日光農民リベリオン LEGEND OF THE TAKEYARI MASTER   作:kadochika

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天之岩戸

 城下町からその光景を目撃したのは、ランサーたちだった。

 禍々しく黒い大地を覆い隠していた雪が急速に溶け去るように、突如として巨大な城が、天を衝く漆黒の肉柱へと変貌してゆく。

 正確には、黒く巨大で、ねじれた円錐。

 そのねじれのひだの間に、血の色をした魚卵を思わせる無数の真っ赤な目が配列されている。

 

「魔神柱だと……!?」

「マスターたちは、まだ中か……!?」

「何というおぞましさか!

 そして我らがマスターを人質に取るとは何という卑劣さか!!

 おのれ下品なヤマブドウゥ!!!」

 

 先行した二騎に追いついてきたレオニダス一世は、怒りに拳を震わせたかと思うと、魔神柱に向かって駆け出してしまった。

 

「あ、オイ危ねぇ――」

「むぁだむぁだァァァァァ!!!!!?」

 

 彼は早くも魔神柱に反撃を受け、魔力の爆撃で遠距離から蹴散らされている。

 

「御子……我らが現界を維持できているということは、マスターは無事なのだと思われますが……」

「そうだな……だがこいつぁ、ハサンたちと相談した方が良さそうだ。闇雲に宝具をぶち当てて倒せるデカさじゃねぇ」

「はッ」

 

 二騎はレオニダス一世を魔神柱から引き離し、百の貌のハサンとの合流を目指した。

 

 

 

                                CONNECTING...

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 カルデアのサーヴァントたちは、マスターの指揮の下、今まで幾つもの魔神柱を破壊してきた。

 だが、マスターも含め、その内側に飲み込まれたのは、これが初めてかもしれない。

 通信機のステータス表示を似た見ながら、ぐだ子はうなった。

 

「……カルデアとの通信は切れちゃったみたい」

 

 魔神柱が顕現して5分と経っていないが、状況は大きく変わっている。

 まずは、床が崩壊した。

 城の最上階近くにいた一行はそのまま落下し、ぐだ子はマシュにかばわれて事なきを得た。

 そして現在、内部は中空になっていたらしく、彼女たちが今まで見てきた魔神柱の表面と同じ多数の目の列が、今は彼女たちの周囲360度を囲んでいる。

 つまり、今までの魔神柱も巨大な刃物でさばいてみれば、表面と同じ状態が内側にも広がっていたということか。

 もっとも魔神柱にも個体差はあるようなので、これがマレファルとかいう第六位の個体の特徴なのかもしれないが。

 ちなみに、前後左右と上空は全て、顕現した魔神柱によって覆われている。

 玉藻の前が呪術で明かりを提供してくれていなければ、危なかっただろう。

 

「拒否されているのか、巧妙に隠されているのかは分かりませんが……

 聖杯には接続できませんでした」

 

 天草が、自分の右手を見下ろしながら無念をにじませる。

 

「そっか……何なんだろ、ここ」

 

 呟くと、マシュが瓦礫の中からゲオルギウスを救助しつつ答えた。

 

「私たちが今までいた城が、魔神柱に変化してしまったことは間違いないようです」

「みなさん、ご無事で何より」

 

 城の入口付近でメフィストフェレスとの戦闘を任せた彼は、そのまま崩れ落ちた内部構造の下敷きになったのだろう。

 それでも健在なのは、さすが殉教者のサーヴァントと言ったところだ。

 彼との決着はつかなかったらしく、別の場所から勢い良くメフィストフェレスが飛び出してきた。

 周囲を見回して、さもつまらなさそうにぼやく。

 

「いやぁ信長様、変わり果てましたねぃ……どこが首かわからないと爆弾の仕掛けようがない!」

「メッフィーは割りと正気? だったの?」

 

 尋ねると、珍しく訝しげな表情をして、メフィストフェレス。

 

「いやぁ~? わたくし? 爆弾師として喚ばれていたようですが?

