ナノガイガー戦記~勇者とエース~    作:かがみん

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序章

世界の存立を賭け、我が身を犠牲にして戦うものたちがいた。愛する人を、大地を、全てを守るため……

 

西暦2007年。

七月。地球を旅立ったGGG艦隊は、次元ゲート・ギャレオリア彗星を潜って三重連太陽系に到達した。

そこで彼らが見たものは、複製された青の星、地球の姿であった。───

滅亡した三重連太陽系の再生を願うソール11遊星主の狙いも分からないまま、艦隊は地球へと降下。

異変はそこで、起こった。

地球防衛勇者隊に違わぬ勇気の持ち主だった隊員たちは腑抜けたように戦いを放棄し、勇者ロボたちは無惨にもAIを遮断された。

そして、勇者王も。

鋼の機体と勇気を完膚なきまでに、破壊され……

 

新歴75年。

危険な遺失物の捜索を任務とする時空管理局機動六課。いま、彼らは最大の危機に直面していた。

 

九月十四日。

時空管理局地上本部及び機動六課隊舎は、広域次元犯罪者J・スカリエッティの手の者によって襲撃、ほぼ壊滅の状態に陥った。

だが。スカリエッティたちの真の目的は、管理局の壊滅ではない。もっと巨大なる破壊をのぞんでいたのである。

そのために、彼らは一人の少女を拐った。

母への呼びかけも虚しく、少女は連れ去られた。

そして常に勝利を導いてきた魔導師は、少女を救えなかったことに涙を流し、悔やみ、決意する。

我が子を、この身に取り戻さんと。

 

人類存亡をかけた闘いは佳境に入りつつあった。

新生勇者王を破壊され、複製とはいえ仲間をこの手で傷つけた彼は、絶望の淵に叩き落とされた。

だが。

勇者を信じる者たちの呼びかけによって、彼は再び立ち上がった。

勇気ある誓いと共に。

 

次元世界の中心、ミッドチルダ。世界の命運をかけた戦いがいま、行われていた。

旧時代の悪夢を甦らせ、世界を畏迫するスカリエッティの野心に対し、機動六課は決死の抵抗を続けていた。

空と地上で。

 

ジェネシックオーラ……三重連太陽系の復活に執着するソール11遊星主が、唯一恐れる力。その力を以って真の姿を取り戻したジェネシック・ギャレオン。余裕を保っていた遊星主もさすがに眉をひそめる。

ソール11遊星主・アベルは、計画を一部変更することを不本意ながら決めた。そして背後に控える遊星主の一人にある命令を与える。

「例えギャレオンが覚醒しようと、勝利するのは、私たちです」

彼女が笑みを浮かべた瞬間、凄まじい爆発と閃光が、三重連太陽系を満たした。

 

轟音と共に、天空へ飛び立った超巨大飛行戦艦。

旧時代の世界を破壊した、"古代ベルカの悪夢の叡知"。

聖王のゆりかご。

ミッドチルダの遥か上空を目指して、巨艦は飛び続ける。

それを(むか)え撃つため、ミッドチルダ軌道上に、時空管理局次元航行部隊に属する艦隊が整然と布陣していた。

艦隊を指揮するクロノ・ハラオウン提督は、緊張した面持ちで、事件を移したモニターを観察している。

この、巨大な質量兵器の情報に関しては、無限書庫の司書長ユーノ・スクライアから知らされており、もし、ゆりかごが軌道上に到達し、ミッドチルダ全域を人質にすれば、管理局といえども迂闊に行動できなくなるという。

そうさせぬために、彼のよく知る面々が、ゆりかご内で戦っているはずだった。

(はやて、なのは……)

その時、彼らが予想も出来なかった異変が起こった。

「艦長!」

「なっ……!?」

「時空の歪みを検出!」

「この空間内です……これは」

「すぐ近く、次元震が……」

「シールドを張れ、衝撃に備───」

クロノが艦隊の全クルーに、命令を伝えるのと、異変が起こるのとは同時。

漆黒の空間に、爆発的な閃光が疾った。そして、次元が揺らめき、エネルギーの波が放射状

に拡がっていく。艦隊は衝撃を喰らい、急流に浮かぶ木の葉のように翻弄され、体勢を立て直すのに四苦八苦した。

 

その頃。

ミッドチルダにいる機動六課にも、異変が襲いかかっていた。

「なんや!?」

機動六課部隊長八神はやては、空の彼方で起こった突然の爆発と衝撃波に巻き込まれ、体勢を崩された。

「クロノくん!応答願います、一体何が……」

クロノへの通信は通じなかった。ノイズの雑音が聞こえるのみ。

「くっ」

「はやてちゃん……」

傍らのリインフォースII(ツヴァイ)空曹長が、心配そうに呟いた。

成層圏にも吸収されなかった衝撃の余波によって、彼女たち空で戦っていた者たちは、行動に支障をきたしている。皆、飛行制御に必死だ。その一方、聖王のゆりかごはぐんぐんと、高度を上げている。あの衝撃波のただ中で、ややぐらついただけだった。

「させへん!!」

はやてはリインを抱き寄せながら、ゆりかごに向かう。

六課の空戦魔導師たちも同様に、包囲を再構築していく。

「あっ」

はやては我が目を疑った。

ゆりかごよりさらに上空、高速度で飛来する、巨大な物体の姿に……。

「ゆりかごより、でかい!?」

三段重ねの飛行甲板をもった、巨大空母。

それが、雲を散らしながら猛スピードで落下してくる。

このままではゆりかごと接触してしまう。

惨事の予想にはやては肩を震わせた。

「なのはちゃんたちが……!」

 

ゆりかごとの衝突が近づく一瞬前、飛行空母は、ミサイルらしき物体を発射した。ゆりかごの背を直撃、装甲が砕かれ、建材が空に飛び散る。

だが、一発二発の弾撃ではゆりかごは破壊できない。

飛行空母はついにゆりかごと接触した。

凄まじい音が響いた。

ゆりかごは頭部に当たる部分を粉砕され、速度を鈍らせ、やがて停止。

巨大飛行空母は、地上へと、渓谷地帯に向かって落ちていく。

「あれは!?」

さらに、もう一つ現れた飛行物体は、流星のように、空母の後を猛追していく。

超音速による衝撃波から身を守るため、はやてたちは防御の魔法を発動せざるを得ない。

そして、数秒後、地上から飛行物体が大地に衝突する音が届いてきた。

「一体、何が起こったんや……」

呆けたような、はやての言葉が、風に流れた。

 

 

 

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