進藤ヒカルに転生してしまった男の物語   作:ケーキの実

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プロローグ

転生。俗に言う生まれ変わって新しい生を受けると言われているアレである。

俺は前世で社会人として、そして社畜として勤労に勤しんでいた。

そんな勤労も長時間労働にもなれば心身ともに疲労が増してしまう。

だが、大学を卒業し内定もらえた会社がここしかなかったから仕方ないのかもしれない。

例え、ブラック企業だとしても噛り付いた。俺は前世では恵まれた家庭で産まれなかった。

両親はギャンブルや酒などにハマり堕落した生活を送っていた。

そんな両親が俺をただの子供して接してくれるはずもなく、暴力、罵倒は当たり前の日々。

高校は公立に通っていたが俺の時代ではまだ無償化になっておらず自腹でアルバイトしながら学費を払い通った。

そのまま高校で就職しても良かったが、両親の低学歴の様子を見ているだけで最低大学は出ようと決めていた。

だが、そんな生意気な事は両親には通じず高校出たら働いて家にお金を入れろと言われてしまった。

それから色々調べた結果、奨学金により学費を負担し部屋を格安で借りれる所を決め家を出た。

大学に入学してからはアルバイトと学業の日々を送り、サークル活動する時間は取れなかった。

4年の大学生活も終わり、唯一内定を貰った中小企業に就職した。

案の定、働いてからはブラック企業だと分かったが家を出た手前辞めて住処をなくすことの方が恐ろしかった。

最近では頭痛を頻繁に襲い、寝辛い毎日だった。

 

そして俺は過労死で死んだ。

 

軽く回想を振り返り思い出していた。

どうやら不遇の人生を歩んでいた俺にもう一度人生を歩ませてくれるみたいだ。

ある書類に記入し俺は転生した。

 

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢

 

そして俺は転生した。

生まれ変わって5歳になったが当時は前世の記憶がない、転生する前にあらかじめ幼児生活を遠慮した。

やっと5歳になり俺は前世の記憶を思い出していた。それで一番の驚く点は俺の名前だ。

進藤ヒカルというのが今世の名前。俺の記憶でピンと来た。ヒカルの碁だと。

どうやら俺は異世界でもなく現代日本ではなく漫画の世界の日本に転生したみたいだ。

しかも主人公の進藤ヒカル。

 

 

部屋を出て1階に降りてリビングにいる両親に朝の挨拶をした。

 

「父さん母さん、おはよう」

「おはよう。ヒカルどうしたの?朝の挨拶なんて珍しいわ」

 

母は首をかしげるも挨拶を返した。

 

「おはよう」

父は一言だけ返した。

 

 

朝食を済ませ、父は会社に行き俺は母に連れられ幼稚園に向かっていた。

 

「ねぇ、母さん」

「なーに?」

「あのね僕、今日爺ちゃん家行きたい」

「お義父さんのとこ?急にどうしたの?」

「ひーみーつ」

 

そう言った俺に「仕方ないわね」と幼稚園の帰りに寄って貰える事になった。

幼稚園に着いたらアイツが待ち構えていた。

 

「ヒーカール!おそーい!」

 

幼馴染の藤崎あかりは膨れた顔で俺見て憤慨していた。

 

「仕方ないだろ。ちょっと話しながらゆっくり来たんだからさ」

「もうそうやってムズカシイ事ばかり言って」

「じゃあヒカル、また後でね」

 

手を振った母を見送った。

 

 

♢♢♢♢♢♢

 

子供の体力を舐めていた。俺も子供だが脳は発達してるせいか温存の為にセーブして遊んでいた。

だが、奴ら子供らはエネルギーをフルに使用し遊びまわっていた。

これはさすがにキツイ。これから爺ちゃんの家に行かないけないのにな。

 

 

「ヒカル!」

 

母が迎えに来た。やっと帰れる。

 

「さあ、帰ろうか」

「うん」

 

「ヒカル待ってー!」

幼馴染という名のアイツがやってきた。

 

「なんだよあかり」

「私も一緒に帰りたいの!」

 

「すいません進藤さん」

あかりの母がうちの母に苦笑しながら頭を下げ、それを母がまた首を振って笑った。

「いえいえ」

 

「あかりさー、今日は爺ちゃんの家に行くんだぞ?」

「いいもん。それより早く早く!」

「うわぁ、ちょ」

 

あかりに手を引かれ走らされる進藤ヒカル。

前世28歳のおっさんが幼女に連れ回される図である。

 

 

「うわぁー久しぶりにキター」

「もう、ヒカルはいっつも大袈裟」

「仕方ねーだろ。そう思ったんだからさ」

 

