ロリコン:ガンダールヴ   作:ポギャン

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 タバサを見つけた才人は大喜びしますが、成り行き上ギーシュと決闘する事になります。




五話:ロリコン:キザ男と決闘するその一

 

 此処はアルヴィーズ大食堂のすぐ近くにある厨房の隅にある使用人用のテーブル。

 

「あぁ~喰った喰ったぜ……マルトーさん。本当に美味しい食事を食べさせてくれて、ありがとう。物凄い空腹だったから助かったよ……食事のお礼と言ったら何だけど……俺に手伝える事が有ったら気兼ねなく頼んでほしいんだよ。特にシエスタの仕事手伝いたいな、俺なんでもするからさぁ……」

 

「え、良いですよ。才人さんにわたしの仕事のお手伝いなんかさせられませんから」

 

才人の手伝いの申し出に対して、シエスタは自分の仕事を手伝わせる事はできないと躊躇していると。

 

「おい、良いじゃねえかシエスタ。そこの若いニイチャンがせっかく手伝ってくれるって言ってんだからよ、気持ちよく手伝ってもらったら良いじゃねえのか」

 

才人とシエスタの会話に割って入った男は40過ぎの年齢の恰幅のいいガッシリした体型した服装からみてこの厨房の責任者である料理長であった。

 

「でも、マルトーさん。貴族様に仕えてるサイトさんに私の仕事を手伝わせて、ミス・ヴァリエールにバレたら叱責うけるの私なんですよ」

 

「……そう言われたら、そう何だけどよ……シエスタはこう言ってるが、にいちゃんの気持ちはどうなんだ? 」

 

貴族に仕える者にその主人の赦しもなく自分の仕事を手伝ってもらう事に躊躇しているメイドのシエスタに対して、トリステイン魔法学院アルヴィーズ大食堂の厨房をオスマン学院長から預かる此処の責任者の料理長マルトーが、そこまでシエスタが貴族に遠慮する姿勢をみて、それなら当の本人である才人に決めさせようと、声をかけていた。

 

「別に、俺はそんな些細な事なんか気にしてないけど……シエスタが拘るんなら、後でルイズに俺の方から一言詫びておくからな。それならシエスタも安心して俺が手伝うの納得してくれるだろ」

 

才人のその言葉を聴いたシエスタはすこしの間、思考してからしょうが無いという表情で有ったが、そこまで才人が自分の事を考えて仕事の補助を申し出てくれるのが嬉しかったのか、頬を朱に染めながら手伝ってもらうのを承諾した。

 

まさか、これがあの大騒ぎの出来事の始まりになるとは、この時点のシエスタには夢にも思い付かないことであった。

 

学生たちの昼食後の色とりどりの種類のデザートを多く載せているワゴンを押していたシエスタの後を何もする事もない、手ぶらな才人が悠然とした態度で歩いてアルヴィーズの大食堂内へ足を踏み入れる。

 

「……あの、手伝ってくれるサイトさんには申し訳ないんですけど、彼方の端から順番に貴族様方へデザートをご希望どおりに配ってくださいね。わたしの方は此方から配って行きますから……お願いしますね。サイトさん」

 

シエスタがサイトに食後デザートを配ってほしいと頼むとその当の本人は

 

「安心して任してくれよシエスタ。俺、ファミレスのバイトでこういうの得意なんだ」

 

実に爽やかな顔で応じる才人である。

 

「……ファミレスの意味は解りませんけど、慣れているならわたしも安心ですから、頑張ってくださいね」

 

「シエスタの方こそしっかりな! 」

 

才人はシエスタに配膳する事には慣れているから任せろと、言葉かけて直ぐにデザートのケーキを配ろうとしてワゴン車からシエスタが事前に大きなトレイ一杯に載せてあった各種のケーキがあるトレイを左手に持ち、右手にはトングを持つと周囲を見渡すと幾人ものメイドたちがトリステイン魔法学院の生徒および食堂奥にある中二階の教職員たちのテーブル上に、先ほどから忙しくデザートのケーキを配るためにテーブル周辺を行き交いしている事に気がついて、ほんの少し眺めているとシエスタからの批判するような視線を感じて、慌ててデザートを才人は配り始めた。

 

才人がケーキを配ってからだいぶ時間が経った頃、後もうすぐでデザート配るのを終えようとした時、才人はとあるひとりの女学生を視てあまりの衝撃に身体が震えていた。

 

(………あぁ、まさか、こんな処に俺のmyエンジェルがもう1人いたなんて………神様ありがとう……なんて嬉しいんだ。早速天使ちゃんのお名前訊かなきゃな……)

 

