「達也、好きだよ!」
俺の脳がその一言で完全に機能を停止した。
明里の言葉は嬉しいが、付き合うと今よりもっと危険な目に合う可能性が出てしまう……。
それだけはさせたくない。
この時の俺は明里を必ず守れる保証がなかったのだ。
「明里、その答えもう少し後でもいいか?」
「何で!?私は今の達也の気持ちを言って欲しいの!嫌いなら嫌いって言ってよ……。」
「勿論、嫌いなわけじゃない。ただ、俺と一緒にいるだけで狙われてしまうかもしれない……それだけは嫌なんだ。だから、今は答えれない。」
そう言うと明里は少し悲しげな表情を隠しながら観覧車を降りた。その後、俺と明里がちゃんと話す機会がドンドンなくなった。
「修学旅行!?」
あるの日の学校で話題になっていたのは、高校では珍しいこの時期にグループだけで航空会社に相談して国内は勿論、国外も行けるのだ。
「達也は、何処か行きたい所ある?」
「そうだな〜アメリカへ野球観戦しに行くのも良いし、ヨーロッパでサッカー観戦もいいな。」
「達也君、それは先生怒ると思う。」
「てかメンバーは!?」
そう、海外に行くなら最低でも5人以上でないとダメな決まりがあるのだ。
「え!?達也君と明里ちゃんと柊優君と私と……後は……海人君!!」
「か、海人!?」
俺は、奈々の声を聞くと海人の方を見る。海人は、誰とも話さずに一人読書をしていた。
「なぁ、海人。お前修学旅行行くか?」
俺は、海人の方を向き話しかけた。すると、海人は俺を睨んで来た。
《馬鹿言え!お前は行くんだろ?俺も行ったらそれこそ獣神に攻められて終わりじゃないか!》
「そ、それもそうだな……。」
俺は、そう言うと仕方なしに視線を戻す。
「どうやら俺達は海外には行けなさそうだな。海人は行く気ゼロみたいだ。」
「えー!つまんなーい!!」
奈々は、そう言うのも分る。ほとんどの生徒が海外へ行くのだから……自分達も行きたいという気持ちがあるのは分る。
「仕方ないさ。海人は仮面ライダー出しな。てか、お前は良いのか?」
「うん、本当なら修学旅行に行くのも悩んでるんだよね……」
俺はそう言うと明里の方を向く。明里は自分の机に座っていてため息ばかり吐いていた。
「まぁ、明里と3人で行ってこいよ!」
俺は、そう言うと教室を出て行った。
「あーあ、最近どうしたのか?あの2人……。」
柊優は達也の去った後、明里を見ながらそう言う。
どうやら、二人に何があったのかはまだ分からないみたいだ。
「明里ちゃん!」
そう言って奈々が明里に近づいた。
「奈々……」
「どうしたの?明里ちゃん、休日なんかあった?」
優しく聞く奈々に明里は、泣きながら抱きつく。
「ぐす、達也に……振られちゃった……」
「嘘!?」
「本当だよ……」
そう言って明里は、この間の出来事を柊優や奈々に話した。
「何それ!私、達也君に説得してくる!!」
「待て!奈々!!」
「何で!?達也君の考えおかしいよ!注意しないと!!」
「奈々の気持ちは、よく分かる。でも……だからこそ!明里と達也で決めないといけない気がするんだ!じゃないと将来の為にもならない!!」
「……わかった。」
そう言うと奈々は、動くのを止めた。
それを見た明里は柊優に「ありがとう」と言った。
「はぁ……」
深いため息が出ると俺は再び空を眺めていた。
場所は、屋上。
あの日と同じ快晴の空だった。
「俺は、一体どうしたらいいんだよ。」
火燐に四神ブレスを取られ更に明里までを悲しい気持ちにさせてしまった。
もしかしたら、本当の悪魔って俺なんじゃないか?
