ぐれほわSHARK・T   作:GREATWHITE

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ルートT 一章 絢辻 詞とは

有人が夕方の教室で黒い手帳を拾う数週間前の朝のHR―

 

「・・・というわけで・・創設祭の実行委員に立候補する・・してくれる人、いる?」

 

2-A担任高橋麻耶は吉備東高創設祭の一通りの簡潔な説明を述べた後、教室を無言で見回しながら徐々に表情が曇る。

 

「・・・いないの?」

 

残念そうな顔をしながらもどこか「まぁそうよね」というような諦めに近い笑顔で眉をしかめていた。気まずい沈黙が苦手であり、そして厳しいが生徒受けは良い人気教師―高橋の困り顔につられた少女―棚町 薫が手をあげようとするが絶妙のタイミングで国枝が目で制止する。

 

「・・!」

 

「何よ・・誰もいないんじゃ仕方ないじゃない」

 

挙げかけた手を下ろしながら棚町は小声で国枝に文句を言う。しかし切り返した国枝の言い分はもっともだった。

 

「・・お前もそんな暇じゃないだろが。第一安請け合いして半端にしたら苦労すんのは結局センセーだぞ」

 

「う~・・解ってるけどさぁ」

 

窘められて棚町は両腕を組み、どうにか手をあげる衝動を抑えようとしたが、足をぶらつかせてイライラした。

 

「・・」

 

国枝はほっとする。バイトと学校と実行委員のかけもちではさすがの体力バカの彼女でもキツイ。それと同時にそのフォローに走る自分の苦労を回避できた安堵もある。

 

・・実はそれこそが国枝の本音だったりするが。

 

「・・」

 

そんな国枝をじとりと棚町は見て・・

 

「ねぇ・・あんたサ?ひょっとしてアタシを締め出して自分がラクになりたいだけなんじゃあ・・」

 

「ぎっくぅう!ま、まっさかぁ!!」

 

「黒」枝 直衛、棚町 薫の盤外の一手に明確にキョドる。

 

「・・わっかりやすいキョドり方してんじゃないわよ」

 

その時間以降、国枝は授業中ひたすら背後から消しゴムのカスを「何者か」から、投げ続けられるという虐めを受けた。投げつけられた消しカスを集めて休憩時間中に律儀に捨てに行く彼の後ろ姿はクラスメイトの哀愁を誘ったという。

 

無数の消しカス一粒一粒をつまんで回収しながら国枝は自分の席の斜め前、箒頭の親友に話しかける。

 

「・・有人。お前は?」

 

「・・・俺?」

 

「うん。お前なら皆ついていくと思うけど?」

 

「・・・うーん。ゴメン。俺は遠慮したいな。自信が無いよ」

 

「・・そ」

 

「直も忙しいしね・・」

 

 

 

「あの・・もし、誰もやらないのでしたら、私がやりましょうか?」

 

 

 

「・・・!?」

 

 

 

有人と国枝のやり取りの中、唐突に声が上がる。当初クラス全員が耳を疑った。何故なら彼女をクラスの全員が内心実行委員の候補から「外して」いたからだ。

その声をあげたのは「現」クラス委員長の少女―絢辻 詞である。

 

「いいの・・絢辻さん?実質クラス委員長とのかけもちになるんだけど・・」

 

「クラス委員の仕事自体は馴れましたし、これからどんどん少なくなると思うので大丈夫です。高橋先生。やらせて下さい」

 

「すまないわね・・助かるわ。でも・・無理しないようにね?他の皆も絢辻さんをフォローしてあげてね。いい?」

 

「・・至らぬ点も多いと思いますが、一生懸命頑張ります。よろしくお願いします」

 

恭しく少女は頭を下げる。

 

ここまで優等生然としているとある意味、要らぬやっかみや「調子に乗ってんじゃない?」などの理不尽な感情を持つ輩が出てきてもおかしくないのだが、彼女の日頃の行いと積み重ねてきた信頼と実績が勝っていた。

 

さらにそんな妙な対抗意識が芽生えないほどこの学校の創設祭の実行委員の仕事を引き受けるという事は生易しいものではない。学校だけでなく地域総出で行うこの行事は校内の生徒、そしてその家族、教師は元より、地元住民、企業との連携、はたまた出資を行う吉備東市との交渉など多くのタスクが課せられる。体力、度胸、器量、人望も必要な大役である。それを知るとなかなか手など挙がるものじゃない。

 

クラス委員が絢辻の時点でこのクラスには最早立候補する者など居ないのではないかと踏んでいた彼らには驚きと安堵、そして共に少し申し訳なさが残った。

それ故に理不尽な感情はおろか、クラスの幾人かが「自分の出来る事をしなければ」という協力意識が芽生えたことも事実である。意外な人物の立候補はクラスの連帯感を高めた。

