ハリー・ポッターと魔法生物の王   作:零崎妖識

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とある女王の独白


ふむ、彼奴もなかなかやるではないか。もしかしたら、私のように人の身にして神殺しを成し遂げるかもしれんな。まさか、クリードの骨を芯材として作らせた杖の主が彼奴となるとは思ってもおらんかったが。さらに育てば、私が直々に指導してやろう。ただ、槍の適性はないようだからな、教えられるのはルーン魔術ぐらいだろう。そして、杖の縁だ。一度限り、彼奴と縁を結んだ者を助けるとしようか。










古龍

男性はこちらの反応を伺っているようだ。あたしはどう反応していいのかわからない。

 

「……どうした。さっさと答えろ」

 

「ごめんなさい。どちら様でしょうか?」

 

男性が目を見開く。この答えは予想していなかったようだ。

彼は玉座から立ち上がり、あたしの目の前まで歩いてくる。そして、再びあたしを観察した。

 

「──魂は同じだが、どういうことだ?まさか、彼奴らはしくじったのか?──いや、本来なら記憶がある方がおかしいか。小娘、名を名乗れ」

 

何かぐちぐち言われた挙句、命令口調で名前を名乗れと言われた。だからあたしは反抗するように告げる。

 

「そっちから名乗る方が適切じゃないの?色々と勝手なこと言って、誰かとあたしを間違えてたんだから」

 

「私の寝所に入って来たのはお前の方だ。だが、勝手なことを言ったのは認めよう。しかし、名を名乗るのは無理だな。私はとうの昔に名を捨てている。それと、名乗らなくてもよい。今、お前の名を知ったからな、リアス・クリミアよ」

 

「え?」

 

いつのまにか名前を知られていた。本当に、この人はなんなんだ?

 

「私は、人間ではなく人知を超越した生き物──古龍(エンシェント・ドラゴン)とお前たちが呼ぶものの一つ。名乗るとするなら……魔術龍とでも言おうか」

 

古龍。生きた古龍。生きて、意思疎通が可能な古龍。そんな伝説が目の前にいる。にわかには信じがたいけど、あたしの心は浮き立った。何種もの古龍が知られているけれど、魔術龍なんて龍は聞いたことがない。古龍種のそれぞれにつけられた名前──邪龍だとか、峯山龍だとか、ウェールズの赤き竜だとか──は、それぞれの特徴を表した名前だ。つまりこの龍は、魔法や魔術を扱える龍なのかもしれない。

 

「とある者を捜していたのだが、其奴が現れるのがいつなのかがついぞわからなかった。『千里眼』を持ってはいるが、捜している者のように未来視が可能なわけではない。ただ、世界を見渡せるだけだ」

 

「十分すごいと思うけどね」

 

「ただ世界を見渡すだけなら、彼奴にもできるし、心底殺したいと思っている引きこもりの魔術師にもできる。

私は休むことに決め、この城に忍び込み眠りについた。四年ごとに起き、世界を見渡した。そして、お前の存在を知ったのだ」

 

「あたしの?」

 

「そうだ。私が捜し求めたのはお前の魂。私が語らうべき友の魂。本来なら確定した時と場所に産まれるはずだった魂だ。どこぞの引きこもりのせいで妙な時期、妙な場所に産まれたがな」

 

あたしを捜していた?つまり、この龍はあたしの出生を知っている?

 

「教えて。あたしはなんでアズカバンにいたの?」

 

「……私は、過去を見ることはできない。記憶能力はあるのだが、お前のことを知ったのは、お前が二歳の時。産まれた時と場所は知らん。拾われた場所は、聞かせてもらったが」

 

「……えええ」

 

せっかくのチャンスだったのに……なんてことでしょう。この龍の起きる周期のせいでわからないなんて。

 

「会いに来るのを今か今かと待ちわびたが、全く来ないのでな。ケリウスを通して伝言を伝えたわけだ。それすらも忘れられかけたようだが」

 

ケリウス?伝言を見つけた場所にいたのは……アメジスト色の眼をした蛇……蛇?

