人外教師兵藤一誠   作:隆斗

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実はパソコンは随分前に直っていたのですが、途中まで書いていたデータが全部とび最初から書いていたのと、定期考査があった事によりかなり遅れてしまいました。いや、ホントはもっと早く更新する予定だったんですよ。ホントですよ。
それと私最近バイト始めたので更新はさらに遅くなります事をご了承ください。
今回から原作キャラも出てきます。


色々ある一日

色々ある一日

 

 

 

 

 

 

あれから更に数十年たち今は、正史で俺が殺される年まで二十年と数年といったところだ。あの後俺は最後までファルビウムの眷属を集めを手伝い、無事に全員揃わせて終わった。それ以外で変わった事といえば”神の子を見張る者(グリゴリ)”の幹部たちがアザゼルを含めて次々と結婚して言った事だろう。そのせいで現在”神の子を見張る者”での幹部で結婚して無いのはほんの数人だけになっている。後は………ああ、そういえば何年か前からオーフィスが人間界の美味い物を見つける、とか言い出して世界ぶらり旅に何故か正史で見た幼女の姿で出て行ったな。まあ、偶に帰って来るけど(家に居る時は大人の姿)。……正直あの見た目だと変態(ロリコン)に会わないか心配だ。

 

「ご主人様~、調味料などが足りなくなってきたのでちょっと買ってきてくれませんか?」

 

「おういいぞ。それで何を買ってくればいいんだ?」

 

「買ってきてほしいものは全部この紙に書いておきました」

 

そう言って俺にその紙を渡してくる玉藻。俺はそれを受け取って開き買ってきてほしいものを見る。

 

「え~と何々……醤油、油、みりん、砂糖、柿○種、スルメ、ビーフジャーキーと。なぜつまみがあるのかはツッコまないでおこう」

 

「あ、アハハハハ」

 

彼女も乾いた笑い声をあげた。

……まあ大体誰がこれを書いたのかは分かるけどな。

 

「じゃあ、行って来る」

 

「あっ、一誠ちょっと頼みがあるんだがいいか?」

 

スキマを開け人間界に買い物をしに行こうとした時、横合いからアルビオンに話しかけられた。

 

「どうした? お前もなんか食いたいものがあるのか?」

 

「いや、実は白龍皇の光翼の所有者を連れて来てほしい」

 

「? 今回の所有者は何か問題でもあるのか?」

 

まあ、大体誰かは予想はつくが……。

 

「ああ、実はそいつは悪魔との混血児でな。しかもその悪魔の血がルシファー(と義姉妹の契りを交わした悪魔)の血統なんだ」

 

「? 別にそれだったら大した問題にはならないと思うが?」

 

「ところが、だ。そいつ以外の周りの奴らが強すぎる力と才能を持ったそいつを恐れた。そしてそいつは二週間前に僅か三歳で両親に捨てられた」

 

「なるほど。強すぎる力は恐れられ迫害されるって訳か。それでお前は俺にそいつを連れて来てどうしてほしいんだ?」

 

「できればここに住まわせたいんだが……」

 

彼はそう言いながらこちらを窺ってきた。

 

「分かった、誰かに拾われていない限り連れて帰ることを約束する」

 

「すまない、恩に着る」

 

アルビオンがこんなにも一人の所有者に入れ込むのは珍しい、と思いながら俺は隙間を潜った。

 

 

 

 

 

突然だがここで、俺の人間世界での領地の事を話そう。

俺の人間界での領地は京都だ。俺の領地が此処になったのは、俺が古くから日本神話の奴らと仲が良かったというのが理由だろう。俺の家族を知っているサーゼクスあたりは九尾達がいるからという理由もありそうだが……。そしてもちろん京都に居る妖怪たちとも仲が良い。具体的には人間界の京都を散歩していても警戒されるどころか、会ったら漬物とかもらえるくらい仲が良い。

まあそういった理由俺達家族が人間界に行くときは基本的に京都になっている。だが今回は京都では無く駒王の方に来ていた。理由としては何となくだ。

 

「それにしても……偶にはこういうのも良いもんだな」

 

