闇のなか、金の髪の色がよく目立った。
(なんで──)
胸中、八神はやては嘆息する。
(あともう少しで着くっちゅうのに……)
ピサ・ソールまであと一息という所でアースラは、パルパレーパの妨害に遭った。
立ちはだかる遊星主は無防備な様子で浮かんでいる。
「生憎だが、いまピサ・ソールに近づいてもらうわけにはいかん……この場に一人残らず沈むのが貴様たちの運命」
「どんな運命やねん……?」
「神が定めし運命だ」
パルパレーパは冷笑を口端に刻みながら、軽く腕を上げる。
「……フュージョンするんか!?」
パルパレーパはパーツキューブとケミカルフュージョンすることにより、巨大ロボ・パルパレーパプラスとなるのだ。
「貴様らの相手は私ではない。さぁ、出てくるがよい……聖王の器よ」
忽然と現れた少女。
長い金髪に、左右色違いの瞳。いにしえの聖王の遺伝子から誕生した、古代ベルカの遺産を継ぐもの。
「ヴィヴィオ!」
聖王の少女は無表情に構えた。ベルカ式の格闘技、シューティングアーツの構えだ。
「さぁヴィヴィオ、戦え。貴様を狙う敵と、な」
「あいつ、ええ加減なことぬかしよるわ!」
「……やはり、ケミカルボルトに操られてるんでしょうか?」
ルキノがはやてに訊いた。
「おそらく……護くんが言うには、連中の常套手段らしいわ」
硬い表情ではやてはなのはに視線を移す。
なのははモニターに映るヴィヴィオの顔を凝視している。
「レリックがヴィヴィオの力の源やけど、ゆりかごの内部じゃなければ、聖王の本来の力は発揮できないはず」
あくまで推測にすぎない。
だが、その存在そのものが動揺を誘うものではある。
パルパレーパはヴィヴィオを出すことでこちらの攻撃をためらわせ、戦意を削ぐのが目的に違いない。
「なのはちゃん……」
「部隊長。私に出撃許可を」
「ほんまに、ええんやな?」
確認する様に、はやてが問うた。
「はい」
なのはの瞳に不動の意思が宿っていた。
聖王のゆりかごに挑んだ時、すでに決めていた覚悟。
ヴィヴィオを救う。そのためならば、どんなものとも戦う。
たとえそれがヴィヴィオ自身だとしても。
「次元の海の中で戦えるのは、私だけです」
「よし……わかった」
もはや、親友の新しい力に頼るしかない。はやては心に決めた。
「高町なのは隊長の出撃を承認や!」
「レイジングハート!!」
勇躍してなのははレイジングハート・ジェネシスを起動。
《Fusion Mode》
ヴィヴィオもなのはも特殊な防御フィールドを防護服の周囲に展開することで、次元の海で生じる生体への影響から自身を守っていた。
「ふふふ……そうだ。戦うがいい」
パルパレーパは距離を開けて、二人の戦闘を見守っている。
アースラのクルーも、
母と娘の戦いに固唾を飲む。
「いこう、レイジングハート」
なのははいきなり砲撃で攻撃しようとする。
が。
ヴィヴィオは神速で間合いを詰め、なのはに近接技を仕掛けてくる。
「く……速い!?」
「たぁぁぁっ!!」
魔力を乗せた拳が急所を襲う。だが、そこはスバルを育てたなのはだ。
砲撃魔導師ではあるが、近接戦闘の心得もある。戦技教導官時代の経験がものを言った。
ヴィヴィオの攻撃は速く的確。しかも当たれば大きい。
それを、最小の動作で回避し、受け流す。
「っ……!!」
焦るヴィヴィオ。
なのはは笑みさえ浮かべている。
(どうして笑うの……?)
「ヴィヴィオ」
優しい声がした。
(ママ──)
「いま、ママが助けてあげるからね」
(無理よ!!)
