15階層に進出して早5ヶ月、俺たちは到達階層を20にまで上げた。
この間に様々なモンスターと戦ったが、1番ステイタスが強かったのはバグベアーだ。この身で熊と戦うことになるとは想像してなかったが、考えてみればドラゴンを倒したんだから熊なんか雑魚だな。ステイタスが足りずに最初思いっきり殺人ブローを食らってしまったが。
後はミノタウロスも強かった。でも、人型だけあって攻撃は避けやすかったし、楽に倒すことができた。てか、他のモンスターの方が、状態異常の攻撃をしてきたりなど一癖も二癖もある攻撃をしてくるから、そっちを対処する方がきつかったな。
そんなわけで、次の迷宮の構造の説明したいと思います。
19階層から24階層までの層域は大樹の迷宮と呼ばれ、19階層まではレベル2にカテゴライズされる新しいモンスターばかりが出るが、20階層からはこれまで出たモンスターの進化種と呼ばれるものが出てくる。例えば、ゴブリンからはソードマンとアーチャー、コボルトは
コボルトリーダーなどだ。
戦った進化種はゴブリンソードマンだけだが、一対一だと少し厳しく、久しぶりに苦戦をした。回避できるのだが、相手の防御が硬く、ステイタスに頼ってしまった。
ちなみにレベル3にカテゴライズされるモンスターも出てくる。
次にガルが昨日ランクアップを果たしました。相手はミノタウロスの強化種で色は真っ黒だった。全ての色が黒かったから、ちょっと引いた。目の部分が少し白いところがあったから、そこだけ強調されてマジキモい。
そして魔法も覚え、それは
[
身体強化魔法
魔力を足に集中させ、爆発的に放出させ光速移動をする
詠唱式 【アクセル】
これ凄くかっこいいんだよね。ガルがこの魔法発動させると、体から魔力が溢れ、それが瞬時に足に集中するんだけど、この魔力が何故か光を放っているんだ。例はスーパーサイヤ人といえば分かりやすい。これでガルのスピードがさらに上がったね。
そして、肝心の二つ名だがそれは、敏捷の馬鹿だ。なんか、俺らのファミリアの扱いがひどい。まぁ俺のと比べると、スピードは凄いと認められているから良いけど。・・・・・・なんで俺はケモナーなんだよ。ドラゴンスレイヤーとかの方がまだマシだったのに。
最後は残念な知らせである。なんと、ガーディーが鍛治に集中するようになったため、一緒にダンジョンに行けなくなったのだ。なので、本格的な専属鍛治師になり、俺たちが素材を持ってきてガーディーがそれを武具に変えるという関係になった。
ガーディーは新たな属性を作ろうと考えているらしく、すごく楽しそうだった。
と言うわけで、今の俺たちは2人パーティーとなった。
だが、サポーターとして3人のうち2人を連れて行くことにした。
それで残りの1人はと思うのだが、なんとファミリアに新しい家族が5人増えたのだ。これまた全員獣人であり、ファミリアの構成に俺の2つ名が影響されてないかちょっと心配になった。いや、ユニはヒューマンだ。大丈夫大丈夫。
入ったメンバーは、犬人のガリュー、マルナ、熊人のレジル、マージ、狐人のコネルだ。こいつらも美男美女で俺だけ見劣り感が半端ない。
まぁ気を取り直してダンジョン探索にレッツラゴー!
「そら! や!」
キン! キン!
今は20階層でゴブリンソードマンやアーチャー、アシッドスライムを倒している。
サポーターのロウとルウは後ろに下がらせているんだが、モンスターはサポーターが弱いとわかっているのかロウを集中的に狙ってくるため、対処が難しい。特に、アーチャーの弓は発射、連射スピードが速く、手と腕に付けている二つの盾で防御をするしか無い。
ガルが縮地のようにアクセルと何度も唱えてアーチャーに光速移動をするが、その全てをソードマンが止めてくる。なので緩着状態なのだ。
そして、アシッドスライムが酸攻撃をしてくるため、そっちにも気を配らなければならない。
どうする。幸い弓矢は距離もあるためロウも避けることができるが、このままにするのもな。だったら魔法で攻撃しよう。
詠唱をし、スピードだけを考えるように魔力を練って針状の弾を10個放った。
真っ直ぐ空気を切り裂いて飛んでいく10個の弾は全てアーチャーの体にあたり、そのまま倒れていった。
・・・・・・あれ? 簡単に倒れすぎじゃない?
