「ガヤガヤ」
最近、いつも通りのはずの学校がまた賑やかになってきた。理由は、この間あった地獄の騒動で中止になった天空祭を二週間後に行うことにしたのだ。
クラスの団結力や学校側の団結力を見たいと言って急に開催を決定したのだ。
「達也!今度はちゃんと楽しめるかな?」
「分からないけど……また、変な奴らが出てきたらその時は俺が倒すから安心しろ!」
俺と明里は、席に座りながら話していた。今の時間は、天空祭でやるクラス発表を決めていた。
一応、クラス発表は劇と決めたが後は内容と役割分担などを考える時間だった。
「だよね!頼んだよ!私の仮面ライダー!!」
「任せとけ!」
俺は、耳元で話しかけてきた明里にサムズアップして答える。
「会長ー!副会長とばかり話してないで劇の話に参加してください!!」
天空祭実行委員に注意されると俺は「すまん」と言った。
すると、クラスの人達が一斉に笑い出した。
「実行委員!俺提案がある!!」
そう言って手を挙げたのは、柊優だった。
柊優は、当てられると立ち上がり教壇に登った。
「俺は、俺らだけの劇にしたい。しかし、他のクラスの殆どがロミオとジュリエットだったりしてつまらないと思う。ここは、子供狙いにヒーローショーとかやったらどうだ!?それもただのヒーローショーではない、戦うことを運命にしてそれでも大切な人の為に戦う現代風ヒーローショーだ!!」
「私それに賛成!!」
そう言ったのは奈々だった。
それを筆頭にほぼ満場一致で現代ラブストーリーのヒーローショーをする事になった。
因みに、俺がマーズだってのはしばらく見かけないアルテミスが記憶ごと消してくれたらしい。
「じゃあ、配役は企画した柊優君決めてもらってもいい?」
「そうだな、下級戦士役に15人、主人公1人、主人公のライバルが1人、ヒロイン1人、ナレーション担当2人、今考えてるのはこの20人だ。」
「ねぇ、会長と副会長で主人公とヒロインやれば?」
「な、何!?」
俺は、そう言って勢いよく立ち上がる。
あまりの急展開に驚きを隠せなかったからだ。
「そうだよ!だって二人とも付き合ってるんでしょ?だったらラブストーリーはこの二人が適任だわ。」
勝手に決めるな!!
そう言いたかったが仕方ない。俺が仮面ライダーだとバレない様に軽くやるか。
そう思って主人公・シン役を俺、ヒロイン・ミカ役を明里がやる事になった。
「後、衣装係と照明係、音響係、道具係の四つを残りの人数で分担してやる。それでは、主人公役の火野会長から気合いの一言を!!」
そう言って柊優は勝手に俺を教壇に立たせた。
柊優には、「後で覚えてろ!」と強く言ってからみんなを見る。
「とりあえず、少年少女達を暑く出来る様な劇にしたいのでよろしく!」
こうして、俺の最後の天空祭の準備が始まった。
それ以降は、台本を頭に入れて衣装の採寸をしたりと忙しい毎日が続いた。
「ねぇ、達也。」
「なんだ!?」
準備期間最終日の放課後お姫様の衣装姿の明里が不安な顔をしながら俺に聞いていた。
「最後にヒーローの仮面を剥がしてキスシーンがあるんだけど……これどうやればいい?」
俺は、思わず飲んでる紅茶を吐き出しそうになった。
「き、キスシーン!?」
そう言いながら台本を確認すると……
あ、ありましたね。
良く読むと、「必ず口と口つけてねー!頑張って!!」と無責任に書かれていた。
「とりあえず台本通りにやろう。」
「わ、分かった。」
そう照れながら明里は答えた。
そして、最後の天空祭がやってきた。
これは、一般公開の分なのであんまり生徒は楽しめないが、クラス発表は凄いことになっていた。
殆どのクラスが練習不足で失敗してしまった。そして、ラストを飾ることになった俺達のクラスは発表前裏に集まっていた。
「良し!みんな!!気合入れていくぞ!!」
「「「おぉーーー!!!」」」
こうして、俺達の劇が始まった。
「昔々、まだ人類が現在にまで発展する前の話……、一人の勇者シンと王女のミカが居ました。彼らは、近い将来結婚をする予定でした。しかし、それに恨みを覚えた王子ジャグラーは、魔女に頼んで自らの身体を怪物級に帰る薬を飲んで復讐しようと考えていた……。」
ナレーション役の奈々がそう言うと天井の照明がつき俺と怪人スーツを着た海人を照らす。
「ジャグラー!お前は、人間を辞めるというのか!?」
「そうだ!王女との結婚まで取られた俺に今更人である資格があるか!!」
「そんなの……そんなの分からないじゃないかー!!」
俺は、そう言うと手に持ってる手作りの剣を振る、しかし、海人は宙に浮いて(ワイヤーで吊るされてるけど)躱して俺の背後に回ると俺を蹴り飛ばす。
「クッ……まだまだ!!」
「勇者シン!もう止めて!!」
明里……いや、ミカ王女は高い所からそう言う。
