リボーンの特典を得た男が間違って白兎に憑依した!?   作:□□さん

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今回は早めに投稿できてよかったです。


顔合わせと神会

【ロキ・ファミリア】との酒宴から翌日、俺はこの日だけはダンジョンには行かない事を決めて本拠(ホーム)にてのんびりと過ごしている。

 

そこにヘスティア様が美青年の男神一人と犬人(シアンスロープ)の女性を連れてきた。

 

「ベル君、紹介したい神がいるんだ‼」

 

そう言って来るヘスティア様に対して俺はこう言った。

 

「ヘスティア様、もしかしなくてもそちらにいらっしゃる男神の方とシアンスロープの女性の事でしょうか?」

 

「そうだよ。」

 

俺の問いかけをヘスティア様が肯定すると、男神は自己紹介をしてくる。

 

「初めましてだな、ベル・クラネル。私の名前はミアハ、商業系ファミリア【ミアハ・ファミリア】の主神だ。」

 

「私はナァーザ・エリスイス、……よろしくね。」

 

「【ヘスティア・ファミリア】所属のベル・クラネルです、こちらこそよろしくお願いします。」

 

ミアハ様達の自己紹介の後、俺も自己紹介をする。

 

そして、疑問に思ったことを口にする。

 

「商業ファミリアって事は…アレ(・・)ですね。」

 

俺がそう言うと、ミアハ様は笑みを浮かべながらこう言った。

 

「そうだな、アレ(・・)が目的だ。」

 

俺達の会話の内容に対して疑問に思っているのはヘスティア様だけで、ナァーザさんはこの会話の真意を見抜いている。

 

「えっと、ベル君さっきから何の話をしているんだい?」

 

自分だけが除け者にされるのが嫌になったのか、ヘスティア様がそう問いかけてくる。

 

それに対して俺はこう言った。

 

「簡単な話ですよ、ヘスティア様。俺に【ミアハ・ファミリア】の顧客になってほしいって事です。」

 

「なるほど、そう言う事か‼」

 

俺がそう伝えると理解をしたヘスティア様は笑顔でこう言った。

 

「ミアハには何度も世話してもらった事があるからね、それくらい訳ないよ。」

 

「ヘスティア様、ミアハ様にも世話かけたことがあるんですか…。」

 

ヘスティア様の発言にほとほとと呆れながらそう言う俺。

 

「ち、違うんだ、ベル君‼これには深い事情があって…‼」

 

それを聞いたヘスティア様が慌てて訂正するために言って来るが、それはスルーしてミアハ様に話しかける。

 

「ミアハ様、ナァーザさん、俺なんかでよければ顧客になりますよ。」

 

俺の言葉を聞いてミアハ様とナァーザさんは笑みを浮かべてこう言って来る。

 

「そちらからそう言ってくれるとは嬉しいな。」

 

「うん、嬉しい。」

 

こうして、俺は【ミアハ・ファミリア】の顧客になるのだった。

 

 

 

 

【ミアハ・ファミリア】との顔合わせを終えた俺は街にへとブラリと出歩いていると、ある張り紙を見つけた。

 

「あぁ、怪物祭(モンスターフィリア)か。」

 

そう、張り紙に書かれている内容は三日後に行われるモンスターフィリアの事だった。

 

神フレイヤが(ベル・クラネル)を戯れるためにモンスターを逃がし、ベル・クラネルが神のナイフ(ヘスティア・ナイフ)でシルバーバックを倒す日だ。

 

そして、今日はガネーシャ・ファミリアの本拠(ホーム)で神の宴が開かれることになっている。

 

俺は張り紙から視線を外し、ある場所に向かった。

 

その日の夜、ヘスティア様はガネーシャ・ファミリアの宴に参加しに行った。

 

「ヘスティア様、喜んでくれるかな?」

 

そう呟きながら俺は夕食の買ってきたサンドウィッチを食べるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜空に月が浮かびこの迷宮都市オラリオを照らしている。

 