 

「よっし!皆?絢辻さんに拍手~!」

 

梅原がその音頭をとる。皆異論は無い。拍手は上がる。自分を取り囲む嘘偽りのない拍手に流石の絢辻も照れ臭そうだった。そんなクラス内のやり取りを有人たちは眺めながら―

 

「流石だね。絢辻さん」

 

「ああ・・安心だわ。・・俺達も手伝わないとな」

 

「あーあ・・残念ねぇ~。私も創設祭の実行委員に一回はなってみたかったのに」

 

「あー絢辻さんが実行委員になってくれて本っっっ当に嬉しいなー?ゆーと?」

 

「うん。全くだね。直」

 

「この幼馴染コンビ・・・!!アタシの話を聞きなさいよ・・!」

 

その日、棚町薫の筆記用具からは完全に消しゴムという物体が消えたと言う。そして何故か彼女の親友K子も隣の席の子から消しゴムを借りる光景が目撃された。

 

放課後購買にて。

 

「すいませーん。これ下さい」

 

「はいはい。あらK子ちゃん。お買い物?」

 

「うん・・これお願いします」

 

「はいはい。ん・・消しゴム・・?」

 

吉備東高購買のおばちゃんは怪訝な顔になった。購買のおばちゃん、律子さんは生徒の顔や名前をちゃんと覚える気のいいおばちゃん。生徒が無駄な物を買おうとしたりするとさりげなく注意とかもしてくれる購買のおばちゃんの鑑と言える存在だ。

彼女の記憶が確かならばこの少女K子、田中 K子は先日まだ消しゴムを買ったばかり。そして・・おばちゃんの見立てからするとこの田中 K子という少女は今時の子にしては物もちのいい「自分の持ち物を大切にするコ」という印象を持っている。

 

「あっはは。消しゴム無くしちゃって・・」

 

眉をひそめて田中はテヘへと笑う。

 

「あら・・そう?・・珍しい。はい!50円ね」

 

「ありがとう。じゃあさよなら」

 

「はい!さよなら。気をつけてね。いつもありがとね」

 

そう言って気のいいおばちゃんは何時ものように田中を見送る。

 

―あの子・・ひょっとして虐められてるのかしら・・。ああ心配だわ、しんぱい、シンパイ。

 

・・おばさんにその要らぬ心配をかけさせた張本人も三分後、能天気に消しゴムを買いに来た。

 

「あら薫ちゃん。久しぶり」

 

「はぁ~い!ひっさしぶりぃ!おばさん。消しゴムちょーだい♪」

 

「はい。50円ね」

 

「てーんきゅ!」

 

「相変わらずよく買いに来るわね。薫ちゃんは。また無くしたの?」

 

「違うわよ!今日は・・『真っ当な理由』で無くなったんだから!」

 

「ほう。そうかね」

 

「・・・二個もね」

 

「・・え?なんだい?最近耳が遠くてね」

 

「何でも無い。じゃまったね♪律子さん」

 

 

 

 

 

数日後―

 

 

「ごめんね~源君」

 

「いいですよこれぐらい。高橋先生」

 

1F 職員室前廊下―

 

有人は大量の書類を両手に抱えたままそう言った。2-A担任教師である高橋 麻耶は日誌と教材一式を小脇に抱えながらすまなさそうに笑った。

 

「はぁ・・」

 

ここ最近彼女は有人の前でこういう表情をすることが多い。一生徒の有人が言うのもなんだが「悩み多きお年頃」なのだろう。

 

「・・先生最近お疲れです?」

 

「う・・生徒に心配されていちゃあザマ無いわねぇ」

 

「やっぱり・・創設祭の用意大変なんですか?」

 

「うーん。まぁね・・。一見華やかなイベントなんだけどやっぱり市とか、地元業者とか関わる範囲が広いと自然面倒も多くなるのよ。・・ま。そのおかげでこのイベントって他の学校じゃ考えられない位大規模なものになっているから必ずしも悪い事ばかりじゃないんだけどね」

 

「・・はぁ」

 

「あ~~ごっめん。生徒にグチっちゃった・・」

 

「はは。いいですよ。聞かなかった事にしますんで」

 

「ふふ。ありがと」

 

「次の中間の現代文の出題範囲さえ俺にこっそり教えてくれれば・・」

 

高橋の出す現代文の試験問題は中々に意表を突いてくる場合が多い。平均点のコントロールは中々絶妙だ。ちゃんと勉強をした人間としなかった人間との差が大いに出る良い問題が多い。

 

「・・黒いわよ。源君。・・・ところで、話は変わるんだけどね源君?」

 

「はい?」

 

「源君は・・創設祭の実行委員とかしようとか思わないの?」

 

「俺が、ですか?いえ・・特には」

 