路地をブラブラ歩きながら一人愚痴る。もうすでに買い物は終わっていて、荷物は一足先に家に届けたので手ぶらだ。そして俺はアルビオンとの約束を果たすために、所有者の元に街をブラブラしながら向かっているのだが、一人でのんびりと過ごすことがあまりなかった俺はこの時間を新鮮に感じていた。

 

「お、いたいた」

 

表の通りから外れた入り組んだ路地裏を、何回も右に左にと曲がっていくとその先にお目当ての人物はいた。

 

「……誰だ」

 

「兵藤一誠。巷では”半端者”や”常識外の者(バランスブレイカ—)”なんて呼ばれている」

 

”半端者”と”常識外の者”はどちらも俺の巷での字名(アーバンネーム)だ。”半端者”は天使・堕天使・悪魔の三つに所属している事から、自身の種族至上主義の奴らが俺の事を『色々な事に所属している中途半端な者』というのが省略し、更に侮蔑などの罵倒の意味を込めて”半端者”となったわけだ。

”常識外の者”は以前レーティングゲームに出た時にはっちゃけて無双しまくったらそう呼ばれるようになった。

 

「ああ、あんたが……。それでそんな有名人が俺に何か用」

 

「ああ、実は————」

 

「ん? 何でお前がこんなとこにいやがんだ?」

 

突然第三者の声が聞こえたのでそちらを向いてみると、何故かアザゼルが居た。

何となく此処に居る理由は分かったが一応聞いてみる。

 

「? なんでお前はこんなとこに居るんだ?」

 

「はぁー、やっぱり実況通神(チャット)は見て無かったか。一応お前にメッセージ送っといたんだがなぁ」

 

……え? マジで? そう思いつつ非表示にしていた実況通神を開いてみてみると、確かにアザゼルから白龍皇の光翼の所有者を勧誘しにいかないかという旨のメッセージが来ていた。

 

「すまん、最近はあんまり使ってなかったから非表示にしてた」

 

俺が正直にそう言うとアザゼルは呆れてため息を吐いたが何も言ってこなかった。

 

「んで、こいつが白龍皇の光翼の所有者か」

 

「ああ。彼は悪魔と人間の混血児(ハーフ)で名はヴァーリ・ルシファー」

 

「‼ へぇ~、そいつはすげぇ奇跡だな。んで、どっちで世話するんだ」

 

「表向きはお前の所に所属していることにする。だがそっちでの仕事が終わったら帰ってくるのは俺ん家だ」

 

「完全に此方に引き込めないのは残念だが、まあ働き手が増えるし良いか」

 

「……俺が住んでもいいのか?」

 

アザゼルとの話がまとまったところでヴァーリがそう言ってきた。恐らく両親とかに酷い事を言われて家を追い出されたのだろう。正史の時の彼からは想像もできないようなセリフだ。いや、もしかしたら正史でもアザゼルに拾われた時に似たようなことを言っていたのかもしれない。

 

「ああ勿論だ。それに俺ん家にはお前以上の問題を抱えている奴らが沢山いるから今更お前一人程度が増えた所で問題ない」

 

俺がそういうと、ヴァーリは本当に僅かだが安堵したような表情になった。その表情の裏で彼が何を思っているのかは知らないが、先程までの表情よりはちょっとだけいい表情なのには違いなかった。

 

「話はまとまったな。だったらヴァーリだかには悪いが一誠、お前は俺と一緒に来てくれ」

 

「何かあったのか?」

 

「ああ。お前はここ最近バラキエルが行方不明だったのは知ってるか?」

 

「勿論知ってるが……それが何か?」

 

「実はここに来る前にバラキエルが『神の子を見張る者(グリゴリ)』の本部に帰って来たんだが、あの野郎行方不明だった間は巫女さんとイチャイチャしていたらしい」

 

「いや、あのバラキエルの事だから何か理由があるんだろう」

 

「ああ、実は任務中に大怪我を負ったらしく、その怪我が治るまで看病してくれたのがその巫女さんなんだとよ」

 