縁側に爺ちゃんが座っていた。

古き良き日本家屋。整った庭が前世で良くしてもらったおじいさんの家を思い出し少し涙ぐむ。

 

「どうした?ヒカル」

「なんでもない」

「ほう。そうか。それより今日はどうした?」

「んとね。爺ちゃんの家にある蔵に入ってみたくて来たんだ」

「蔵か。あそこは危険だぞ?」

「何が危険なんだよ爺ちゃん」

「お化けが出るんじゃよ」

 

「え?」

 

後ろで聞いていたあかりが絶句した声音を出し後ずさった。

 

「そんなの信じねー。それより入らせてよ」

「まぁ、仕方ないか。但し蔵の中の掃除も手伝ってくれるかね?」

「手伝う手伝う。から早く入れてよ」

 

蔵の前に到着した。古い。煤けた蔵で、歴史の面影が見える。

 

「おーい。ヒカル着いてこい」

「わかってるよ」

 

「よし、ここの重い荷物はじいちゃんがやっておくからヒカルは其処の小物をやりなさい」

 

そう言って爺ちゃんはこの場から離れて処分する荷物を外に持ち出していた。

黙々と整理する俺。

蒸し風呂のような暑さ。こんな事やる為に来たんじゃねーのに。

 

頭を掻きむしって暑さに立ち上がった。

 

「うがぁぁぁぁぉぁ!!!」

「うわぁ。もう、ヒカル。急に声を出さないでよ」

「暑くて暑くてたまらないんだよ。それよりあかり手伝えよ」

「ふーんだ。ヒカルが頼まれた仕事なんだから私が手伝ったら意味がないじゃない」

「ぐぬぬ」

 

 

「っとと。あぶねぇーな。何だこれ」

 

汚ない碁盤だな。は?碁盤?

そうか。これが碁盤か。

やっと見つけた。

 

「何だこの汚れ」

 

赤い汚れがその碁盤に着いており、これが原作通りなら血だな。

 

 

ーー見えるのですか?

 

「は?」

 

ーー私の声が聞こえるのですか?

 

「おい、お前。うるせぇー。静かにしろ」

 

碁盤の中から出た平安時代の碁打ち、藤原佐為。

こういう演出か。

原作でも思ったがそれより女っぽいなコイツ。

 

 

ーー今一度現世に蘇られたことを感謝します

 

 

その言葉を最後に俺は気を失った。

 

 

 

♢♢♢♢♢♢

 

それからは気を失った俺を見たあかりが発狂し、爺ちゃんが登場した。

それについて来た母さんに心配されていたみたい。

病院に連れて行かれ熱中症だと診断されてその日は帰された。

爺ちゃんと母さんからは怒られあかりには泣かれた。

 

 

タクシーで家まで帰った。

前世と今世合わせて初めて乗ったタクシーであった。

倒れた原因である佐為に何度も何度も謝られた。

原作でそういう事態が起こると知っていた俺は許してあげたけどね。

それから佐為は自分が碁盤に宿った理由を語り出した。

 

はっきり言って興味ない。どうでもいいんだけどちゃんと聞いてやらないと原作みたいに感情が流れて混んできて吐く可能性もあったから大人しく聞きに徹した。

 

藤原佐為は平安時代の碁打ちで相手の不正により都を追われ入水して自殺死んだと。

生々しく聞かされる自殺光景にこいつは基地外だと把握した。

 

まぁ、元々俺は佐為の力を使ってプロになるつもりだ。

囲碁には興味はない。だけど、安定した生活とお金は大好きだ。

前世では苦労の苦労の毎日だったが、このチート級の幽霊の力を借りればお金は稼げる。

消える云々は俺は対処方法も考えていたりする。

それはまた、後の話だ。

 

自室に着いて佐為に問いかけた。

 

『そんで、お前は囲碁をやりたいと?』

ーーはい!

『俺は囲碁には興味はないが、お前がやりたいならやってもいい』

ーーほ、本当ですか!?

『ただし、俺の人生をお前にやる代わりにお前も約束をしろ』

ーー何をですか?

『お前も俺に人生を捧げると』

ーーそれで、囲碁をもう一度打てるなら

 

そう言って爽やかに笑った佐為に俺は黒い笑みを浮かべた。

やば、そう言えば現代だと囲碁のルール変更していたんだっけ?

 

『あー、佐為。囲碁のルールが今の時代では変わってしまっている』

ーーヒカル、どういう事ですか?

『えーっと。黒だと5目が付くとかなんとか』

ーーヒカルもあまり知りませんね、ここに囲碁の書物はないんですか?

『明日にでも、図書館行くか』

 

 

 

 

 

 

 

これは進藤ヒカルに転生した男の物語。




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