そう思うとため息を吐かずには居られなかった。
「何を悩んでいるんだ!?」
「……海人か。」
「隣……良いか?」
そう言って海人は、俺の隣に来て一緒に空を眺めた。
「なぁ、海人……大切な人から告白されたら……お前はどうする?」
「え!?どうするって言ったって……俺は、お前と違って神だからな〜。でも……お前はどうしたいんだ?」
「え!?どうしたいって???」
「だから、その大切な人を……片岡明里を生涯守れて幸せにできるかって所だろ?」
俺は、頬を赤くしながら海人の方を見る。しかし、それを見た海人は更にからかう。
「しかし、お前の人生だ。好きにするがいい。俺はそれだけ伝えに来ただけだ。」
そう言って海人は屋上をさった。
俺は、一人屋上から空を見上げていた。
「全く、お兄ちゃんったら酷いですね!乙女心を全く分かってないんだもん。帰ったら説教してやるんだから!」
「まあまあ、達也も悪くないんだし……。」
明里と火燐は、そう言いながら放課後の帰り道を歩いていた。火燐は、その件を知って怒りをあらわにしたが、明里が止めに入る。
「でも明里さん、何でお兄ちゃんを好きになったんですか?」
「え!?」
火燐の無邪気な質問に明里は頬を真っ赤にしていた。
「私は、その……達也の笑顔や真剣な表情や会話、どれをとっても好きになってしまったの……。それは他の誰かじゃダメなの!達也だからそう思えたの……。
けど、達也はそうじゃないみたい……。」
「それは違うと思いますよ!」
火燐の言葉に明里は、「え!?」と言いながら首を傾げる。火燐は、にこにこ顔で照れ顔の明里を見つめる。
「な、何よ!?」
「可愛いですよ!明里さん。その好きな人を思い浮かべる表情が!」
「ちょっ!からかわないでよ!!」
そう怒りながら明里は、火燐を追いかける。火燐は、逃げながらそんな明里を笑っていた。
すると、火燐のポケットにある四神ブレスが煌々と光りだした。
「何!?」
火燐はそう言ってポケットから四神ブレスを取り出す。
「待ってたぜ!それが所有者から離れる時をな!」
そう言って姿を現したのは、蜘蛛に似ていたバケモノだった。
「あ、貴方は誰!?」
「俺様か?俺様は、第一号改造人間スパイダー・シュターツマンだ!!」
「改造人間!?」
改造人間、見たことも聞いたこともない名前に明里や火燐は驚いた。
もしかしたら、新たな敵ではと思い警戒する。
「そう身構えるな!お前らが隠している閻魔大王とその四神ブレスをちょうだいしたい!!」
「そんなの……お断りよ!」
「そうか……なら死ね!!」
そう言ってスパイダー・シュターツマンは、私達に蜘蛛の糸を吐き動きを封じた。
「何これ!?」
「嫌だ!ネバネバしてて気持ち悪い!!」
「これでお前達も俺の餌となった。」
そう言ってヨダレを垂らしながら近づくスパイダー・シュターツマンに怯える明里と火燐。
「達也!!助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
明里の叫びは……達也に届くのか!?
俺は一人バイクを押しながら歩いていた。
俺にとって明里とはどんな存在か考えながら……。
そんな俺の耳に入り込んできた言葉があった……。
「達也!!助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「明里!!」
俺は、そう言うと声の方角に感じる四神ブレスの気を見つけるとヘルメットを被りエンジンをかけて猛スピードでバイクを走らせた。
現場につくと明里と火燐を変な蜘蛛の糸で雁字搦めにしている怪物を発見すると、左手首にあるマールスブレスレットを変形させて爆炎カリバーにするとそれを強く握るとアクセル全開で怪物に近づき爆炎カリバーを横に振って怪物当てると怪物は、後ろへ吹き飛んだ。
「な、何者だ!?」
怪物は、そう聞く。しかし、今の俺にはそれわ答える暇などなく明里や火燐を救出した。
「た、達也……どうして!?」
「馬鹿野郎!お前が助けてっていう声を張り上げれば、どこに居たって助けに行くさ!」
「何で!?私は……達也にとって大切な人じゃないんじゃ……。」
「バーカ!」
俺は、そう言って立ち上がり左手をかざしてベルトを出現させると明里の方を見る。
