俺は今新たな仲間、ガーディーと一緒にダンジョン四階層でダンジョンリザード三体と戦っている。
何故ガーディーが仲間になったのか説明をするには少し前にさかのぼる事となる。
それは4時間前・・・・・・
俺は昨日の戦闘で折れた剣の代わりを探すために、バベル八階に来ていた。
そこは昨日来た時よりも多くの喧騒を作り出しており、とても賑わっていた。何かあるのかな?
近くの人に聞いて見ると、今日から色んな地域からの特産品などが集まる1週間、ギャザーというのが始まるらしい。
で、それが何でこの人の多さに関係するかと言うと、このギャザーの荷車に乗せてもらう未来の冒険者がたくさん来る時であり、この店はギルドでも新米冒険者に紹介されるほどの知名度を誇ため、いい冒険者が自分の武具を選んでくれるようにと店側に頼むためにたくさんの鍛治師たちが来るらしく、ちょうどその時に当たったらしい。
あ、ルニセが妙に上機嫌だったのはこれのせいか。このギャザーで新しいファミリアの人を見つけて俺を驚かす算段だな。先に上がってすまんな。
でも、この日に当たったのは幸いだ。もしかしたら、俺の買った防具を作った人が来ているかもしれないしな、可能性は低いが。
何故ならこの防具の性能はよく、さらに楔帷子に革製の鎧など多芸で相当実力のある人だと俺は思っている。でも、あくまでその実力があるだけで、店の片隅に置いていたから無名の人だとは思うから俺にもワンチャンはあると思う。
すると直ぐに俺の願いは叶った。
俺がこの店に入って見た最初の店の人と交渉している人がその人だったからだ。ガーディーくん、これはなんとがだからとか店の人が言ってるからあの人で間違いない。
年は俺と同じくらいで見た目はとても背が高いが体格はそれほど良くなく細い。顔は童顔だけどカッコイイ。なんかイラつくな。
これだけを見るととてもあの防具を作れた人とは思えんな。まぁ、話してみればわかることだし、レッツトライだ。
ガーディーらしき人が店の人と話し終わり、店に出て来るところを狙って話しかけた。
「ねぇ、君ってガーディー・クラリア?」
「え、あっはいそうですけど。僕に何か用ですか。」
良かった。本人で間違いない。用は武器を作って欲しいだけど、単刀直入に言うのもな。
だったらこの防具で命救われたって礼を言おう。マジでこの防具たちに助けられたからな。それになんかの縁を感じるし、ゴマをすっておくことも悪くないな、なんちゃって。
「それほどの用はないんだけど、ちょっとお礼を言いたくてね。君の防具のおかげで命拾いしたからさ。」
「僕の防・・・・・・って、これ僕の作ったのです! 君の命を助けてくれたのなら僕もいい気分だよ。こっちこそ僕の作品を買ってくれてありがとう。」
「いや、いいよ。それで君にちょっと話があるんだけど、僕に武器を売って欲しいんだ。昨日の戦闘で武器が壊れたから、今モンスターを倒すものがないんだ。お願いします。」
そう言って頭を下げた。
「頭下げないでよ、上げてあげて!・・・・・・その、武器を売ってだっけ。それは大喜びだよ。僕の装備を買ってくれる人はいないし、きちんと評価をしてくれた人は師匠しかいなかったから寧ろこっちが頭下げたいくらいだよ。あ、すみません。舞い上がってタメ口になりました。」
「え? そのくらいいいよ。ていうかそれだったら俺なんか最初っからだしタメ口でいいよ。年も近そうだから逆に敬語の方が嫌かな。それと名前はユウタ・ジユウガオカね。で、武器なんだけど、今大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ。あしたに出す予定だった武器を作る予定でしたし、後は研磨するだけって、君って武器何使うの? 今作ってるのは1mぐらいの片手剣なんだけど。」