でも、これは好都合だ。
山谷の雨が止んだため、俺はすぐさまアシッドスライムを切り倒し、 若干ガルが押している攻防に参加した。
ソードマンはガルの素早い連続攻撃に対処をしているため、後ろがガラ空きなのでそこを一刀両断。こいつガルとの2対1だと簡単に倒せるんだよな。
「よっし、今日の探索はここまでにしよう。ロウとルウは結構動き回っとったけど大丈夫だったか?」
「大丈夫、連戦だときついが休憩しながらならなんとかやってけるから心配しなくで大丈夫だぜ。チカラとスピードだけなら自信があるからな」
ロウは大丈夫そうだな。
「私はちょっときついかも。あの戦闘だと逃げる以前に何もできないから」
「それは時期になれるよ。これからはこの階層からは動かないし。21階層からはレベル3にカテゴライズされるモンスターが下の層から上がってくる可能性があるからね。だから無理せず成長しよう」
「分かったよユウタ」
ルウは厳しそうだな。まぁ、ロウの場合は模擬戦で一番俺らとやっていたからステイタスに差が出るのは当然だ。後は技術も上がっており、上層だけならソロで行かない限りは大体のモンスターは簡単に倒せ、ずいぶん成長した。
ロウには劣るが、ルウもユニも成長している。お陰でガリュー達の成長も早いし。
「じゃあ戻ろうか」
きょうの探索も終わり、気を楽にしていた俺たちは帰りにあんな事が起きるなんて考えもしなかった。
ギュアアアア!
叫び声を上げて倒れていくネズミ型モンスタービックマウス。名の通りの大きいネズミだ。
今私達は4階層にいる。ここでガリュー達の特訓をしている。
みんな獣人であるためなのか素の身体能力が高いので、6人パーティーになると探索がサクサクと進む。
本当は5階層に行きたいんだけど、流石にコボルトを1人で三体は相手にできるようになるまでは連れて行かない。ダンジョンは危険であり、いつどこに潜んでいるかわからない。だから安全マージンは広く取るのだと口癖のように言うユウタは臆病だと思う人もいるかもしれないが、私達のファミリアはそうは思わない。
だってファルナを授かったら、速攻ゴブリンやコボルトと1人で戦わせるんだよ。ルウやロウは元からの身体能力でどうにかなったけど、私はヒューマンの女の子なんだよ!初期強化とかで身体能力は上がってるけど、いきなりの実践は無理だよ!
ちょっと愚痴を吐いたけど、そんな洗礼みたいなことをしているから、私達はモンスターの怖さを知るんだよね。
私達はユウタやガルが付いてたから怖くなかったけど、ガリュー達は私達3人のうちの1人だからね。技量もステイタスも5階層以下のモンスターなら大丈夫だけど、逆に言うとそれだけの力しか持ってないからあの洗礼を受けたガリュー達は最初は怖かっただろうね。と言うよりコネルは最初の一週間は足が震えてたし。
やりすぎたとは思うけど、そのお陰でダンジョンの危険を肌で感じると言いうことができるようになったし、何より自分の弱さを知ることができる。幸いにも私達のファミリアには自分の力をおごる人はいないし。いや、ユウタとガルの模擬戦闘を見てたらその気は焦るかな。あの2人の戦いは目に追えない。空気が震えるのがわかるから激しい戦いをしてるにもかかわらず、戦う場所はキズ一つ付かないんだよね。どれだけのことに注意を払いながら戦ってるんだろうと考えたら追いつけるのかなって若干疑問に感じるんだよね。
でも私も頑張るよ。いつかはユウタの隣に行って見せるんだから。あ、隣は隣でもそういう隣じゃなくって、
「おーい、ユニ何顔赤くしてんだ。後ろから帰ってきてる冒険者がいるから俺たちも帰ろうぜ。もう疲れたよ」
「そうそう、団長に惚れる理由もわかるけど、ダンジョンの中だから油断はしないで、よね」
「私は別にユウタを好きではないわよ。憧れてはいるけど、そんな感情は抱いてないわ」
「そうよレジル、まだ姉さんは団長のこと好きじゃないんだから」
「そうそう、私はユウタをってまだじゃないの!」
「マルナも姉さんをいじるのダメだよ。せめてホームの中だけにしないと」
「はーい」
「もう、じゃあ帰るよ」
そうして地上に帰る道を辿っていった。
それから20分、3階層に登ったところでガリューが口を開いた。
「姉さん、後ろから後つけられてるよ」
「やっぱり、でもなんでかな」
「多分姉さん達女の子狙いだよ。早くして逃げないと」
