科学力で神級ファンタジーに挑んで見ようぜ。 作:目力の強いコーラ
ぱちぱち、ばちばちと燃えるような音が響く、赤い大地の森林。その所々には、地面が抉れている場所があったり、大木が中ほどからボッキリ折られていたりと、この悲惨な光景は遠目でも分かる。
更にこの焼けた大地には、場違いな物があった。いや、この光景と照らし合わせると、案外そうでもないのかもしれないが。
それは、死体だった。千切れた腕やそこら中に落ちている豚の生首。身体の中心から抉れている人体であっただろう何か。そんな物で、この焼けた大地は汚い装飾がなされて居た。
そんな場所を、一人で歩く少年がいた。
身長約180cmの高身長で、彼の着るオーバーコートの上からでもはっきりと分かる、がっしりとした肉体。
黒髪に紅みが混じった瞳の日本人のような顔立ちで、街を歩けばそれは10人中8人は振り向くであろう美貌であった。
服装はジャージの上にオーバーコート、ブーツ、ソフトハットと一部異常なものが混じっているが、オーバーコートを締めればその姿は中々様になっている。
その少年は、周りの光景を横目で見つめつつ、歩く。その表情に吐き気や怒りと言ったものは見られない。こんな地獄絵図を見ても、少年はビクともしなかった。だが、それ故に、異常でもあった。
少年は、笑っていた。この光景を見て、ただただ笑っていた。日本人ならば堪らず吐いてしまうような、この地獄絵図の中を、嬉々として歩いていたのだ。
そんな異常な感性の持ち主には仕事と、目的があった。
それは、この場でやるべき事であり、早急に行わなければならない事。少しでも遅れれば、手遅れになってしまうだろう。
少年はその足取りをあるものの目の前で止める。その瞳はソレを射抜いており、口元は三日月型に歪んでいた。
そして、ソレの頭を思いっきり、殴った。手で、ではない。その手にはアサルトライフルが握られており、ソレには銃床の方が向けられていた。
つまり、殴ったのだ。その木製の堅い物体で、頭部を。
殴る方は軽く打ち付けるだけで特に何も無かったが、殴られた物はたまったもんじゃない。少しばかりの質量だが、それはスピードが乗れば威力は何乗にもなる。ある程度の力があればダメージは相当な物となるだろう。
この行動をトリガーに森がザワザワと騒めき始める。
それらの音を立てていたのは、黒い覆面を被った謎の集団だった。男、女、子供。兵士に、纏まりはないようだった。
彼らが今行なっているのは大きく分けて三つ。
一つは焼け焦げた大地の消火活動。その手には火炎放射器……を改造した、消火器が握られていた。
火炎放射器を扱った事のある者が先導して消火活動に当たっていた。今まで焼く事が仕事だったのに、予想外な出来事だらけだぜ、なんて軽愚痴を叩く者もいた。
彼らの活躍により、消火活動自体はものの数十分で終わった。焼畑みたいな状態になってしまったが、それは仕方のない事だろう。せめて植林活動位はやる事を誓って欲しいものだ。
消火活動を終えた者たちは、他の者たちの手伝いへと向かった。時間は有限なのである。
2つ目は、先ほど行われた戦車隊による爆撃によって戦死した敵兵の処分。
ここに向かってきた
まあ死亡していると言う事は、脅威が去ったと言う事だから、確かの手柄なのだが、それ故に面倒ごとでもある。
なにせ、死体の処分は此方でやらねばならないのだ。そしてその数、多くて5万。此方の兵士は多くて300。最大で一人100体は片付けなくてはならない数だ。
しかし、それでも他の仕事があるものもいる。人員はここに最大数配置したが、それでも他に回さねばならないから、結局1人100以上を片付けねばならない。
この仕事が何気、一番大変だったりする。
3つ目は、
惨敗兵である
だが、彼らの息は既に上がっている。瀕死状態である。
ならば、いくら
だから彼らは、生き残った兵士を見つけては、銃床で殴っているのだ。殺すのは簡単だが、それでは面白くない。そう言った自らの主の命令通りに。
そもそも、何故惨敗兵を捜索するのが目的なのか。それは彼らの主である"種"に、ある考えがあったからに他ならない。
そして、その"種"の目的とは……
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「グ、ググガ……? ここは、一体……?」
左右前後に鉄の棒が張り巡らされ、上下には黒い鉄製の板の箱の中で、1匹の
身体は2mに届くかぐらいの大柄で、その手には禍々しい装飾が為された一振りの槍が握られている。
彼は考える。何故自分がこんな場所にいるのか。そもそも自分は今まで、ジュラの大森林を進軍していたはず……。
