人外教師兵藤一誠   作:隆斗

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最近、バカテスよりこっちのアイディアの方が思いつく隆斗です。
今回は原作では描写されていない旧魔王派と新魔王派の政権争いの内戦です。ちょっと所々表現が変な所があると思います。そういったところは遠慮なくご指摘ください。


旧魔王派VS新魔王派

 

 

 

 

 

あの戦争から少しすると、どの勢力も内部事情に追われて忙しくなった。その一つに新しいトップの事があるが、天界と堕天使の所はミカエルとアザゼルをそれぞれトップにすることでそれほど問題なく終わっており、今その二つの勢力は新たに出来たリーダーを中心にして組織の立て直しをしているらしい(堕天使の方は幹部以上の者(例外は除く)が、全力で趣味に走った為難航しているようだが)。

そして悪魔たちはと言うと、

 

「一誠殿、どうか我々のグループについては下さらぬか」

 

今俺の目の前のソファーに座っているのは、カテレア・レヴィアタンとシャルバ・ベルゼブブとクルゼレイ・アスモデウスの三人だ。

さっき突然来たと思ったら、行き成り旧魔王派に就いてくれないかと言われて、勧誘を受けている。まあ、カテレアは乗り気じゃないのかずっと黙ってるけどな。

 

「……とりあえず理由を聞こうか」

 

「理由などいらないはずです。あなたは今は亡き魔王様方と懇意にしていたのですから」

 

(今も仲は良いけどな)

 

こいつらもやはりルシファー達が生きているのを知らない。いや、知られたら色々面倒な事になるんだけど。

 

「それは理由じゃないだろ。俺が懇意にしていたのはあくまでルシファー達個人であって、お前達じゃない。それにお前達は別にあいつらと血が繋がっている訳じゃ無いだろ」

 

そう、こいつらは実はルシファー達と血が繋がっていない。今世間でルシファーやレヴァイアタンの名を名乗っている悪魔たちは、彼女達と血が繋がっている訳じゃ無く、彼女達と義姉妹(きょうだい)の儀を交わして名乗っているだけだ。誰かと結婚して子供を産んだ方が面倒も無くてラクな筈なんだが、なぜか彼女達はそうした。ちなみに彼女達にこの事を聞いたところ、無言で抓られた。……俺何かしたか?

そしてカテレア達はちょうどその儀を交わした悪魔たちの次の世代———つまり息子娘達に当たる。

 

「ですが、私達の親(母親の方)はルシファー様たちを儀を交わし、正式な義姉妹となりました。それはあなたも知っていましょう。ですから例え血が繋がっていなくとも私達には名乗る資格があるのです」

 

……まあ、言ってる事は間違っていない。だが俺はこいつらに協力する気は無かった。カテレアはボーっとしてるから良く分からないが、シャルバとクルゼレイからは我欲しか感じられないし、こいつ等は上級悪魔じゃないからと言って見下すことが多い。そんな奴らが人の上に立つのにふさわしいとは俺は思わない。

それに今上層部の辺りで、チェスの駒を使って他種族を悪魔に転生させて悪魔の数を増やそう、って話がちらほら上がっている。この二人はそいつ等も見下すか、その案自体を却下するだろう。そうすれば悪魔に未来はない……とは言いすぎにしてもこの先厳しくはなるだろう。

まあ、つまりだ何が言いたいのかと言うと、こいつらには本来の歴史と同じように引いてもらった方がいいってことだ。

 

「つーか、さっきから疑問に思ってたんだが……何のグループだ?」

 

「そ、そこからですか……」

 

今更な質問をしたせいで呆れられた。しかもさっきまでボーっとしてたカテレアにも。

 

シャルバの話によると、先日この三人(カテレアは渋々)は上層部の悪魔たちを、首都ルシフォードにある国会議事堂みたいなところに呼び出し、「今後の魔王は誰がするのか」って聞きに行ったらしい。そしてその時の上層部の悪魔たちの返答が「他の悪魔たちからも人望厚く、魔王としても遜色無い戦闘力を持っている、サーゼクス・グレモリー、セラフォルー・シトリー、アジュカ・アスタロト、ファルビウム・グラシャラボラスの四人を魔王にする」といったものだった。