おい、イチャイチャ要素は何処にもないぞ。それどころかバラキエルは死に掛けてるじゃないか。

 

「お前それの何処にイチャイチャ要素があるんだよ」

 

俺がそう言うと、アザゼルは呆れたようにため息を吐きながら首を左右に振った。

 

「はぁ、お前は何もわかってないな。いいか? 巫女さんだぞ巫女さん。巫女さんっていたっら、ナース・メイドに続く三大エロ職業だぞ!」

 

「違う、それは絶対違うっ!」

 

アザゼルのアホ発言に俺は全力でツッコんだ。それにしても流石は人間の女の胸揉んで堕天したアザゼルといったところか、全くブレない。まあ、そこに痺れも憧れもしないが。

 

「お前そんなことばっか言ってると嫁さんに愛想付かされるぞ」

 

「何言ってやがる、あいつは別格だ。あいつがそんな格好してくれたら……もう一度堕天してもいい」

 

「いや、できねぇし。結局それお前は何も対価出してないから」

 

これ以上やっていても無駄だと判断した俺は、家に居る奴らに連絡するために表示枠(サインフレーム)を開いた。

 

 

~実況通神・家族空間(ファミリールーム)~

・人 外:アルビオン頼まれていた事は今終わったぞ

・白龍皇:おおそうか。ありがとう、感謝する

・人 外:それとルシファー、ヴァーリはお前(と義姉妹関係を結んだ悪魔)の子孫だから必然的にお前が母親な

・傲 慢:それはいいけど……そのお、夫は誰になるのかしら?

・人 外:もちろん俺だろ。それ以外に誰がいる

・傲 慢:! そ、そう。それならいいのよ。フフフ……

 

ああ、今家で超幸せそうに笑っているルシファーが容易に想像できる。

 

・一部を除いた女性陣:ちょっと待て!?

・人 外:どうした行き成り

・嫉 妬:どうしたもこうしたもないよ‼ 何で母親役がルシファーなの!?

・人 外:いやヴァーリの血にルシファー(と儀を交わした悪魔)の血が入ってるからだろう

・色 欲:確かにそうだけれど別にそれだけの理由で母親役に選ばなくてもいいのではなくて?

・暴 食:うむ、アスモデウスの言う通りだ

・人 外:じゃあどうしろってんだよ

・黒龍皇:こ、公平にジャンケンとかそういうもので決めればいいだろ

・蒼龍帝:全く、レブレの言う通りです。いくら一誠といえどもこういった大事な事は全員で話し合って決めていただけないと困ります

・夕 麻:まあまあ、みんなそれ位にしなさい。一誠が困っているでしょう

・フィア:レイナーレの言う通りです

・支配者:それに今一誠が決めたんだから、わざわざそんなメンドウなことしなくてもいいでしょう

・女 神:それぞれの場所で第一夫人を正式に名乗っていて余裕のある三人は黙っていて下さい

・蒼龍帝:全く、ライヴィスの言う通りです

 

まあ、確かにフィアは悪魔陣営で、レイナーレは堕天使陣営で、フォンは天界陣営でそれぞれ第一夫人になっている。いや、本当は彼女達に順番なんてつけたくないんだよ。でもそうしないと政治的にとか、社交的(これは主に悪魔陣営での話)に面倒な事になるので渋々こうなっている。あ、もちろん家ではみんな平等に愛してるよ。

え? 社交性なんてあるのかって? いや全然全くないけどね。でもサーゼクスや上層部たちがしつこくって煩いから必要最低限だけは社交界に出てるよ。嫌々だけどね。

 

・人 外:お前らなぁ……。はぁ~、じゃあ今からヴァーリをそっちに送るから、ヴァーリ本人も交えて尚且つお前ら全員が納得できる決め方で決めろ

・タマモ:あれ? ご主人様も一緒に帰ってこないんですか?

・人 外:ああ。俺にアザゼルがなんだか用事があるらしいからそれを終わらせてから帰る。それと母親になった奴はヴァーリに知識と戦闘と家の事等必要最低限の事を教えておいてくれ

・タマモ:分かりました。じゃあ早めに帰って来て下さいね。今夜は私の番なんですからっ!

