ナノガイガー戦記~勇者とエース~    作:かがみん

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終章──その1

かつて。

 

プレシア・テスタロッサが墜ちていった虚数空間。 

白き箱舟、超弩級戦艦ジェイアークもまた、その特異な空間の中を漂っていた。

 

ソール11遊星主との戦闘でエネルギーを消耗したのか、推力が上がらず、暗黒の世界をーー彼らの感覚で言えば──下へ下へと墜落していくのだった。

 

このまま、ジェイアークは何処までいくのだろうか。

底が見えるまで、果たして力が持つのか。

ペンチノンがしきりに不安を表明した。

各センサーから得られる情報からは、あまり明るい材料が少ない。

 

GとJの相乗効果があったとしても、いづれは力尽きるだろうからだ。

 

そうなる前に脱出しなければ。

 

だが、ソルダートJもルネ・カーディフ・獅子王も絶望してはいなかった。

これまでの苦難の戦いから、2人は諦めなければ必ず闇を突破出来ると判っていたから。

それを教えてくれた人達は此処にはいない。しかし。心は繋がっていると信じている。

 

故に、GストーンもJジュエルも輝きを失わない。

希望は勇気を産み出す。

「Zマスターとの戦いも生き残った私だ……」

 

回想する。

 

あの時、自分たちは生命を喪っても不思議ではなかった。だが、彼は生き延び、そして仲間たちを護った。

「ルネ、お前にはやり残したことがあるのだな」

「あぁ」

真っすぐな瞳で答えた。

「母さんの仇……バイオネットを潰す」

「その目的に力を貸す、私はそう誓った……」

「だから」

「ここで死ぬ訳にはいかぬ」

生きる意志に呼応し、2人の宝石が眩い光を発する。

「J、空間の様子が変わってきた」

ペンチノンからの報告。

 

一体、どれくらい虚数空間にいるのか……ジェイアークの機器ですら計測できなかった。

Jの勘では一週間程ではないか、と予測したがもとより自信はない。

 

「そろそろ底が見えてきたか?」

落下していく先の色が、虹の色を帯びていた。

まるで夢の様な、奇妙な光景だ。

「さて、ここから何が待ち構えているのやら……」

ルネは不敵に笑った。まさに猛獣の笑み。

「何があろうと、我等はーー」

虹の中にジェイアークは包み込まれていった。

「戦い抜くまでだ」

 

そして。

 

ジェイアークの巨体は万華鏡の如き空間のうねりに飲み込まれ、消えていった。

 

 

……大河幸太郎が眼を覚ました時、彼が率いる艦隊は、漆黒の只中を漂流していた。

ここはどこだ? いや、皆は……?

朦朧とした頭から霧を振り払うかのように、首を振った。

 

「おい、大丈夫か?」

心配そうに大河に掛けたのはモヒカンヘアの巨漢ーー火麻激だった。

「大丈夫だ……それより」

「いま、耕助とパピヨンが状況を分析してる」

「む……」

曖昧な記憶の中から、パピヨン・ノワール、正確にはその複製体はピザ・ソールの能力によってその存在が維持されている情報を拾い上げた。

「では、ここは……」

 

三重連太陽系なのか?

 

「我々は、あの爆発によって出来た穴目掛けて突入したはずだ……」

遊星主が次元ゲートの様な空間を開いたのだと判断し、ガオガイガーに続いて後を追った。

そして、突入時の衝撃により意識を失い────

 

「ここは一体、何処なんだ……?」

 

「わしらが知っている宇宙ではないようですね」

猿頭寺耕助が乱れた髪を掻きながら報告してきた。

「わしらが来た宇宙でも、三重連太陽系でもない、全く未知の宇宙、と思われます」

「なんだって……」

凱や護たちの姿も感知できない。

GGG艦隊は、未知の宇宙を彷徨う存在となっていた。

まるで彷徨えるオランダ人だと、大河は独りごちた。

「長官、私のセンシングマインドが告げています」

パピヨンは遠くを見るような顔つきで言った。

「私達は何らかの役目を果たす為に、この宇宙に導かれたのだと……」

「導かれたっテ、何ニでしょうカ?」

スタリオンが不安そうに訊いた。

微かにかぶりを振り、パピヨンは答えた。

「わかりません。ですが、私達には何かを求められている。でなければ……」

雷牙とスワンが目を丸くしてパピヨンを凝視する。

「私はこの宇宙から消えているはずです」

 

「!」

 

ピサ・ソールが無ければ彼女は、レプリジンは存在を維持できない。そのはずだった。

「ザ・パワーの様な、人智を超えた存在が、私達をここへ、呼び寄せた……?」

謎は深まるばかりだった。

その答えの端緒を教えるかのように、それは姿を現した。

 

「……あれは!」

「陸地!?」

 

惑星ではない。

平らな世界が……まるで古代人が描いた平面的な世界が。空間の中に浮かんでいた。

 

「信じられん」

「こんな……物理法則に反しておるぞ」

「この宇宙の物理法則は、私達のそれとは異なるのでしょう」

 

その世界は、地球を輪切りにしたくらいには大きいだろうか。

海面に陸地が浮かび、雲なども見える。

 

「うーん、どうします長官。何処かに着陸しますか?」

 

猿頭寺がコンソールを操作しながら大河に尋ねた。

「とにかく、だ。我々が如何なる状況の中にあるのか。それを確かめなければ。その手がかりは、あの地にあるはずだ」

いまのところ艦隊に重大な破損は見つかっていない。勇者たちにも異常はなかった。

大河は決断する。

「あの大きな大陸に降りよう」

「了解」

 

GGG艦隊は加速。

ぐんぐん、平面世界が近づいてくる。

 

『彼処に何がある……?』

南北アメリカ大陸にも似た地形の大地に、艦隊は降下していった。

パピヨンの脳裏に、その名が浮かんできたのは、艦隊が厚い大気へと突入する瞬間であった。

「フォーセリア……?」

それがこの宇宙の名前なのか。

「そして、この大陸は……」

大陸北部に拡がる広大な草原を着陸目標とした。

 

「クリスタニア……」

 

かくして。

 

神々が目論む通り、異界の戦士たちが神獣の大地に降り立ったのだった。

 

 

 

 




久々どころか何年ぶりの投稿でしょうか。
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