科学力で神級ファンタジーに挑んで見ようぜ。 作:目力の強いコーラ
眠い。ただひたすらに眠い。どうなってんだ一体。別に夜更かしした覚えはない……というか待て、それ以前に俺は今、何処にいるんだ?
周りを確認してみる。
ふむふむ。なるほど。見事な森である。ジャングルと言う感じではなく、森。森林というのが正しいだろうか。
次に自分の姿を確認してみる。ほほう、どうやら人間であるのには変わらないらしい。異世界人になったから植物人間に! とか言うのはなさそうだ。
とりあえず、得る事の出来た"希望"とやらを確認してみるか。確かメタルギアとかアーマードコアとか願ったから、結構なアドバンテージが得られたんじゃないかな。
さて、早速使ってみよう! と、思った所で思い留まる。
ちょっと待ってくれ、どうやって"希望"は使えば良いんだ?
え、もしかしてこれ力は得たけれど使えませーん、とか、資格がありませーん、とか言うパターンか⁉︎ なんかキャロりんが好きそうなフレーズだな。
《一度、しかも数分程度しか会った事のない相手に言うようなセリフではありませんね》
突然、脳裏に声が響いた。
この声は……キャロルか⁉︎ 何故こんな所に⁉︎
《何故、とは滑稽な言葉ですね。貴方の意識を遮断する前に、言ったでしょう? 私達が貴方をサポートする、と》
確かに言っていたが……こんな感じだったのか? 俺の思い描いていたのはこう、現地にて情報収集したり、資金を稼いだり……そんな感じだと思っていたんだが。
《そんな事するはずないじゃーぁん! それじゃテストの意味なくなっちゃうよー⁉︎》
今度は主任、か。相変わらずハイテンションな奴だ。劇中での性格と全然変わらないな。
それよりも……テストとは一体、どう言う事だ?
間接的なサポートだと意味が無くなる……と言っていたが。金が沢山必要という事だろうか。
《それは違います、"種"。そもそも貴方には、金銭と言った物は必要がないのです》
なん、だと⁉︎ それはつまり、飯も買えない、武器も買えない、宿も取れないという事が、普通だという事か⁉︎
《その通りです。貴方にはそれを行う必要も、術もありません。何故ならそれらは、"創る"事が出来るのですから》
……はい? 今なんて言いました?
創れる、だって? それはつまり、武器も、食料も、宿ですら自分で用意できるって事か⁉︎
《だからそう言ってんじゃーん。言わなくても分かるだろぉ? "種"ぇ〜》
なんかイライラする言い方だな。流石は主任、警部隊長を笑いながら撃ち殺した精神は健在か。
話は戻るが、それなんてチート、という力ではないだろうか。自給自足なんてもんじゃないと思うんだが。衣食住が用意できるなんて、聞いていない。
というかそれを使えば伝説の装備とか作れちゃったりするんじゃないか? エクスカリなんとかとか、デュランん"ん"! とか。売り捌けばかなりの金が入る……
《面白い発想ですが、それは出来ません。貴方が出来るのはあくまで、兵器使用やそれに伴った状況作り、それの副産物的な意味合いでの"衣食住"の確保のみなのです》
ふむふむ、説明して貰ってて悪いんだけどさ、それ、よく分かんないだが。まあ大体サブ的な扱いで衣食住が確保出来るから必要ないね、って事でいいのか?
《……まあ、噛み砕いて言えばその通りです》
ふっふっふ、流石は俺。超天才的(笑)頭脳の持ち主だぜ。これなら一生遊んで行けるな。
《……そう、ですね》
少し引き気味に、キャロりんは答えた。
なんだよ、酷いじゃないか。そこは突っ込んでくれて良いのに。
まあそんな事はどうでもいい。今やるべき事をやろう。
俺はキャロりんに何をすればいいか聞いてみた。
《何をすればいい、と言われても、私には答える事は出来ません》
え、なんで? と言った疑問が出て来たが、出て来た瞬間にキャロりんは答えてくれた。
なんか、目的に応じて最初にする事は変わってくるらしい。例えると、将来就きたい職業ごとに、必要な技能は変わってくるよね! みたいな事らしい。
と言うわけで早速、自分の目的を考えてみようと思う!
まあこの世界の事知らないから、何をしたらいいか分からないんだけど。というかなんか別段やる事もない気がする……。
よし、じゃあ適当に思いついた事でも実行するか。最初は……うーん。あ、そうだ!
「……。……?」
家でも造るか! そう思い口に出してみようと試みたのだが……おかしい。声がでない。
何故だろうか、人間だから基本の顔パーツが揃っているはずなんだが……。口もあるはず……っていうかあるし! 口ちゃんとついてるし!