 

「まさか、『叡智の蛇』?」

 

「ケリウスは人にはあまり知られていないようだが、そのような名前で噂されているようだな」

 

伝説の存在その二じゃん!なんでそんな貴重なのに会ってあたしはスルーしちゃったんだろう……この前はイークェスラルが出たし。今年は伝説級の生き物の出現率が高すぎる気がする。

 

「本題だが……私はお前を待っていた。古の友よ。お前は私の存在を──その魂に刻まれた全ての記憶を失い、新たな人生を歩んでいるようだが、私はお前と語り合いたい。お前の見る景色を見たい。勝手なことだが、お前についていかせてもらう」

 

……今、彼は何と言った?あたしについて来る?古龍(エンシェント・ドラゴン)に懐かれる?こんなことになるとは思ってもいなかった。

 

「……うん、色々混乱してるけど、ついて来るならもうそれでいいや。諦めも肝心だよね、うん。じゃあ、名前を付けないと」

 

「……?私に名前は不要だが」

 

「付けときたいの。君はそれでいいのかもしれないけど、あたしは不便だから。よし……神殿に、玉座……魔術……決めた。『ソロモン』、なんてどう?」

 

「……ソロモン、だと?」

 

「玉座に座って、魔術関係って言ったらそれぐらいしか思い浮かばなくてね」

 

古代イスラエルの王、ソロモン。奇跡を成した魔術の王。あたしと、この龍が出会った奇跡を、ソロモン王の起こした奇跡に重ね合わせて。

 

「ソロモン、ソロモンか……ふふ、ははははは!そうか、次は私にその名を背負えということか。いいだろう。今この時より、我が名はソロモンとなった。この名を付けられるとは思わなかったが、マーリンよりはマシだ!私の真の姿は、蛇王龍ほどではないが大きい。それに、知らぬ者がこの城の中に居ては不自然だろう。身体を指輪に変えるので、身につけているといい。いつでも意思の疎通が可能になる」

 

「蛇王龍よりも大きい生物は居ないかも……昔、遠くから見たことがあるけど、コインヘンよりも大きかったし。指輪はどの指につければいいかな?」

 

「なぜそれを聞く……どの指でもいい。男に興味がないのなら、左手の薬指を進めよう。男避けになる。それと、私には性別はないので、恥ずかしがる必要はない」

 

思わず顔を殴ってしまったあたしは悪くない。変態と叫ばなかっただけ感謝してほしい。風呂の時は外そう。

彼の姿が消えていく。いや、変化していってる。ソロモンの姿は光に包まれて、収まった時には、あたしの手の上に一つの指輪があった。一瞬だけ、本当の姿が見えた。純白の身体、王冠のような四つの大きな角。まるで、昔に一瞬だけ見た祖龍のような姿だった。

彼が指輪になったからか、神殿が崩壊し始めた。そして、目が絡むほどの光の後、扉から見えていたベッドルームに変わっていた。

あたしは指輪をはめて、鼻歌を歌いながら『必要の部屋』を出ていった。

 

 

指輪をはめた時、欠けていた何かが埋まったような気がした。




魔術龍ソロモン
古龍種
M.O.M.分類XXXXX(存在が知られていないため、公式的には不明)
非常に高い知能を持ち、人知を超越した魔術/魔法を使う。また、現在の観測だけではあるが千里眼も使える。過去の観測、未来の観測は不可能なので、冠位魔術師三人ほどではない。それでも、世界全てを見渡せる。
大昔に、ホグワーツに侵入して眠っていた。侵入するために人間の姿に変化。あらゆる結界や侵入妨害呪文を無効化して、誰にも気づかれることなく入り込んだ(ただし、創設者四人とその血縁には気づかれたため、ヘレナ・レイブンクローは存在を知っていた)。
人間体は魔術王(本物の方)に似ている。真の姿はモンハンのミラルーツに似ている。指輪としての姿は、金のシンプルな指輪。
古のソロモン王の友人。魔神柱たちがソロモンを転生させることを知っていた。某冠位魔術師(人間のクズ)が干渉したことも知っている。多分、そいつにあったら全力ブレスを放つ。
時間神殿の再現も可能。ただし、本来ほどの力はなく、世界から切り離されていない。
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