ナノガイガー戦記~勇者とエース~    作:かがみん

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第14章 その名は スター・ガイガー

ジェイアークの艦橋に戻っていたフェイトは、そこからなのはがギャレオンとフュージョンするのを目撃していた。

(なのは……!)

メカライオンの姿から、人型のメカノイドに変わるのを、息を飲んで見守った。

(あれが……ガイガー!)

ジェネシック・ガイガーの勇姿にフェイトは感嘆した。

一瞬の後、フェイトとジェイアークはゾンダー・プラジュナーを引き連れて、ESウィンドウに突入していった。

カインは、己のために開発されたと思い込んだ機体が変型するのを、固い表情で見ている。

通常のガイガーを越える、対遊星主用アンチプログラム。

ジェネシック・ガイガー。

ギャレオンのGSライドとなのはのリンカー・コアが接続され、その全身に魔力が行き渡った。

レイジングハートがその機能を掌握し、なのはの意思とフィードバックする。

なのはの魔力光と同じ色の翼が六枚、ガイガーの背から伸びた。神々しい印象を与える翼だ。

これこそ、魔法の奇跡が生んだマジカル・メカノイド。

魔法の勇者とも呼ぶべき機体。その名も、スター・ガイガー!

「ジェネシック・クロウ──」

ガイガーの格闘戦用武器が装着される。

「ぬっ!!」

スター・ガイガーはカインに迫った。

カインはサイコキネシスで戦おうとするが──

「ぐああっ!」

ジェネシック・オーラを纏ったクロウの一撃で、カインの肉体を撃破。ジェネシック・オーラに遊星主は太刀打ちできない。彼は細かな粒子に分解され、消滅した。

「カイン!?」

パルパレーパは忌ま忌ましい敵の誕生に、憎悪の視線を送った。

「次はお前の番だぜ、パルパレーパ!!」

凱は気迫を篭めて攻撃を繰り出した。

「うぐっ……小癪な!」

パルパレーパ・プラスが揺らぐ。凱は一気に踏み込み、至近距離からの砲撃を胸にぶつけた。パルパレーパのダメージは軽いように見えたが……

「この程度の攻撃で……ぐわぁ!?」

苦痛の叫びがパルパレーパから漏れた。

「か、体が──!?」

痛みに震えるパルパレーパは、機体の制御ができなくなった。

「お前がさっき俺に打ち込んだケミカルナノマシン、返したぜ!!」

先程のケミカル攻撃、凱はナノマシンのプログラムを書き換えて逆にパルパレーパに注入したのだ。それはパルパレーパ・プラスを蝕み、動きを封じた。

「ぐおおおおっ!」

凱の腕に緑の光が集う。

なのはの必殺技と見紛うような、収束砲。

「ブロウクン……ファントーム!!」

ブロウクンマグナムを越えた一撃。

パルパレーパ・プラスの機体が、砕け散る。

「ぬあああぁぁっ……!!」

爆発が、パルパレーパを粉砕した。

「はぁはぁ……」

初めて魔法を使った実戦で、凱は疲労を覚えた。

だが、まだ敵の全てが倒されたわけではない。

(J……)

並列空間で戦っているはずのJ達に、凱は思いを致した。

(あいつらは、勝てただろうか……)

それまで戦場だった場所に、沈黙が落ちた。

本局の各所が戦闘で半壊し、局員達が事後処理に走りはじめた。

 

ES空間内。

トーレ・ゾンダー・プラジュナーは、空間に入ったところで、牽引ビームから解放された。

そこは無重力の世界であり、特異な法則に支配されている空間だ。

「メガ・フュージョン!!」

ジェイアークは再度、二機に分離し、合体する。

「キングジェイダー!!」

百メートルを越える全身に、無数の武器を搭載した、ジャイアント・メカノイド。

「決着をつけてやる!」

Jは闘志を燃やした。

そこへ、桜色の翼を生やしたガイガーが現れる。

なのはがフュージョンした、スター・ガイガーだ。

そして、二体のメカノイドと強化ゾンダーとの戦いが開始される。

 

ゾンダー・プラジュナーは肩や胸の装甲板を開き、白い球体を露出させた。小さな稲妻が爆ぜる光球が、その球状の器官の上に浮かぶ。

なのはのアクセルシューターのような技だ。

それが、キングジェイダーとスター・ガイガーに向けて発射される。

自動追尾機能があるのか、回避しようとする彼らに正確について来る。

《Wide Protection》

だが、ゾンダーの機雷攻撃も、なのはの防御魔法には通じず、キングジェイダーはジェネレーティングアーマーで身を守った。

「反中間子砲、十連メーザー砲!!」

キングジェイダーは凄まじい火力で反撃、ゾンダーの身体は爆発に包まれる。

「シュートッ!!」

なのはも得意の砲撃でゾンダーにダメージを与える。

ゾンダー・プラジュナーは再生能力で傷を癒そうとするが、Jとなのはは休まず猛攻を加えたため、再生が追いつかなくなってきた。

それでも、死を恐れぬゾンダーは、自己の破損に構わず戦う事を辞めない。

《Restrict Lock》

しかし。ゾンダーはなのはのバインドにより、拘束されてしまう。

以前、強化前のゾンダーは管理局武装隊のバインド魔法を容易に引きちぎったが、魔力とGストーンのパワーで威力を増したなのはの《レストリクトロック》は剛力を以ってしても無理であった。