「そう?正直・・源君とか国枝君、梅原君達が手伝ってくれると私は嬉しいんだけどな。目立たない所でいつも2-Aのクラスを支えてくれている感じがするから。貴方達」

 

「・・買いかぶりです」

 

「正直これ以上、絢辻さんだけに負担かけるのも悪い気がしてね・・国枝君は予備校、梅原君はご実家のお寿司屋のお手伝いがあるし・・源君ならひょっとしたらって私は思っているのだけど」

 

「俺は・・」

 

その有人の言葉の続きを新しく現れた声が遮った。

 

 

「あ、高橋先生!」

 

 

「ん?ああ・・絢辻さん?」

 

「ようやく見つけましたよ。先生」

 

長く美しい髪を揺らしつつ、トタトタと絢辻は二人に駆け寄った。その両手には何か資料らしきものを抱えている。現在の有人には劣るが結構な大荷物だ。

 

「探してくれていたの?ごめんなさいね。次の時間の配布資料が多くて困ってる所にたまたますれ違った源君に手伝ってもらっていたのよ」

 

「そうだったんですか。源君?御苦労さま」

 

「ううん」

 

―・・こちらこそいいタイミングで現れてくれました。

 

「で、・・・絢辻さんは私に何か御用かしら?」

 

「はい。先日の各部活の備品申請の資料と、委員会の活動記録と予定表、後こっちは業者名簿と連絡先をまとめた資料の件で報告と相談、確認事項が二、三あります。ここに纏めましたのでお手すきの際に確認をお願いします」

 

どすん、と音が鳴りそうなほどの大量の手元の資料を惜しげもなく絢辻は高橋に手渡す。

 

「????」

 

有人は目を丸くした。

 

「・・え?まさか『もう』終ったの!?」

 

高橋も目を丸くした。

 

「はい」

 

事も無げに絢辻は言った。彼女は元々目が丸い。

 

「そ、そう・・解ったわ。ありがとう絢辻さん。いずれ手伝いに行こうと思っていたのに結局手伝えなくて御免なさい・・」

 

「いえ・・先生が事前に纏めてくれてなかったらここまでスムーズには行かなかったと思いますよ?」

 

大人のカオをちゃんと立てる女子高生。オトナだ。

 

「そ、そうかしら・・」

 

「そうですよ。こんな事で自信無くさないで下さい。・・・・あ、じゃあ、すいません。確かにお渡ししましたので私はこれで・・源君もまたね?」

 

「うん・・」

 

「ええ。確かに受け取りました。・・本当に有難うね?御苦労様でした。絢辻さん」

 

「いえ。どういたしまして。・・では失礼します」

 

伏せ目がちにぺこりとお辞儀して彼女は去っていった。明らかに「まだやる事がある」という歩調で軽快に。残された高橋と有人の時はやや放心状態で止まっていた。

数秒後、未だに絢辻が去って言った方向を二人は向いたまま―

 

「・・・。で。高橋先生、それは・・?」

 

絢辻から高橋に手渡された資料について、とりあえずやや放心状態の隣の高橋に有人は尋ねてみる。自分が理解できるかは別として大いに気にはなった。

 

「・・正直私も内容完全に把握出来ているとは言い難いんだけど・・とにかく『うざった~い』『めんどくさ~い』作業を『延え~ん』要求される資料・・と、だけ言っておくわ・・」

 

「解りやすい説明です。流石現代文教師・・」

 

「・・ありがとう。でもねコレ・・はっきり言ってこの仕事振られた時、振って来た教頭に殺意を持ったぐらいなの・・」

 

人を二、三人は殺した眼で高橋はどんよりと手元の資料を見る。ほんの少し目を通した程度で高橋はまるで目の前の現実を認めたくないように瞳を閉じ、小さな声で「ふぅ・・完璧くさいわ」と、呟いた。

 

「・・げ」

 

「少なくとも一週間。いえ・・十日はかかると踏んでいたわ・・絢辻さんに渡した―

 

・・あの四日前までは」

 

「・・・!はい!?」

 

「ふふ・・なんかもう疲れちゃったな~~?私って何なの?生きてるって何・・?はぁ・・田舎に帰ろうかしら・・って、ここが私の地元だっけ・・?生まれも育ちも生粋の吉備東ッ子だっけ私?あらやだ・・・うふっ・・うふふふふ」

 

高橋の眼は先程までの殺人者の目から打って変わって、死んでいる。

 

「・・・。あの~高橋先生?」

 

「ん・・?」

 

「俺・・『要ります』?」

 

「・・正直・・私も『要る』のかな?って感じだわ」

 

「・・行きましょう先生。次の授業に遅れます」

 

少し気の毒そうな苦笑いで有人は担任高橋に微笑んだ。

 

「そうね。ごめんなさい。・・私も頑張らないとね」

 

 

十歳以上年上で教師という職業に就き、社会的に自立した大人の女性をこれ程までに自信喪失させる女子高生も珍しい。有人は十歳以上年上の落ち込む女性を宥めながら絢辻が去っていった方向をもう一度見る。

 

「・・・」

 

絢辻 詞

 

今でも十分過ぎる程の信頼と実績を保持しながらも、それに驕ることなく常に前を見据えて進んでいる少女。彼女の行く先に何があるのか、彼女が聡明なあの頭脳で何を考え、あの澄んだ水晶のような瞳で何を求め、見据えているのか―?

