ハッカドールがSCPに挑むようです 作:3号の三号
蝉の鳴き声は依然として止むことはなく、音は夜の闇をひっきりなしに駆けていた。
「動くなよ」
博士は銃を取り出し、目の前の2号へと向けた。2号は驚いて両手を上へ持ち上げた。
「君は本物か? 2号は今、体中の関節を折られて森のどこかで気を失っている筈だ」
「本物ですよ。それに私が起きた時、傷一つついてませんでした。……あなたは誰ですか?」
「おかしいな。SCP-173は目をそらした瞬間に襲いかかる。我々がやられたということはお前もやられたということだ。……私はブライト博士だ。不死身の体でこうして姿を変え、万能薬で1号と3号を救出した。だがお前には万能薬を与えてないはずだ」
博士は顔を2号に向けたまま、「足元こそ汚れてるが、服に汚れは付いてない。昼と同じ状態。……1号、こいつの体を調べられるか?」
「え、あ、はい。成分分析!」
「きゃあ!」緑の光が放たれ、2号に当たった。
「どうだ?」
「BLが9割、本物です」
「なら考えられるのは二通り。2号が何者かに治療を受けたか、我々が認識操作を受けてこいつを本物と思い込んでるか。二つに一つだ(BL……?)」
博士はもう一人の博士に顎で合図をし、2号の手を頭の後ろで組ませ、銃を突きつけた状態にした。
「このまま増殖して173を捜す予定だったが、予定変更だ。今から円陣を組んで……」
その時だった。
「見つけた」博士の一人が、曲がり角の向こうで何かを見つけたようだった。
「どうした」
「173だ。そこにいる」
「何だと」
「だが、ああ、何てことだ」
「待ってろ、今そっちに行く。一緒に運んでここへ……」
「5体」
「は?」
「5体いる」
目の前の博士の背筋が凍りついた。
「恐らくそこのトンネルを通ったんだろう。幸運だった。そこにいたのがもし7体や8体だったら、目に収まらなかった」
「……分かった、それじゃあ運ばずに、こちらが10人そっちに行って見つめよう、いや待て。つまりそれは、他にもいるかもしれないってことだよな」
「だろうな。この山の中、数も分からずどうやって全て探し出す? 悪魔の証明に等しいぞ、これは」
「ひとまずここに居よう。それと、私のうちの数人を『曲がり角』の偵察へ向かわせることにする。奴がその向こうに潜んでいても、曲がり角さえ見ていればその性質上出てくることはないが、こちらが見つめていると分かったら逃げるかもしれない。脅威はなるべく減らしておきたい」
博士はそう言って円陣を組み、さらに数人を周囲の偵察へ向かわせた。すると。
「おい、なんだこれは」
「今度は何だ?」
「こっちにも173がいるぞ」
「何だって」
「こっちもだ」
「おいおい」
「ねえ、これって」2号が言った。
「ピンチ、ですよね」と1号。
「馬鹿なこと言うな、私が見続けている限り、173は動くことができな……」
「ううっ」その時、円陣を作っている博士の一人がうめいた。
「どうした? 何かあったのか? 何が、 !……」
「どうしたの?」3号が尋ねた。
「こっちを見るな」
「?」
「今手探りで探してる。昼に2号が投げてきたのと同じ奴だ。――私も兵器として使ったことがあるからよく分かる。小さなプラスチックの猿……」
「!?」
他の博士の全員が驚き、そして同時に狼狽した。
「どういう、ことですか?」1号が聞いた。
「SCP-894-3、見猿。見たものは視覚を失う。……そしてこれはどこからやってきた? いつ、ここに置かれた? もしこれが敵の策略だとすれば、すでに俺たちは罠にはまっていたというのか?」
「うぁっ」博士が次々と目を覆った。「やられた。どうしてこんなところに」
「おいおい、冗談じゃないぞ。そこにもあるのか?」
「博士!?」
「お前たちは目を閉じていろ! いいか、なにも見るんじゃないぞ。それぞれ5メートル離れて……うっ!」
「博士!」
「そんな、おかしい、これは」
円陣は崩壊し、そのすべてが視力を失った。
「いたるところに置いてある。それも規則正しく。均等に1メートル間隔。してやられた」
「うわああああああ!」
ゴキリ
なにかをこすり合わせるような、鈍い音がした。
ゴキリ
ゴキリ
「うわああああああ!」
「やめてくれええええ!」
「No, no, nononono……OOOW!」
ゴキリ
描き溜めといた分がなくなったので、暫くの間投稿を休止します。
今回登場したSCP
SCP-894 - Speak No, Hear No, See No (言わ猿、聞か猿、見猿) © A Fat Ghost 2009
http://www.scp-wiki.net/scp-894
訳者不明:http://scpjapan.wiki.fc2.com/wiki/SCP-894