自分好みのロリな女の子を見つけた才人は心内で自身の妄想に浸りきり漸く満足した直後に名前を訊ねる行動に出ていた。

 

「え~と、君の名前はなんて言うのか、良かったら俺に教えてくれると嬉しいんだけどなぁ? 」

 

才人が自分好みのロリ少女とみて声をかけた相手は眼のさめるような蒼の短い髪をした凜とした雰囲気を周辺に放っているメガネをかけた背の高さが、おそらく140サントぐらいで胸とお尻は語るのも躊躇われるほど無惨なチッパイに無い尻であったが、その代わりにウエストはほっそりしていたものすごい美少女であった。

 

「………………………」

 

才人が名前を訊ねても無言を貫くロリ美少女に、再度口を開こうとしたその矢先に隣に座っていた妖艶な色気を放つ美女が才人に対して声をかける。

 

「確か、ヒリーガル・サイトーンと言っていたわね。貴方……その子に名前を聞いても無駄よ、人見知りが激しいから何時まで経っても喋ってくれないわ。だからあたしが特別に教えてあげる……ウフフ、その子の名前は“雪風のタバサ”て言うのよ、よろしくしてあげてね……」

 

「タバサちゃんか、良い名前だね……これからよろしく」

 

「……それから、キュルケ。言っとくけどな………俺の名はヒリーガル・サイトーンなんて怪しい名前じゃないから、平賀 才人……こちら風に言うと、才人 平賀になるから……そこんとこヨロシクな! 」

 

才人はキュルケに対して自分の名前を正しく述べる。

 

「それは悪かったわね……サ、サイトと呼んだら良いのかしら?」

 

「サイトで良いよ、キュルケ。じゃあどのケーキが良いかな、タバサ。何れでも好きな物を何個でも良いから選んでくれ」

 

そう言って、才人はタバサの目の前に何種類ものケーキを載せているトレイを差し出す。

 

「………本当に何れでも良いの? 」

 

そうタバサが表情を1つも変えることもなく述べると才人は

 

「あぁ、どれでも良いぜ……何ならキュルケの分除けて残り全部食べるか? どうせ余った分だからなぁ」

 

と、そう冗談半分みたいな感じで才人はタバサにそういう風に述べていると……………。

 

「………遠慮なく、全部食べる」

 

そう言って、タバサは才人からトレイを素早く奪うように取るとトングでキュルケのお皿にデザートのケーキを1つ乗せると後は自分専用の大皿の上に残りの十数個のケーキをすべてトレイから移し終えていた。

 

「……………いやぁ、許可した俺が言うのも何だけどさぁ……………タバサのそのちっちゃい身体の何処にそれだけのケーキが入るんだぁ? …………やっぱりアレか、女性からしたらデザートは別腹って奴か? ……………」

 

「………そう、デザートは別腹……」

 

才人の問い掛けにタバサが小さな声で質問に答えると隣に座っていたキュルケが才人を見つめしょうがない人ねと言うような表情で言葉をつむぎ始める。

 

「あのね、サイト。女の子に向かってそういう事は言わないでほしいわ……考えて喋って貰いたいわねえ」

 

「………キュルケの言う通り、女の子に訊ねていけない事だったなぁ…………ごめんなタバサ。此からは気をつけるよ」

 

そう言って両手併せるしぐさをして軽く謝る才人に対してタバサは

 

「……別に気にしてないから、あなたが謝る必要性はない………」

 

と言い切る。

 

「本当にタバサったら、相変わらず無表情何だからぁ~サイトがちょっと驚いているわよ」

 

そう言いながらもキュルケはどこか微笑ましそうな表情で宣っていた。

 

「………本人が気にしてないから、これで良いのかもなぁ……」

 

そう呟きながらも、不思議そうな表情をしてあまり納得していない才人であった。

 

才人がデザートのケーキを配るノルマを果たし終えてキュルケとタバサ相手にまったりほのぼのと過ごしていた頃、シエスタが一生懸命デザートのケーキを配っていた近くの席では厳つい顔付きの少年を始めに丸こいのと真面目風メガネに極めつけは残念な美的感覚のフリルのシャツを着ていたみてくれ気障な奴を含む少年達が1つのテーブルに集まり女の子に関する話を話題にして賑やかに話し込んでいた。

 

「おい、ギーシュ。今どういう綺麗な女の子とつき合っているんだよう」

 

そう言って、ギーシュと言う名の気障少年に問い掛けているのは体型が丸っこい女の子には当分縁がなさそうな少年だった。

 