 

有人は純粋に気になった。

 

 

 

 

放課後―

 

 

 

2-A教室にて

 

 

「それじゃあ私はこれで。・・ごめんなさい。急かすような形になっちゃって」

 

「いーのいーの。絢辻さん。こちらこそ提出遅れちゃってすまねっす」

 

「うん。じゃあまた明日ね梅原君。さようなら」

 

梅原は何時にも増して表情を緩め、鼻の下を伸ばしたまま上機嫌で去っていく絢辻を見送る。提出が遅れていた進路希望用紙を放課後にわざわざ回収しに来てくれた絢辻の気遣いに彼は終始ご満悦な様子だった。

 

「・・はぁ~絢辻さんはやっぱいいねぇ♪優しいし、可愛いし、気が利くし。成績優秀、容姿端麗、品行方正、長くサラサラな黒髪に、透き通るような眼と白い肌!くぅ~っ!!あれぞ今は絶滅危惧種とされている『大和撫子』と呼ばずに何と言おうか!ねぇ?杉内君!御崎君!!君達もそう思うだろう!?んっ?んんっ!?」

 

「・・なげーよ。ウメハラ。もうちょっと纏めて」

 

「ダメだよ!梅原君。あんまり絢辻さんに迷惑かけちゃ。ただでさえ忙しそうなのに」

 

うんざりする杉内とあくまで見た目に反した大人な反応をする御崎。

 

「いいじゃねっかよ~今時あんな子いないぜ~?可愛くて頭いいのに全然嫌味や皮肉なトコが無くて評判もいいしよ?」

 

「まぁそれに関しては解る。・・見習わせたい相手がいるね」

 

先日、杉内君は水泳部更衣室裏で嫌な出来事がありました。嫌味と皮肉の塊のような「あの」少女を思い出すのです。

 

「おまけに浮いた噂も無いと来てる。あんだけ可愛けりゃ一つや二つそういう話があるもんだけど絢辻さんにはそれがねぇからな」

 

「へぇ・・梅原君の情報網でも掴めないんだ?絢辻さんのそういう話」

 

「つまり、だ・・!誰にでもチャンスはあるってこった・・・!」

 

「・・そこが罠だと思うな。手を出しにくい―つまり盗られる心配が無いからこそ『高嶺の花』として神格化しちゃう人が多そう・・」

 

「・・・。そうなんだよな。いざ自分が絢辻さんと付き合っているトコ想像すると・・う~~ん」

 

「まったく・・志の低い野郎どもだな!そんな弱気でど~すん・・、・・う~~ん」

 

絢辻 詞―華麗なるスペック。(当社比)

 

賢い。

吉備東高校二年生、試験成績ベスト10常連。恐らく全国でもトップクラスに入る。成績は確実に上。

 

可愛い。

華奢だが丸みが全くない訳ではない女の子らしい体形。顔立ちもアクなく整った美人。艶と光沢のある長い黒髪はまさしく梅原が言う「大和撫子」と呼ぶに相応しい高貴さを誇る。

 

優しい。

教え上手。世話上手。包容力もある。つまり全てにおいて劣っている自分(男側)を責めない=男共はさらに空しくなる。

 

以上、劣等感の塊になる事は否めない。

 

「・・・」

 

三者は無言になった。

 

 

「・・・で、でもさ?絢辻さんって結構謎が多いよね。普段何しているか、とか・・学校じゃ何時も皆が周りに居るけど・・特定の友達と一緒に居るっていうイメージ無いし」

 

気を取り直して御崎が話題を切りかえる。

 

「そういやそだな。家族とかも・・一体どんな人達なんだろ?絢辻さんの家族か・・さぞかし凄い一家なんだろうな」

 

「ふむ・・家族構成は俺の『梅原メモ』によりやすと・・両親に・・姉一人、だ、そうだ」

 

「あ、そうなんだ。お姉さんいるんだ?ふ~~ん♪」

 

三人の姉がいる御崎は嬉しそうに言った。高嶺の花の少女に対するちょっとした親近感♪うふ~♪

 