「ですが、王女!私はこんな所で負ける訳には行きませぬ!王国の民と王女を守る為に!!」
そう言いながらふらふらっと立ち上がる俺に対して大きな声援が広がる。
「会場の未来の民よ!お力を貸してください!!勇者・シンに届くように!!大きな声で!!せーの!!」
「「シーンッ!!」」
「もっともっと大きな声で!!せーの!!」
「「「「シーンッ!!」」」」
「まだまだ!!大きな声で!!!せーの!!!!」
「「「「「「「シーンッ!!」」」」」」」
すると、ベルトが出現してバックルの球体の周りが金色に変化した。
「こ、これは!?」
そう、昔保育園の為にやった劇でも同じ事が起こった。
そして、バックルにある球体が光出した。
「みんな!ありがとう!!これから何が起こるか俺にも分からない。でも、俺は、民達の為に戦う!!」
俺は、ベルトから眩い光に包まれると顔はマーズのままだが身体が仮面ライダーアギトみたいに変化していた。
「な、何だ!?その姿は???」
「さぁな、俺にも分かんねぇ。でも、お前を倒せるぐらいのパワーを持ったって言うことは確かだ。」
「ふん、ここからは手加減無用だ!!」
そう言うと海人は、宙に浮きながら優雅に攻撃してくるが、俺は取り敢えずお手製の剣で突くとステージ際に倒れ込む……。
「へ、変身した!?」
「嘘??」
「今のヒーローショーってスゲェーな!!」
観客から歓声が上がる。
今思えば、謎の力のせいで勝手にマーズに変身してしまった。
明里でさえ、驚いるのに……どうしよう???
「ドカーーーーーーーン!!」
天井に穴が開くとそこから本物の怪人が現れた。
「貴様が仮面ライダーマーズか!?」
「お前は!?」
「私の名は、トールだ。イザ、尋常に勝負!!」
トールの出現に会場はザワつく。壊れた天井を見た学園長は気絶状態になっていた。そんな学園長にお構い無しに俺とトールの激突が始まった。
トールは、懐から斧を取り出すと俺に向かって接近してきた。その斧を振り回すが俺は、それを躱して肘鉄を浴びせるとチョップでトールの斧を落とすと、キックを放った。トールは、後ろに後退する。俺は、その好きに爆炎カリバーを取り出すとトールを向かって振り下ろすと、トールの身体から火花が散った。
「ここで必殺技はマズイな……なら、」
俺は、そう呟くと爆炎カリバーをトールに突き刺すとそのままジャンプして壊れた天井から飛び出る。
トールは、最後の悪あがきと言わんばかりに電気を流してきた。
「うぅ……負けるかぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
そう叫びながらトールを振り払う。
「これで決める!!」
俺は、そう言うとバックルにある球体を下向きに回転させた。
《マールス!エンド!ドライブ!!》
という聞いたことのない音声が流れるとベルトから激しい稲妻が左足に向かって進む。
左足裏に稲妻のエネルギーが溜まると俺は、浮遊術を使って重力の法則に逆らいながら自分より上に居るトールに向かってライダーキックのポーズをとる。
「ライダーキック!!!!」
そう叫びながらライダーキックを放つとトールに命中した。トールは、空中で爆発するとそれを見届けながら体育館のステージに着地した。その後、変身を強制解除して倒れ込む。一応、劇の続き……。
「シン!!」
そう言いながらミカはやって来た。
「貴方の体は、どうなってしまったの!?」
「分からない。でも、もう人間では居られない。だから、君とは結婚出来ないかもしれない!もし、最後に願いが叶うのであれば……
この一瞬をキミと分かち合いたい。」
何を言ってるのだろうと思う人も多いが……、
これは、一応劇です!!
「そんな事ない!私は貴方をずっと愛してる!!心の底から貴方だけを思っていたいんです!!勇者・シン!!」
そう言ってミカ(明里)は、俺を抱きしめる。それが心の叫びにも聞こえた。
そして、二人は顔を近づけ……、
言葉通り、一瞬の時を分かち合ったのであった……。
その後、怪我を完全に直した勇者はその名のごとく大切な人達を守る為に戦い抜くことを誓った。
めでたしめでたし……。
「ふぅ、疲れたー!!」
ステージ裏に戻った俺はそう言いながら衣装を着替えようとしたが、衣装姿の明里がやってきた。
「ねぇ、達也。」
「どうした!?」
「あのさ、このままで一緒に回ろ?文化祭。」
「良いよ!」
俺は、そう言って手を繋ぎ明里と文化祭を回った。
しかし、俺は知らなかったジャグラーという名に聞き覚えがあることを……。
《次回予告》
一般公開を大成功に終えた今年の天空祭。
そんな中、海人が湿気た顔をしながら聞いてきたことから全てが始まった……!?
第24話「海人の悩み」