 今はもう、上様がこんな調子? だから? そんなの理由吹っ飛んじゃいましたけどねあはは!」

 

 ほとんど素に見えたのだが、あれでも聖杯による役割配置が及んでいたらしい。

 更に、別の場所でも瓦礫を排除して這い上がってくる者がいた。

 

「トナカイ、状況を教えてくれ」

「痛って……助かったぜ、サンタさん」

 

 聖剣で瓦礫を押しのけて出てきたのは、サンタオルタだった。

 身体のそこかしこに微細な切り傷が出来ており、今は両儀式に肩を貸している。

 メフィストフェレスがこちらに危害を加えようとしていない以上、彼女も同様だろう。

 ぐだ子が声を掛けると、式は目をそらして口をとがらせた。

 

「サンタオルタ、お疲れ様。式さんも……両儀組プレイはもう終わってるよね?」

「うるせーな、思い出させるなよ……」

 

 ひとまず城にいた面々については、信長以外は揃ったことになる。

 

 

 安否確認の次の課題は、この中から脱出して、カルデアとの連絡を復旧することだろうか。

 

「しかしまあ何と言いますか……攻撃してくる気配がないのはいいんですけど、コーンな目玉に四方八方から睨まれてると思うと気が滅入りますね……」

 

 呪術で光源を維持している玉藻の前が、不安げに呟く。

 そう、本来であれば、この赤い無数の視線は危険なのだ。

 魔力の爆発や焼却式といった広範囲に渡る対軍宝具級の威力を連発するため、人知を超えた力を持つサーヴァントたちといえども、対処は容易ではない。

 天草が竹槍で小さく肩を叩きながら、所感を口にする。

 

「依然として攻撃してこない理由は、何なのでしょうね。

 信長公が聖杯に侵入されて変化したものだということに、関係があるのでしょうか」

「ノッブの意識がまだ残ってるから、私たちを攻撃してこない、とか……?」

 

 沖田が推測すると、更に新たな声がそれを否定する。

 

「外部のランサーたちは攻撃されております、主殿」

 

 それは百の貌のハサン――の、分体の一人だった。

 面をかぶった黒装束ということ以外にあまり目立った特徴のない、ザイードと呼ばれる人格だったか。

 

「百貌ちゃん、お疲れ様。外のこと分かるの?」

「お恥ずかしながら、外に人格の大半を残したまま分断されてしまいまして……

 ただ繋がりは残っているようなので、このまま連絡役としてはお役に立てるかと。

 ランサーたちは魔力の爆撃で、攻めあぐねている模様です。宝具による攻撃を続けてはいるのですが、いかんせん、質量が違いすぎる」

 

 彼の報告でしびれを切らしたか、サンタオルタが剣を構えて唸る。

 よく見るとプレゼント袋を失っているのは、式との戦闘か、城の崩壊によるものか。

 

「もういいだろう。聖剣の全力で吹き飛ばす。下がっていろチビッ子たち!!」

「先輩、サンタオルタさんがブチ切れモードです!」

「みんなマシュの盾の後ろに!」

約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガーン)!!!」

 

 真名の開放とともに反転した極光が解き放たれた、その瞬間。

 何と魔神柱の内壁は、それを全て吸収してしまった。

 

「!?」

 

 スポンジに水を吸わせるように飲み込まれた対軍宝具の威力を見て、全員が戦慄した。

 

「そんな魔神柱アリ……!?」

「何と……」

 

 天草もさすがに驚いたようだったが、それでも冷静に考察するのは、彼も一つの軍勢の指導者だった経験からくる態度か。

 

「……第六位のマレファルという悪魔、伝承によれば、盗賊と縁の深い存在だということです。

 それが、かつて第六天魔王を自称した彼女を核にすることで、従来の魔神柱にない特異性を帯びたということでしょうか」

「72本もあるとなれば、中には変わり種もおろう。

 あるいは、拙者らにことごとく破れ、対抗するためにそろもんが新たな芸でも教えたということか――」

 

 彼の考察に小次郎が続くと、それを遮ってハサンが報告する。

 

「主殿、ランサーたちは一旦距離を取ったようです」

「しゃあないね……」

「外部の我々も、危険なので合流して下がりました。

 魔神柱の攻撃は、現在止んでいます」

 

 すると。

 

「!?」

 

 外に力を向ける必要がなくなったためか、魔神柱は内部の彼らに、糸のような触手を無数に伸ばし始めた。

 先端の平たくなった黒い肉の鞭が、サーヴァントたちとそのマスターを襲う。

 それがどのような役割を持つのかは、素人に毛が生えた程度の魔術知識しか持たないぐだ子でも、容易に察しがついた。

 

「フォウ!! フォウ!!」

「先輩、やはり魔神柱は魔力を吸い取るつもりのようです、私たちから!」

 

 フォウ君をかばいつつ重盾を振り回し、マシュが叫ぶ。

 サーヴァントたちの霊基を分解し、魔力にして取り込むつもりなのだ。

 みなそれぞれ武器などを使用して触手を排除しながらも、事態に戸惑う。

 

「ノッブ!? ちょっとどこ触ってんですか!?」

「ななななな、なんと破廉恥なっ!? いやん!?