「・・ふーん。ん・・!?ちょっと待てやウメハラ。おっ前・・絢辻さんの家族構成まで知ってんのか?・・うわ怖っ。一体どうやって・・」

 

「ちっちっちっ・・みなまで言うな。そこを知るにはペイが発生するぜ杉内君?ま。独自のルートがあるんだよ。んふふふふふふふ・・」

 

「・・成程。ストーカーだね」

 

「だな」

 

「・・・俺じゃねぇからな?」

 

「消されないように注意しなよ?梅原君。何事も知りすぎた人間って目障りだから」

 

「月夜ばかりと思うなよ?」

 

「・・・」

 

―人のネタを散々話のタネにしておきながらなんて言い草でぇコイツら・・。

 

 

 

 

「でも絢辻さんのお姉さんかぁ・・」

 

― 一姉より綺麗かな?

 

「何せ『あの』絢辻さんのお姉さんだからな・・さぞ美人で出来る人だろうなぁ・・」

 

―ふ。かといって俺は響姉一筋だけどな!

 

杉内、御崎両名は「姉属性」である。この手の話には敏感に反応する。

ただ杉内に関しては数ヵ月後の「彼の状況」を鑑みてこの台詞と考えると、今の内に存在を抹消しておきたい奴もでかねんレベルではある。

 

「まぁ・・絢辻さんは徒歩通学で家はそんなに遠くないはずだから・・ひょっとしたら案外俺達もすれ違っていたりするかもなぁ・・」

 

―・・「在る日、俺は街角でとある美女と知り合い仲良くなる・・が、その人は何と絢辻さんの姉だった!妹と姉の間で揺れる俺・・次回。衝撃の展開!!!!」。ってか~~?

く~っなんて展開だよ!!!滾るぜ!!

 

三人は無言で絢辻の姉の姿を想像、妄想、暴走する。

国枝、そして有人両名の貴重なツッコミ役不在時の彼らを止めるものは現状無い。

 

 

 

 

 

 

 

―ツッコミてぇ・・・。

 

唐突に有人はそう思った。目の前の奇妙な光景に異を唱えずにはいられない。

夕刻―

 

吉備東の河川敷は中々に景色がいい。

 

その日は彼のお気に入りの自転車で走るには季節も、光景も、時間帯も、天気も申し分のない日のはずだった。快適で風流な「サイクリングやっほ~♪」のはずであった。しかし、今日目に映ったあまりにも奇異な光景に彼の気分は台無しにされた。

 

河川敷高架下周辺の草むら―

 

わんわん!きゃんきゃん!

 

そこに居るのはどうやら中型犬、ゴールデンレトリーバーと戯れている一人の姿。字面から見れば、どこにでも在る様なありふれた、しかしとても微笑ましい光景のはず。

だが・・有人の眼に映った光景は絶賛ツッコミ受付中だった。

 

―なんでだよ。

 

ただ本当にツッコんでいいものなのか・・明らかに犬の挙動がおかしい。そしてその飼い主らしき人間も・・。

 

・・・!・・・♪・・!?・・・・!!!

 

子供が幼さゆえに犬に対して間違った行為を行っているのであれば注意して方向を修正してやるのは容易だし、それぐらいは年長の人間がやるべき義務だとは思っている。

 

しかし、今目の前で犬を羽交い絞めにしているのは明らかに大人の女性であり、その足元には苦しそうにもがく犬、さらに何故か大量のペットボトル。と、この世のものとは思えない奇妙な光景である。

万が一何らかの「儀式」であるのならば有人には完全な専門外、範疇外、別世界である。下手に注意でもして

 

・・邪魔したわね?・・アナタを呪うわ―

 

と、でも言われたら怖い。

 

見て見ぬふりをして去ってもよかったのだがうっかり一瞬犬に目を合わしてしまった。

「たたた助けて~」と、その眼は言っている。

 

―どうする?どうするよ俺?→「続く」・・って、ドラマとかじゃなるとこだけど・・、ダメだな。次話まであの犬が生きている保証が無いや。・・仕方ない。

 

有人は意を決する。

 

「あのう・・」

 

「よーしよし。イイ飲みっぷりね!もっと飲んでいいわよ?」

 

有人の声は届かず、未だ犬に対する女性の謎のパワハラは続く。だが思った以上に無邪気な声。どうやら怪しい黒魔術やら儀式の類とかでは無さそうだ。

 

―っていうか・・どういう安心だ。コレ。

 

「すいません」

 

「ごーごー!どんどん飲んでね~っ」

 

「・・」

 

―よ、よしなさい。いずれ貴方の犬は違う所に「GO」してしまうぞ?