そして自分達はどうなり、部下達がどうなってしまったか。
それだけを思い出しただけで、
たかたか、と外の方から足音が聞こえて来る。ふと其方を見てみるとそこには、一人の人間がいた。
此方の方へ向かって歩いてきているようである。恐らく、自分達のほぼ全てを壊滅までに追い詰め、
ああ、こんな檻などすぐ破壊して、奴を食い殺してやろう。そんな考えが頭に過ぎった。
見た所、近づいてきている人間は自分よりもひ弱そうで、自分が殴るだけで折れてしまいそうな、そんな人間。
しかし、この人間を襲って逃げよう、なんて考えは実際には実行出来なかった。時間が経つにつれ、明らかに大き過ぎる
そして、少年が
今自分の目の前にいる人物は、自分よりも明らかに格上の存在だと言うことを。
「グググ……お前、何者だ? その
目の前の人間いや、人間の皮を被ったナニカに問いかける。
別に彼は、何か考えがあって言ったわけではない。確かに情報を得る事も出来るのだろうが、そんな気は既に、彼の妖気に触れてしまってからは皆無だった。
少年は肩を竦めて答える。だがその口は、一切動いていなかった。
『俺が何者か、だって? そんなのは俺も知りたいさ』
「……なに?」
『俺は自分自身が何者かなんては、ぜんッぜん分からないんだ。
だからいつも思っているよ、なんで俺はこんな所でサバイバルをやって、軍まで作って、多種族を殺しているんだろう、ってな』
「……」
『でも、だからこそ俺は、それを続けるよ。
確かに自分が何者なのかとか疑問はあるけれど、それは後でも出来る事だ。だから俺は、その後でも出来る事をやる為に、生きる。生きる為に、疑問を抱きながらも、必死に頑張る。
そして生きて、疑問を解決していく。俺には、自分が何者なのかというのを、知る必要があると思うんだ』
何の事を言っているのか、正直分からなかった。
だがその言葉に、
確かに自分も、自分が何者で、何をしたいかなんて、今まで考えて居なかった。
自分達は
そして、自分自身に対する、疑問も無かった。何故自分は
そして、自分の目的も、無かった。自分はただ、
自分自身が何者で、何で産まれて、何が目的なのか。確かに自分はそれを知らないし、疑問にも思わなかった。
だが目の前の存在は、それを疑問に思って、思いながらも自分の目的の為に、生きている。種族の為じゃなくて、自分の為に。
自分と目の前の存在は、確かに似ている。でも、自分とは決定的に違う、何かを持っている。
自分は、いや、『私』は、それを知りたい。知って、知って、この自分の中にある何かを、解明したい。私は、自分の為に、生きてみたい!
ふと、ある考えが頭に浮かんだ。もしかして、自分は
その考えに至ると、彼の行動は早かった。手に持つ槍をへし折って、少年に頭を下げた。
土下座をされた少年は、少し困り気味だった。
「…グググ……新たなる主、よ。俺をいや、私を、貴方様に、仕えさせてください」
その言葉に少年は驚いたような身振りをした。片腕を腹の前に、片腕を斜め後ろにして半歩下がったような格好。感情表現が出来ない少年の、作られたオーバーリアクションであった。
『ほう、俺に仕えたい、と。俺たちを襲撃しようとしていた割に、すごい決断力だな?』
「……グググ…それは…」
『まあ、良いだろう。俺もお前が欲しかった所なんだ。
それでお前、名前はなんと言う?』
リアクションとは打って変わって強気に仕える事を許可する少年。その言葉に
そして少年に聞かれた名前だが、素直に"ない"と言った。
少年はまたしても困ったような顔をする。
『そうか……名前がないのか。それは不便ではないのか?』
「…グググ……そんなことは、ない。私達に名前は、欲しいけども、必要ない」
『欲しい……? そうか、欲しいのか。ならば俺がお前に名前をつけてやろう』
「……⁉︎」
目の前の相手は、襲撃した自分の事を受け入れるだけでは無く、名前までくださると言う。こんな事は無いだろうと思っていた彼にとって、今回の出来事はかなり印象的なようだ。
『そうだな、それじゃあ……それじゃあ今日からお前の名前は、"トンカ"だ!』
「……!!」
そして、トンカの身体が黄色いオーラに包まれる。光は数秒の間続き、晴れるとそこには、先ほどのような
そう、これは正史には無かった、もう一つの可能性の未来。あったかもしれない、もう一つのアナザーストーリー。
正史では語られる事の無かった、もう一人の元
更新事項
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さて、主人公は口が使えないのに何故喋れたのか。それは次回までお楽しみください。