待っている人は少ないかもしれませんが投稿します。
俺と九喇嘛がルシファー達九人に会ってから随分と時間が流れた。
その間に天使、堕天使、悪魔ともに人数を増やしていき、それぞれ三大勢力と呼ばれるほどに人数が増えた。
そして俺は天界陣営に幻の五人目の熾天使(セラフ)として幹部的立場に、堕天使陣営に神の子を見張る者(グリゴリ)の幹部の立場に、悪魔陣営に第零柱兵藤家当主という立場にそれぞれ就いている。これはルシファー達からそれぞれの陣営を組織化させるときに、『幹部的立ち位置に居た方が色々と都合がいいでしょ』と言われ『他勢力との争いの時は手出しをしない』という条件で引き打受けた為である。ついでに言うと、兵藤家の魔界での領地は後の日本と同じか少し大きい位で、魔界にあるドラゴンアップルは全部俺の領地内にあった。それに緑豊かでキャンプとかも楽しめそうだった。
そして俺達の家族も増えた、と言うより俺達の家に入り浸ってほぼ家族同然となっている奴らがいる。
「一誠、お風呂の掃除終わったわよ」
「おう、サンキュー」
今俺に話しかけて来たのが、元天使で現堕天使のレイナーレ。彼女は天使を生む『神のシステム』の不備なのか、同時期に生まれた他の天使より能力が高かった(因みに『神のシステム』はライヴィスに頼まれて俺と彼女で創った)。その為、イジメ程ひどくは無いにしろその手のものをずっと受けていた。そして精神的に結構きていた時に、偶々天界に来ていた俺が見つけて相談に乗ったりしている内に仲良くなった、という訳だ。その後ちょっとして彼女が堕天したが、変わらずに接し俺の事も少し話すと前以上に懐かれて俺の家(次元の狭間の方)にまで良く来るようになったという訳だ。まあ、来た時には掃除や料理などといった家事を手伝ってくれるのでこちらとしても助かっている(もちろん家の場所は秘密にしてもらっている)。
流石に一人で豪邸ともいえる家の家事をするのは疲れるからな。イーリスとオーフィスと九喇嘛は全然手伝わないし。
「こちらも各部屋以外の掃除が終わりました」
次に現れたのは、番外の悪魔(エキストラ・デーモン)という七十二柱に含まれない上級悪魔の家の一つである、ルキフグス家の長女のグレイフィアだ。
彼女とは以前、彼女がガラの悪い悪魔にナンパされていて困っている所を俺が助けたのが最初の出会いだった。それからは、俺が偶に気まぐれで行く社交界の場でも何度か会うようになり、話をしていくうちに仲が良くなった。そして彼女もそれ以来は良く家に来るようになった。
最初の頃はレイナーレと衝突していた時期もあったが、ある日を境に今では料理を教え合うほどに仲良くなっている。そのある日に何があったかは俺が聞いても教えてくれなかったが……。
「二人ともお疲れ。早速で悪いんだがこれからお昼を作るから二人とも手伝ってくれないか? 家には大食いが多いから、一人で全部しようとすると大変なんだ」
「いいわよ。最近また料理の腕が上がったし」
「私も大丈夫です」
「そんじゃあ頼むわ」
そして俺は二人を伴ってキッチンへと行く。
「……お前は何をやっているんだ」
俺達がキッチンに入るとそこには先客がいた。
「? 私はご主人様の為にお昼を作ってるだけですけど?」
「私はそれの手伝いをしているだけです」
返事をしたのは何やら調理をしていた二人の九尾の女性。まず、露出多めの和装の様な衣服を着た女性は、名を玉藻の前を言い天照大神の一側面らしい。彼女とは後に日本になる所を散歩していた時に出会った。その時玉藻が困っていたので助けたら懐かれ、今は俺の家族になっている。
次に古代道教の法師が着ているような服で、ゆったりとした長袖ロングスカートの服に青い前掛けのような服を被せている女性は藍。彼女はこの世界の住人じゃない。次元の狭間で意識を失って彷徨っているとこを見つけた俺が保護し、行く当てもないとのことで家族になった。因みに藍という名前は俺が付けた、というより彼女が元居たであろう世界での彼女の名前を俺が改めて付けただけだ。話を聞く限り彼女は、元の世界では八雲紫という”本来の”主人に会う前にこっちに来たらしく、特にこれといった名前は無かった。最初は「八雲」という苗字も付けようか迷ったが、何となくやめた。