 ていうか何か死ぬほどヌルヌルしてるんですけどこの触手っ!?」

「おぉ、これは眼福――ではなかった、玉藻殿!」

 

 式によってナイフを首筋に当てられそうになる前に、小次郎が提案する。

 

「一か八か、先ほどのあれを今一度、頼めまいか!」

「う、仕方ありませんね、やってみましょう!

 えー、ここは我が国、神の国……」

 

 仲間のサーヴァントたちの協力で触手から守られて、再び玉藻の前の宝具が発動する。

 魂と生命を賦活する、太陽の恵みをもたらす鏡。

 魔神柱によって閉鎖されている暗所であっても、玉藻の前自身が、太陽の申し子のような存在なのだ。

 

水天(すいてん)日光(にっこう)天照(あまてらす)八野(やの)鎮石(しずいし)!」

 

 サーヴァントとなって大幅に魔力や霊格が落ちているとしても、それは確かに、岩戸から(おもて)を覗かせた太陽の女神の光だった。

 そして、その輝きを浴びた者にもたらされる奇跡。霊基が活性化し、力がみなぎる。

 だが、それ以上に、小次郎と天草の持っていた竹槍に、顕著な異変が起きていた。

 

「来たか……!」

 

 二人は伸び始めた竹槍を足元に刺すと、そこを離れた。

 宝具の光を浴びた竹は、今度は伸びるだけでなく、節からは細い枝、土の下には地下茎を伸ばし始めたようだった。

 植物の常識を無視して、竹槍から地下に伸びた茎は次々に分岐し、放射状に広がった地下茎からは若芽――すなわち竹の子が生え、あっという間に青竹へと成長してゆく。

 もはや玉藻の前の宝具とは無関係に、竹は増えて、地響きを立てながら高く伸びてゆく。

 サーヴァントたちの背丈などとうに追い越し、魔神柱の内側に満ちてゆく。

 プラントオパールを豊富に含む鋭い竹の葉は、魔神柱の触手すらたやすく切り刻む。

 しかしそれでも、彼らを押しつぶされないように配慮しているというのか。

 あくまで竹は、ぐだ子たちを避けて伸びているようだった。

 

「フォウ!? フォウ!?」

「先輩、これって……どういう状況なんでしょうか?」

「分からない……でも触手は竹が邪魔でこっちまで来れないみたいだね」

 

 二人の姉妹が小さな種を庭に植え、ユーモラスな森の妖精たちと共に念じて踊る。

 するとそれは何の作用かめきめきと成長・肥大化し、ついには見上げるような巨大な大木になってしまう。

 小次郎と天草の竹槍が魔神柱の内部を覆い尽くす様子は、まさにそんな名画のワンシーンを思わせた。

 このまま竹林の異常な成長が続くと、魔神柱はどうなるのだろうか?

 その勢いに恐怖を覚えたか、魔神柱マレファルは焼却式の詠唱を開始した。

 

――産まれ、増え、地に満ちる。あるいは乳海よりのパーリジャータ。またあるいは巨人を穿つ宿り木。おお葦原よ、考える小さき群よ。汝ら永らえる()かれ。焼却式、マレファル――

 

 発動する炎の災厄に、全員が激しいダメージを覚悟する。

 

「先輩……!」

 

 しかし謎の竹林は、魔神柱の焼却式さえ相殺してしまった。

 正確には、急速に群生を始めた竹がサーヴァントたちのバリアとなって焼かれたが、すぐに再生しているのだ。

 

「えぇ……ホントにござるか……」

 

 小次郎のそのセリフも、もはや恐怖相半ばといったところか。

 大地の下からせり上がってくる、青々とした無数の、人類の友人たち。

 武器になり、水筒になり、筏になり、その用途は枚挙にいとまがない。

 そして、ついに魔神柱は負けた。

 内側から膨れ上がる大量の竹の質量に耐えきれず、外皮が裂けたのだ。

 

