ハッカドールがSCPに挑むようです 作:3号の三号
2XXX年
過度に発達した情報社会において、人間は情報の海に溺れている。
その為、必要な情報にたどり着けない不自由に陥っていた。
解決不可能とされたこの問題は一つのナビゲータープログラムの開発に一縷の望みを残すことになる。
“高度に発達した科学は、魔法と見分けがつかない”
その名は、ハッカドール。
***
「だというのに」
片目を隠す長い銀の髪をたなびかせながら、“ハッカドール”0号は、目の前に立つ三人――すなわち、同じくハッカドール1号、2号、3号を見降ろし、睨みつけて言う。
「お前たちときたら、どいつもこいつもヘマばかり! いつになったら改善されるんだ!? ええ!?」
怒号が電子空間の白い部屋に響く。音の反響こそあるが、どこに壁があるのか、いまいち判然としない部屋である。先に1号ら三人が犯した失敗により、この部屋の復旧には大きな時間と費用がかかったのである。
「すみません! どうか! どうかリストラだけは許してくださいっ!」
「足りない分は体で払いますから」
「Zz……」
三人はそれぞれ思い思いの態度で、上司に向かっている。1号は厳しい鬼教官として0号を見ているから舌足らずな声で必死に謝っているし、2号はどうやったら許されるか考えた挙句苦肉の策を講じている。3号はまったく気にも留めていない様子だ。
0号はそれを見て、ため息をついた。男勝りな態度とは裏腹に大きな胸が、揺れる。
「お前たちは先に作られた型――すなわちお前たちの姉にあたるが――彼女たちと形は同じでも性能は大きく劣っている。何か欠陥があるのかな。……平均して知力が3、応用力が9、HP20、こうげき10、ぼうぎょ55、すばやさ80……とにかくこのままではお前たち、スクラップ行きだ」
「そんなっ!」
金髪の1号が悲鳴を上げた。彼女はスクラップ行きの意味をよく知らされていないが、恐らく死か、それに類するような恐ろしい仕打ちを受けると信じている。しかし、0号は容赦しない。
「そうなりたくなければ、次の依頼で完璧にはかどらせてくることだ」
「次の依頼?」2号が訊ねた。赤い髪と、0号にも負けない豊満な乳が揺れる。
「えー、と。たしかここだな。“SCP財団”。何やってるとこか知らないけど、我々のように頑丈で不死身な人材が欲しいらしい。活動内容は秘密、か。たしか表向きは石鹸会社だった気がするけど」
「いかがわしい会社ですね……」
そうは言った1号だったが、逆らうわけにもいかなかった。次の瞬間、コンビニの入店音のような音が響き、0号が「む、さっそく出動要請だ。行って来い!」と叫んでおもむろに足元に現れた赤いボタンを踏んづけたかと思うと、今度は1号達の足元に黒い大きな穴があいて、3人はそれに吸い込まれてしまった。
ハッカドール、それは人工知能。雇用者マスターの意思をくみ取り、仕事を捗(はかど)らせることを目的とした、次世代のパーソナルエンタメAI。その後期移植型が3体、電脳空間から派遣されていった。
***
「「「キミにシンクロするパーソナルエンタメAI、ハッカドール!」」」
三人そろってポーズをきめつつ登場。3号はワープの途中で目覚めたため少し眠そうである。とはいえ、皆やりきったという感じである――目の前に一人佇み、冷ややかな目で見つめてくる白衣の博士風の男を除いて。
「えーと、君たちがその、何だっけ、ハッカドール?」
「はいっ!」
あたりは森の中。博士と三人の他には誰もいないし、あたりに建物も見つからない。
「うーん、ここ、どこ?」
大がかりな研究室の中にでも出ると思っていた青髪の3号にとっては、少々肩すかしをくらった感があった。
「ここはちょっとした森の中さ。トラックで危険なブツを輸送してる時、事故を起こしちゃって。君たちにはそれを回収してもらいたい」
「危険な物、ですか?」2号が尋ねた。
「SCP-173、俺たちはそう呼んでる」
「SCP? ああ、あのホラーサイト」
「世間一般の認識ではね。“101-FR”のせいで話がややこしくなっちゃいるけど、実在するオブジェクトさ。証拠を見せてあげよう」
そういうと、博士はポケットから首かざりを出して1号にかけた。少し抵抗した風だったが、首飾りをかけた途端、彼女の表情は一変した。そして急に、目の前にいる博士のような喋り方で話し始めた。
「どうだ、すごいだろ。今の僕は目の前の博士でもあり、この金髪の子でもある。……なんだか居心地が悪いな。やっぱり外そうか」