心の叫びは悲痛だった。
(ケミカルボルトがある限り、私は──)
「だから、ヴィヴィオも闘って。遊星主の呪縛と」
「できないよ!!」
泣きそうな声が、ほとばしった。
パルパレーパのケミカルボルトは対象の身体を支配し、自在に操る。レプリジン・護や凱ですらその命令に逆らえずに、仲間と戦わざるを得なかったのだ。ゆりかご崩壊後、ヴィヴィオにかけられたクアットロの暗示は解けていたが、肉体を支配するケミカルボルトの威力は振りほどけそうにない。
パルパレーパに命ぜられるまま、ヴィヴィオの身体は一度は母と慕った女性を攻撃する。
「大丈夫、ヴィヴィオは強い子だから」
「マ……マ……」
「世迷い言を」
パルパレーパは吐き捨てるように呟いた。
「あの、エヴォリュダーがケミカルボルトの影響を免れたのはラティオがいたからだが……しかし、今、奴はいない。私のケミカルボルトからの解放など不可能と知れ」
「──ああああっ!!」
虹色の魔力光カイゼル・ファルベが、遊星主の命令に苦しむヴィヴィオを照らし出す。
「ごめんなさい……」
ヴィヴィオはなのはに砲撃を撃ち込む。
幼子の時になのはから収集した魔法。至近距離から放つ《インパクトキヤノン》だ。それを、プロテクションで防ぎつつ、なのはも砲撃を使う。
「!!」
《ショートバスター》の直撃は、しかし、強固な《聖王の鎧》によって軽度のダメージしか与えられない。
なのはの最大の持ち味は収束砲だが、機動力に優れたヴィヴィオが相手ではチャージが難しい。
ならば。
「チェーンバインド!!」
拘束魔法でヴィヴィオを止めるしかないだろう。
「……しまっ」
手足を拘束され、ヴィヴィオは顔色を変える。
「ヴィヴィオ、痛いけど我慢してね」
すでに魔力の収束を開始していたなのはは、ヴィヴィオに微笑みかけた。
「ダメだよ、ママ──」
ヴィヴィオは四肢に魔力を籠める。
雷光がまばゆく輝いた。
フェイトから収集した格闘戦用魔法《プラズマアーム》である。
「はぁぁっ!」
チェーンバインドの拘束を雷の魔力刃で切断、自由を得たヴィヴィオは跳びすさりながら増援を呼ぶ。
「ファントムガオー!!」
「な……!?」
一機の戦闘機が闇を裂いて出現した。
「ガジェット……? いや違う。あれは──」
それは、紛れもなき地球産の機体。──GGGが造りあげた勇者王のコアマシン、ギャレオンに替わるべくして開発されたファントムガオーであった。
しかし、よく見ればその色合いが微妙に異なる事が看てとれるだろう。
第一、ファントムガオーはガオファイガー共々三重連太陽系において、ピア・デケム・ピットに押し潰されたはず……
そう。遊星主は再び、ピサ・ソールに保存されたデータを基にレプリジンを作り上げたのであった。
今回は凱の代わりに、ヴィヴィオが操縦者に使われたのだ──
ハッチが開き、ヴィヴィオを迎え入れるファントムガオー。
「フュージョン……!」
その姿が揺らいで消える。ファントムカモフラージュによる光学迷彩である。それは変型への合図。
同時、なのはも行動を起こしている。
「ギャレオ──ン!!」
今一度、あなたの力を貸して!
アースラから飛び出した鋼鉄の獅子が、なのはに向かう。
「フュージョン!!」
口蓋内部に収容されなのはが、ギャレオンと一体化する。
そして。光学迷彩が解かれ、白き巨人が登場した。
ファントムガオーから人型へ──
「ガオファー!!」
「ガイガー!」
よく似た巨人が相対する。その足元には魔法陣が輝いていた。
魔力展開。GSライド・レリックコアとの結合完了。
虹色の光がガオファーから放たれる。
魔法によって、変換された姿。
セイクリッド・ガオファー。
ポテンシャルにおいてガイガーを越えると言われたガオファーだが、聖王の鎧や魔法によりさらに強力と化していた。
ジェネシック・ガイガーも変化を開始していた。
魔法による変換で、桜色の翼もつ天使の様な姿へ。
なのはの魔法と勇気が合わさり誕生する、スター・ガイガーだ。
メカノイド同士は変型を完了させ──
セイクリッド・ガオファーとスター・ガイガーが戦いを始める。
「ファントムクロー!」
先に仕掛けたのはヴィヴィオのほうだった。
先程のお返しとばかりに、武装のクローで攻撃する。
「ジェネシッククロー!!」
対するなのはもクローを装備し、ヴィヴィオの攻撃を受け止めた。
スピードや威力は双方変わらず、フュージョンしたことで互角の格闘戦能力が身についている。
しばしの間、クローによる打ち合いが続いた。
ヴィヴィオは不意に魔法陣を展開、拳をガイガーに叩きつけるように突き出し──
「セイクリッドクラスター!!」
放たれた魔力弾が爆散し、小型弾殻をなのはに向かってばらまく。
小型弾殻一つ一つは強力な破壊力を持っている。
「ストレイトバスター!」
なのはが撃った反応炸裂魔力弾が、セイクリッドクラスターを相殺して爆発する光の連鎖が周囲を彩った。
埒があかぬ、な……
パルパレーパは眼を細め、舌打ちする。
「聖王ヴィヴィオよ、真の力を解放するのだ! でなければその『敵』は倒せん」
(……真の、力?)