「それでいいよ。俺が使っていた前の武器はその大きさの片手剣だったんだ。それと、良ければなんだけど、これ使って何か作ってくれないかな。」
そうして、昨日壊れた武器を取り出した。何故これを使って欲しいのかというと、俺は鍛治の出来るRPGゲームで最初の武器を材料にしてその素材と他の素材を合わせた新しい武器を愛用していたからだ。最初は弱いけど、中盤ぐらいで5、6回繰り返すとどの作品でもとたんに強くなるんだよな。まぁそんな理由だ。
「これは初心者用の剣だね。作り直すことはできないけど、だったらこれをインゴットに変えて、何かのドロップアイテムと混ぜてナイフにしよっか。うーん、いいのあったかな。」
ナイフか。でもこれだったらいろんな用途に使えるし良いかな。俺は何かでまた使えれば良いからな。
ドロップアイテムは使うと思って持ってきといた強化コボルトの爪があるな。この大きさと強度なら色々出来るぞ。
「だったらこのコボルトの爪使って。」
「うん、良いよってこの爪何! 普通のコボルトが落とすやつじゃないよね。」
「それは多分コボルトの強化種だったからだと思う、これ使えるかな。」
「それは勿論使えるよ。ていうかこれをナイフっていうのはもったいない気がするけど良いの。」
「良いよ。最初使った武器が戦闘で使えるなら喜んで渡すよ。」
「なら良いけど。なら今から僕の工房に来ない。ナイフならこのアイテムと合成したら早く熱が通るから2、3時間あれば作れるし。工房ここから近いからギリギリダンジョンにも行けれるよ。それとこれは僕のお願いなんだけど、君のパーティーに入れてくれないかな。それとまだ先の話のつもりだけど、将来直接契約を結んでくれないかな。」
「は? いや、なんで俺なの。ていうか急だな。パーティーは俺もソロだから良いけど。俺はまだ冒険者になって1週間しか経っていない。それでも良いのか。」
「1週間! だったらなおのことだよ。君は絶対に冒険者の才能があるはずだもん。そんな将来有望な人と組むに決まってる! 1週間でこのサイズのドロップアイテムを落としたコボルトを倒すのは難しいことだよ。」
「おう、そうか。」
そうしてガーディーの工房に行くこととなった。
北東の通りにある1つの大きい工房というよりかは一階建ての一軒家だ。
中に入ると客間があり、他にも扉が3つぐらいあった。そのうちの1つに入ると、そこが仕事場のようだ。奥には大きい炉にアンビル、壁に鎚や鋏などが吊るされていていかにもここで鍛治をするというのがわかる。
「この工房デカすぎじゃない。もう鍛冶場の付いてる家だよね。」
「はは、まぁね。僕を気に入った師匠が持ってたいくつかの工房を貰ったんだ。。今からナイフ作るけど見る?」
「見る見る。出来れば解説もしてほしい。」
「良いよ、見るときはそこで見てね。防具はそこで脱いで、部屋はすごく暑くなるから」
そうしてガーディーが鍛治の準備をし、ついに鍛治が始まった。
先ず、炉に火を付ける。どんどん温度が上がっていき、少し離れている俺でも暑さが感じる。
最初に壊れた剣をインゴットに変えた。
あれ、なんかガーディーが炉に入れた。うわ、さらに暑くなった、倍以上だ。
「これはドロップアイテムの火炎石から作られた発火材で一般の人には売られてないものなんだ。これを入れてさっきみたいに一気に炉の温度を上げる。」
「このコボルトの爪は相当金属特性が高いから炉の温度を上げないと溶けないんだ。魔力も持っているから尚更溶けにくい。」
そうしてコボルトの爪を炉にいれて熱し、溶けそうなぐらいのピンク色になった時に鉄床に移した。
そうしてハンマーで叩いていき、分厚く硬かった爪はどんどん平べったくなっていった。