――卦体。怪奇。崩壊……

 

 果たしてそれが致命傷になったか、魔神柱マレファルは黒い灰となって、特異点から消滅した。

 遠くから見れば、赤い目玉の並んだ黒い肉の円錐が、膨れ上がって破裂したように見えただろう。

 その竹林の中から、呆気にとられたマスターとサーヴァントたちたちが抜け出してきて。

 

「うわぁ……」

 

 離れて見れば見るほど、それは“青竹を使って魔神柱を作ってみた”とでも表現できそうな外見だった。

 元は小次郎と天草が携えていた竹槍だったものが、いまやあのような巨大な竹林となり、ねじれた円錐状の集合体になっている。

 通信機にカルデアからの着信が来たので、ぐだ子は応答した。

 

『もしもしぐだ子ちゃん!?』

「もしもし、ロマン? 今一区切りしたところ」

『あぁ、良かったよ……まぁ、魔神柱とはいえ一柱だけなら、そこまで絶望的でもないとは思ってたんだけど』

 

 変則的な出現をしたので全滅の可能性もあったことを伝えようかとも思ったが、細かい報告はカルデアに戻ってからでも構わないだろう。

 今は、サーヴァントたちの安否確認が先だ。

 マシュ、佐々木小次郎、天草四郎、サンタオルタ、百の貌のハサン、メフィストフェレス、ゲオルギウス、両儀式、玉藻の前、沖田総司。サーヴァントではないが、もちろんフォウ君も。

 外で戦っていたクー・フーリン、レオニダス一世、ディルムッドも合流した。

 道中で敵対したため排除せざるを得なかった者たちを除けば、全員が健在だった。

 竹の葉まみれになっていた小次郎が、着物からそれらを払い落としながら竹林を見上げる。

 

「いやはや。竹に感謝、だな。

 とはいえ、こんなよく分からぬ手段であの肉柱を倒してしまって、よかったのでござろうかな?」

「自分の宝具でこうなっただけに、やっぱり気持ち良く納得はできませんねぇ……」

 

 おどける小次郎とは対象的に、玉藻の前の表情は複雑だった。

 二人とはまた異なり、天草はやたらと清々しげだ。

 

「佐々木殿と玉藻殿のお手柄でしょう。我々が持っていたのが他の木だったら、こうはならなかった気がします」

『そんな神話か大魔術みたいなことが起きてたとはね……

 まぁ、全ては特異点が捻じ曲げられた反動が、君たちに味方してくれたってことで、説明はつきそうな気がする。

 日本組の話を聞くに、竹っていうのは民衆の反抗の象徴っていう側面もあったようだからね』

「それと、個人的には、信長公と聖杯がどうなったかが気になるのですが……」

「彼女は……まずはカルデアに戻ってきてないかを確認しないとね。

 ただ、聖杯が絡んでるから、最悪の事態は――」

 

 魔神柱マレファルは、聖杯が信長の身体の中に入り込んで、強引に変化させたようにも思えた。

 それが竹によって粉砕されてしまったのならば、残念ではあるが――ロマンはそう言いたいのだろう。

 その時、沖田の悲鳴のような声が聞こえた。

 

「だ、誰か! これ、見てください!!」

 

 竹林に再び分け入っていたらしい彼女は、そこから何か、大きなものを両手で引きずり出していた。

 一抱え以上もありそうな巨大な竹の節だ。

 サーヴァントたちが彼女の元に集まってみると、その中には何と、聖杯を握った信長が納められていた。

 聖杯が柔らかく光を発しており、その様子はまるで――

 

「信長公がかぐや姫のようですね……」

 

 日本出身のサーヴァントは全員がそう思っていたその意見を、天草が実際に口にする。

 魔人アーチャーは、先ほどまでの魔神柱との戦闘など無かったかのように寝息を立てていた。

 

『魔神柱を内側から破裂させるだけじゃなくて、核にされてたサーヴァントと聖杯まで分離して、守ってくれていたのか……

 何ていうかありがたいけど、めちゃくちゃな奇跡だね……

 とりあえず、勝手に信長の中に入っていったっていうその聖杯は、もう一度厳重に検査して――』

「息災のようだな。どれ」 

 

 そこに、小次郎が手を伸ばして軽く頬を叩く。

 

