科学力で神級ファンタジーに挑んで見ようぜ。 作:目力の強いコーラ
……え。マジでどうするよ、この状況。
こんなじゃ、すーぱーすきるを貰っても使えないじゃないですか。使用出来ませーん状態じゃん。
キャロりんのため息が聞こえてくる。
《……はぁ。どうやら失敗したようですね。仕方ありません、支援しましょう》
支援? 何をしてくれるんだ?
そう思った数刻後、思考がクリアになった。
なんだ? 何がどうなって……って、え? なんだこれ! 俺の腹ん中でなんかぐるぐる回ってるんだが⁉︎
その説明の通り、俺の腹の所でなにか、何かがぐるぐると渦を巻いていた。
え、マジでなんなの、これ?
《それが"魔素の流れ"です、"種"。その流れをコントロールしてみてください》
いやいやコントロールなんか出来るわけ……と思ったのも束の間、俺の身体を無造作に動いていた"流れ"はゆっくりになっていき、最終的に完全に止まった。
しかもそれを行なったのが自分だというのが驚きだ。何故出来たのだろうか?
《言ったでしょう? 私が貴方をサポートする、と。現在貴方の魔素循環や生命維持はこちらの方で九割以上を請け負っています。我々に感謝するのですね》
ああ、そうだったのか……。ありがとうな、キャロル。
《……! いえ…私は自分の仕事をしたまでです》
ふっ…そんなに謙遜する事もないさ、キャロりん。俺は感謝しているだからさ。
…それにしてもこの流れが止まっている時はなんだか……穏やかな気分になれるな……。なんでだろうか。
《恐らく、魔素の流れが抑えられた事で"抵抗"の役割が少なくなったからでしょう。今の貴方は所謂、低活動状態と言った所でしょうか》
ふむ……つまりは、低燃費モードって所か。基本的に生活する上ではコレで行こうかな。
ああ、そう言えば"抵抗"ってなんの抵抗の事だろうか。まあこんな時はキャロりんが教えてくれるんだが。
《まるで教えて貰って当たり前みたいな言い方ですね。生意気です》
……ほっとけ。
《抵抗とは、身体を巡る魔素が外部へと流れでないようにする為の、抵抗です。
貴方の身体は高純度の魔素で出来ています。身体の全て、が。
そこから溢れ出る物を"抵抗"によってシャットアウトし、"種"の魔素の無駄使いを避けているのです。》
……へえ。そりゃいい。日々の生活するだけで擦り減って行くのはごめん、だからな。
《まあ生命維持に魔素を消費しますから、ある意味擦り減っていますね》
……それでも消費が削減出来ているから、良いだろう。スキャンモードだと思えば良いんだ、思えば。
それよりも……いつもの状態に戻る事は出来ない…のか?
《それならば先程の要領でもう一度魔素を循環すれば大丈夫です。
この循環を速くすれば活発に、遅くすれば低消費になっていきます。コレは覚えておく事を推奨します》
キャロりんの説明通り、俺は魔素を循環するように力加減を変えて行く。
感覚としては身体に圧力、力を入れるのを緩めるような……そんな感じだ。蛇口を捻るみたいなもんだな。
ま、コレで魔素の循環もとい、制御は分かった。コレがどうなるとスキルを使えるようになるんだ?
《そうですね……まずは携帯端末を想像して見てください。どんなものでも結構です》
携帯端末……要はケータイだろ? だがそんな物を想像して何になるんだ?
まあ、とにかく指示通りに動いてみる事にする。
えーと、俺の持っているケータイって言えば……iPh◯ne5s、だな。俺のゲームが沢山入ってる愛機、持ってこれなかったのが残念だぜ!
なんて、思っていた時だった。それが現れたのは。
俺の愛機を想像すると、俺の手から光が溢れ出し、眩しく発光しだしたのだ。
これには流石の俺も目を瞑った……3秒だけ。
そう、3秒経ったら発光は収まっていたのだ。なんという閃光弾、モンハン並の継続力のなさである。
そして勝手に光っていた俺の手のひらを見るとそこには……スマホが握られていた。
え? って思ったね、俺は。
なんせスマホを思い描いたらいきなり手の中がピカーン! しだして、気付いたら手の中にそのスマホが握られていた。もう意味がわからないよ、ってか?