・人 外:ああ、分かってるさ。それに可愛いキツネちゃんを待たせておくのは忍びないしな

・タマモ:イィヤッフゥゥゥ! やったやったやりましたーーーー! ご主人様に可愛いって言われましたっ‼ これで後はもうご主人様を私のモノにするだけですね!

・人 外:? お前は俺の嫁なんだからお前はすでに俺のモノになってないか?

・約全員:待て、ツッコむところはそこじゃない!

 

約全員からのツッコミを受けた俺は、その後にドンドン表示されていってるのが、玉藻と女性陣の言い争いだと確認した俺は表示枠(サインフレーム)閉じた。

 

「さてじゃあヴァーリはこのスキマを通ってくれ」

 

そう言いながら俺は彼の前にスキマを開く。

 

「………」

 

「大丈夫だ。繋がっているのは俺の家だからな」

 

「……分かった」

 

ヴァーろは渋々といった風でスキマに入って行った。

 

「んじゃ行くか」

 

「おう」

 

そして俺とアザゼルは『神の子を見張る者』の本部へと転移した。

 

 

 

 

 

「んじゃあ、二人を呼んで来るから応接室で待っててくれ」

 

「はいよ」

 

本部に着いた俺とアザゼルは、それぞれの場所に向かう為に別れた。

そして俺はアザゼルに言われた通り応接室に向かった。その道中でコカビエルが奥さんに追い回されてたけど、何をやらかしたんだアイツは……。

 

「失礼しま~す」

 

応接室に着いた俺は、一応中に既にバラキエルと姫島朱璃(これは俺の予想)がいるかもしれないと思ったのでノックをしてから入る。

 

「すまないな一誠、急に呼び出して」

 

「いやいや問題ない。どうせ暇だったしな」

 

中に入ると来賓側の椅子に居たバラキエルが立ち上がって俺に謝って来た。その横には長い黒髪の大和撫子な雰囲気を纏った女性がいた。恐らく、というか確実にこの女性がバラキエルの結婚相手なのだろう。そして俺にはその姿を見た瞬間に彼女の名前の当たりも付いた。

 

「それでそっちが———」

 

「ああ、こっちが今度私と結婚する————」

 

「姫島朱璃です。あなたのことは夫(になる予定)のバラキエルから聞いています。いつも夫(になる予定)のバラキエルがお世話になっております」

 

「しゅ、朱璃!?」

 

丁寧なお辞儀をする朱璃の横で夫と言われて赤面しているバラキエル。微妙にイチャつれている気もするが、まあそこは放っておくか。

 

「それで、バラキエルは話したのか」

 

「い、いやそのだな……」

 

彼らとは反対側の椅子に座りながら彼に問いかけると、彼にしては珍しく歯切れが悪く明確な事を言わなかった。

 

「あの事とは?」

 

朱璃がバラキエルに問う様に横目で見ながら俺に質問してきた。

 

「姫島朱璃、お前の今後についてだ」

 

「?」

 

和華が分からない、といった風に首を傾げる彼女の事など無視して俺は話を進める。

 

「取り敢えず質問するが、お前はバラキエルと結婚した後お前の生活はどう変わると思う?」

 

「え~と……そちらの世界と関わることが増え、実家から敬遠される位でしょうか」

 

「その答えでは30点だ。実際は、バラキエルを疎ましく思う思う者たちの対象にお前も入り襲われたり、種族として敵対している天使や悪魔に理由もなく襲われる。後は……もしお前ら二人に子供が出来たらその子供はお前の実家関係で殺される」

 

「そんなっ⁉」

 

今の生活にちょっと裏の世界の事が入って来るだろう、と思っていた朱璃は俺の例えに悲鳴を上げる。

 

「おい一誠、流石にそれは言いすぎじゃあ———」

 

「黙れバラキエル。お前が事前に説明しなかったから俺が今説明してんだ。説明しなかったお前に口を挿む権利はない」

 

全く、アザゼルやコカビエルでさえ事前に説明したって言うのに、何で普段が真面目なお前は肝心な時にヘタレなんだよ。

 