自分たちが次の魔王になるものだと疑っていなかったクルゼレイとシャルバは、当然これにもう抗議した。だが上層部たちも自分たちの意見を変えたりはせず、話し合いは平行線へ。結果、旧魔王派と新魔王派に分かれて対決をすることになった、という訳らしい。

取り敢えず俺は思った事を言う。

 

「……なあ、面倒くさそうだからどっちにも入らなくていい?」

 

「良い訳無いでしょう!」

 

……怒鳴られた。

いや、旧魔王派(お前ら)の中に居る穏健派(シャルバ達は過激派)も今回の内戦には参加しないっぽいんだけど……。

 

「あなたはルシファー様たちと懇意にしておられたお方でしょう。だったら此方側に就くのが」

 

「分かった。分かったよ」

 

諄くなりそうだったので、シャルバの発言を遮って声を上げた。

 

「その内戦は明後日なんだろ。だったらそん時までに俺がどうするか決めとくから、今日はもう帰れ」

 

俺がそう言うと渋々といった感じでシャルバ達は腰を上げた。

 

「あ、カテレアは残れ。個人的に話したいことがある」

 

俺がそう言うと、シャルバとクルゼレイは特に怪しむ様子もなくさっさと部屋を後にし、カテレアはその場にまた座り直した。

 

「何でしょうか? まさか私の体が目当て何ですか?」

 

「お前が俺の事をどう思ってるか小一時間問いただしたいが、今はそれは後だ。そして俺の要件はそれじゃねぇ」

 

いや、確かにカテレアは美人だよ。でも恋仲とかそういった関係ににまでとなると……って話が逸れたな。

 

「じゃあ何でしょうか? 私も早く帰りたいのですけど」

 

「すぐ終わる」

 

俺はそう前置きして本題に入る。

 

「お前、穏健派だろ」

 

「……」

 

「沈黙は是なりだぞ」

 

「ええ、確かに私はシャルバやクルゼレイと違って穏健派ですけど……それが何か?」

 

「お前は自分が魔王になって政治をする気が無い」

 

「はい」

 

「今回の内戦もお前は乗り気じゃなく、出来る事なら参加したくない」

 

「はい」

 

「過激派には、出来れば非協力的でいたい」

 

「ええ、そうですけど……あの、本当に何が目的なんですか?」

 

俺の質問に困惑した表情ながらもちゃんと答えるカテレア。

 

「お前こっち側のスパイにならないか?」

 

「……報酬は?」

 

「お前の今後の生活についてよほどの問題が無い限り、政府は口を出さない。

 魔王とまではいかないが、お前に程々の政治的立場をやる。この二つの事を上層部とサーゼクス達に掛け合ってやる」

 

「………」

 

俺の出した条件にカテレアは思案顔で黙り込んだ。

 

「……もう一つ条件があります」

 

「叶えられる奴だったら叶えよう」

 

「何故私にこの話をしたのか、正直に答えて下さい」

 

その言葉は俺にとってとても意外だった。

悪魔は我欲が強い。だから彼女も何かしら自分のメリットになる様な事を頼んで来ると思っていた……ってこれは、悪魔に対する偏見か。

まあ、何にせよ俺にとってはこれを聞かれても何も失うものはないし正直に答える。

 

「一つ目は、お前が穏健派であった事。流石に過激派にこの話はできないからな。

 二つ目は、お前がある程度の地位を築いている事。地位を持ってない奴にこの話をしてもあまりいい情報は集まんないからな。以上の二つだ。納得してもらえたか?」

 

「ええ、納得しました。一応ですが」

 

「そうか。じゃあこの話は終わりだ。帰っていいぞ」

 

「では、失礼します」

 

そう言ってカテレアは立ち上がり出口の方へと歩いて行く。

俺はその背中に言い忘れていたことを言う。

 

「さっきの話は上層部とサーゼクス達にも言っといて、お前の安全は確保しておくから、お前は思う存分にやれ」

 

俺の言葉にカテレアは振り返ることなく、片手をあげて手を振って返事をした。

 

 

 

 

 

〰〰〰〰内戦当日〰〰〰〰

 

 

 

 

 