しかも光出した時に頭の中に、
《ユニークスキル『
なんて流れやがったんだ。
なんだ、『妄想者』って。喧嘩売ってんのか?
《随分と短気ですね、"種"。
このスキルは貴方の為にわざわざ取得させたものだと言うのに……。やはり人間は愚かですね》
お前もか、キャロりん。良い加減にしてくれ。
俺はナイフで刺されて、死んで、人間じゃないなんかに生まれ変わって、今ファンタジー的な事をやってんだ。これ以上俺を混乱させないでくれ。
まあ、別に良いんだけど。それよりもどう言う事だ? 俺の為のスキルを取得させたって。何の企みが……いや、一回考えてみよう。
俺は今、何をやっていた? スキルを使える為の訓練? みたいな奴だ。
次に、それはどんなものだった? 魔素を制御して、想像すると言うものだった。想像しろ、が意味分からんが。
じゃあ何故、スキルを使うには想像する必要があるのか。恐らく、イメージが必要なのだと思う。火の玉みたいな魔法を撃つのを考えると分かりやすいな。
俺たちが普段思い描くのは、鬼火みたいな片手で握れそうなサイズだ。だがもしかしたらそれは、銀弾みたいなちっこいやつかもしれないし、大玉転がしのアレくらいかもしれない。
ふむ、こう考えるとイメージというのは大切かもしれない。イメージしなければ、どんなサイズ、形になるかなど、全く想像・制御出来なくなってしまうのだから。
で、コレの考えを先程の訓練と照らし合わせると……スキルに大事なのは、イメージだという事が分かる。そして、そのスキルとは魔法みたいなもので、想像という不安定なものだという事も。
そして、先程わざわざ手に入れた『妄想者』。これは恐らくだが、字的に想像をしやすくするものなのではないだろうか。想像の上を行く、変態のみが取得できると言う"妄想"。その御業は、細部から細部に至るまで想像できるという……。
見たいな脳内設定を今作ってみたんだけど、どう?
意外に結構良い線いってるんじゃね? まあ適当だけど。
よし、本題に戻ろう。
恐らく、『妄想者』ってのは俺の想像力を向上、強化などをして、事細かく想像出来るようにするスキルなのだろう。まあスピードアップってのもあるかも知れないが。
どうだ? 当たりか?
《……ええ、概ね当たりです。しかし、驚きました。まさか貴方が、そういった事に気付けるなんて…》
よっしゃ! とりあえずは正解を引いたようだ。良かった良かった。
というかキャロりん、俺の評価低すぎではないだろうか? そこまでバカではないんだけど。
《ええ、そうですね。確かに貴方には、最低限の学力はあるようです》
(……言い方に少しトゲを感じるが、まあいい。それで次はどうすれば良いんだ?)
次にやる事を問うて見る。
実は俺、スキルってのが使いたくて堪らないんだ。この世界に舞い降りてから、ずっと。
それがやっと使えるようになるのだから、嬉しいったらありゃしない。
《本来は貴方の身体のみで行えるのですが……最初の内は少し簡略化して進めましょう。
その貴方の手の中にある携帯端末、その中に一通りのスキルがアプリとして入っています。中には制限がかかっているのが有りますが、普通の物ならば扱える筈です》
言われてスマホを起動してみると、確かに変なアプリが沢山入っていた。カメラとか天気とかの普通のアプリと同じくらいの数だ。多すぎはしないか?