なのはが怪訝そうにガオファーを見た。
ヴィヴィオは頷くように頭を動かした。
「わかった」
……ママ、いくよ。私の全力全開を──
「ヴィヴィオ!」
なのはは、あることに思い至った。
ガオファーが複製されているという事は……当然あれも──
その推測を裏付ける様に、ヴィヴィオが叫びを発した。
「ガオーマシン!!」
遥かな声が空間を貫き、ガオファーのサポートマシンを呼び寄せるのだった。
……GGGはギャレオンの不在に際し、それに代わるメカノイドの開発に着手した。それが、ファントムガオー/ガオファーである。
そして、勇者王に合体するガオーマシンも新たに開発されることになった。
新型ガオーマシンは宇宙での活動も視野に入れた高性能のマシンとして、エヴォリュダー凱をサポートするのだ。
ガオファイガープロジェクトはハードウェアに関しては順調に進んだが、問題はファイナルフュージョンに必要な新しいプログラムが正確に作動しないことである。しかし。バイオネットにより遺伝子操作を受けて誕生した天才少女・アルエットの能力により、FFプログラムは無事に完成した。
その年の末。バイオネットが新型ガオーマシンとガオファー、さらに卯都木 命の身柄を奪うという事件が起こった。
必死の探索の結果、翌年1月、香港の決戦において凱は強奪されたガオファーとガオーマシンを取り戻す。命を救出するためバイオネットの要塞に突入した凱はアルエットの協力を得て、ガオファイガーに初フュージョンする。ライバルだった鰐淵シュウの最後を見届けた凱は、バイオネットへの怒りとともに、ファイナルフュージョンを敢行、初めての合体を成功させた。
ガオガイガー同様、フュージョンの成功は極めて難しいとアルエットは指摘したが、凱は勇気で困難を乗り越えたのだ。
新たな勇者王は一撃のもとにバイオネットの浮遊要塞を撃破。命とアルエットは悪魔の手から解放される。しかし、アルエットはギムレットの攻撃を受けた影響で、凱たちの記憶と、天才的な能力を失い、普通の少女に戻っていたのだった──
ガオファーの周囲を飛び回る新型ガオーマシンたち。
スペースシャトルに酷似した蒼き噴進機・ライナーガオーII、漆黒の翼もつ全翼型飛行機ステルスガオーIII、二連のドリルを備えた突撃重戦車ドリルガオーII……レプリジンとして甦ったガオーマシンは、セイクリッド・ガオファーを守るかのように飛び交っていた。
「──いくよ……」
ヴィヴィオはファントムチューブを機体より放つ。それは、ファイナルフュージョンに必要なガオーマシンのガイドシステムである。
新型ガオーマシンが呼び出されたのを見たはやては、素早く後続艦に命じる。
「こっちもジェネシックマシンを!」
なのはからも同様の要請が届き、即座に艦のハッチが開かれる。
「──ジェネシックマシン解放!」
獣を模した五つのマシンが各艦艇から飛び出す。
孟き黒鳥・ガジェットガオー、巨爪を備えし土竜・ストレイトガオー&スパイラルガオー、滑るように宙を行く鮫と海豚・ブロウクンガオー&プロテクトガオー……緑の星で生まれたガオーマシンの原型たち。
スター・ガイガーを中心に、フォーメーションを組んで飛ぶ。
待ち望むのは合体の刻。
「さぁ、レイジングハート!!」
《Yes, My Master》
「ファイナル……フュージョン!!」
なのはが高らかに叫んだ。
同時に、ジェネシックマシンたちが所定の軌道に乗る。