「……誤解を招く物言いはやめてくれたまえ、マリコルヌ。僕は薔薇だからねえ……特定の彼女なんて作らないのだよ……だって、僕の使命は世界中のきれいな女の子達すべてに平等に愛を振り撒くことだからねえ。あえて一人の女性だけに幸せを捧げる訳にはいかないのさ……ここが僕のようにモテる男が辛いところなんだ」

 

ギーシュのセリフを聴いた途端、周囲に居る少年たちから各々辛辣な言葉が飛び出ていた。

 

「……君の悪い癖が出てきたね。そんな調子にノッタ事言っていたら、モンモランシーにバレた時酷いことになるよ」

 

「レイナールの言う通りだぁ! 愛しのモンモランシーはギーシュのオイタに関してはまったく容赦ないからな」

 

顔付きの厳つい少年がレイナールと呼んでいる少年に同調して一緒にギーシュを詰る言葉を述べていた。

 

「………このリア充めぇ! そんなに自分が女の子達にモテるのを自慢したいのかぁ! ○○○モゲてしまえギーシュ! 」

 

ハルケギニア中のモテない男達代表者のマリコルヌは憎々しい表情でリア充のもて男は股間もげろと大きな声で雄叫びを上げていた。

 

「な、何を、い、言っているんだね、レイナール、ギムリ、この場でモンモランシーの事は、か、関係ないじゃないか! ……………それから、マリコルヌ。君が女性たちに縁がないのは僕のせいじゃ無いから、憎しみを此方にぶつけるのは止してくれ」

 

「リア充は滅びろ! 」

 

そう言うギーシュの言葉に図星されたマリコルヌは、悔しさのあまり反撃の言葉を言いながら少し軽くギーシュを押した。

 

その時、ギーシュのズボンのポケットから紫色の液体が入った小さなガラスの小瓶がアルヴィーズの大食堂の床に転がり落ちたのを当の本人は無論、周りにいる少年たち誰ひとり気づく者はいなかった。

「ふう~後少しで、ようやく配り終るかなぁ………あれは? 」

 

シエスタがデザートのケーキをほぼ配り終えて一息いれていると、近くのテーブルでワイワイとはしゃいでいた貴族の少年集団のとある一人の少年のズボンポケットから、転がり落ちた紫色の液体が入った綺麗で小さな小瓶が自分の目の前に来たことに気がついたシエスタがその小瓶を拾うと、近寄りその落とし主の少年に対して丁寧な言葉をかける。

 

「……あのう、貴族様。こちらの小瓶を落とした様なので、差し出がましいのですが、お渡し致します」

 

と、そう言ってシエスタが落とし主と思われる気障でセンスに欠けたフリル付のシャツを身につけていた少年に手渡そうと言葉を述べると意外にも否定する返事があった。

 

「……何を言っているのだい、メイドくん。それは僕の物ではないよ、誰か他の者と勘違いしているんじゃないか? 」

 

ギーシュはそう言って、強引的に紫色の液体が入った小瓶を自分のじゃないと述べて受け取りを拒むが、内心では香水をくれた本命の恋人、モンモランシーに落とした事がバレないうちにこの場を上手く切り抜けて、後から香水を回収しようと考えていた。

 

(ここは多少強引でも否定して、後からこのメイドに事情を説明して香水を取り戻すしか手段はないな……愛しのモンモランシーにバレると後が恐ろしいから、早くこの場を切り抜けよう)

 

ギーシュが自分に都合の良いことばかり考えていた時、どう思っても目の前にいるこの貴族の少年が落とした小瓶の持ち主なのに、何故か解らないが受け取りを拒否されて、シエスタが途方にくれかけていたその時、テーブルに座っていたマリコルヌからギーシュへまるで悪意にみちた囃し立てる言葉がもたらされた。

 

「……その小瓶に入ってる液体は、どう見てもモンモランシー特製の香水じゃないかぁ! ………何が自分の物じゃないだと、嘘つくのも大概にしろよ、ギーシュ! あれほどの可愛い恋人がいるのに、付き合ってないと否定しやがって……これは彼女イナイ歴=自分の年齢の僕に対する当て付けなのか? モゲろリア充! 」

 

モテモテの証拠の品物である恋人からのプレゼントを否定するギーシュに、丸い体型のせいで普段から女の子にまったく縁のないマリコルヌはキレて怒りだし、怒鳴り声を浴びせる。

 

「いったい何を言っているんだい、マリコルヌ。君がモテないのは僕のせいじゃないからな、下卑た八つ当たりはやめたまえ! 」

 

ギーシュがマリコルヌに対して、筋違いの物言いは止してくれと抗議した直後、1年生のテーブル席から茶色のマントを纏った、栗色の髪が肩先まである。とても可愛い美少女が、ギーシュの前まで来て何かの言葉を喋り始めた。

