ハッカドールがSCPに挑むようです 作:3号の三号
SCP――あらゆる不思議が科学で解決する2XXX年、それでもなお残った、科学の力では解決できない存在。あるものは木で出来ているにもかかわらず頑丈、またあるものは未知の力場を発生させる。その形、生成の経緯、命のあるかないか、そしてその“特殊効果”も実に様々。当然、危険なものも存在する。そうした物体を、人々の目に付かないように保管し、多少の犠牲は払ってでも生かしておいて、また新たな脅威が起きた時のために研究する場所、それが“SCP財団”。
「なにここ」
青い髪の3号が言った。三人――すなわち、なんでも捗(はかど)らせる科学の産物“パーソナルエンタメAIハッカドール”1号、2号、3号の三人と、“財団”の研究員・ブライト博士は、その施設地下深くにいた。最初とある映画会社に入ってそこのエレベーターを下っていたのだが、やけに長いこと下っていた。やがてライトのまともについていない薄暗い場所に出て、その後いくつか廊下を通って、なにやら広い、これまた暗い部屋に出た。
「あまりに遅かったな、ブライト博士」
暗い部屋に、ホログラムのモノリスのような四角い縦長の箱が一つ、浮かび上がる。それは黒く塗られていたが、縁が赤く光っていたので、闇に溶け込むことはない。正面には「O5-6」と赤文字で書かれている。
「君がここに呼ばれた意味は分かっているな」
続けて、「O5-7」「O5-8」……というように、1~12までの「O5」が並んだ。
「今回の収容違反はあまりに甚大だな」おごそかな声が「O5-4」の方から聞こえた。続いて、ほかのO5も次々と話し始める。
「左様。あろうことか173を森に放ち、AIに回収を任せるなど言語道断だ。結局我々の後始末なしには、事実は漏えいしていた。オブジェクトの収容、外部への情報操作、職権の運用は適切かつ迅速にしてもらわんと困るよ。」
「人、金、手間。一体親子そろってどれだけ使えば気が済むのかね?」
“親子”という言葉に引っ掛かりながらも、ここまで聞いていた2号は何かに似ていると思ったが、気にしないことにした。
「それで、この子たちはどうします? この……デ■キャラットだっけ?」
「ハッカドールだ、O5-12」
心なしか、「空気を読め」と暗に言っているようにも聞こえる。
「AIの記憶処理は実質不可能。よってこの場で終了も考えられる」O5のうち誰かが言った。
「待ってください!」1号が声を張り上げた。「私たち、財団の役に立って見せます! 必要ならSCPの回収もやります! だからどうかスクラップだけは見逃してくださいっ!」
「ふむ……こう言っていることだし、少し働かせてみてはいかがでしょうか。我々財団の一員として」O5-12が言う。
「認められないな、大体……」
「いや、私は賛成しよう」さっきの声でない、誰かが言った。
「Dクラスも無限というわけではなかろう。こうした安全で頑丈、かつ壊れてもリスクの少ない存在が三人いるだけで結構なメリットだと、私は思う」
それからなんやかんやあって、とりあえずスクラップは免れた。1号と2号はそれを聞いて安心し、O5、特に12には深々と頭を下げて退出した。ブライト博士は「Dクラス」という言葉を聞いて苦笑した。3号はと言うと、去り際にO5-12が「\e」と小声で言ってきたのを聞いて、「それ違います」と言おうとしてやめた。