「俺は明里の為を思って言ったんだ。今のまま俺と付き合ったら危険な目に合うから……それだけはやだかったんだ。」
「それを覚悟の上でこの間は言ったんだよ!いつも体張ってボロボロになって戦う達也にたまには、戦うことを忘れて欲しかった。普通の生活を送って欲しいの!」
そう言って明里は涙を流す。
俺は、それを見たくない……。
なら、明里を受け入れるしかないのかもしれない……。
最近の考えだとそうなる。
「分かったよ。だから泣くな!その代わり……」
そう言って俺は、明里に近づく。その距離はこの間の観覧車並に近かった。
「俺、火野達也を永遠に愛してくれるか?」
「うん!」
互いの息が顔に当たる。すると、俺は自ら明里の方へもっと近づくと顔を傾けて唇を明里の唇に重ねた。
「何をごちゃごちゃやってるんだ!!」
そう言って蜘蛛の怪人は、自分の糸を吐き浴びせるが、それを俺はバリアで封じる。
「何!?普通の人間ごときがばりあだと!?」
俺は、明里とキスをし終えると明里と共に立ち上がった。
「じゃあ、明里。行ってくる。」
「うん!行ってらっしゃい!!絶対に勝ってね!」
「あぁ!」
俺は、そう言うと蜘蛛の怪人を睨みつけてから身体を彼の方に向ける。
「おい!そこの蜘蛛の怪人!!良くも俺の明里に手を出したな!絶対に許さねぇ!」
俺は、そう言っていつもの様に四神ブレスを構えるが四神ブレスがないことに気づく。
「火燐そういう事だ!俺は、何があっても大好きな明里やみんなを守りたいんだ!!だから、四神ブレスとメダルを返してくれないか?」
「分かったよ。その代わり負けたら許さないから!」
そう言って明里は、握っている四神ブレスとメダルを渡してくれた。
「ありがとう、火燐。」
俺は、左手を左腰に右手を真上に掲げるとゆっくり目の前に下ろしえ横へ右手を持っていくと右胸の所へ寄せるとベルトの左腰にある四神フォルダーから赤い朱雀のメダルを抜き取ると右手首より少し下にたる四神ブレスにセットした。
《Are you lady?》
という音声が流れると両腕を大きく回して右手を斜め右下に左手を右肩に構えると
「変身!!」
と叫ぶと右手を右斜め上に左手を左腰に移動させる途中に左手で四神ブレスを擦ると右手を右斜め上に持ってくると気を貯めるように握り拳を作って右胸に持ってくると同時に左手も握り拳を作った。
《チェンジ!マールス!…スザク!!》
ベルトがいつも通りに光輝くと四神ブレスから赤い炎の鳥朱雀が出てきて俺の体を包み込み、
仮面ライダーマーズ・スザクフォームに変身した。
「炎の翼で悪を討つ!!」
俺は、そう言って蜘蛛の怪人に向かって走り出すと!肘鉄を浴びせるとそこから連続でキックを放つと怪人を掴まえると、地面に投げ倒した。
「これで決める!!」
俺は、そう言うと四神ブレスの横にあるボタンを押してからバックルにある球体を下向きに回転させた。
《マールス、スザク!フィニッシュドライブ!!》
すると、俺の背中には完全な赤い炎の翼が生えた。その翼を動かして空を飛ぶと炎のエネルギーが左足に集中してきた。
怪人は、その場から逃げようとするも翼から放たれた羽が怪人の周りを囲むと逃げれなくさせた。
エネルギーが溜まると俺は、勢いよく翼を羽ばたかせて宙を一回転すると左足を突き出すライダーキックのポーズに入る。
「スザクライダーキック!!」
そう叫びながら急降下していつものライダーキックより威力が数倍にまで跳ね上がっていた。
スザクライダーキックが命中すると俺は、怪人の前に着地して背を向けると怪人は倒れ込んで爆発した。
爆発を終えると俺は変身を解除すると天仰いでから明里達の方を見る。
明里の笑顔が見れた時、俺はやっとはっきりした。
確かに俺の身体の中には、戦闘民族ゴルゴ人の血が流れている……しかし、俺は地球人と同じ心を持っている。
それが一番感じる時が明里と一番居る時なのかもそれない……。
明里の笑顔や性格……、
全てが俺の中で特別なんだって……。
そう、これが……、
好きって意味なんだと……。
《次回予告》
明里の激動の告白から数日……、
延期された天空祭の開催が決定した。
達也達の最後の文化祭が始まろうとしていた。
第23話「最後の天空祭」