そして、スター・ガイガーから竜巻が巻き起こった。
それこそ、最終合体の合図だ。
ヴィヴィオもまた、ファイナルフュージョンに移行中であった。
ガオファーの周囲を、光の帯が半球形に巡った。
これは、ガオガイガーのEMトルネードに代わる、ファントムチューブである。物理的な防御力ではEMトルネードに劣るが、電子的・情報的な遮蔽性は向上している。その、ファントムチューブにガオーマシン達が突入した。ヴィヴィオはすかさず、ファイナルフュージョンの新機構、プログラムリングを投射する。
ファントムリングはガオーマシンの制御プログラムの総称だが、ファイナルフュージョン制御プログラムと軌道安定ガイドとを光学的に形成したものだった。これにより、ガオーマシンへの負荷を減らし、より確実なファイナルフュージョンが可能となったのである。
それにしても……
本来、ファイナルフュージョンには第三者の操作が不可欠である。
ガオファイガーの場合はFF承認とプログラムドライブの起動が、ジェネシック・ガオガイガーはGクリスタルのコンソールからジェネシックドライブを起動させねば、合体に移れない。強大な力を行使するために必要な一種のセーフティーにあたるのだが、なのはもヴィヴィオも己だけでファイナルフュージョンを行っている。
何故か。
簡単である。
ガオファイガーを複製する際、アベルはプログラムを改変した。ソルダートとジェイアークを創造した彼女にとって、地球人の開発したプログラムを変えることなどたやすい事だったに違いない。承認を必要としない、搭乗者自身の意思で(最も、凱の時は強制的に行わせたのだが)フュージョン出来るように作り替えた。
対して、ガオガイガーはレイジングハートがギャレオンの了承を得て、ファイナルフュージョン・プログラムを書き換えたのである。もともと、なのは達の使う魔法はコンピューターのプログラムに近いため、言語同士の親和性も高い。また、フュージョン後もなのはが魔法を発動できるよう、レイジングハートが独自に式を組み立てた。そうすることで魔導師の高いポテンシャルを活かせることができるのだ。
「両機、フュージョンをはじめました!」
いよいよ、二つの機体が変形を開始し出す。
「これが……ファイナルフュージョン」
はやては息を呑んで見つめた。
「ふっ。貴様、愛児に対し本気でその力を振るうつもりか? 破壊神の力も辞さぬのではもやは母親でもない。高町なのは、貴様はもはや《悪魔》と呼ぶ存在よ!」
「……悪魔でもいい」
かつてヴィータにも告げた言葉をなのはは呟いた。
「ヴィヴィオを救い守れるのなら、
どんな力も受け入れる!!」
「くくっ、破壊するのみの力で以ってなにを救う? 自らの手で娘の命を断つか……それもよかろう」
パルパレーパは嘲笑した。
「それとも、我が娘に殺されるか──」
彼はガオファーに視線を向ける。ケミカルボルトにより、ヴィヴィオはいやがおうにもなのはと戦わざるを得なかった。
如何に葛藤しようと、ファイティングメカノイドの力を使わなければならないのだ。かつて愛した、いや今も愛する母親へと──
「私は管理局と共に傍観に徹させて貰おうか……」
パルパレーパが介入すれば、はやて達にはひとたまりもないだろう。だが、彼は嗜虐心から母娘同士の戦いを愉しむことに決めたのだった。
(負けない……必ずヴィヴィオを救ってみせる!!)