 

「すごいすごい!じゃあもう一本!」

 

無邪気なその台詞からは殺意をまるで感じないが、彼女の行動は間違いなく犬を殺しにかかっている。次の一本がトドメになるやもしれん。

 

「あの!」

 

語気を強めた有人の言葉は漸く彼女の耳に届いたようだ。

 

「え?」

 

女性は振り返った。行動と口調のギャップがあまりにも激しいその女性の顔を見るのはさすがに勇気がいった。更に予想を上回るルックス・・もしくは実は「ホントは男でした!」的などんでん返しでもあれば即逃げ出すレベルだろう。

・・だがその衝撃によって恐らくはさすがに一瞬は固まる。その隙をつかれて捕まえられでもしたら・・「『アッ!』の世」逝きである。

 

しかし・・有人は別の意味で固まった。

 

―・・あ。

 

 

「・・ん?ああ。こんにちは」

 

 

振りかえった女性は髭どころかニキビ、シミ一つ、そして化粧っ気すらない。

 

「んん~~?」

 

怪訝そうに覗きこむような顔で未だ固まった有人を見る。

 

・・分類するなら間違いなく美人の部類だ。それも・・とびっきりの。

 

女性の伸びきった長い手足は季節柄、露出は無い。だが全体的に細みの服はスタイルの良さを隠さない。腰まである長い黒髪は毛先までちゃんとケアが行き届き、美しい艶がある。

顔立ちも端正だ。美しいが同時、華美すぎない柔らかい印象をまあるい瞳とまあるく曲がった眉から感じる。

 

「え~っと・・もしもし?」

 

「・・あ。す、すいません!」

 

―すっごい綺麗な人だな・・。

 

思ったより衝撃は大きかったらしい。「ホントは男」だった場合よりも恐らく有人の総硬直時間は長かっただろう。こんな美人がお相手なら是非とも「『アッ!』の世」逝きにして貰いたい物である。

 

「もっしも~~しっ?君・・私に何か用なのかな?」

 

「あ。はい。その・・・ん・・?」

 

く~~ん

 

有人が女性に用向きを伝える前にサッと犬が有人側に避難した。

 

「あら?」

 

「おっと」

 

キューンと鼻をすりよせ、不安そうな上目遣いで犬は有人を見る。この行動で犬の本意が解らない人間はいない―

 

「あら・・?何か君の事を怖がっているみたいね?」

 

・・いたようだ。何故にそう見えるのだろうか。最早現実逃避レベルのポジティブシンキングである。

 

「いや・・これ恐らく飼い主さんを怖がっているんじゃないかと」

 

「『飼い主さん』?私の事?この子はウチの子じゃないわよ?」

 

「えぇ~~!?そ、そうなんですか!?」

 

衝撃的事実。この犬種、人懐っこさ、今有人にぴったりと寄り添ってうるうる見つめてくる犬のこの人慣れしている感じ・・この犬は恐らく野良では無いだろう。

 

―どこの家の犬か解らない犬にこの仕打ち・・!?

 

ツッコミたかったのは確かだがこの女性、彼が叩けば叩くほどツッコミどころが出てくる。

逆に犯罪臭はどんどん薄れていって肩透かしになっていった。

とりあえず本題に入る。このままでは話が進まないと有人は判断した。

 

「あんまり水を飲まされたもんで怖がってるんですよ。このペットボトルの中身・・全部飲ませたとしたらそりゃあ脅えたくなるのも解ります・・」

 

「あ、そうなの?ハァハァ言ってるから喉が渇いてるのかと思っちゃった。色々飲ませてあげても未だに収まらないから相当喉渇いてるんだろうな~って思って。だからいっぱい買ってきて飲ませちゃった・・」

 

―・・「飲ませちゃった」じゃない。貴方が無理矢理「飲ませてた」んですよ。

 

「・・犬が舌を出してるのは・・確か体温調節の為ですからね」

 

脅えの抜けきらない足元に寄り添った犬の喉を有人が両手でゆっくりと撫でてやる。すると徐々に犬は目を細めてリラックスし始めた。その犬の様子に女性は感動したように「お~っ」と目を輝かせ―

 

「へぇ・・!そうなんだ」

 

と、微笑んだ。

 

「それに・・あんまり甘い飲み物は飲ませない方がいいらしいですよ。犬や猫も虫歯になるらしいですから」

 

そう。この女性、犬に「水分を採らせる」というお題目のもとに多種多様なジュースを持ってきていたのだ。飲ませる予定だった予備群には糖分が多量に入った清涼飲料水は元より、なんと炭酸飲料もあった。・・危なかった。犬には少々刺激が強すぎるだろう。

 

「ふーん。詳しいんだね!何か犬博士・・いえ、通訳さんみたい!じゃあ通訳さん?この子が何を飲みたがっているか聞いてみてくれない?」

 

有人の話を聞いていたのかこの女は。

 

「・・もう飲ませちゃだめですよ」

 