「第一お前は自覚があるのか?」

 

「……何の事だ」

 

意気消沈といった風のバラキエルが俺に弱々しく問いかける。その隣に居る朱璃は……恐らく本当に自分はバラキエルと結婚したいのか、先程の事も考えて自問自答しているのだろう。それでもちゃんと俺達の話を聞いているのだから何気にハイスペックだ。

 

「お前が過去にしてきたことだ。時にお前は堕天使としてその力を存分に使い、襲い掛かって来る妖怪や魔物を殺し。時に敵対する天使や悪魔を殺し。時には人間も殺した。そんなお前の全身は血で汚れている」

 

俺の言葉でその事を思い出したバラキエルは、俯いて微かに震える両掌をジッと見ている。恐らく今の彼は、今見えている自分の体全体に血が万遍なくこびり付いているだろう。

そしてその横では驚愕の表情で彼を見ている朱璃の姿がある。彼女も彼が堕天使だからそれなりに悪い事をしてきたとは予想はしていたのだろうが、これほどとは予想していなかったのだろう。だが、彼女の瞳には強い決意の炎が揺らめいていた。

ふむ、こっちは大丈夫だとすると残りはこっちだけだな。

 

「それでどうなんだ? お前は、例え今同僚であるアザゼルやシュムハザ達から追われることになって、そいつらを殺してでも彼女と一緒に居たいのか」

 

「………」

 

俺の質問に俯いたままのバラキエル。彼の隣の朱璃は彼を不安な表情で見ている。恐らくその不安は、『自分を選んでくれるのか?』といったものだろう。だが恐らくその心配は杞憂に終わる。なぜなら俺の知るバラキエルは、ドМでヘタレで変態だがちゃんと自分で一度決めたことは決して曲げない”強さ”を持っている。もしここのそれが無い状態で来ていたら、彼女の不安は的中してしまうが、俺がこの部屋に入った時彼の瞳にはちゃんとそれがあった。だから彼は彼女と一緒に居る事を選ぶだろう。

 

「私は……朱璃と一緒に居たい。例え夢幻と無限と敵対することになったとしても」

 

静かだが強い意志の乗った言葉でバラキエルはハッキリとそう言った。隣に居る朱璃はその言葉を聞いて感極まって泣きそうだ。

だがな、いくらなんでもその例えは飛躍し過ぎると思う。まあ場の雰囲気を読んで言わないが。

 

「分かった。お前達の覚悟はよく理解できた。じゃあやっと本題だ」

 

「今までのが本題ではなかったのですか?」

 

「今までのはバラキエルが事前にお前に言っておくことだ。本来ならそれらを事前に結婚相手に言っておいてから俺の所に来るんだが……バラキエルがサボったから長くなったんだよ」

 

言いながら睨みつけると、件のドМは居心地悪そうに俺から視線を逸らした。彼の横では朱璃が仕方のない人ね、と子供を叱る母親の様な感じで、頬に手を当ててあらあらと言いながらバラキエルを見ていた。

 

「さて姫島朱璃、お前に三つの選択肢を与える。一つ目は、このまま種族も寿命も変えないまま普通の人間としてバラキエルと違う種族、違う寿命で一緒に居る」

 

「それ以外の方法があるんですか?」

 

「取り敢えず黙って最後まで聞いてくれ。二つ目は、種族は変えずに寿命だけバラキエルと同じにして、バラキエルと同じ寿命、違う種族で一緒に居る。三つ目、種族を人間から堕天使にしてバラキエルと同じ種族、同じ寿命で一緒に居る。このどれかを選んでくれ」

 

「………」

 

俺の言葉に彼女は思案する。その横のバラキエルもこの問題だけは見守るしかない。彼としては三つ目、でなければ二つ目を選んでほしい所だろう。

 

「私は、この人と同じ種族で同じ時間を生きていきたいです」

 

それは三つ目を選ぶという事だ。

 

「今一度確認する。本当にその選択で後悔しないな」

 