『本日はよく集まってくれたな皆の者! 俺がガネーシャである! さて、積もる話もあるが今年も例年通り三日後には怪物祭モンスターフィリアが行われるっ! 皆のファミリアにもどうか………』

 

今回の主催者であるガネーシャが神会(デナトゥス)の挨拶をする中、僕はいつもの服装に上着を着ただけの格好をして、パックにテーブルに並べられている日持ちしそうな料理を食べながら入れていく。

 

「あんた、あの頃から何にも変わらないわね。」

 

「!!」

 

突然、背後から声をかけられたことに驚き、喉を詰まらせるが、水を飲んで流し込んだ。

 

「へファイストス!」

 

後ろを振り向くと、僕が天界にいるときから神友である鍛冶神(ヘファイストス)がいた。

 

「まぁ、元気そうで何よりだわ。ヘスティア、ファミリアを持つ事になったんだからちゃんとした振る舞いをしなきゃダメよ。」

 

「それくらいは僕だって分かってるさ。でも、こればっかりは仕方ないじゃないか、僕の所は零細ファミリアなんだからさ。」

 

「そうは言っても主神であるアンタがそんなんじゃダメでしょ。」

 

「ウグッ!」

 

ヘファイストスの指摘に僕はうめき声をあげてしまう。

 

「ねぇ、二人だけで話さないで頂戴。一所に会場を回りましょうって言ったでしょ。」

 

そう言ってへファイストスの隣から現れたのはオラリオ最強の一角である【フレイヤ・ファミリア】主神フレイヤだった。

 

「ゲッ、フレイヤなんでここに?」

 

「さっき会場の入り口で偶然出会ったの、それで一緒に会場を回ろうってことになったの。」

 

ヘファイストスが軽いノリでそう言って

 

己の苦手とするフレイヤが目の前に居るだけでなく、その美貌に目を奪われた男神達が視線を集中しているから鬱陶しいことこの上無いとばかりに僕は顔を顰めてしまう。

 

そんな中、【ガネーシャ・ファミリア】の団員が僕達の元にへとやってきた。

 

「神ヘスティア、眷属の方から御届け物です。」

 

「ベル君から?」

 

その団員は僕に届け物である箱を差し出しながらそう言ってきて、僕はその箱を受け取る。

 

それを確認した団員はお辞儀をした後、この場から離れていく。

 

「一体何かしら、開けてみたら?」

 

「うん、そうだね。」

 

ヘファイストスに言われて箱を開けると、そこに入っていたのは蒼を基調とした清涼感溢れるドレスだった。

 

「まぁ、綺麗ね。」

 

「そうね、ヘスティアさっそく着てみたらどう?」

 

ヘファイストスとフレイヤもこのドレスを見て賞賛してくれる。

 

「そ、そうだね。それじゃあ今から着てくるよ。」

 

僕は二人にそう言ってドレスにへと着替えに行った。

 

「おーい! ファイたーん、フレイヤー、ひっさしぶりー!!」

 

「あら、ロキじゃない。一カ月ぶりね。」

 

「私は何時振りかしら?」

 

黒いドレスを着たロキの登場に二人は平然とした対応する。

 

「あれ、ドチビが居れへんな。この宴に来るっちゅーんはガセやったんか?」

 

ロキはそう言いながら周囲に目を向けるが、目的の人物が目に入ってこない。

 

すると、うおーっという男神達の雄たけびの上がる方向を見ると、そこには愛する眷属(ベル)が用意した蒼いドレスを身に纏ったヘスティアがいた。

 

「なんや、貧乏チビを笑いに来たのに、そのドレスはなんやねん!?」

 

「ゲッ、ロキ!?」

 

ヘスティアはいつのまにかいたロキに対して驚く。

 

「で、僕に何か用だったのかい?」

 

ヘスティアは何時もの喧嘩腰を控えようとする、喧嘩をしてせっかくベルの用意してくれたドレスを汚したくないからだ。

 