 

「……ギーシュさま。やっぱり、モンモランシー先輩と付き合っていたのですね」

 

哀しげな表情を顔にうかべて、ギーシュにモンモランシーという恋人がいる事を問い詰める。栗色髪の美少女だった。

 

「……い、いや、そんな事はないよ、ケティ……僕には好きな人は君しかいないよ」

 

そう言って、ケティと呼ぶ美少女に自分の恋人は君ひとりしかいないと、宣うギーシュであるが、その顔は何かに怯えるかの様に顔面蒼白になり、身体全体がうち震えていた。

 

たぶん原因はモンモランシーと呼ばれていた恋人が余程、恐ろしいからと思われる。

 

「この期に及んで、わたしを哀れむうそをつかないで下さい……これ以上惨めな気持ちにさせないで、お願いだから……」

 

哀しみのあまり、いまにも泣き出しそうになるのを我慢して、ケティはギーシュに対してもうウソはつかないで欲しいと、言い切る。

 

「嘘なんか言わないよ、ケティ。僕が好きなのは君なんだよ」

 

もう、誰がみてもバレバレの嘘を突き通すギーシュであったが、ケティにキツい言葉を突きつけられようとしていた。

 

「メイドが拾ったガラスの小瓶がギーシュさまのズボンから、転がり落ちたのが何よりの証拠です……さよなら、ギーシュさま」

 

ケティはそう言うと、ギーシュの右頬を思い切り平手で叩くと、大粒の涙を流しながら“うわあぁぁぁぁぁ”と泣き声を出してこのアルヴィーズの大食堂から、飛び出て何処かへと走り去って行った。

 

ケティを心配して、数人の友人の女の子たちがあとを追いかけていく。

 

その時ついでとばかりに、ギーシュにたいして

 

「死ね! キザ男」や

「女の敵! 」に

「薔薇のキモ男! この世から居なくなれ! 」

 

と、罵詈雑言を当然の如くキッチリと浴びせていく事を、忘れなかった。

 

「……はは、何故僕が面識もない女の子たちから、ああまで言われなきゃならないんだ? 」

 

ケティの友人たちに罵声を言われて、凹むギーシュであった。

 

ギーシュが落ち込もうとしていたその時、彼が1番怖れていた金色縦髪ロールを誇る美少女が、遠くの席からワインボトル1本持って立ち上がり、静に歩いてギーシュの居場所へ近づいてきた。

 

一見穏やかに見える彼女の姿であるが、その身体からは溢れんばかりの怒りにみちた真紅のオーラを周囲に振りまいていた。

 

その影響をうけた、ギムリとレイナールはガタガタと恐怖に震えていたけど、何故かは解らないがマリコルヌだけは嬉しさのあまり、感極まっていた(本性がドMのマリコルヌにとって、この状況はご褒美であった)。

 

「やぁ、今日もとても綺麗だね、僕の愛しのモンモランシー」

 

どこか、ぎこちない笑顔でモンモランシーにこの状況であいさつする強者(つわもの)ギーシュである。

 

そんな、ギーシュの挨拶をまったく無視(スルー)して怒り顔で目的の人物にモンモランシーは接近すると、いきなりキツい口調で先ほどのケティの件について、問い詰め出していた。

 

「……やっぱり、あの新入生に手をだしていたのね! ギーシュ! 」

 

そう言って、物凄く恐い眼差しでモンモランシーはギーシュに問い質す。

 

「い、いや、ケティとは、ラ・ロシェール近くの森まで、馬で遠乗りに出かけただけで、君が心配する事など何も無かったんだよ。信じてほしい、愛しいのモンモランシー………君は怒っているより、笑顔のほうがとても素敵だから、この僕に何時ものように微笑んでおくれ、女神さま」

 

周囲で聴いていた者たちが、顔を背けたくなるくらいの恥ずかしいセリフを真顔で、すらすらと述べるギーシュである。

 

「何が信じてほしいよ、戯れ言も大概にしてほしいわ! あんたみたいな嘘つき、死んじゃえば良いのよ! ギーシュの大馬鹿男! 」

 

そう言うと、モンモランシーは右手に持っていたワインボトルを大きく振り上げると、それを勢いよく思いきり、ギーシュの頭上にぶち当てていた。

 

モンモランシーがワインボトルを憎い浮気男の頭のてっぺんに振り落とすと『ゴドンっ』という鈍い音がすると同時に、ギーシュの頭から勢いよく血が派手に噴出して周辺に撒き散らしていく。

 

愛しい恋人、モンモランシーから、ワインボトルの一撃を喰らって頭から血を噴出しながら、茫然と佇むギーシュに対して

 