「はい。私はこれからこの人をずっと支えていきたい。この人が今まで犯してきた罪を一緒に背負って、一緒に歳を取って、一緒に死にたいです。だから私を堕天使にしてください」

 

それは静かだがしっかりとした彼女の自分の気持ちの吐露だった。それを聞いて隣のバラキエルは感極まって泣きそうだ。

 

「分かった。準備はいいか?」

 

「……はい」

 

彼女が頷いたのを確認した俺は、指を一度鳴らした。

 

「⁉」

 

すると彼女の体が光輝いた。

一際輝いた後、徐々に光が弱まっていった。

光り輝くのが収まるとそこには先程までと見た目は(・・・・)なんら変わらない彼女がいた。

 

「成功……したんだよな?」

 

「今の彼女の気配を感じていても失敗したとでも?」

 

心配そうに聞いて来るバラキエルに向かって不敵に問いかけると、彼は静かに首を横に振った。

 

「違和感はないか?」

 

「背中の辺りに変な感覚が……」

 

「それは堕天使の翼が新たに生えたからだ。それ以外は?」

 

「特にはありません」

 

「それじゃあこれでお前も今日から堕天使だ」

 

「朱璃〰〰〰〰‼」

 

バラキエルがついに感極まって朱璃に抱き付いた。彼女も口では恥ずかしいとか言いながらも満更でもなさそうだ。

 

「そんじゃあバラキエル、お前はこれから朱璃が必要最低限の事を覚えるまで最低でも半年は自宅で書類仕事な」

 

「ああ」

 

「それと子供が生まれたら、その子供が15になるまで自宅で書類仕事ってのも分かってるな」

 

「勿論だ」

 

「あの……そんな事をして大丈夫なのでしょうか?」

 

まだこの組織を理解していない朱璃はそんな事を聞いてくるが、そこは無問題(モーマンタイ)。

『神の子を見張る者』に所属する者の大半が趣味に生きる自由人。

そもそもトップである総督があれなのだから、ちょっとくらいサボっても全く問題はない。だってあれはサボりまくってるし。

 

「ちゃんと朱璃ともしかしたら生まれてくるかもしれない子供に、最上級悪魔も倒せる護身術を教えておけよ」

 

「いや、最上級悪魔は俺でも厳しいからな⁉」

 

「それとこれをやる」

 

「無視かっ⁉」

 

バラキエルの叫びは無視して王の財宝(ゲート・オブ・バビロ)から台の上に横向きに撃勘んだフラスコを取り出し机の上に置く。

 

「これは?」

 

「『魔法球』だよ」

 

『『魔法球』?』

 

「その中は外と時間が隔離されていてな、こっちの一時間が中では三日になる」

 

『⁉』

 

俺の説明に二人は目を見開いた。

 

「ただし、これは一日に一回しか入れないのと、一回入ったら中で三日過ごすまで出られない」

 

「中に入っている最中にこれが壊れたら?」

 

「絶対に壊れない。それにこれには迎撃機能も付けているからな」

 

そう言いながら俺は『魔法球』に雷速でチョップした。だが俺のチョップは当たる数センチ前で、不可視のバリアに阻まれて『魔法球』まで届かなかった。それどころかそれから空気で出来た見えない刃、所謂鎌鼬が俺に向かって飛んできた。だが俺はそれを易々と手で弾く。

 

「とまあこんな感じだ。そんじゃ式の時は呼べよ」

 

「何から何まですまない。感謝する」

 

「色々とお世話になりました」

 

仲良く笑いながらこちらにお礼を言って来る二人を視界に収めた後、俺は今日一日色々とあったな~、と物思いに老けながら本家へ転移した。

 




実況通神での名前解説
アルビオン:白龍皇
ルシファー:傲 慢
レヴィアタン:嫉 妬
アスモデウス:色 欲
ベルゼブブ:暴 食
クエレブレ:黒龍皇
ラハム:蒼龍帝
レイナーレ:夕 麻
サンダルフォン:支配者
ライヴィス:女 神
玉藻:タマモ
その空間内に居るほぼ全員:約全員
といったところです。
次回は猫魈姉妹と木場にしようかと思っています。
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