ガリューと話をしていると後ろから声をかけられた。
「ねえねえオネンチャンタチ、俺たちと一緒に遊ばない?」
振り向くと、数は5人と言ったところ。向こうが近づく前に逃げればギリギリ地上に出れる距離だ。
「何言ってんだおっさんら。ここはダンジョンの中でも上層だぞ。それにこの道は地上に戻る最短ルートだ。あんたら捕まるぞ」
「何言ってるんだ。ダンジョンの道は変わるんだよ。こんなのは新米冒険者でも知っている。昨日のギルドの看板見なかったのかな?」
そう言われ思い返すと、確かにユウタが昨日道が変わってるみたいだから通った道を覚えながら探索するようにねと言われていたはずだ。
悔しい。ユウタの忠告を聞いていればこんなことに。
みんなに撤退の合図をし、逃げる準備をする。
なぜこんな合図を作ってるかといえば、ユウタが冒険者には闇の部分がある。だからモンスターではなく人に襲われる可能性がある。とのアドバイスでファミリア共通の合図みたいなものを作っていたからだ。
そうして後ろを振り向こうとすると、なんと後ろからも足音が聞こえた。音を聞くに3人程度。計画性みたいなのを感じる。まんまと敵の手中にはめられたというわけなのかな。
どうする。相手はレベル2もいる。ユウタ達が帰るまでなんとか粘らないと。
「さあて、宴の始まりだ」
20階層から上層に戻ってきた俺たちは少し休憩をしていた。
「おい、ユウタ大変だ!」
声をかけてきたのは、おれの飲み仲間であるルマサン。なんか慌しいけど何かあったのか?
「どうしたんだ?」
「お前らの後輩のやつらが他の冒険者に襲われてた。俺はだけじゃ手に追えねぇからお前を探してたんだ。運良く見つかってよかったぜ」
ん、何? ユニ達が他の冒険者に?
そう考えると、思考はまだ冷静ではあるが、表に出るほどの怒りを露わにしていた。
「今どこに?」
「3階層の元最短ルートだ。目視だけだがレベル2が3人、それ以外はレベル1だ」
「ガル、ロウとルウを頼む」
「待って俺の方が、行っちゃった。ユウタ大丈夫かな」
「ああ、我を忘れてなきゃいいが」
猛スピードで走って行き、5分もかからず3階層についた。
そして、ルマサンの言ったルートを辿ると、剣が交わる音が聞こえた。もう直ぐだ。
さらにギアを上げ俺の目に映ったものは、みんなが疲弊困憊した姿だった。
「こいつら、もう手加減しねぇ。あとは全員殺せ」
あ? なんだと?
俺の中で何か黒いものが溢れた。それは魔力となり、その殺気は上級冒険者が気づくには簡単すぎるものの圧力を放っていた。
「お前何もんだ?」
そんなことをほざいたクソは知らず、そのまま腕を切り裂いた。
「え? ゔあああああああ!」
「おい、よくも仲間を」
あ? そのセリフは俺のもんだ。
そしてユニ達の前にいる肉壁を切り裂いた。
「ユ、ウ、タ?」
「ああ、もう大丈夫だ。安心しろ」
「そう」
みんなの緊張が解けたのか途端に全員が倒れた。
よく頑張ったな。
俺の中にあった黒いものは収まったが、頭の中は怒りで充満している。だがこの姿を見て冷静になることができた。
「おい、お前はケモナーだな。どんな名前をしたやつかと思えば飛んだ殺人鬼じゃねえか」
「バカ言え、誰1人死んでないわ。それでそこのお三方は逃げますか」
「何言ってんだ。レベル2の成り上がりが。俺たちは三人いるんだ。勝てるとでも思ってるのか」
「余裕」
「っち、ほざいたろ。お前ら行くぞ」
そして三人同時に襲ってきた。が、隊列はなってなく、本当にこいつらがレベル2かのか分からないほど連携がなってなかった。
前の1人に攻撃を仕掛けた。が、さすがに受け止められてしまった。ステイタスはレベル2なのかな。
そして足払いをすると簡単にかけた。そこで足を指し、後から来た2人を横薙ぎで牽制、1人に突撃し、もう1人を猛スピードの剣撃で剣を弾き飛ばした。
「こいつ!」
剣を無くしたやつは殴りかかって来たが、最小の動作で避け、腹を一突きした。
突撃し、倒れた相手はすぐに態勢を直すが、それより速く俺の剣がそいつの胸を貫いた。
戦闘が終了する頃、ガル達が追いついて来た。
「これはひどいもんだな。でも1人として死んだやつはいない。怒りには飲まれなかったな」
「ユウタ! 大丈夫?」
「ああ、こいつは拍子抜けにもほどがあったぞ」
「他のみんなは無事そうだね」
「ああ、じゃあ戻りますか」
ちょっと敵側弱すぎたかもしれません。