「ギーシュの浮気者! 死ね! 」

 

という辛辣な言葉を残して、瞳から涙を流してこの場からモンモランシーは立ち去って行った。

 

あまりの惨状にみかねたレイナールに治癒の魔法を施されて、頭部の出血がようやく治まり、急速に冷静になったギーシュはズボンのポケットからハンカチを取り出してワインと血で汚れた顔を拭くと、とある言葉を語りだしていた。

 

「彼女たちレディには、このバラである僕の存在意義が解らなかった様だねえ」

 

「そんな事、解ってたまるかぁ! 」

 

アホらしい言葉を宣うギーシュに対して、手厳しい突っ込みをマリコルヌは述べる。

 

「……うるさいマリコルヌはこの際、無視するとしても……待ちたまえ、メイドくん。何処へ行くつもりだい? 」

 

一連の騒動が一段落したのを見計らっていたシエスタはワゴン車を押して、厨房へ戻ろうとしていた矢先、後ろからギーシュに冷たい声で呼び止められて、一瞬身体が硬直しながらも声の聴こえてきた方向へ振り向くと物凄く不機嫌にみちた表情で立っている貴族の少年がひとりいた。

 

「あ、あの、何か私めにご用でもございましょうか? 」

 

シエスタがビクビクしながら、自分に用事でも有るのかと。丁寧な物腰で用件を訊ねる。

 

「ひょっとして先程の場面を見て、何も思い当たる事が無いと考えているのかい? これだから、無学の平民は嫌なんだ。メイドくん、君のせいで傷ついてしまった。二人のレディに対して、どう責任を取るつもりなのかと僕は訊ねているのだけど……ここまで言われないと解らなかったみたいだねえ、君は」

 

ギーシュに難儀極まりない、無茶苦茶な因縁を吹っ掛けられて。シエスタは恐ろしさのあまり、顔面蒼白になっていた。

 

「あ、あの、でも、お言葉を返すようで、も、申し訳ございませんが……わ、わたしは貴族様が落とした小瓶を拾って、それを渡そうとしただけ何ですう……そ、それが、悪いことになるのでございましょうか? 」

 

ビクツキながらもシエスタは、自分に疚しい事は一切ないと、身の潔白をギーシュに訴えるのだったが……哀しいかな、多数の貴族の学生達に二股をしていた事実が白日のもとに晒されて、テンパって心に余裕のない今のギーシュにその道理が通じるハズもなく。

 

逆に貴族の自分に正論を述べて逆らう小癪なメイドだと、印象づける最悪の展開になってしまった。

 

「君は自分が仕出かした罪を認めるどころか、貴族であるこの僕に対して生意気にも逆らう言葉を吐くとはねえ。これはメイドに対しての躾が必要みたいだねえ」

 

気障なことにギーシュは趣味の悪いばらの形をした杖を右手で弄びながら、シエスタに従順になるような教育を施すと告げる。

 

「お、お許しください、き、貴族様! ど、どうか、お慈悲を、お、お願いいたします」

 

ギーシュの高飛車な物言いに、シエスタは顔を青くして、胸の前で両手を合わし悲痛な声で許しを乞うのであった。

 

「いいや、駄目だね。先程僕は君にあれは自分のじゃないと、言ったのに。こちらの窮状を察しようともしない、ダメでつかえないメイドには僕直々にお仕置きシナイとならないからねえ」

 

そう冷たい眼差しで無情にも言い放ったギーシュに、シエスタはこの世の終りみたいな表情をうかべていた。

 

二股掛けていた事を当の本人たちにバレて罵倒されたギーシュが、そのキッカケになる原因の小瓶を拾ったシエスタに検討違いにも、とても格好悪い八つ当たりの罵声を浴びせているその騒々しい出来事に駆けつけた才人が現場を見て、とある考え事をしていた。

 

(………本当なら、こんな厄介ごと、出来れば介入したく無いけどさ………シエスタは俺の好みじゃないが、さっき食事もらった恩が有るから、見棄てる訳にもいかないし、ここはあの気障なアホから助け出すしかないか……)

 

才人は仕方ないといった表情でこの騒動に介入を決断すると、人混みを掻き分けて渦中の場所へ躍り出る。

 

「俺が来たからにはもう大丈夫だから、シエスタは早く此処から立ち去って、マルトーさんがいる厨房へ行くと良いよ」

 

と才人が泣き出して顔をクシャクシャにしていたシエスタの背中をやさしく擦りながら、暖かい言葉をかけて、今すぐ厨房へ避難するように指示していた。

 

