私が術式に関与して台無しにしただなんて酷い風評被害だよ。私はただ、彼に試練を与えただけさ。私には未来を見ることはできないけれど、こっちに転生した方が彼は幸せだったんだろう。
英雄王から観られてたから観返してみたら、なんとまあ、かの王様の転生術式を作動させている真っ最中じゃないか。私は夢魔で、同時に世界有数のキングメーカーだ。王様が生まれ変わると言うのなら、試練を与えたくなるものさ。
──でも、さすがにここまでなるとは思わなかった。影の国の女王も関わって、ついでに送り出したキャスパリーグもいるじゃないか。あの子の群勢に一斉に襲いかかられたら、この冠位魔術師でも対処しきれないだろう。もしも前世の力を使えるようになってしまったら──それこそ、アルティメット・ワンにしか対処できなくなるかもしれない。ましてや、もしもキャスパリーグが
まぁ、彼女が人間を嫌いにならない限りは、人類に牙を剥くことはないだろうね。
【数話ぶりのリアス視点】
ハリーとセドリックが帰ってきた。二人の手には優勝杯が握られている。二人の同時優勝かな?
ダンブルドア校長先生が微笑みながらハリーに近づく。声をかけようとしたその時、ハリーの口から信じられないような発言が飛び出した。
「あの人が……ヴォルデモートが戻ってきました」
それは、近くにいる人たちにしか聞こえないほど小さな声。ダンブルドアは顔色を変えて、ハリーを問い詰めた。
「どう言うことじゃ?ヴォルデモート卿が戻ってきた、と?」
「はい、先生。セドリックも証人です」
セドリックが頷いて、語り始める。
「優勝杯に触れた途端、どこかに連れていかれました。墓地でした。僕はワームテールと言う男に〈死の呪文〉をくらって倒れました」
「待ちなさい。〈アバダ・ケダブラ〉を受けた?なら、なぜ君は生きておる?」
セドリックがポケットから羽を取り出す。羽は炭のように黒く変わっていた。
「多分、この羽だと思います。少しの間気絶していましたけど──もしかしたら、その間は本当に死んでいたのかもしれません──虹色の光がまぶたの裏に広がって、目が覚めたんです」
ダンブルドア校長があたしに目線を向けてくる。説明しろ、と。
「その羽を与えたのはイークェスラルという魔法生物で……簡単にいうなら、アステカ文明の神、ケツァル・コアトルの眷属です。身体能力や精神面の強化をすることができて、ケツァル・コアトルの権能の一部を、限定的ですが使用することができるみたいなんです。あの蛇神は太陽神としての一面を持っていて、復活とか、生まれ変わりの逸話や伝承もあります」
例えば、エジプトの太陽神ラーは、日の出と共に生まれ日没と共に冥界へ向かうと言う。蛇神にも、そのような伝承があったはずだ。
「それに、蛇神だと言うこともあります。蛇は脱皮をしますが、昔の人にはそれは、生まれ変わりのように見えたそうです。ギルガメッシュが冥界から持ち帰った不死の霊草を食べたから、蛇は脱皮するようになったという伝説もありますから。以上、ママから教えられた知識より」
ようするに、ケツァル・コアトルとその眷属であるイークェスラルは、二重で生まれ変わりの権能を持っているということ。セドリックは一度死んで、生まれ変わったんだ。
ふと、優勝杯の中に何かがいることに気がついた。北斗七星の模様──ミザールだ。もしかしたら、この子が見ていたかもしれない。早速、話を聞いてみる。
「【君は、どこから来たの?】」
【星が見えるところから】
「【周りの風景は?】」
【寂しいところ。人間が、墓場って呼んでるところ】」
「【何かを見た?】」
【蛇みたいな人間。石でできた何かから立ち上がってた】
蛇のような人間?もしかして、それが、ヴォルデモートだろうか。
「ハリー、例のあの人って蛇みたいな感じ?」
「うん。気色悪かった」
これで、完全にってわけじゃないけど裏付けは取れた。例のあの人は復活した。
ダンブルドア先生にそのことを伝えると、彼はハリーにここを動くなと告げてどこかへ向かった。
ママとイクラクン、ムルムルが走ってくるのが見える。説明しておいた方がいいよね。
あたしが三人に事情を説明している間に、ハリーとセドリックはどこかに消えていた。