The Grand Tourer's Dream 作:νMicra
スピード違反で父親からサーキット行きを進められる治。
誰と出会ったんでしょうね。
「さてと、今日はタイムアタックの日か。ラッキーだな、腕試しとでm」
「・・・市販のホットハッチの速さじゃねぇだろこれ・・・スズキのSX4かな?なんでこんなに早く第1セクターをクリアしてんだし・・・おっかしいだろ」
「よし、次俺だな。ヴィッツでどこまで攻められるか、腕d」
「ヴィッツ乗りかい?そんなに粋がって何が欲しい。所詮君が出られるのはヴィッツレースだけだぞ」
「ちょ、誰d」「上矢部
「いや、いや、違う。レース活動の時の芸名?だよ。本当は上矢部
「どっちにしろかっこいいですね」「まぁ・・・ありがとうな」
「SX4でそんなタイムが出るってひそかにWRCマシン使ってないですよね?」
「あー・・・親父にエンジンチューンしてもらったんだよ」
「いい親父さんですね。こっちは冷たいんですよ。影口叩いちゃああれだけど」
「あっ、そういや申し遅れましたけど俺は『車谷 治』っていいます」
「名字が車。すげぇ運命だな。(笑)」
なぜか会話が弾む。なぜか気が合う。そこで治は切り込みをつける。
「あのー」「ん?」
「俺がヴィッツでタイムアタックするんですけど見てくれます?」
「待ってたんだよ、慕ってくれる後輩を」
ナルシストのような口調だが、それが似合う程に上矢部の背中は頼もしかった。
少し気の弱い治だって、付いて行こうと思った。
彼には何かある。オーラもある。普通と違う。
治はそう思って、自分自身のターゲットを定めてともに歩み始めるのだ。
「よし、第3コーナー。侵入速度低くないかこれ40じゃないと入れない」
「あー、ここら辺複合だからアクセルオフで慎重に入れよ次。」
「OKです上矢部さん」
「キターッ、ヘアピン。ここはハードブレーキングで」
「ナイス。フロントへの荷重のかけ方、わかってるじゃないか」
「ありがとうございます」
「フ、フー・・・一周走るだけでこんなに神経使うんですね。」
「慣れりゃあむしろ楽だぞ。今度も来い。もっと走りこめよ。」
勉強熱心な治は上矢部語録やアドバイスをノートに書き留める。
たとえば、
「タイムアタックするなら流れる時に逆らえ」
「曲がるのは自分じゃない。車だ。それも少しだけ」
その裏で大学のための勉強も進めていく。情熱を持ち、突き進もうと決めたならば生活はハードになると承知の上で治はやっている。その中でも流れる時に逆らいたくなる気分になるのであった。
家計や自分のためにもアルバイトも計画している。
そこで治はふっと思いついた。
「よし、仲江でバイトしよう。」
このド田舎の求人は必死がにじみ出てくる。仕事をしてくれる人が足りない。
来い。来い。と半分命令形で畳み掛けてくるようなものだ。
そして仲江スピードウェイを目にとめた治は、走る傍ら、「走りに来てくれることを待つ」という役職につくことを決めた。ここに来るペースが必然的に増えるため、上矢部の走りも、自分の走りも徹底的に研究尽くして走りを高めたい。そうとも思って仲江スピードウェイにまたもう一度足を運ぶ。つまり上矢部とも再会するのだ。