「君はいったい誰だ? 見たところ、変わった服装しているようだけど。確か“ゼロのルイズ”の使い魔だったと思うけど……何故僕の邪魔をして、そのメイドを勝手に逃がすのだい。返答によっては唯で済ます訳にはいかなくなるよ」

 

「一々格好つけんな! キザ男」

 

「き、君は貴族に対する物言いを弁えていない様だねえ。さすがは“ゼロのルイズ”の使い魔だけあって、常識を知らないみたいだねえ」

 

ギーシュは突如現れ、八つ当たりぎみに罵声浴びせ、これから貴族に逆らわないように教育を施そうとしていた矢先、そのメイドを庇いこの場から逃がしてやった、乱入者に最初は腹をたてていたが、その人物が魔法を失敗ばかりしていて普段、クラスメイトを始めとした周囲の者たちからバカにされていたルイズが昨日、春の召喚魔法の儀式で呼び出した平民だと解ると、途端に見下した態度で馬鹿にし始める。

 

「何がゼロのルイズだ! 今バカにしたその女の子の秘処を拝んで興奮していた、変態野郎のくせに。言うことだけは一人前だな」

 

 

「な、何を言うのだね、き、君は、あ、ああいう事を仕出かした当事者の君がそれを言うのは、お、おかしいだろう」

 

ギーシュは今朝のラッキースケベの出来事を才人にズバリ指摘されて、酷く狼狽していた。

 

「確かにあれは、俺が飯のことでルイズを晒し者にしたのは事実だけど、お前はそれに便乗して青い果実を堪能していただけだろうがぁ! ルイズにマント被せて助けたのは、オスマンのじいさんだろ。何が貴族だ! やってる事は二股かけて、二人の女の子を泣かせているだけじゃないか! 更にその罪を親切に小瓶を拾ってくれたシエスタに被せようとしやがって! お前みたいな男は最低のクズ野郎だぁ! 」

 

ビシッとギーシュに言い放った才人であるが、今朝ルイズを裸にひんむき、衆人環視の中で女の子の秘密の花園を無理やり、ご開帳した才人も偉そうに宣う資格が当然なかったが。

 

「き、君は僕に恥をかかせた元凶のメイドを庇い、逃がすだけじゃ飽きたらず。この僕に説教するとは………フフフ、良いだろう。メイドの代わりに使い魔の君に徹底的な教育的指導を叩き込んでやろう。決闘だ! 先にヴェストリの広場で待っている。色々片づけを終えたら来たまえ、命が惜しく無いのならな」

 

(頭の沸点が低いやつが貴族……まぁ、我が儘いっぱいに育ってきたお坊ちゃんだから、しょうがないけどなぁ。決闘か、面どくせえ……俺好みじゃない女の子ために戦うのは、どう考えてもテンション上がらないから、適当にあいてするか? )

 

ギーシュがアルヴィーズの食堂から去っていった後、才人が心内で決闘するのめんどくさいと思っていると、シエスタが顔面蒼白な表情で話しかけてきた。

 

「サ、サイトさん、あ、あなた、き、貴族様に、こ、殺されます! 」

 

身体全体を恐怖のあまり、怯えさせていたシエスタは才人に貴族と決闘したら、殺されると大声で叫ぶと何処かへ走り去っていく。

 

「あっ、おぃ、シエスタ! ちょっと、待ってくれ! 」

 

逃げるように、この場から走り去っていくシエスタに、ちょっと慌てるように声かけた才人だったが、聴こえてるのかも解らないがその呼び止める声も無視されて、少し唖然としていた。

 

「おい、平民! ヴェストリの広場へ案内してやるから、グズグズしないで早くついてこい! 」

 

と、厳つい顔のギムリが才人を見下した言動で述べる。

 

「いい加減、俺に命令口調で喋りかけるな! クソガキがぁ! 」

 

別に自分の好みでもない女のために成行とはいえ、キザ男と決闘するはめになったところへ、その本人が自分は関係ないみたいに逃亡して、少し処か内心かなりイライラしていた時。

 

ヴェストリ広場への案内役であるギムリに見下したような態度うけた才人は、昨日ルイズに召喚されてから、多数の貴族たちから侮蔑を含んだ視線に晒され続けられた結果、とうとう我慢の限界が超えてしまい。ギムリに怒声を放った。

 

「なっ、生意気な平民め! ヴェストリ広場で決闘するまでもなく、この場で叩きのめして殺る! 」

 

平民と見下していた者に、突如怒鳴られてキレたギムリは大声で才人をいまから叩きのめす言葉を吐き出すと、腰に差していた杖を構えとある魔法の呪文唱えようとした瞬間、急所である股間へ才人から力のこもった蹴りの一撃を喰らうと、口から泡をブクブクと吐き出すとそのまま床に倒れるように気絶した。