「んが。ハッ!?」

 

 全員が見守る中、聖杯を握ったまま巨大な竹の断面から飛び出して、信長は周囲を見回す。

 沖田が安堵したように、帽子の上から彼女の頭を掴んで左右に揺らした。

 

「ノッブ、目が覚めたんですねノッブ! 頭は冷えましたか!」

「むむ、わしは一体……何か聖杯が勝手に懐に潜り込んだ気がするのじゃが……

 ていうかぐだぐだクリスマスはどうなったんじゃ」

「ややこしい名前のロリっ子に取られたじゃないですか」

「そういえば……そうじゃったな……仕方ない……ソバとみかんと餅でも買って、寝正月にするかのう……」

 

 肩を落としてうつむく彼女を、沖田は肩をたたいて慰めているようだった。

 

「フォウ!」

 

 フォウ君の鳴き声に振り向いてみれば、視界に移るそこかしこで、瓦礫の城下町や竹林が少しずつ分解され、天へと昇っていくのが分かる。

 

『聖杯を通して現出した魔神柱が破壊されて、特異点が形状を保てなくなったんだ。

 みんな、その下野国はもう何日も持たない。早めに霊体化して、マスターとともにカルデアに帰還してくれ』

「そうじゃ!」

 

 急に声に張りを取り戻した信長が、代わって答えた。

 

「こうしてはおれん! おき太! 今からでも遅くはない、あの謎の白ロリからイベントを奪い返すんじゃ!!」

「なんか前にも同じようなことして槍衾(やりぶすま)にされたような記憶が――」

「えぇいやかましい! そうと決まればさっさと帰るぞマスター! 茶器を集めてガチャを引くのじゃ!」

「やらせんぞぐだぐだ大名め……!」

 

 逃げる信長、剣を振りかざして追うサンタオルタ。

 

「あぁ……信長さんはこういうキャラでしたね……」

 

 それを半ば呆れつつ見守る、サーヴァントたち。

 

「それじゃあロマン、レイシフトアウトのナビゲート、よろしくね」

『あぁ、お疲れ様! あぁそうだ、朗報なんだけど……

 今日は俵藤太が夕飯を作ってくれるって――』

「ぃやったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

「先輩、嬉しい気持ちは分かるのですが、地面に転がってのたうち回る姿は苦しんでいるようにしか見えません!」

 

 そして、彼女たちはカルデアに帰還した。

 これは人理継続保証事業における、極めて非公式な幕間の記録である。 

 

 

 

 

 

<完>




ここまでお付き合い頂き本当にありがとうございました。
以下簡単に解説などしようと思いますが、まず、簡易召喚サークルを通ってやってくるサーヴァントたち、簡易召喚の詠唱などといった設定は完全な捏造です。
ストーリーに登場するサーヴァント以外で、実際にパーティに組み込まれて戦闘している面子についてを解釈したものです。
「特異点による役者としての召喚」という独自設定は、周回用クエストでサーヴァントたちが妙な名前で敵として登場する点、また洞窟でマルタさんたちが女子会してたりマタ・ハリさんが何の説明もなく酒場の女将をやってたりという点を解釈したものです。
登場するサーヴァントは、主に日本出身を鬼ヶ島で出番が用意されていた面子を除いて(小次郎とかいますが)ピックアップ。
また、下敷きというかモチーフにしたのが「いっき」というレトロゲームで、アーケード版には敵キャラとして忍者や鉄砲隊、幽霊や猪、爆弾屋などが存在します。
それぞれシャドウサーヴァント、ビリーとアン&メアリー、ゴーストに魔猪とメッフィーを割り振り、ゴーストと魔猪を出すならレオニダスとディルムッドも、ついでにネロ祭り2までろくな出番のなかったプロト兄貴もと登場キャラを増やしていきました。
最初はもう少し「いっき」のシステムを反映して巻物を取ったら敵が全滅、とか鎌を投げてアーチャーにもなりたいでござるといいだす小次郎とかやろうとしてたのですが、そこら辺は竹槍と玉藻ちゃんを閉じこめていた檻くらいしかオマージュできず……
かぼちゃ村終了から少しして、同じレトロゲームということで2週間位で急いで書いたのですが2代目クリスマスの告知には間に合わなかったのが残念でなりません。
あらためまして、お付き合い頂きありがとうございました。
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