明らかに年上の女性に困った顔をして子供を諭すような苦笑いで有人はその女性を見た。

これはもう「ダメな物はダメ」とはっきり言った方がいい。シンプルイズベストだ。

―物事とは出来る限り単純にすべきである―

ありがとう。アインシュタイン先生。貴方はいい言葉を後世に残してくれました。

 

「ん~?そうなんだ・・やっぱりちゃんと喋ってくれないと、良く解らないわよね。ありがとうね!さっすが犬の通訳さん!」

 

そう言って女性は予想される年齢と見た目に不相応なほど幼く微笑む。

 

「・・ははは。じゃ、俺はこれで・・。ほら・・もうお前もお帰り」

 

お座りをしたまま犬は有人を見上げて上機嫌そうに舌を出す。その額に一瞬手をポンとのせて有人が女性に背を向けた時だった。

 

 

「・・何してるの?」

 

 

背を向けた女性の方向から声がした。ただその声は「女性」では無い。まだ「女の子」の声だった。それも有人が何処かで確実に聞いた事のある声である。

 

「え・・?」

 

「ん・・・?あら!『つかさ』ちゃんおかえり~」

 

「・・?」

 

―『つかさ』?

 

有人には聞きなれない名前である。当然だ。彼女を名前で呼ぶ人間は彼の交友関係の中では現状存在しない。その名前に反射的に彼女を表す記号として即直結する人間は中々居ないだろう。

だが彼女の声に機械的、反射的に反応はできる。その聞き覚えのある声を耳ではっきりと聞き取り、脳に直結して情報を伝達、記憶のファイルを開いて先に有人の中で結論を出していた。

しかし、聞こえてきた異質な「つかさ」という単語に邪魔をされる。理不尽なセリフで有人の心象を言い換えるなら

 

―「つかさ」?おいおい違うだろ。彼女は・・・

 

 

「絢辻さん」

 

 

だろ?

 

 

 

 

 

 

「・・あ、絢辻さん?」

 

「え・・・みなも、と君?」

 

女性の後ろに少女―絢辻 詞が立っていた。河川敷の砂利を踏みわけ、絢辻が女性の横に並ぶと今更に気付く。雰囲気が全く異なるので連想する事も難しかったが今なら解る。

この女性があまりにも有人には聞きなれない固有名詞を発した訳も全て納得、合点がいった。艶やかな髪質、血色のいい肌、端正な顔立ち、そして水晶のような透き通った漆黒の瞳―誰もがうらやむそれを共有した二人の女性の姿が在った。

 

「つかさちゃん?丁度いい所に!紹介するわ。この人は通訳さんです!」

 

・・説明としては色々と足りない物が多すぎる女性の台詞が沈黙していた二人の空気を破った。

 

「・・通訳?」

 

「貴方は黙ってなさい。話がややこしくなるから。」と言いたそうな表情をして絢辻は女性をちらりと一瞬だけ見、すぐ目を切って今度は有人を見る。

 

「あの・・源君・・その」

 

「あ・・ひょっとして絢辻さんのお姉さん?」

 

「あ・・うん」

 

絢辻にしては珍しく、ハッキリとしない返事である。「・・解っちゃったか」とでも言いたげな少し残念そうな表情を浮かべて。隣でニコニコしている姉とは対称的な複雑な妹の表情であった。

 

「ん~もしかしてつかさちゃんと通訳さんって・・お知り合いなの?」

 

絢辻の姉である事が判明した女性が、妹と判明した絢辻の無言の圧力を全く以て無視し、会話に割り込んできた。森島はるか並みの空気ブレイカ―である。

 

「・・うん」

 

「ええそうなんです」

 

何処となく歯切れと、居心地が悪そうな絢辻に変わって有人は自分から話を進め、さっさと切り上げようとした。絢辻はいきなり自分の姉が自分のクラスメイトに何かやらかしたのではないかと不安になっているのだろう。タダでさえあんなフリーダムな事をしている姉なのだ。絢辻の不安も解らないではない。

 

「なーんだ。そうだったのね。早く言ってくれたらよかったのに」

 

「・・・」

 

―ははは・・。・・ま。いいや。

 

 

 

「じゃあ改めて・・俺は源っていいます。妹さんとはクラスメイトで、ほんっとうに色々お世話になっているんです」

 

これは本当の事だ。親切でもおべっかでもない本音である。

 

「へ~そうなんだぁ。み、なもと君・・、ね?私はつかさちゃんの姉の縁(ゆかり)です。こちらこそ改めてはじめまして~♪」

 

「はい。・・絢辻さん?」

 

形式通り絢辻の姉―縁に挨拶を済ませた後、有人は未だ言葉に窮している妹―絢辻に語りかける。

 

「・・何?」

 

