

「やっぱり、気づいてないよね。わかってた……」

 

ことりは揺一の返答に暗い表情をする。

やっぱり、大切な幼馴染程度なんだよね、ことりは改めてそれを思う。

それを自覚した途端、彼女の目に涙が溢れる。

 

「わからないよ。分かるわけないじゃん! 俺はことりの素直な言葉聞かないとわかんないよ!」

 

揺一からの言葉。

その通りだと思っていてもどこか受け入れることができない。

 

「で、でも……」

 

こんな気持ち、伝えたら迷惑。

そんな思いがどこかあったことりは躊躇する。

揺一は何も言わない。

ただ、ことりの言葉を待っていた。

許容量を超えたことりの瞳からひとつの雫が流れる。

 

「ことり……」

 

さすがに泣かせるつもりはなかった揺一が不安そうに声を上げた。

一度あふれ出した涙はそう簡単に止まらない。

彼女の目からは幾筋もの涙が流れる。

 

「……大好きだよ。よーちゃんが引っ越しでいなくなっちゃって初めて気が付いた、ことり、よーちゃんのこと好きなんだって!」

 

ついに思いを表に出せたことり。

彼女の思いは言葉となって、揺一の心に流れ込む。

 

「ことり、よーちゃんこと好き。大好き! ことりは遠くに行かなくちゃだけど……」

 

そこでことりは一度言葉を切りうつむく。

突然切れたことりの言葉に不安そうな顔をする揺一。

それに気づかないことりは少し上を見て大きく深呼吸した。

空には真っ白な雲がふたつだけ浮かんでいた。

 

そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それでも、ことりと一緒にいてくれる?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前と全く同じ言葉。でもその意味は全く違って感じられた。

涙でぬれた顔で。

それでも揺一が今まで見た中で一番の笑顔で。

2人の空気が一瞬止まった、そんな気がして。

笑顔で細められた目からひときわ大きい涙が一筋、ことりの頬を伝って床に落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ことり、アメリカ行っちゃうから一緒にいられない。連絡すらうまくできない。

だから、ことりね、もう無理だって。迷惑になっちゃうからって、諦めようと思ってたの。

でもどうしても捨てられなくて。

どうしようって思ってた。

そしたらね、よーちゃんがきてくれたの。

ことりが教えなかったのにお母さんから聞き出して、来てくれた。

嬉しかった。

本当にありがとう、よーちゃん。

ことり、頑張ってくるね!

またね、よーちゃん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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