こっそりと付いて行ったあたしであったが、先生たちが部屋に入って三十秒後、あっさりとダンブルドア先生に摘まれていた。猫の首筋を掴むようにして。
「儂の目は誤魔化せんよ、ミス・クリミア。儂の後にこっそりと付いて行きたいのなら、アラスターでも連れてこなければのう」
「うみゅ」
部屋の中に連行されて、マクゴナガル先生に怒られた。
「まったく、ダンブルドア先生が付いて来いと言ったのはポッター、ウィーズリー、グレンジャーだけですのに!なぜ貴女まで付いて来るんですか、ミス・クリミア!話したいことがあるのなら後で私の部屋に来なさい。いいですね?」
「この場でないと意味ないんですけど」
「……どう言うことですか?いいでしょう、許可しますから言ってみなさい」
マクゴナガル先生から許可を貰って、トコトコダンブルドア先生に近づいていく。最初に、確認したいことがあるから。
「校長先生、ミセス・ノリスは石になってるだけですよね?」
「そうじゃ。……しかし、なぜその事を見抜けるのかね?儂ですら、調べるのに時間を要したのだが」
「秘密の部屋、行きます?」
部屋の空気が凍りついた。まるで時間が止まったかのように全員があたしを見てジッとしている。ちょっと恥ずかしい。
「……説明してみなさい。君は、何を知っておる?まさか、君が継承者と言うわけではあるまい」
「秘密の部屋に行ったことがあるからです。そこに居た怪物本人……本蛇?から聞きましたし。あと、その蛇が、誰かに人を殺すよう命じられても、殺さずに石にすると言ってくれましたし」
ダンブルドア先生の目は半信半疑だった。でも、次第に納得したような目になっていく。
「……蛇と言ったが、その蛇はどんな蛇だったのか、教えてもらえるかな?」
「バジリスクですよ?エメラルド色の綺麗な眼を持ってました」
ロンとハリーがいきなりこっちを向いた。
「そう言えば一年生の時に、バジリスクとも仲良くなってるって言ってたけど、まさかこの犯人かい?」
「いや、違うと思うよ、ロン。あの時僕らはまだ汽車に乗って学校へ向かってる最中だったじゃないか。ホグワーツにバジリスクが居るとしても、そのバジリスクと仲良くなる時間は入学してからだ」
「ふむ、なるほどのう。バジリスクの魔眼は目を合わせてしまうと死に至る物じゃが、何かに反射させれば効果は半減、石になるだけで済むと言うことか。アーガス、あの廊下には水が溢れてあったな?確認してくれるかのう?」
先生やハリーたちが色々と話し合ってる。その中で、一人だけ見当はずれな事を言ってる奴がいた。
「いやいやいや、私はこの女の子が継承者だと言う証拠をたった今!見つけさせてもらいました!」
そう、ロックハート。生徒全員が役立たずだと認識したこの人。何を言いだすんだこの人は。
「まず!バジリスクの魔眼は見ただけで生物を殺せます!そして、仮に鏡などに映った眼を見ても石になるだけと仮定しても!このミス・クリミアがなぜ!バジリスクの眼を見れたのかと言う疑問が浮上します。なぜなら!バジリスクの眼の色を確認したと言うのなら、この子は死んで居るか石になって居る筈ですからね!」
「残念じゃがギルデロイ、この子には生き物の毒や呪いは効かんのだよ。物理攻撃は効くがのう。それに、この子に命じられれば、どう言う原理かはわからんが、その身体から勝手に流れ出る毒性や呪いをも自在に引っ込めることができるようになるそうじゃ」
「……失礼!」
ダンブルドア先生、かっこいいわ。思いっきり論破したわね。
その後も話し合って、バジリスク──シャルロッテに犯人を捜してもらうことになった。より正確に言うと、シャルロッテに命令した人がいる筈だから、その人の特徴を教えて貰って、あたしたちが捜していく。それで候補者をシャルロッテに見てもらって、犯人かどうか確認するってことね。
その日はそれで解散。マンドレイク薬は十二月も過ぎた頃に完成するらしい。それを聞いたフィルチさんは、嬉しそうだったけど寂しそうだったので、家から猫──アルゴを呼び出してフィルチさんに与えてみた。感謝はされたけど、「自分のペットはミセス・ノリスだけだ」と返却された。愛されてるね、ノリス。
アルゴ
猫。金に近いオレンジ色で、ニーズルとのハーフ。元ネタはみなさんご存知であろうSAOの情報屋。理由は、猫と聞いて思い浮かんだのが彼女だったから。鼠なのに。ケットシーなのと可愛いのが悪い。