 

「ふぅ~あぁ、あまりに煩いから、つい脚が出ちゃったなぁ………案内役のこいつがいないと目的地へ行けないぜ」

 

そう言って、才人が困ったなという顔で周囲を見渡すと、この惨状を見ていた学生の男女たちは自分に火の粉が降りかかりそうになるのを嫌って、腰が抜けてへたりこむ約1名を除き、この場にいた全員が素早く立ち去っていた。

 

「ちっ、貴族のお坊ちゃん、お嬢ちゃんたちの割に。危険察知する能力は凄いぜ………あぁ、誰かいないかなぁ……………いたな、おい、そこの丸こいの、コイツ急に具合が悪くなって案内役できなくなったから、悪いけどさ、あんた代わりに俺をヴェストリ広場へ案内してくれる? お礼に後で良いものやるからさ」

 

才人は床にへたりこんでいたマリコルヌに、ギムリの代わりにヴェストリ広場への案内役を頼んでいた。

この後、マリコルヌは才人から、お礼に衝撃的にものすごいモノを貰い、それがキッカケで各々の趣味が解り。

 

同じ変態仲間として、仲良くなる事はまた別の話であった。

 

「………わ、解った。あ、案内するから、つ、ついて来てくれ………」

 

さっき、目の前で電光石火の如く目に見えないくらいの速さの蹴りで、ギムリを一撃で仕留めた才人から、ヴェストリ広場への案内役を頼まれたマリコルヌは内心恐怖でテンパり、言葉をつかえながらも何とか返事するとヴェストリ広場へ誘導していく。

 

少し時を巻き戻した此所は、女子寮の3階にあるとある部屋からルイズが扉を開けて出てきていた。

 

「では、わたくしは今からオールド・オスマンに、ミス・ヴァリエールの気分が落ちつき、アルヴィーズの食堂へ向かう事を学院長室へ報告しに行きますので、あとはお一人で大丈夫ですか? まだ無理そうでしたら、このまま食堂までわたくしが一緒に付き添い致しますけど」

 

「いえ、もう大丈夫ですから。ミス・ロングビルはオスマン学院長のところへ、お戻りになってください。心配する必要は有りませんわ……私には杖がありますし、それにあの使い魔の武器もこの手に持っていますから」

 

ルイズはロングビルを安心させるために、自分の部屋から才人の鉛いりの特殊木刀を収めている丈夫で細長い布袋を見せていた。

 

「ミス・ヴァリエールがそう仰るのでしたら、わたくしも無理について行く訳にもいかないので、此所でお別れしますが。またあの使い魔に何かされそうになりましたら、この魔法の呼鈴をならして下さい。すぐにわたくしが駆け付けますからね」

 

ロングビルが念のために、ルイズに魔法の呼鈴を渡す。

 

(何か、まだ危ない感じなんだよねえ……この子見てると)

 

「ありがとう、ミス・ロングビル」

 

ルイズは笑顔で、防犯用に魔法の呼鈴をロングビルから渡されると。お礼述べてアルヴィーズの大食堂へ歩いていった。

 

ルイズが女子寮のある塔を出て、少しすると。本塔にあるアルヴィーズの食堂から今は顔も見たくないと思っていた使い魔の少年が何故かマリコルヌと一緒にヴェストリ広場の方へ向かおうとしていたのを見つけてしまい、思わず呼び掛けていた。

 

「な、何してるのよ、あんた? マリコルヌと一緒に何処へ行く気なのよ! 」

 

「うん、ご主人さまじゃないか。今から食事にいくのか? 」

 

「ゼロ、じゃ無かった、ルイズ。今からサイトをヴェストリ広場へ連れていく途中なんだから、邪魔するなよ」

 

ルイズの問い掛けに、応えない才人の代わりにマリコルヌが簡単な説明をする。

 

「はぁ? 何であんた達がヴェストリ広場へ行くのよ? 」

 

「女の子に二股かけていた、ギーシュていうキザ男とヴェストリ広場で、成行上今から決闘する事になったから、その場所へマリコルヌに案内してもらってる途中なんだよ」

 

ルイズの疑問に応えて、才人が簡潔に答えるとルイズは大きな声を出していた。

 

「はぁ? な、何であんたがギーシュと決闘するのよ! まぐれで私に勝ったくらいで、土のドットメイジのギーシュに平民が絶対に勝てるわけが無いんだから! ……今からでも遅くないから、あんたギーシュに謝っちゃいなさいよ」

 

