ドラゴンクエストⅧ 空と大地と竜を継ぎし者   作:加賀りょう

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タイトル通り、ラスダンへ向かいます!
次回からいよいよ攻略に(`・ω・´)


暗雲の空へ

 クラビウスとの話し合いを終えたレイフェリオは、客室へと向かった。その途中でゼシカとヤンガスと合流する。

 

「兄貴!」

「レイフェリオ、お疲れ様だったわね」

「ヤンガス、ゼシカも……ゲルダはいないのか?」

 

 いつものメンバーではあるが、トロデが外にいるのはわかるがゲルダの姿もなかった。そのことに疑問を抱く。するとゼシカが呆れたように両手を上げて溜息を吐いた。

 

「こういう堅苦しい場所は嫌なんですって。まぁこれまで縁がなかったわけだから、わかるけれどね。ちゃんと休んだ方がいいとは言ったんだけど」

「仕方ねぇでげすよ。あいつはそういう奴でがすから」

「休むなら宿屋で十分だって言っていたからな。城下の宿には泊まっていたみたいだ。心配する必要はないさ」

 

 確かに元々盗賊だったゲルダにしてみれば、サザンビーク城内は休める場所ではないだろう。今更ゲルダが盗みを働くことを考えているとは思っていないが、そこかしこに兵や騎士がいて、全員が寝静まる瞬間などない。それが城という場所だ。そういう意味ではヤンガスの方が異質なのかもしれない。

 

「そうか。なら少し休んだらゲルダとも合流しよう」

「行くんでがすね?」

「あぁ。聖地ゴルドの上空に浮かぶ、あの場所へ」

 

 その翌日、自室で目を覚ましたレイフェリオは準備を済ませると、その足でチャゴスの部屋へと向かった。軽く扉を叩けば、眠気眼の状態のチャゴスが出てくる。

 

「なんだよぉ、こんなあさはやくから……」

「……お前がこんなに簡単に目を覚ますなんて珍しいな」

「っ⁉ あに……レイ」

 

 寝ぼけているからか、呼び方が一瞬だけ昔に戻った。すぐに訂正されてしまったけれど、どこか懐かしい気分になる。チャゴスの身体から室内を盗み見ると、机の上に本が重ねられているのが見えた。

 

「そういえば聞いたよ。最近、カジノに行くのもやめたらしいな」

「そ、それは別に……ただ……ぼ、ぼくだってその……」

 

 公務の一つもこなしたことがないチャゴス。そもそも学ぶということに消極的で、逃げ続けて遊び歩いていた。本を読む事さえほとんどしたことはないはずだ。そのチャゴスの部屋に本があるだけで驚く。その隣に書きものが置いてあるということは、チャゴスが何かを書いているということ。それはつまり、あのチャゴスが自ら勉強をしているということなのだろう。

 

「別にお前に言われたからじゃない! ただ……」

「理由なんて何でもいい。お前が前を向いたってだけで十分だ」

「なん、だよ……いつだってそうやって、兄ぶって……お前なんかっ……いや、そうじゃなくて」

「チャゴス?」

 

 いつもなら悪態を吐いているチャゴスだが、食って掛かる様子を見せつつも口を閉ざす。首を横に振って葛藤をしているようにも見えた。口を開いては閉じるを繰り返すこと数回、何が言いたいのかと黙ってレイフェリオが見守っていると、チャゴスは明後日の方向を向きながら小さな声でつぶやいた。

 

「……ちゃんと、帰ってこい、よな……」

「チャゴス……あぁ。ありがとう」

「ふ、ふん」

 

 勢いよく音を立てながら扉が閉められた。チャゴスなりの激励。扉が閉まる直前に見えたチャゴスの顔は赤みがかっていた。精いっぱいの照れ隠しなのだろう。レイフェリオは思わず笑みが零れた。

 

 ククールらと合流したレイフェリオは宿屋にいるであろうゲルダを連れて、城の外へと出てきた。そこにいたのは久方ぶりに会うトロデとミーティアだ。変わりない様子に心なしか安堵の息が漏れる。

 

「トロデ王、姫も。よくご無事で」

「お主もな……わしらはゲルダのお陰で逃れただけじゃ」

「ふん。あんたらがどんくさかっただけさ。あたしにかかれば逃げ出すことくらいどうってことないからね」

 

 口ではそういいながらも、ゲルダはどこか自慢げだ。逃げ足には自信があると常々言っていたゲルダだが、今回は仲間を守るための行動だった。大聖堂の混乱の最中、トロデやミーティアを守りながら逃げ出すことは、言葉で言う程簡単ではない。

 

「それでも感謝するよ、ゲルダ。君がいてくれて良かった」

「……このくらい当然さ。それよりも、やるべきことはあるんだろ?」

「あぁ……王と姫はここで隠れていてください」

「うむ。気を付けていくのだぞ」

「はい」

 

 あのような場所に二人を連れていくことはできない。何が起きるかわからない以上、ここで待っていてもらった方がいい。堂々と匿えないことだけが心残りではあるけれど。

 

「リオ」

 

 レイフェリオが呼びかければ、神鳥の子であるリオがその肩に止まる。空を駆ける必要があるため、彼らの力を借りなければならない。レイフェリオがククールへと視線を向ければ、その手には輝く光が乗せられていた。リオとは違い、身体を失った神鳥の子のたましい。

 

「行くとするか」

「あぁ、頼む」

 

 ククールの手にあるたましいが光、レイフェリオたちを包み込む。空へと舞い上がる感覚。目指すは、黒い霧の中にある城だ。

 

 

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