「うおおっ!!」

キングジェイダーは、拘束により動きを止められたゾンダーに、集中砲火。

そこへさらに──

「スターライトブレイカー!!」

ガイガーの胸──ギャレオンの顎の前方に形成された魔力球が、最強の魔法を発動させる。

 

 一 撃 必 倒 。

 

砲撃が、ゾンダー・プラジュナーの胸部に直撃した。

「!!」

その装甲が、まるで紙で出来ていたかのように、易々と砕け散った。

「いまだっ」

キングジェイダーがゾンダーに強襲をかける。

腕を穿たれた胸に突っ込む。

ゾンダーの機体から、

核となっていたゾンダーメタルを引き抜いた。

「ディバインバスター!」

ゾンダー核を失った機体を、なのはが粉々に破壊した。

ゾンダーを構成していた物質は、きらきら輝きながら、砂粒のような粒子がES空間に消えていく。

「これで……ゾンダーを浄解できるな」

Jはペンチノンに通常空間への復帰を命じた。

 

ES空間からの脱出のため、時空を隔てる扉が開かれる──

凱やシャーリーは、固唾を飲んで戦士達の帰還を待ち続けた。ESウィンドウが閉じてもう数時間は経過した気がする。

無論それは錯覚で、実際には十数分しか経っていない。

(ゾンダーは……)

倒せただろうか──

凱が自問した時、《ガオーブレス》が知らせてきた。

《The distortion of the dimension was perceived》(時空間の歪みを感知しました)

はっと、上空を見上げると、そこから圧倒的な存在が感じられた。

ES空間から、超弩級戦艦ジェイアークと、スター・ガイガーが還ってきたのだ。

「ゾンダーメタルは、回収した!」

Jは高らかに睫報を伝えた。局員達は歓びの表情をあらわした。

「あとは、次元の海にいる遊星主か──」

クロノ提督は三段式飛行空母ピア・デケム・ピットの映像を睨んだ。

アベルは艦に撤退し、パルパレーパとカインは敗退している。

(さぁ、どう出る?)

緊張しながら出方を待ったが、やがて攻勢を断念したのか、ピア・デケム・ピットは艦首を翻して退きはじめた。

魔法陣が出現し、巨艦は光に包まれて、かき消える。本拠地であるピサ・ソールに戻ったのだろうか。

クロノはほっ、と息を吐いた。彼は指揮下にある艦隊に、ピサ・ソールの動向をより徹底して監視するように、通達を出した。

「第一種警戒体制、ここに解除する!」

管理局は戦闘状態を切り替え、施設の復旧と負傷者救助を優先して活動をはじめる。

その間に、護がミッドチルダから駆け着けてきた。

ゾンダーメタル浄解のためである。

「ラティオ、どうした。顔色が優れぬようだが……?」

少年の顔を一瞥して、怪訝そうにJが訊いた。

「大丈夫、ちょっと向こうで戦って疲れただけ……」

無理しているのだろうが、護は明るい口調で言った。

「そうか、ならいいのだが……」

Jは、ミッドチルダでなにかあったのではないか、と疑ったが敢えて問い質したりはしなかった。

護はゾンダーメタルの浄解に取り掛かった。

ゾンダーメタルはジェイアークの保管室に保存されている。かつてはゾンダークリスタル保管に使われていた部屋だ。

淡い、緑の輝きを発しながら、護が断ち切られた命を繋ぐ呪文を唱える。

ゾンダーメタルから人型へ。

生機融合の力が解き除かれ、トーレの姿を取り戻していく。

かつて、浄解を受けた数多の者達と同じ様に。トーレもまた、滂沱と落涙しながら己の罪を悔い改めていた。

「さぁ。奴らの計画について、知っていることを全て吐いてもらうぞ──」

Jは冷淡とも呼べる声で言った。それは、ゾンダー化の悲劇を微塵にも考慮にいれない口調だった。

「何でも言います──」

トーレは性格が一変した態度で、供述する。

彼女の口から、遊星主の企みが語られた。護はアベルの計画に対し、衝撃を受けた。

「アベル……君は、なんという……!」

クロノはこの会話を、ミッドチルダにいるはやてにも聞かせるため、急いで通信を開かせた。

 

 

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