だとしたら、何故だろうか。声が出ないなんて、もしかして生まれつきの病気かなんかか? 声帯虫的な?
《それは違います。貴方に発声器官がないのです》
《ついでに言っちゃえば、他の器官もないよぉー!! ち◯ことか、消化器官とかさぁ!!》
キャロりんの説明に、ハイテンションな主任が補足した。
……ごめん、意味が分からない。俺、人間の筈なんだけど。
《貴方は何か勘違いしているようですね、"種"。そもそもの話、貴方は人間ではありません》
ぬ? という事はアレか? もんすたー、とか、マモーノ、とか言う奴なのか? それとも超振動で震える刀を振り回すサイボーグ忍者的な。アレ?
《そうではありません。今の貴方は、"生物という概念に縛られていない"のです》
……え? 生物じゃないだって? 何を言って……あ! 分かったぜ!
アレだろ、今の俺は機械人間だから、有機的じゃない、みたいな! 多分そうだな! ……あれ、でもだったら何でこんな人間ボディなんだ?
《随分と勘違いしているようですが、貴方が思い描いている事全てが間違っています》
う、うぜぇ! 全否定とか、流石の俺でも傷つくぞおい。まあいいけど。
で、茶番はここまでにしておいて、実際どういう事なの?
《……今の貴方に、それを質問する権限はありません、"種"》
《アハハッ、残念だったねぇ、"種"ぇ》
キャロりんは俺の質問には答えるつもりはないようだ。
……それにしても、なんか嫌な言葉だな、権限って。更にそれをイラつかせる言い方で言うなんて、キャロりんはどこの仕事人間だ、コンチクショウ。というか主任は便乗するな。
まあ、今はどうでもいいや。"今の俺"って事は、いつかは質問できるって事だろ? だったらいいや。
この話はなかった事にしよう。うん。俺のメンタル的に。
それより今は家だ、家。家を作ろう。
(なあキャロりん、家はどうやって作れば良いんだ?)
《そうですね、まずは家を造る場所を考えては? 地形によって住みやすさ、防御性能、他所への移動しやすさ、拡張性が関わって来ますので、非常に重要な選択です》
《キャロりんはこんな事言ってるけど、適当で良いんじゃない? ビビッと来た所にでも決めた方がいいと思うぜ》
二人が意見を言い合う。
まあ確かに、二人の言い分は最もだ。自分の住みたい所に住まないとストレス感じるだけだし、かと言って変な所選べば住みにくいだけだし……。
あ、そう言えば……。
……ふむ、だとしたら家造れる場所は限られてくるな。よし、それじゃ決ーめた。
俺が家を造るべき場所、それはあそこしかないよな。
(という訳で、ここに家を造るにしよう!)
理由は、歩き回るのが面倒だから。俺は面倒が嫌いなんだ。
それに、どうせ家は引っ越すもんだしな。最初はテキトーでいいんじゃないかと思う。
《なるほど、確かにその通りですね。人の心はいつの世も移り変わる……その性質を理解した上での選択ですか》
うーむ、なんか変な風に理解されてる気がするけど……ま、いいや。
とにかく今は家を作ろう。何度目か分からないけど、俺は家が作りたいんだ。
(と言うわけでキャロりん、家ってどうやって作ればいいの?)
《率直な質問ですね。ですが、お答えしましょう。拠点を造るにはまず、貴方の"スキル"を使用します》
(スキル?)
《コッチに来る前に欲しいものとか願っただろ? アレの事だよ》
ああ、アレか。使用方法不明の能力達の事ね。理解した。
と言うかアレが使えなくて最初困ってたんだけど。説明してくれるのか?
《ええ、勿論。出なければ、貴方など使い物になりませんから》
ぐッ、意外に(精神的)ダメージがデカイ…! これはもう、ダメかもしれない……。
まあ別にいいや。キャロりんの説明でも聞こう。
《……まず、"スキル"を使うには、この世界の魔素と呼ばれる物を巡らせて——》
(却下。他の方法で頼む)
なんだ、魔素って。意味分からねえぜ、誰がそんなファンタジーパワー使えるって言うんだ。少なくとも俺には無理だね。
《いいえ、貴方には出来ます。と言うよりも、出来ています。この瞬間にも》
前言撤回。
どうやら意図せずに魔素とやらを使ってたらしい。でも、どうやって?
