ドラゴンクエストⅧ 空と大地と竜を継ぎし者   作:加賀りょう

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タイトル通りです。オリジナル解釈つきです。


キラの願い

 城内にはすんなりと入ることができた。

 だが、兵士を始めとして中の雰囲気は町中と同じで、暗い。

 

「町の中と同じね」

「陰気な国でがすな」

「……思っててもそういうことは口にするもんじゃないぜ。城の中ではな」

「へいへい」

 

 ククールに忠告され、ヤンガスも軽い返事を返す。

 曲がりなりにも一国の城だ。下手な言動を控えるべきなのは間違いない。

 

 階段を上って行くと、王座の間についた。だが、そこにいたのは王ではなく、大臣一人。王座は空席だった。

 

「あの……」

 

 レイフェリオが声をかけ近寄る。

 

「……ん? おお、我が国に客人とは珍しいな。旅人か?」

「ええ」

「そうか……しかし、我が国は亡くなられた王妃の喪に服しておるため、王には会えんのだ。すまぬがお引き取り願おう」

「……私たちキラって子に会いに来たのだけれど」

 

 ゼシカがキラの名前を出すと、大臣が申し訳なさそうに項垂れた。

 

「そうか……キラに。あの子はよく頑張っておる。キラなら上にある王の部屋にでも行っておるだろう」

「わかりました。行ってみます」

「すまぬな」

 

 キラは王付きの小間使いのようだ。

 となればかなり待遇はいいはずで、休みがもらえないなどあり得ないと思うのだが、大臣の様子から考えると王に問題がありそうだ。

 

 言われるがまま屋上にあるという王の部屋の前まで来ると、そこに一人の少女の姿があった。

 

「……お昼にお運びした食事も召し上がらなかったようですね。夕食は王様の好物を作りますので……あの……王様、お願いです。せめて返事を……」

 

 一生懸命扉の向こうへ話しかけていたが、相手からは返事がない。しばらく待っていたようだが、諦めて項垂れながら階段の方へと歩いていった。

 近くに立っていたレイフェリオたちには気がついていない。

 

「あの子がキラね……」

「たぶん。……そしてあそこが王の部屋。食事も摂らないとなると体調も心配だな」

「そうね……」

「おい、レイフェリオ。あの子を追いかけるぞ」

「……そうだな。行こう」

 

 レイフェリオたちも階段をおり、キラの後を追った。だが、キラは直ぐに見つかった。

 階段を降りたすぐそばで大臣と話をしていたのだ。

 

「お食事もほとんど手をつけずに。夕べも一晩中玉座の間で泣き明かしていらした様子。王妃様が存命の頃はあれほどお優しくてかしこい王様でしたのに……お側仕えでありながら何の役にも立てず申し訳ありません」

「……いや、お前はよくやってくれている。しかしそうか、王は今日も。ご苦労だったなキラ」

「いえ……」

「だが王には何としても元気を取り戻していただかねば国が傾く。しかし……一体どうすれば……」

 

 大臣は困り果てているようだ。

 それもそうだろう。こればかりは本人の気の持ちようでもある。

 他人がどうこう言うのではなく、本人が気がつかなければならない問題だ。

 レイフェリオたちが話を聞いていると、キラがこちらに気がついた。

 

「? まぁ、旅人のかたですか? もしや我がアスカンタの王に会いにいらしたのですか?」

「あ、いや」

「ですが王はこの二年間どなたともお会いになさいません。夜は玉座の間へいらしてますが、誰の言葉も耳に入らないのです」

「……その王はどんな様子?」

 

 レイフェリオはキラに訪ねた。夜に王の様子を見ることなど普通は出来ない。夜間は通常、一般人は立ち入ることができないからだ。

 だが、何となくレイフェリオは王の様子が気になった。

 

「あ、はい。玉座に泣き崩れるような形で、シセル様、王妃様にもう一度会いたいと。出なければ、王冠も玉座も意味がないとまでおっしゃっていました」

「もう一度、か」

「死者に会うなんて無理だろ? それこそ幽霊でもなきゃ」

「そう、ですよね……ですがもしもう一度会えることができたら王さまもきっと……あっそうだわ!」

「どうかしたの?」

 

 突然顔をあげたキラにレイフェリオは首をかしげた。

 

「私の祖母がよく不思議な昔話をしてくれたのですが、その中にどんな願いも叶えるという話があったのです」

「どんな願いも?」

「はい。ですが……すみません、詳しくは思い出せないのです」

「お祖母さんってカーラさんだよね?」

「えっ?」

 

 カーラの名を出すとキラは驚く。レイフェリオはここに来た経緯を話した。

 

「そうだったのですか……ありがとうございます。ですが、私はまだここを離れることは出来ません。王様が元気になる姿をみるまでは」

「……わかった。なら、俺たちがカーラさんに聞いてくるよ」

「兄貴?」

「……ここまでの様子をみて放っておくことは出来ない。だろ?」

「……レイフェリオがそういうなら私は構わないわ」

「俺も付き合うぜ。こんな、かわいい子が困っているんだからな」

 

 ククールの理由はともかく、ゼシカも反対ではないようだ。

 

「皆さん……ありがとうございます!」

「君も、頑張って」

「はいっ」

 

 元気な笑みを見せるキラ。

 王が元気な時はいつも見せていたのだろうが、いまはそれも影を潜めているのだろう。

 それを取り戻すためにも、レイフェリオたちは今一度カーラの家へと向かうことにした。

 

 

 

 




ここまで読んでいただきありがとうございます。
申し訳ないのですが、体調が良くないので土日の更新はお休みさせていただきたいと思います。
月曜日からは更新できるように頑張りますので、今後とも宜しくお願いします。
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