叩く力は一回一回違ってどんどん形を変えていった。
さっきのインゴットを炉に入れ熱し、それを叩いて引き延ばし、コボルトの爪と同じ大きさになったところで、コボルトの爪にくっつけ、その間になんかの板を入れた。
「これは鍛接という2つの金属をくっつける作業で、さっき入れた板は鍛接材といって金属は熱すると柔らかくなるけど、表面は硬くなって2つの金属はくっつ邪魔をするからその表面の硬くなった部分を溶かす役割をするんだ。」
どんどん叩いていき、2つの金属は完全に接合されて、後はナイフの形を作るだけとなった。
叩いて叩いて、数え切れないほど叩いてついに完成した。
水につけていって冷ますと、色は真っ白だった。鋼のような色ではなく、処女雪のように白い色だ。
次に研磨の作業に入った。補足すると、この時に俺が買う片手剣の研磨をしていた。色はもちろん青でござる。
最後に銘を入れていた。ガーディーの名前と短剣の方は白牙、片手剣は青楼だ。そして、ついに完成した。
もらった片手剣とナイフを腰と左腕の鞘に入れた。
「凄いよ、本当にすごい。鍛治ってこんなにも大変な作業だったんだ。それにどちらの武器も俺のような初心者が持つには不相応だ。武器に振り回されないように注意するよ。」
「君がそんなことになる事はないと思うけど。この2つは俺の最高の出来のものだ。1つは違うけど、もう1つはユウタのおかげでいいものが作れた。有難う。」
「良いよ、それでさ、防具も武器もなんだけど、なんで青色なの?それにこの盾の防御力尋常じゃないけど。」
「それは蒼鉄石と呼ばれるダンジョンで取れる青色の軽い鉱石を使っているんだ。僕の師匠がその鉱石での失敗した武具をもらって精錬して作ってるから僕の作品は全部青色なんだ。でも、蒼鉄石は深層でしか取れない貴重な鉱石だからとても頑丈なんだ。盾は1番純度の高いもの使ってるからなおのこと硬いね。」
だったらあの時この防具を装備した時重いと感じなかったのはステイタスの影響じゃなく、この使った鉱石のおかげなんだな。
「じゃあガーディーの技術は相当なんじゃないのか。深層で取れる鉱石も使えるし、何より、その師匠は失敗しているとはいえ、そんな貴重なものを渡しているんだ。すごく高い評価を受けているんだな。」
「そんな事ないよ。月一で教えてもらってるけど、毎回怒られてばっかだし、鍛冶をしてから1年になるけど技術は上がった気がしないもん。」
「まぁ、自信持てよ。お前は自分が思ってるよりすごいぞ。」
「うん、でさパーティーと直接契約についてなんだけどどうかな。」
えっ、俺の褒め言葉スルーですか。かなしいっすね。
「来る途中でも話したけど、パーティーはいいし、直接契約はさらに歓迎だ。でも、なんで俺とパーティーを組むんだ。同じファミリアの人と組めばいいのに。」
「それは、えっと、話しづらいけど、ハブられてるんだ。まだ駆け出しの時に師匠に拾ってもらってさ。その師匠、ファミリアでもトップクラスに入る人でランクは3だったかな。そのせいで他のファミリアの人から目の敵にされるんだ。」
「それは災難だな。まぁ、これからは若輩者だけど、俺が一緒にパーティーを組むから一人って事はないぞ。でも、まだ弱いから暫くは3〜5階層になると思うけど。」
「それは大丈夫だよ。僕はパーティーメンバーがいなかったからずっと鍛治に専念してたからね。だから力と耐久は高いよ。まぁ、俊敏だけは駆け出し冒険者と同じくらいだから前衛のタンクしかできないけど。」
「それで充分だ。どうせ下層を探索するだけだから危ない事はないよ。じゃあ、ダンジョンに行きますか。」
「うん。」
そうして場面はダンジョン四階層へと戻る。
ダンジョン探索は次の話に持ち越しです。