「いや、お前らに言ってない。寧ろお前らには(家事をしてくれて)感謝している、ありがとう」
そう言いつつ二人の頭を撫でてやると、目を細めて嬉しそうに微笑んだ。そして俺はその表情に不覚にもドギマギしてしまった。そして後ろから感じるジト目の視線が痛いし。だが俺はそれらを悟られないように(実際は悟られてるかもしれないが)何時もの表情で、冷蔵庫を開けて中を漁っている不届き者に声を掛ける。
「お前らもうすぐ昼飯が出来んだからそれまで待て」
俺がそう言うと冷蔵庫の中を漁っていた男性一人に女性三人の計四人は漁るのをやめて此方を向いた。
「ちょっと位いいじゃねぇか、ケチケチすんなよなぁ」
真っ先に俺に食って掛かったのは全身青タイツの男———ランサーだ。彼の本名はクー・フーリン、言わずと知れたケルトの大英雄だ。
彼の藍と同じ経緯でここに来た。彼がいた本来の世界(Fate/stay night)と違う事があるとすれば、彼がちゃんと自分の肉体を持っている事と、誓約(ゲッシュ)に縛られていないという事だろう。前者は此処に来た時からすでにそうなっていたので原因は分からない。後者は、ただ単に誓約(ゲッシュ)で縛られてるのが可哀想だからなかったこと(・・・・・・)にしただけだ。
「全く、これ位の事は見逃してくれても良くないですか」
「い、いや、私は皆を止めようとしただけだからな。決して摘み食いをしようとした訳じゃないからな。信じてくれ一誠」
クーの次に口を開いたのは腰に蒼い帯を巻き、蒼髪を六つの巻き髪にしている女性はラハム。
慌てて弁解しだしたのはオーフィスより短い黒髪セミロングの女性———クエレブレ。
彼女らは人間ではない。彼女らの本当の姿は『赤龍帝』ドライグや『白龍皇』アルビオンと同じ大きさの西洋龍だ。
ラハムは蒼い龍で『蒼龍帝』、クエレブレは黒い龍で『黒龍皇』と呼ばれている。この二つ名の由来は彼女達がそれぞれドライグやアルビオンと一緒に居る事が多かったからだ。そしてラハム、クエレブレ、ドライグ、アルビオンを総称して『四天龍』と呼ばれている。これには俺も驚いた。多少本来の世界と変わっているとは思っていたが、まさか『二天龍』が『四天龍』になているとは流石の俺も予想外だった。
「レブレ(クエレブレの事)信じてほしいならまずその口の周りに付いたものを何とかしろ。そしてラハ(ラハムの事)、以前見逃しまくったら食糧難に陥っただろ。だからもう見逃さん」
そう、以前こいつ等やオーフィスの摘み食いを見逃していたら食糧難に陥ったことがあるのだ。だからそれ以来摘み食いは見逃さないようにしている。こいつらはそれを掻い潜って摘み食いをしに来るが……。
「……それでお前はいつまで食っている」
あの後すぐに冷蔵庫の中を漁り始めたもう一人の女性に声を掛ける。
「別にこれと言って特に理由は無いぞ。ただこれ(摘み食い)をすると一誠が構ってくれると言われたからやっただけだ」
白銀の髪を惜しげもなく晒し、堂々とした態度で答えたのは六大龍王の一匹、「天魔の業龍(カオス・カルマ・ドラゴン)」ティアマット通称ティア。
彼女だけは摘み食いをしているのは珍しかった。まあ、先の理由で納得はしたが。
彼女は普段は俺と一緒に居ることが多い。主な理由は俺に構ってほしいかららしい。そんな彼女なら先程の事を聞いたら確かに摘み食いをするだろう。
「別に構ってるわけじゃないからな。これを使ってお仕置きをしているだけだ」
そう言って『王の財宝』から例のハリセン取り出しティアに見せつける。すると、彼女だけでなくそれを見た他のメンバーもかすかに震えだした。まあ、当然と言えば当然だ。このハリセンは俺が俺と親しい奴らが暴走した時や人の話を聞かなくなった時に良く止める為に使っていた。なので俺と親しい奴はこのハリセンの威力を知っている(ついでに怖さも)。