内戦当日、俺は新魔王派達の本拠地に向かっていた。

内戦と言ってはいるが、ただだだっ広い荒野を挟んで左右に本拠地を陣取っているだけである。正直この状況だと戦略的なものが絡んでくる戦争よりも、単純な決闘の方が意味合いが強う気がする。

因みに、そんな事を呑気に考えている俺は今絶賛遅刻中である。起きた時間が開戦時刻とか……遅刻しか道は残ってないような気がする。ついでに言うと俺は一人で来ていた。あいつら連れて行くと色々と面倒だからな。

 

「すまん、遅れた」

 

遅刻の謝罪をしながら本拠地に入ると、中に居た上層部の悪魔たちとサーゼクスが一斉に此方を向いた。

 

「おお、来てくれたか兵藤殿」

 

「ああ、まあな。それよりお前らシャルバ達になんて言ったんだよ。あいつメッチャイラついてたぞ」

 

声を掛けて来た上層部の悪魔にから返事をしながらも気になっていたことを聞く。

 

「い、いや我々はただ「新しい血を魔王にして心機一転しましょう」的な意味で言っただけですぞ」

 

「へぇ~。で、言った言葉は?」

 

「……ふ、古臭い魔王の血より新たな血を魔王にした方が今後の為になる、と言いました」

 

俯いていて小さな声だったが、発音はハッキリしていたのでちゃんと聞こえた。

それにしても………

 

「言い方ってもんがあるだろうが」

 

『うっ』

 

俺がそう言うと上層部の奴らは気まずそうに顔を背けた。え? サーゼクス? 俺と上層部たちとのやり取り見て苦笑してるよ。

 

「一誠さん、虐めるのはそれ位にして前線に行きませんか?」

 

「そうだな、そうするか」

 

サーゼクスが止めに来たので俺はそれに大人しく従う。

 

「それより一応聞くが、首謀者は誰なんだ?」

 

クルゼレイかシャルバだと思っていた俺は、本当に確認としてそう聞いた。しかしサーゼクスから来た答えは予想外のものだった。

 

「それが分からないんです」

 

「分からない? クルゼレイかシャルバのどちらかじゃないのか?」

 

「ええ、私達もそう思ったんですがその二人は向こうの本拠地にも、そして戦場にも姿を現していないんです」

 

「じゃあ首謀者もしくはリーダー格を見つけながら蹴散らしてくってわけか」

 

「ええ、そうなります」

 

俺とサーゼクスはそれを確認すると、戦場へ向かう為に扉の方に向かって歩き出した。だが、俺達が扉の方を向いた瞬間に、扉が勢いよく開け放たれて一人の悪魔が部屋に駆け込んできた。

 

「どうかしたのか?」

 

「報告します」

 

上層部の悪魔の一人が聞くと、その悪魔はそう前置きして喋りだした。

 

「敵の首謀者もしくはリーダー格と思わしき者達を捕らえました」

 

「おお、そうか! してその者達は誰だ」

 

「ルキフグス家の長女と次女です」

 

それに上層部の奴らはおお! とワンパターンなはしゃぎ方をするが、俺はその報告を聞いて訝しんだ。だってさっきの報告は、ルキフグス家の長女———つまりグレイフィアが捕まったという事である。あいつがこんなくだらない事に参加するとは思えないし、グレイフィアが家に来た時にちょくちょく彼女を(九喇嘛達と一緒に)鍛えていたので、余程のことが無い限り彼女が負けるとも思えなかった………まあ、妹も一緒に捕まったらしいからその妹を人質にでも取られたのだろうけど。

 

「なあ、俺に捕虜に関する全権利をくれないか?」

 

「む。い、いやしかしですな……いくら一誠殿の頼みでも……」

 

「じゃあ、俺あっちの陣営の方に行こうっかなー」

 

「分かった! 分かったから、それだけはどうかやめて下さい‼」

 

上層部の悪魔たち全員が一斉に、一糸乱れぬ動きで土下座をしていた————いや、させたの俺なんだけどね。

 

「それじゃあ話もまとまったことだしサーゼクス、捕虜を見に行くぞ」

 

「え……あ、はい」

 

俺はサーゼクスを連れて捕虜の元に向かった。

 

 

 

 

 

一誠は牢屋の見張りをしていた悪魔を、何処かに行かせて人払いを済ませると顔を正面の二つの檻に向けた。

 

