──夢を見た
──この世全ての喜劇を見た
──この世全ての悲劇を見た
──我らは覗いた
──彼の、表には出さぬ苦悩の軌跡を
──彼の、決して見せることのなかった悲しみの痕跡を
──我は彼の転生の論理を組んだ
──そのことを、我はここに記そう
──我が名はア──
六月の最初の週のとある日。
あたしは黒板の前に立ち、目の前には四人の生徒──ハリー、セドリック、クラム、フラー──が席に座っている。
黒板には、ダンブルドア校長とバグマンさんがノリノリで書いたであろう言葉が書かれていた。それも、あたしが恥ずかしくなるようなものだ。
『リアス先生のドキドキ☆魔法生物講座!』
「──本当、あの二人の飲み物にマラクローのエキスでも入れようかな」
「返り討ちにあーうのが目にみーえます」
フラーのツッコミもあったことだし、仕返し案は諦める。恥ずかしい言葉をさっさと消して、あたしは教壇に立った。
「じゃあ、ちゃっちゃと始めますねー。今回は、第三の課題に出るかもしれない魔法生物たちの紹介、並びに対処法の説明をします。完全にランダムで紹介するからちゃんとメモとかを取ることをお勧めします。質問がある人はその都度挙手してください」
「じゃあ、一つ質問してもいい?」
「はい、ハリー」
「出るかもしれない、じゃなくてほぼ確実に出る、だよね?」
「うん、その通り」
教壇の上には魔法生物たちの写真がいくつも置かれている。もちろん、説明用だ。
まずあたしは、砂漠の真ん中で撮られたような写真を黒板に貼った。
「一種類目はスフィンクス。M.O.M.分類XXXX。知能が高くて、なぞなぞやパズルを好む。通称、砂漠の賢者。対をなすように、ケンタウロスは森の賢者と呼ばれてるよ。必要なのは知恵と知識、閃きかな?」
誰の手も上がらないことを確認して、あたしは次の写真を貼る。
「次はミザールって生き物。M.O.M.分類XXX〜XXXX。北斗七星の模様を持ってて、全体的に暗い青を基調とした夜色。五センチぐらいだから気をつけて。星が見える場所にいるよ。見つけても攻撃しないこと。誠意を持って、自然を大切に。そうすれば、迷いの答えへと導いてくれるから。場所だったり人だったりするけどね。
攻撃したりした人相手にはアルコルって生き物に変化するの。下から二つ目の模様の隣に、小さな星が増えてる。ついていかないように注意してね。神隠しにあうから。それも、永遠に戻ってこれない神隠しに」
セドリックが手を挙げた。
「今回の課題で、ついていってしまった場合はどうなるんだい?」
「今回は迷路のどこかに出るように言ってあるから大丈夫。さらに迷うだけで済むから」
次の写真を貼る。黄色いタコの写真だ。
「ヌルフパス。M.O.M.分類XXX。感情に合わせて色が変わる。まあ、手入れしてくるだけだから、気にしなければ平気。
次は
続いてはミグラージ。そもそも見分けるのが難しいから、人によってはきついかもしれない。
ポグレビンはM.O.M.分類XXXの悪鬼。しゃがみこむと岩のように見える。人の影に入って尾行するのが好きで、憑かれた人は虚しさに囚われ、最後には無気力、絶望状態になる。疲れてきたら一度振り向き、真後ろにある石、もしくは岩に〈失神呪文〉を使ってみるといいだろう。
その他細々したM.O.M.分類XX〜XXXXの生物たちを紹介し、いよいよXXXXXの生物だ。
「まずはヌンドゥ。特徴的な姿をしてるから、姿が見えたらすぐに反対方向へ。今回は軽めの病毒にしてもらってるけど、それでも〈泡頭呪文〉が意味をなさないし、感染したら多分リタイアするしかなくなると思う。幻覚とか激痛とか下痢とか。決して倒そうだなんて思わないこと。熟練の魔法使い百人で、たった一度しか鎮めることができなかったからね。
次にレシフォールド。
アクロマンチュラは巨大な蜘蛛。強力な毒を持っていて、すぐに増える。本来はイギリスにはいないんだけど……実は、禁じられた森の奥深くに巣があるの。今回はそこの群れに協力してもらいます。決して巣には近づかないように。ハグリッドかあたしがいないと襲われるから。
続いては蛇王バジリスク。秘密の部屋にいた子……シャルロッテに協力してもらう。魔眼は使わないように言ってあるけど、それでも強いから注意してね。尻尾の一撃とか、毒とか。あと、鏡越しとかなら魔眼使ってもいいって言ってあるからね。
キメラはギリシャの怪物で、ライオンの頭、山羊の胴体、蛇の尻尾を持ってるの。尻尾は蛇の頭で、毒を持ってるからね。
マンティコアもギリシャの怪物。頭はヒトで胴体はライオン、尻尾はサソリ。今回は尻尾は使わないように言ってあるから安心して。
どうせならクィンタペッドも入れたかったけど、さすがに無理だったよ。
あとコカトリス。身体鶏で尾は蛇。凶暴。
ドラゴンは今回は参加しません……本物はね」
「本物はって?」
「いい質問ですハリー。今回参加するのはゴーレムです。製作、マクゴナガル・フリットウィック両先生。
さて、これで全部かな?あとはどこにみんなを配置するか決めるだけだろう。写真は四人の研究用に置いておき、寮に戻ることに決めた。
ミザール
M.O.M.分類XXX
体長五センチほどの夜色の生き物。背中に北斗七星の模様がある。星の見える場所にならどこにでも生息している。攻撃的ではないが知能が高い。
自然を大切にし、誠意のある者には一緒に行動することがあるが、自分の住処や周りの自然を壊す者相手には後述の生物に変わる。
迷いのある者を、答えのある場所へ導く。それは道でも、精神的なものでも。答えは人のこともあるし、知識のこともある。景色のこともあったりする。どんなに遠い場所に答えがあっても、ミザールについて行くうちにいつのまにか辿り着いている。おそらく、空間に作用する能力を持っている。
アルコル
M.O.M.分類XXXX
ミザールが変化した姿。下から二つ目の星の隣に小さな星が増えている。
ミザールと勘違いしてついてきた者を死に誘う。方法は神隠しで、いつのまにか世界から消えている。二度と見つかることはなく、アルコルなどの一部生物にしか干渉できない異世界に飛ばされたと考えられる。
うたてめぐりたいさんのアイデアです。ありがとうございました。