パルミドを出るまでです。
そして短いです。
レイフェリオが戻ると既にククールとゼシカが待っていた。
「よお、首尾はどうだった?」
「ヤンガスが犯人を捕らえた……けど、姫は既に町の外だよ」
「外? それじゃあ早く追いかけないと」
「……外じゃ魔物がいる。流石にそこまで詳細に気配を探ることは難しいと思う。それに恐らくヤンガスが何かしら情報を持ってくるだろう。虱潰しに探すよりはその方が効率がいい」
すぐに外に出てミーティアの気配を追ったが、魔物がうようよしている外では探りながら動くのは危険だったため、断念せざるを得なかった。
もし、既に他者へと売られているのであれば、その者の素性を商人から得ることができるはずだ。それから追いかけたほうが早いだろう。
「確かにな……探し回るって言ったって土地勘もない場所だ。ここはあいつが来るのを待とうぜ」
「……わかったわ」
「あっ……」
「言ったそばからお出ましだ」
入り口からヤンガスとトロデの姿が見える。大きく手を振っていてこちらを呼んでいるようだ。その表情は焦っているようにも見える。
「兄貴~!!!」
「……で、どうだった?」
レイフェリオがいの一番に問うと、ヤンガスは肩を落とした。
「すまねぇ間に合わなかったでげす。で、でがすが馬姫さまはゲルダって女盗賊のところにあるんで、今から乗り込んで返してもらうでがすよ」
「そのゲルダって人はどこにいるのよ?」
「……ここから南西に住んでいたはずでげすよ」
南西にある小島に小屋があり、そこに女盗賊のゲルダがいるらしい。
目的地がわかったところで、レイフェリオはククールたちを見ると、二人とも頷いた。
「ヤンガス、案内してくれ」
「あ、兄貴?」
「盗賊ってのはそんな良心に訴えて返してくれるような連中じゃないんじゃないか?」
「ククールの言うとおりね。あんた一人で行くよりも、皆でいたほうがいいでしょう。心もとないし」
「ゼシカは一言余計だっ!!」
「トロデ王、ということですので、俺たちは取り返しに向かいます。王はどうされますか?」
馬車がない今、徒歩で行くことになる。
どのくらい歩くのかはわからないが、隠れる場所もなければ休む場所もない可能性がある。
「わしも行く。姫がどこかで不安で震えているかと思うと、黙って待っとることなどできんわい!!」
「……ですよね。仕方ありません。おとなしくしていてくださいね」
「わ、わかっとる!!」
暗にここで待つことを勧めたのだが、それはトロデにとって承知できないことのようだ。ミーティアが関わっている以上、強制することもできない。
なるべく魔物との戦闘を避け、ゲルダの元へ急ぐ必要がある。
レイフェリオたちは武器、防具の準備を整えてから、出発することにした。
「防具、か……ククールは騎士団の制服だよな?」
「あぁ。一応、守備力は低くないみたいだが……おっ、レザーマントか」
「おっ! 格好いいお兄さんなら似合う似合う。そちらのお兄さんも一緒に鉄の盾なんてどう?」
店主が薦めてくるそれは、手持ちの盾よりは守備力が高い。既にレイフェリオは装備しているため、前衛に出ることが多いヤンガスが装備することにした。加えて鉄の兜、青銅の鎧も購入する。
「そちらの別嬪さんにはこれなんてどう?」
「……露出が高い服ね」
「踊り子の服さ。確かに露出は高めだけど、その守備力は保証するよ。動きやすいし、ピッタリだと思うんだけどね」
「……レイフェリオはどう思う?」
「えっ俺!?」
名指しされて動揺するレイフェリオに、ゼシカは攻めの手を緩めることはなかった。
今の装備は守備力もたかがしれている。今後のことを考えれば、より高めの守備力をもつ装備に変えるのが正しいだろう。
諦めたようにため息を吐くと、レイフェリオが口を開いた。
「はぁ……確かに露出は高いけど、ゼシカが来ても下品ではない。そこそこ守備力があるなら、購入してもいいと思うけど?」
「そ、そうかな……?」
「似合っていると思うよ」
異性から褒められることになれているゼシカだが、そこに邪な考えが含まれていることを知っている。だからこそ、そういった想いを持っていないレイフェリオから素直に褒められ、動揺していた。
「……ゼシカって俺がほめてもそういった反応しないだろうに」
「……ケーハク男は黙ってて」
「あはは」
ククールのほめ言葉は、ゼシカ以外の女性にもところかまわず向けられる。仲間うちではもう聞きなれたものだ。当人はフェミニストと言っているが、そんなククールよりも普段言うことがない人に言われた方が効き目がある、ということなのだろう。
結局、購入することにした。
その後、武器屋によって鉄の斧とクロスボウを購入し、一行はパルミドを後にした。