姉とクラスメイトの自己紹介をやや不安げに見守っていた妹に有人は何時もの笑顔で笑いかける。

 

「絢辻さんのお姉さんがコイツと遊んでるのを見ててさ。すごく楽しそうだったから一緒に混ぜてもらってたってワケだよ」

 

未だ有人の足もとで行儀よく座っていた犬が微笑むように舌を出して今度は絢辻妹を見る。

 

―いいぞ。ナイスフォローだ。

 

どうやら犬は姉とは違い、妹は雰囲気からして「常識が通用しそうな人間だ」と、判断したらしい。

 

「・・・そうだったの?」

 

「そうなの!甘いものを食べると虫歯になるとか、体温調節がどうとか!」

 

「????・・そうなんだ」

 

「・・あら~」

 

―うわぃ。俺と犬のフォローが色々と台無しだ。

 

苦笑いしながら「適当に聞き流してほしい」と絢辻にアイコンタクトした。もともと絢辻もそこまで詮索する気は無かったようである。というより詮索の無駄さをここ一連の会話から感じ取ったらしい。

 

「あ・・あの源君・・ごめんね。私ちょっと急いでいるから・・もう行くね」

 

「ん?ああ気にしないでいいよ。俺もそろそろ帰るつもりだったし」

 

「忙しくてゴメンね。ほら・・高橋先生に頼まれてた事とか色々あるから・・」

 

「あ・・うん、そうだったね。引き止めてゴメン。じゃあ・・頑張ってね?」

 

―・・うん?「終わった」って言っていたあの資料の事か?

 

どうやら絢辻は相当この場から離れたいようである。

 

「うん。有難う源君。じゃあまた明日、ね・・。・・お姉ちゃん。ほら今日炊事当番でしょ?行きましょ」

 

そう言って足早に歩を進める。

 

「あら。つかさちゃ~ん。まってぇ。一緒に帰ろうよ。・・えーっと・・通訳さん。またね」

 

「・・源です」

 

「あはは。御免なさい。でも何か覚えにくいなぁ?歴史の人物みたいで」

 

―歴史の人物の中でも最も覚えやすい連中の名字と同じなのに・・。それを覚えにくいって・・。

 

本当に変わった人だと有人はまた苦笑いした。

 

「うーん・・。あ。じゃあじゃあ・・。通訳さんの下のお名前は何て言うのかな・・?」

 

「・・・?有人・・ですけど」

 

「なんだ!とっても覚えやすい可愛い名前じゃない♪またね?ゆうと君」

 

「あ、はい・・」

 

まるでしっかり者の娘を、愉快でぽやんとした母親が笑いながらじゃれつくように縁は妹の元へ駆けていった。

 

―随分と雰囲気の違う姉妹だな。

 

そう思って有人が帰ろうと背を向けた時だった。

 

「あ~!ちょっと待って~!」

 

縁がやや遠目から声を張り上げるようにして有人を呼びとめた。

 

「何ですか~?」

 

有人もやや声を大きめにして返礼する。

 

「君さ~『誰かに似てる』って言われたことな~い?」

 

「はい~?」

 

「ん~・・ま~いいや~まったね~?」

 

ぶんぶんと手を大げさに振って不思議な女性はまた少女のように無邪気に走り去っていった。

 

「?????」

 

 

最後までよく解らない印象を残した絢辻 詞の姉―縁の後姿に怪訝な顔をして有人もまた立ちさろうとしたが―

 

 

―あ!!

 

そう思って振り返ったがもう後の祭りだった。絢辻姉妹は既に見えなくなり、残されたのは有人と犬。そして・・大量の空のペットボトルと一部未開封のジュースが残された。

 

恐らく持ち主は取りに来ない。確実に。最早記憶にすら残って無いんじゃないだろか。

 

「・・・」

 

―・・ゴミは持ち帰ろう。・・。それに・・

 

 

その日、有人は縁の残した空のペットボトルを始末した後に、まだ中身の入った大量のジュースを重さでふらつく自転車に乗せながら帰った。

ふらつく自転車のすぐ後ろからしばらくトコトコと犬が付いてきたがある程度の場所に来るとピタリと座って有人を見送った。「これ以上は付いて行ったらダメ」な境をちゃんと作っているのだ。

 

―うん。賢いぞ。

 

有人は頷いて微笑み、もう振りかえらなかった。

 

「・・・」

 

その様子を遠くより見ている人間がいた。実はその河川敷から自宅まで僅かな距離しかない所に少女―絢辻 詞は住んでいる。彼女の部屋の窓から見える河川敷にはふらふらとふらつく自転車を運転しているクラスメイト―有人とそれにトコトコついていく姉に虐待された犬の姿が見える。

 

「・・・」

 

無言かつ無表情でその光景を彼女は見据えた後、シャッと窓のカーテンを閉めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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