「おっと、そうやった。ドチビ、お前んとこの眷属(子供)何モンやねん。初めてのステイタス更新でlevel9なんて高レベル出せるわけないやろが。」

 

ロキは冷静かつ冷たい目をしながらそう問いかける、その問いかけの答えを聞くために他の神々もヘスティアに耳を傾ける。

 

「本当の事さ、僕が最初に恩恵を刻んだのが数日前の事だからね。」

 

『!?』

 

ヘスティアの言葉に神々は驚きを隠せなかった。

 

神々は嘘を見抜く力を所有している、それは嘘をついたとしても無意味だという事。

 

だが、その神々が驚きの表情をしているという事はヘスティアの言っていることは紛れもない事実であることを物語っている。

 

それに対して、ロキの反応は眉間に皺を寄せながらヘスティアを見てこう言った。

 

「何処で拾ってきたんや、ベルとかっちゅー子供。」

 

「拾ったんじゃない、やって来てくれたんだ。僕がじゃがまるくんのバイトしている最中に「眷属にしてほしい」ってね。」

 

『!!?』

 

ヘスティアの言葉に周りにいた神々はまたも騒ぎ出す。

 

それもそのハズ、一部を除いて【フレイヤ・ファミリア】【ロキ・ファミリア】といった第一級冒険者が多く所属しているファミリアを差し置いて発足したばかりの零細ファミリアにオラリオ最強と呼べるlevel9が誕生したのだから。

 

しかも、それまでもが嘘でないと言っているのだからたちが悪い。

 

それを聞いたロキは口を開く。

 

「なら、最後の質問や。」

 

「…なんだい?」

 

神の力(アルカナム)使ってへんやろうな?」

 

「あぁ、使ってないよ。男神(ゼウス)の名に誓ってもね。」

 

その会話の中で二人の女神を視線を逸らすことなく見続けている。

 

最初に視線を外したのはロキの方だった。

 

「それならえぇわ、ウチの用事はそれだけやさかい、帰るわ。」

 

手をヒラヒラと振りながらロキは会場を去って行った。

 

「なんだったんだい、アレは…?」

 

ヘスティアはジト目でロキの歩いて行った方に目を向けていると、フレイヤがこう言ってくる。

 

「ごめんなさい、私もこれで失礼するわ。」

 

フレイヤもそう言ってすぐに会場を後にする。

 

「何だったんだろうね、ヘファイストス。」

 

「そうね。でも、これからは気を付けた方がいいわよ、ヘスティア。」

 

「え?」

 

「アンタんとこの眷属(子供)が狙われてるかもしれないわよ。」

 

「どういう事だい、それは!?」

 

ヘファイストスの言葉に対して驚きを隠せずに大声を上げるヘスティア。

 

「だって、そうでしょ。最初の内から第一級冒険者の実力を持っている子供がいるなら娯楽に飢えている神々ならちょっかいをかけるに決まっているわ。」

 

ヘファイストスの言葉にヘスティアは急いで自分の帰りを待っているベルの元にへと走って帰る。

 

「ベル君!!」

 

勢いよく地下室の扉を開くと、そこには筋トレをしているベルがいた。

 

「お帰りなさい、ヘスティア様。」

 

自分に向かって投げかけてくるベルの言葉に、ヘスティアは涙を浮かべながら抱き着く。

 

「どうしたんですか、ヘスティア様?」

 

ベルはそんなヘスティアを優しく受け止め、涙を浮かべるその理由を問いかける。

 

「実は…。」

 

ヘスティアは今まであったことをすべて話し、ベルに問いかける。

 

「ベル君は僕の前からいなくならないよね?」

 

そう言ってくるヘスティアに対してベルは笑みを浮かべながらこう言った。

 

「勿論ですよ、俺は生涯【ヘスティア・ファミリア】のベル・クラネルです。」

 

「そうか、よかったぁ~。」

 

ベルの言葉を聞き、ヘスティアは安心したため眠ってしまう。

 

その姿を見届けたベルはヘスティアと共にベッドで眠るのだった。




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