燃え上がるなのはの心。
(ママ……)
ヴィヴィオは痛みに泣きながら、ファイナルフュージョンを行った。
「ごめんなさい……」
ガイガー/ガオファーの両腕が背面に移動し、固定される。
──ドリルガオーIIがガオファーの脚に連結、ガッチリと接合した。
土竜の姿をした、スパイラルガオーが右脚に、ストレイトガオーが左脚にそれぞれ合体していく。
パシュッ……廃棄音をたて姿勢制御バーニアが離脱し、ライナーガオーIIが連結フェーズに移行。ガオファーの胴体を貫通し両肩を形作る。
プロテクトガオーとブロークンガオーはバクンと割れて変形し、ガイガーの腕部口に突入。内部で連結合体して左右の肩を構成した。
ステルスガオーIIIがガオファーの背後から覆い尽くす。
黒鳥ガジェットガオーは逆さまになってガイガーの後背部に取り付き、前脚を肩部にたて、我が身を固定するのだった。
そして、ガジェットガオーから上腕部が展開し接合される。回転しながら鋭い爪を備えた手が表れる。
ガイガーもライナーガオーIIからせり出した上腕部と下腕部を火花を散らして合体させ、逞しい両拳を完成させた。
頭部を保護する冑とフェイスガードが顔を覆う。ジェネシックは髪にも見えるエネルギーアキュメーターを生み出した。なのはの魔力光の色をしたそれは燃料電池、いわばベルカ式のカートリッジのような役割を果たす。
正常に合体を終わらせたガオファイガーの内部のメカニックが、目覚ましく動き出した。排熱が微かな蒸気として漂う。
ガオガイガーの背面部、ガジェットガオーの、長大な尾の様な頚部がゆるやかに身をくねらした。
互いの魔力光を含ませ緑の光を輝かせるメカノイドたち。
「ガオファイガー!!」
「ガオガイガー!!」
《Fusionsystem'Complete》
だが、まだ変化は終わらない。さらなるパワーアップを両者は図った。
「レイジングハート、魔力変換!」
《Standby'Lady》
ガオガイガーの足元で魔法陣が展開する。ギャレオンの頭部を除いた各機関が魔力を受けて変形していく。
「ガジェットツール!」
ガジェットガオーの頚部が分解し、瞬時にガオガイガーの左手と融合・合身する。
本来は形態を組み替えることで様々なツールに換わる機構だ。その、パーツがツールのひとつボルティングドライバーに似た形状へと組み上がっていく。
これこそ、なのはがフュージョンしたガオガイガーの超巨大デバイス──ギガンティスハートである!!
《All Complete》
魔導師の杖、というよりかは長槍のような形態である。
「レイジングハート、ガジェットフェザーを」
ガジェットガオー部から八枚の羽根が展開した。さらにそれは魔力変換により、高機動に優れた翼へと変わる。
「アクセルフェザー!!」
桜色の翼を拡げ、変化したジェネシック・ガオガイガーが咆哮した。
「ナノッ……ガイッ……ガー!!!」
究極なる破壊の力……受け継げられし遺産……そのすべてを越えて誕生した、勇者王進化形態。
あらゆる存在を無に還す悪魔の王──即ち、NANOHA FUSION GAOGAIGAR……ナノガイガーである。
その威容に誰もが目を見瞠らずにはいられなかった。
「……忌まわしき悪魔め」
パルパレーパの片眉がしかめられた。
「だが、聖王の娘もまた貴様と同じく魔力変換により強大な姿を手に入れている。思い上がるのもそれまでだ……」
ヴィヴィオのフュージョンしたガオファイガーも、進化形態になっている。
全長31.5メートルの巨体を虹色の光が包み込み、聖王の鎧を構成する。形状もより重厚に変型し、背にはステルスガオーIIIが変化した二枚の大翼が羽ばたいた。
「エヴォリュアルウルテクエンジン、出力80%……さらに上昇!!」
EI-01を倒した弾丸Xを参考にした、Gストーンのパワーを限界まで放出するシステム。それを凱の意思でコントロールできるようにした機能がガオファイガーのエヴォリュアルウルテクエンジンである。
瞬間的な出力はガオガイガーを遥かに凌ぐが、長時間のエネルギー解放はGストーンの機能維持すら危うくする両刃の剣でもあった。しかし、ヴィヴィオはそれに構わず出力を上げ続ける。なのはに勝つには生半可なパワーでは足りないからだ。共に暮らしてみて、そのことは充分に熟知しているヴィヴィオだった。
「……ヴィオッファイッガー!!」
VIVIO FUSION GAOFAIGAR……即ちヴィオファイガーがここに顕現した。
ナノガイガーは頭ひとつ分、ヴィオファイガーよりも抜きん出ている。だが、大きさが違っていても、油断はならない。
ヴィオファイガーが秘めた力を、まだなのはは知らなかった。