「これいつまで戯れておる。妾はいい加減腹が減ったぞ」
とここで台所に新たな人物が顔を出した。
彼女の名を”羽衣狐”といい、藍やクーと同じ経緯でここに来た人物で我が家の四人目(四匹目?)の九尾だ。しかし藍や玉藻と違い家事は出来ない上に普段は読書などをして暇をつぶしている暇人だ。だが、九尾というだけあって戦闘力は高い。
「ああ悪い悪い。今から行くから他の奴らも呼んできてくれないか」
「他の者はもう揃っておる。後はお主らだけじゃぞ、早く来るがよい」
羽衣に急かされて俺達は慌てて台所を出た。そして先程俺がいたリビングとは別の場所に向かう。
この家には食事をするところが洋式のリビングと和式の居間の二つある。が、リビングの方は駄弁ったりする空間になってきているので、所釘を取る時はもっぱら今の方でとる。
そして居間の襖の前に付いて襖を開けた俺はその場で少々固まって唖然としてしまった。その理由は今に居た人物にある。
居間のテレビ(MADEIN一誠)を使ってテレビゲームで対戦をしている、赤髪で怖そうな雰囲気の中に僅かに優しそうな雰囲気が混じっている男と白髪で紳士な雰囲気の男————赤龍帝ドライグと白龍皇アルビオンの人間バージョン—————の事ではない。寧ろこの二人のこれは平常運転なので気にしない。
俺が唖然としたのは朱(あか)、水色、緑、紫、金、黒よりのグレーの髪を持った六人の女性達———ルシファー、レヴィアタン、ベルゼブブ、アスモデウス、ライヴィス、ルシフェル————が原因だった。別に以前なら彼女達が此処に居ても騒ぎはしなかった。だが今はその時とは状況が違う。家によく来るグレイフィアとレイナーレが仲がいいので偶に忘れかけるが、天界陣営と堕天使陣営と悪魔陣営は元々仲が悪い。そして最近は小規模ながら各勢力同士でよく小競り合いが起こっている。近いうちに三大勢力で戦争が起きるのでは?とまで言われている。そしてそれぞれの勢力のトップである彼女達も勿論それに対する事で手が離せない筈だ。なのに何故かここに居たので唖然としてしまったわけだ。
「お前らはなんでここに居る? それぞれの陣営は大丈夫なのか?」
「ええもちろん大丈夫よ。いくら一触即発の状態でも流石に昼食を食べる位の時間はあるわ」
アスモデウスにそう言われるが、組織のトップに立ったことが無い俺としては良く分からなかったが、彼女達と一緒に昼食を取るのは嬉しかったので、曖昧に返しておく。
「へえ今日は素麺なんだ。僕としてはざる面の方が好きだけど、素麺もおいしくて良いよね」
今喋った黄色い肩位までの髪にバランスのとれたプロポーションのボクっ子は、九十九(つくも)。彼女もこの世界の住人ではなく、別な世界から来た人物だ。彼女は”精霊”といった種族で、その中でも彼女は光を司る精霊だ。
……最近思うが、次元の狭間には別な世界の奴らが迷う込み過ぎだと思う。そして家に来る奴等は髪の色がカラフルすぎると思う。黄色、緑、朱、紫、黒よりのグレー、水色、金、銀、青っていくらなんでもカラフルすぎると思う。え、俺? 俺は正史とは違うけど黒っていうオーソドックスなものだよ。
「そう言えばあいつらは?」
「あの三人なら暫く来ないそうです。それと一誠によろしくとも言ってました」
実は俺の家族(もどき)は後二人いる。だがライヴィス曰くその三人は暫く来ないらしい。
「まあいいか。あいつ等なら滅多な事じゃ死なないしな」
「それよりも一誠、妾は腹が減ったぞ」
俺の独り言を無視して羽衣が言ってきた。
「それもそうだな」
俺はみんなが席についている事を確認するといただきますの音頭を取った。
「せーの」
『いただきます』
全員で声をそろえてそう言い昼食を食べ始めた。
皆で愚痴や冗談を言い合いながら食べる飯は大変おいしかった。
そしてその中で俺は、もうすぐ始まるであろう三大勢力間での三つ巴の戦争について考えを巡らせていた。
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