「ミレイフィアが人質となった為、お前は何もできずにされるがままに捕まったってとこか」

 

「ええ、それであっています。ですがミレイが悪い訳ではありません。しいて言うならば周りへの警戒を怠っていた私達二人の責任です」

 

一誠の言葉にグレイフィアが妹のミレイフィアを庇うように返す。彼女のそんな姿を見て、一誠は場違いにもやっぱりこいつも姉なんだな、と思っていた。

 

「分かった。取りあえず今後の事について俺はグレイフィアと、サーゼクスお前はミレイフィアと話せ」

 

一誠はそう言うと指を鳴らす。するとそれぞれの檻に不可思議な結界が張られた。話は檻の中でするという意味だろう。

 

「……サーゼクス?」

 

話しかけたのに返事が返ってこない事に気づいた一誠は、後ろに居るサーゼクスを振り返った。

彼は瞬きもせずに固まったまま、グレイフィアの妹のミレイフィアが居る檻を見ていた。一誠がその視線を追ってみると、檻の中に居るミレイフィアが目に入った。どうやら彼と彼女は時が止まったかのようにじっと見つめ合っているようだ。一誠はそれを見てとても微笑ましくなった。チラッとグレイフィアの方を見ていると、彼女から彼女の妹は見えないものの、状況は理解できているらしく彼女も一誠と同じように優しく微笑んでいた。

 

「コホン」

 

『ッ⁉』

 

それを邪魔するのは無粋だと分かってはいたが、このままだと話が進まないので一誠はわざとらしく咳払いをして彼らを現実に引き戻した。その際サーゼクスとミレイフィアは先程までの状況を理解すると、二人とも顔を赤くしてそっぽを向いた。

 

「俺はグレイフィア、お前はミレイフィアと今後の事について話をする。あと、その結界は中の音が外には聞こえない効果と外からは何をしているか分からない効果がある。だから気にせず話せ」

 

「わ、分かりました」

 

「あと、そっちの方の全権はお前に任せる」

 

そう言って一誠はグレイフィアのいる檻の中に入って行った。

 

「さて、早速本題に入ろうと思うがいいか?」

 

「はい、大丈夫です」

 

そして檻に入った彼は、グレイフィアが座っている簡易ベットの正面の床に胡坐をかいて座った。

 

「単刀直入にお前の今後を言うと、誰かの下僕ないし奴隷にされる。それは分かってるよな」

 

一誠の確認に彼女は黙って頷く。

 

「それで…だ。お前は誰の元に行きたい?」

 

「……随分、意地悪な事を聞くのですね」

 

「一応の確認だ」

 

彼女の非難気な眼差しを彼はあっさりと受け流す。そして、ついでに長年彼女との間で保留にしていた問題を、ここぞとばかりに切り出す。

 

「じゃあついでに、あの問題も今解決しちまうか」

 

「本当ならもっと雰囲気がある場所が良かったんですが……まあ、いいでしょう」

 

”ついで”で片付けるにはあまりに重大な事をあっさりと言う一誠に、グレイフィアはついでにされたことによるせめてもの抵抗で冗談ぽく———されど自分の偽りざる本音を非難気に言う。

彼女の本音に意外とロマンチストだな、と思いながら一誠はグレイフィアの前に跪き彼女の手を取る。

 

「グレイフィア・ルキフグス、俺はもうすでに何人もの女性と関係を持っているし、俺は惚れっぽいからこれからも相手を増やすかもしれない。それに俺の立場は色々と危ういし、それに伴って危険もたくさんある」

 

一誠は三勢力のそれぞれの幹部的位置に席を置いているが、それを快く思わない者たちも当然いる。そして三勢力以外の勢力からもその強さを危険視されていて、常時命を狙われているとまでは言わなくても常に警戒されている状態ではある。だから彼は今まで、自分の家族等になりたいと言ってきた者たちにこういった確認を例外無くしてきた。……彼らを自分の所為で不幸な目に遭わせたくないから。

 

「お前も危険な目にあるかもしれない。それでも俺はお前にずっと一緒に居てほしいと思っている。だから……」

 

そこで一誠は一旦言葉を切った。

いつになく真剣な一誠にグレイフィアも黙って聞き入っていた。

 