物凄い剣幕でルイズは才人に対して、平民は魔法使える貴族に勝てる事は有り得ないから、ギーシュに謝罪して赦しを乞えと述べていた。

 

「何で俺があんな二股キザ野郎に謝らなきゃならないんだ? 大丈夫、心配するなルイズ。すぐに俺が勝ってお前のところへ戻ってきてやるからなぁ……それにもう謝るには遅いしな」

 

「………もう遅いて、あ、あんた何かやったの? 」

 

ルイズの疑問に応えたのは才人じゃなく、横にいたマリコルヌである。

 

「やったの何も、サイトがさっき、本来の案内役ギムリを蹴り一発で失神さしたから、この俺様が代わりにヴェストリ広場へ誘導してるわけだ」

 

とマリコルヌが何故か自信満々にルイズに説明していた。

 

「何で、ギムリを倒したのよ? あんたは! 」

 

「まぁ、何だ………彼奴がムカつく事言ったから、気がついたら自然に脚が出ていたんだよ」

 

ギムリを失神させた事実を知って、ものすごい剣幕になったルイズに才人はムカついたから、ついやったとアッケラカンという態度で返事した。

 

「なんて事してくれたのよ、あんた! これじゃもうギーシュに謝っても意味が無いわよ! ……いくら不意討ちでも平民が貴族を倒したんだから、あんた殺されても、文句言えないことしたのよ。解ってるの? 」

 

「そんな事、俺が一々知るかぁ! 何で貴族と言って威張ってる二股野郎に気ぃ使わなきゃいけないんだ? いい加減もう、うんざり何だよう! 手加減なしで、ギーシュって奴を叩きのめして。俺の存在感を此処の貴族たちに解らせてやる! 」

 

才人の召喚されてから今まで貴族優先社会の理不尽さに対して、思うところがあったのか。鬱憤晴らすためにギーシュ相手の決闘に手加減なしで、本気で戦うとルイズに語っていた。

 

「………もう、あんた何か知らない! ギーシュに殺されてしまえば良いわよ! 」

 

そう言ってルイズは怒り、手に持っていたとある仕掛が施された特殊木刀を包んでいた布袋を思い切り、才人に投げつけるとこの場から走り去っていった。

 

「あ、おぃ、ちょっとまてよ、ルイズ、ご主人さま! 」

 

「おぃ、サイト。追わなくて良いのか? 愛しのルイズ女王様をこのまま放っといて、後から怒られるんじゃないのか……お前が」

 

「まぁ、そう何だけどさ………それよりも今はあの気障な二股野郎をぶちのめす方が先決だから、ヴェストリ広場とやらに急いで案内してくれよ、マリコルヌ! 」

 

「あぁ、そうだよなぁ、自分は可愛い女の子にモテて当たり前と思ってる。可愛い女の子の敵、イケメン二股男の屑野郎のギーシュを大勢の女の子たちの前で、コテンパンに叩きのめして大恥掻かせてやる方が、今は大事だよな………どうせ、後でルイズに怒られるのサイトだから別に良いよな? 」

 

そう、独り言を呟きながら歩くマリコルヌに対して、気味が悪い才人は少し距離を空けて歩いていた。

 

(……やっぱり、同じ貴族でも平等じゃなくて、格差は有るんだなぁ……そう思うとコイツが何故か急に可哀想なヤツに見えてくるなぁ……これ、あげたら凄く喜ぶかなぁ? )

才人が恋愛最底辺のマリコルヌを哀れみ、ポケットから1枚の可愛い女の子の大事な花園がフルオープンしている姿が、くっきり写っている鮮明なフルヌード写真を差し出していた。

 

「おぃ、マリコルヌ。可哀想なお前にこれやるよ、だから元気だせ」

 

「何だよ、サイト? 俺は別に可哀想なヤツじゃ無いぞ………なんじゃこりゃあ! ………ブハァッ…………」

 

才人から禁断のブツを貰って見た瞬間、多感な年頃で女の子に興味ありありの童貞少年が可愛い女の子の刺激満載なフルヌード写真を拝んで無事に済むハズもなく、盛大に鼻血を出したマリコルヌはヴェストリ広場の直前で倒れ血溜まりを出現させて、才人を大いに慌てさせた結果。

 

ギーシュとの決闘の開始時刻がだいぶ遅れたのは笑い話として、トリステイン魔法学院に代々語り継がれる伝説になっていくのであった。

 

 

 

続く。

 

 





 やっぱり、マリコルヌは書いていても楽しいですね。

勝手に動いてくれるから、作者としては凄く楽が出来て好きなキャラですね、彼は。

次回は本格的な戦闘場面を描写しないといけないから、気合いを入れなきゃねえ。

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