「どうなってるの?」
「SCP-963、不死の首飾りだ」3号が言った。
「「ほほう、やっぱり知ってるね」」博士と1号(?)が同時に答えた。
「手に取ると首飾りに宿ってる魂が憑依するんだよ。まさか実在するだなんて」
「真実は小説よりも奇なり、だよ青い子ちゃん。他にも色々な怪奇がこの世に潜んでる。危険な奴もいる。それをひっくるめてSCPって呼んでるんだ。我らSCP財団は、それを収容・保護・管理して研究し、新たな脅威に備えている。……吐き気がしてきた。返す」
とりつかれた1号は、目の前の博士に首飾りを手渡した。同時に、1号が元に戻った。
「あれ? 私は今何を……」
「名乗りが遅れたな、私はブライト。見ての通り、財団の科学者だ。さあ、君たち、説明も済んだことだし、さっそく173の捕獲作戦だ! この森の中を捜すぞ! なぁに、心配はない。僕も君たちも頑丈な体、死ぬことなんてない(多分)。失敗してもちょっと痛いだけさ! レッツゴー!」
「え、何何? もう説明終わっちゃったの? 私なにか聞き逃してない? 173ってなに? あっちょっと、皆行かないで、待って! おーーーーい!」
***
人類はこれまでにおよそ25万年もの歴史を歩んできた。しかしその歴史のうち特筆すべきは僅かこの4000年に過ぎない。
我々は25万年に渡って何をしていたのか?そのほとんどを、理解の外にあるものを恐れて、洞窟の中で小さな焚火を囲み身を寄せ合って過ごしていたのだ。何故太陽が昇るのか、それを明らかにすることよりも、岩壁に刻まれた人頭を持つ巨大な鳥の神秘こそが真に迫るものであった。そして我々はそのような存在を『神』と、あるいは『悪魔』と呼び、許しを乞い、救済の祈りを捧げた。
時は流れ、それらは次第に衰え、我々の数は多いに増えた。恐れるものは数を減らし、世界はより理に適ったものへとなり始めた。しかしそれでも、不可解なるものは決して消え去りはしなかった。まるで世界が不条理と不可能を必要としているかのように。
人類は恐怖から逃げ隠れていた時代に逆戻りしてはならない。他に我々を守るものはいない、我々自身が立ち上がらなければならないのだ。
人類が健全で正常な世界で生きていけるように、他の人類が光の中で暮らす間、我々は暗闇の中に立ち、それと戦い、封じ込め、人々の目から遠ざけなければならない。
We secure.(確保) We contain.(収容) We protect.(保護)
-- The Administrator
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この小説は携帯アプリおよびアニメ『ハッカドール』と、海外発祥のホラーサイト『SCP Foundation』を元にした二次創作です。
SCP 元サイト:http://www.scp-wiki.net/
ハッカドール (※前半の文言はアニメ版のテロップを抜粋させていただきました)
今回登場したSCP
SCP-173 - The Sculpture - The Original (彫刻 - オリジナル)© Lt Masipag 2008 Moto42 2007
http://www.scp-wiki.net/scp-173
訳者不明:http://scpjapan.wiki.fc2.com/wiki/SCP-173
SCP-963 - Immortality (不死の首飾り) © TheDuckman 2008
http://www.scp-wiki.net/scp-963
訳者不明:http://scpjapan.wiki.fc2.com/wiki/SCP-963
SCP-101-FR - V@us ête$ içi (私タちのイる場所) © DrGemini 2015
http://fondationscp.wikidot.com/scp-101-fr
訳者不明:http://scpjapan.wiki.fc2.com/wiki/SCP-101-FR
後半にて抜粋させていただきました
About The SCP Foundation SCP財団とは © Aelanna 2014
http://www.scp-wiki.net/about-the-scp-foundation
訳者不明:http://scpjapan.wiki.fc2.com/wiki/SCP%E8%B2%A1%E5%9B%A3%E3%81%A8%E3%81%AF