「だからずっと俺の傍に居てくれないか?」

 

檻の中という最悪と言ってもいいシチュエーションにありふれた言葉の告白。彼にOKすることによるデメリット。これらを考えると、普通の人ならばほぼ間違いなく断る状況だが彼女は違った。

普通の人間が片思いしている時期よりも、圧倒的に長い時間一誠の事を想っていたグレイフィア。そんな彼女にとってそれらの事等どうでもよかった。ただただ一誠の口からその言葉を自分に言われたことが、彼女にとっては嬉しかった。だから、普段ならクールな彼女が嬉しさのあまり一誠に勢いよく抱き着き、そのまま押し倒してしまっても仕方がない事なのだろう。

 

「ちょっ⁉ グレイフィア⁉」

 

「………ぃ」

 

突然の出来事に流石の一誠も驚いたが、彼女が何か呟いているのを感じて大人しく耳を傾けることにした。

 

「……うれしい。ずっと…待っていた言葉だったから」

 

幸せそうな彼女の声に一誠までもが幸せな気持ちになって来たのを彼は自覚した。

 

「これからは、何があってもお前を離さないと神……は変だから兵藤一誠の名に誓う」

 

「…はい」

 

自身の腕の中で嬉し涙を流しながら頷いた彼女を、彼は優しく———しかし自分の存在を彼女に感じさせるように強く抱き締めた。

 

 

 

 

 

「………」

 

「………」

 

あの後、数分と言う抱擁にしては少しばかり長い時間抱き合っていた二人は、現在が内戦中だという事を思い出し冷静になったので離れた。しかしその出来事を冷静になってよく考たグレイフィアと一誠は、現在互いに顔を背けて赤面していた。そしてお互い無言なので居心地の悪い沈黙が場を包む。しかし、グレイフィアよりいくらかは耐性のあった一誠が、彼女より先に回復し沈黙を破った。

 

「グレイフィア、これからは公の場以外は俺達にですます調はやめろよ」

 

「え、ええわかっていま…いるわ」

 

まだ先程のダメージからは回復していないが、一応頭は冷静なので一誠の言っている事をちゃんと理解して返事をしたグレイフィア。

 

「じゃあちょっとこの内戦を終わらせてくる。終わるまでは此処居てもらうがいいか?」

 

「……大丈夫よ」

 

ぶっきらぼうに返されても一誠は気分を害されなかった。むしろまだ彼女が照れている事が分かって胸が温かい気持ちになった。そしてこのことは彼女にとっては顔の熱を冷ますのにいい機会だった。

 

「じゃあ、行って来る」

 

「……いってらっしゃい」

 

 

ポツリと呟かれた挨拶に、一誠はまた胸が温かくなるのを感じながら檻を出た。するとちょうどサーゼクスも檻から出て来る所だった。

 

「お疲れ。そっちはどうなった?」

 

「はい、一応家でメイドとして働いてもらう事になりました」

 

「ん、了解した」

 

一誠はそれ上はその事について聞かなかった。もちろん、檻から出て来た彼の顔に嬉しそうな表情が浮かんでいたことも。

 

 

その後内戦は、妙に張り切っていたサーゼクスによって旧魔王派の大半が(死なない程度に)ボッコボコにされ、旧魔王派を指揮していたルキフグス卿が一誠との一対一に敗れたのをきっかけに、新魔王派の勝利に終わった。

なお一誠とルキフグス卿の一対一の際に、娘が欲しければ私を倒していけ的な展開があったのだが、それを知っているのは当の本人たちとそれに立ち会ったサーゼクスしか知らない。

そして捕虜だったルキフグス姉妹は、姉のグレイフィアは兵藤家に妹のミレイフィアはグレモリー家にそれぞれ(表向きは)住み込みのメイドとして働くことになった。

 

こうして悪魔たちは、新しい魔王たちと共に新たな道を歩み始めた。




閲覧いただきありがとうございました。
私としては一誠の告白のシーンが納得できていませんが、ポキャブラリーが少ないばっかりにああいう風になってしまいました。ですので、こういった言葉の方がいいんじゃないか? っていうのがあったら遠慮なくどうぞ。
他にも誤字脱字や感想や評価をよろしくお願いします。
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