キャロりんは答える。
《今の貴方の身体は、魔素で形を成しています。そして、その身体を維持するのにも、魔素を使用しているのです》
なんと。魔素とは元素みたいな物なのか、細胞を構成するなんかみたいなもんなのかな? まあ多分、魔物専用の有機元素みたいなもんだろう。字的に。
《正確には、この世界の魔のモノを構成する元素、です。"種"》
ほう、つまり魔素とは鋼にも生き物にも含まれる、って事だろうか。結構万能だな、魔素って。こんなスーパー元素が元の世界にあったら、どんな風になっていたんだろうか。
(……いや、考えなくとも分かるか)
どうせ、軍事利用されるのがオチである。
自国の防衛用に作った、戦争に使われる事を想定して無かったと言われるAKですら、一般的な兵器と化している。
それにゲームでも、医療用技術として注目された技術を、軍事転用している。
そんな人間達に、こんなスーパー元素を与えたらどうなるかなんて、考えるだけで恐怖してしまう。もしかしたらナウシカの、火の7日間とか起こってしまうかもしれない。
(っと話がそれた。で、最初に聞くがそれ以外の方法ってないのか?)
《はい、ありません。貴方のスキル、ひいては全てのスキルは魔素を使用しています。出なければ、魔法や能力強化など、行える筈がありません》
そのキャロりんに説明になるほど、と一人納得する。
確かにいきなり空中に炎がボンッ! とか水を相手目掛けてだゔぁああ!! なんて出来ないよな、原材料が無ければ。
それを解決するのが"魔素"って事か。万能元素だからこそどんな形にも変化できる。
なるほど、よく出来た世界である。結局何にしても対価が無ければ何にも使えないという訳か。
(なあキャロりん、魔素の貯蓄って出来るの?)
《ええ、勿論です。出なければ貴方が生存する事なんて出来ないでしょう》
(じゃあ限界値は?)
《人によって様々ですが、貴方は魔者とも人間とも違う身体、全てが高純度の魔素で構成されているのです。並以上の魔素の保有が可能です》
(へえ、凄いな。高純度の魔素、か)
……あれ?
俺の身体って魔素で構成されているんだよな? それってつまり、魔素を使えば身体の一部が多少なりとも無くなるって事じゃあ……?
《その通りです、"種"。流石に頭は回るようですね》
(いやいや、そんな事では騙されないって。それってつまりアレだろ、魔素貯蓄限界値ギリギリまで使ったら俺の存在消滅するって事だろ?)
《勿論です》
勿論です、じゃねえよ! やべえよマジで。力を使うたびに身体の一部が無くなるって、俺戦闘なんてしたらすぐガス欠で死ぬじゃん!
《いえ、その心配は余程の事がない限りありません。この世界の者達は皆、生きる為の分とは違う貯蓄場所があります。余剰貯蓄庫、と言ったところですね》
その説明で落ち着きを取り戻す。
あ、つまりアレか。
生命維持の方はレッドゾーンみたいな感じで、普段使うのがグリーンゾーン、つまりは余剰貯蓄庫とやらって事か。
それなら納得だ。だったら魔法バンバン撃っても倒れないのが納得出きる。良かった良かった。
というか軽く流したが、魔法である。魔法。マジックパワーである。超使ってみたいんだが、それ俺使えるんだろうか?
《その問いには、NOと答えさせていただきましょう》
(……え"。な、なんでぇ?)
《貴方の身体は魔法を使うまで適性がありません。正確に言えば、"魔法等の適性を殺して現在取得しているスキルの適性を上げた"、というのが正しいですね》
う、うむむ……。
納得できないが、仕方ないか。
現在の武器も碌に使えなきゃ、意味ないもんな。仕方ない。
それに俺、魔法なんて興味なかったし。べ、別に強がってなんかいないし!
(まあ、とりあえず魔素についてはわかった。それじゃあその魔素ってのはどうやって使えばいいんだ?)
《基本的には身体の中に巡る流れを感じて、それを制御する感覚です。身体の内側に流れる物をまずは感じてください》
ほほう、よくアニメにある、「感じるんじゃない、感じなさい!」って奴か。
っふ、ついに俺も二次元イベントが発生したか。
ならば! 早速やってみるとしよう。
身体の内側に流れる魔素を感じ取る。
身体の中を流れる水流のようなもの。ドクン、ドクンと流れている物を感じながら随伴していく。
胸から腕に、脚に、頭に。身体の各器官を巡っていき、そして最後に胸に戻ってくる。
そしてまた、新しい魔素が身体を巡っていく。巡る、戻る、巡る、戻る。これの繰り返し。
俺は悟りを開く。
そう、コレだ。これこそ、これこそが、魔素……
(じゃなくて"血流"じゃね?)
どうやら俺は血流しか認知できないらしい。無念。
余談ですが、AK(銃の事)は元々、自国防衛のために開発したと、開発者は語っています。結局、道具は使う人によって用途が変わって来るって事ですね。