そして、ゲームが入っていない。俺のライフラインであるゲームが入っていないのだ。しかもストアもないから追加も出来ない。無念なり。
まあ電波繋がっているか分かんないから出来ないかもだけど。というかぜってぇ出来ねぇ。
まあとりあえず、アプリを一つ起動してみるか。
俺は一番右上にあったアプリ『狭間扉』を起動した。
まずアプリを起動して最初に出た画面は、非常に簡素なものだった。
あるのは3つのボタンのみ。『召喚』『帰喚』『残高充填』の3つだ。背景には歯車のシルエットが描かれている。
まあ、何はともあれ使ってみよう。そう思い、『召喚』をタップした。
で、次の画面に出たわけだが……コレがまた、凄かったんだ。
なにせ召喚出来るのは、鳥や獣といったファンタジー系のみまらず、銃などの武器類から兵器、核兵器すら召喚可能で、もっと言うならば兵士も可能だった。
簡単に説明すれば、食料から軍事、人事に関して全てが召喚出来たんだ。
そして一番下の方に、こんな項目があった。
『拠点設営』
コレだけ聞けば、何の変哲も無いように見える。だが、問題はその後だ。
コレをタップし、さらに詳細を見ると、設置できる拠点は幾つかあった。
テントやキャンプといった、簡易的なものから一軒家やマンションといった市民的な物、更に凄い物だと豪邸なんてのがあった。
だが、その後は少し頂けない。なんでこんな所に、『軍事拠点』なんて項目があるんだよ。あと『軍事関連』って何だよ。
それぞれタップしてみると、以下のことが分かった。
・軍事拠点には、『監視所』『小規模基地』『大規模基地』『砦』『要塞』『移動要塞』等々、数えるときりが無いくらいの量があった。
因みに、この中で一番安いのは『監視所』だ。どうやらキャンプと高台、マシンガンと迫撃砲、トーチカがセットになった物らしい。なんかどっかのメタルギアで見たような構成だな。
・軍事拠点に人員はつかないらしい。注意事項に書いてあった。
・弾薬等も勝手には増えない。追加は自分で作るか他から取ってきてくれ、とのこと。
・『軍事関連』は『爆薬庫』とか、『監視衛星』とか、実に危なそうな物があった。関わりたくない。
・とにかく、『召喚』が出来そうなものはいっぱいあった。
って事が主に分かった。とりあえず、『軍事関連』だけには関わらない方がいいかもしれない。まあ、アーマードコアがあるから結局持っているみたいなもんだけど。
でもやっぱり、兵器って聞くと嫌煙になりがちなのが、日本人の性というものだ。やっぱり俺も、心の底ではACとかを使いたく無いのかもしれないな。
ま、別に今考える事ではないか。どうせファンタジー系だったら殺さなければ生きていけないし。襲われたら正当防衛だし。防衛手段がないよりはマシだろう。多分。
とりあえずキャンプを購入して設置を……と、思ったが、ここで俺は一つ、勘違いをしていた。それはつまり……
「誰がタダややるといったのだね? え"?」(妄想)
って事だ。
そう、これは『召喚』と言うより、『購入』と言う方が近いのだ。つまり、金がいる。まあ購入(仮)していれば購入している分は出し入れが出来るので、一概にショップとも言えないんだが。
しかし、俺には金がない。道具もない。何もない。つまり、ヒャッホーウ! 無人島生活ゥーー!! 状態って事だ。うん? 分からない? 大丈夫だ、俺も分かっていないから。
でも、ここで使われる対価ってのはありがたい事に、金でも金属類でもないらしい。かと言って肉でもないぞ。
で、実際にどんな対価が払われるのか、というものの答えだが……それは"魔素"だ。
先程俺が身体の中を循環させたアレ、アレがゴッソリ持ってかれるらしい。と言うか持ってかれた。なんかこう、一気に空腹感が来たみたいな、そんな感じだった。実際には違うんだけどね。
つまり、身体の一部を捧げよ、って事だ。どこの亡者プレイだよ。
で、使った魔素の回復なんだけど……なんと! 出来ません。まあいつでも出来る、と言う意味でだけれどもね。
キャロりんによると、
《魔素の回復は、空気中に漂う空中魔素の吸収によって自動的に行われています。魔素がない、少ない場合は魔物を食す事などで回復が行えます》
と言う事だった。つまり空中魔素少なかったら魔素含んだ生物食え! って事だ。
というか魔物いたんだな。どんなのがいるんだ?
って言ったらキャロりん、そのくらい傭兵なのだから自分で調べては? って言ってきた。いやそもそも俺傭兵じゃないし。それに普通情報ってクライアントから貰うもんだと思うんだが……。
と言うわけで、魔素はゴッソリ持ってかれた、現在は空気中から魔素を吸収してるぜ、って事。キャロりんは今のまんまだとあと3時間は掛かると言っていた。結構長いな。
ま、その間は何もやる事はないので、キャンプの中で昼寝でもするとしますかね。丁度睡魔も襲ってきた事だし。
俺はキャンプの扉を開けて中に入った。
更新事項
・スマートフォンを召喚した。
・キャンプを購入した。
・体内魔素が8/10(4000)になった。