ハリー・ポッターと魔法生物の王   作:零崎妖識

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切り裂かれた婦人

ホグズミードから帰り、大広間でかぼちゃ料理並びにスイーツの数々を食べ尽くして、みんなと一緒に寮に戻る。でも、談話室に入れなかった。グリフィンドール生がすし詰めになっていて、全く進まない。

 

「……?どうしたんだろ」

 

近くにいたロンを足場にして柱に登り、前の方を確認する。本来なら太った婦人の肖像画が見えるはずのそこには、滅多切りにされた絵の残骸が見えた。

 

「誰か、ダンブルドア先生を呼んでくれ!急いで!」

 

いつのまにか前に行っていたパーシーが叫ぶ。誰かが聞きつけて知らせたのか、それとも絵の誰かが知らせたのか、ダンブルドアは三十秒もしないで現れた。

 

「ああ、これは酷い。ミネルバ、フィルチさんのところへ行って、城中の絵を探すように言ってくださらんかね?婦人を探さなければならんじゃろう。もし、そこにおるピーブズが話してくれるなら別じゃが」

 

「へいへい、この城に留まらせてくれてる恩もありますし、教えてしんぜよう校長閣下。あの女はズタズタになり、そんな姿が恥ずかしく、五階の風景画の中を走って行きました。ひどく泣き叫びながらねぇ。ああ、可哀想に」

 

可哀想にとか言ってたけど、ピーブズは笑ってた。こんな時でもピーブズは平常運転みたい。

 

「誰がやったか、お主は知っておるか?」

 

「もーちろん!そこの堅物眼鏡の赤毛にかけて!いやはや、十年ほど見ない間におっそろしくなったもんだ!あのシリウス・ブラックは!」

 

シリウス!?何やってるの!?思わずダンブルドア校長の顔を見ると、首を横に振っていた。考えを整理しているんだろうか。

 

「生徒全員を大広間に戻してくださらんか、先生方。教師全員で城の中を捜索せねばなるまい。少ない人数で生徒を守るには、一箇所に集めた方が良いじゃろう」

 

ダンブルドア校長が他の先生たちに話し終えてすぐ、登ってる柱の下にネズミが現れた。いつもあたしに何かを伝えてくれるネズミだ。

 

【黒い犬が暴れ柳のとこから出てきて、もっかい柳の方に消えてったんですが、何かあったんですかい?】

 

黒い犬。多分シリウスのことだろう。もしかしてだけど、暴れ柳の近くに叫びの屋敷に繋がる道がある?

……ダメだ。会って話をしないと。そう考えて思考を放棄したあたしは、先生の指示に従って大広間へ戻り、ダンブルドア校長が用意してくれた寝袋に入って眠りに落ちた。

 

 

 

……誰かに揺らされる。少しして、また揺らされる。誰かしら?

 

「……おお、起きてくれたかのう、リアスや」

 

「……校長、先生?」

 

天井を見ると、まだ星が輝いている。ポケットから時計を取り出して確認すると、まだ夜中だった。

 

「こんな夜更けに何の用です?」

 

「少し話がしたくてのう。もちろん、件の彼についてじゃ」

 

その言葉を聞いたあたしは、ノロノロと寝袋から起き出して先生に向き合った。

 

「ふむ、まだ少し眠いかね?熱いココアでも与えられればいいんじゃが、それではこの後眠れんじゃろう。何が言いたいのかと言うと、こんな時間に起こしてすまんかった」

 

「あー、シリウスに関係する話ならいいです。で、何ですか?」

 

「君は、シリウスが婦人を切り裂いたと思うかね?……ああ、安心せい。婦人は三階のアーガイルシャーの地図の絵に隠れておるよ。シリウスが入ろうとして、合言葉を言わなかったので拒み、襲われたようじゃ。頃合いを見て、肖像画を修復させようぞ。なに、フィルチは案外器用でのう」

 

笑うダンブルドア校長に、あたしはシリウスがやったので間違いないことを教えた。うん、多分、シリウスで間違いない。

 

「では、なぜ彼はそんなことをしたのかね?……いや、もしやあの若者は……」

 

「多分そのまさかかと。スキャバーズ捕まえようとしたんでしょうねー」

 

あたしもダンブルドア校長も呆れ返る。在学中は学年トップクラスだったそうだけど、案外間抜けじゃないだろうか。

 

「よろしい。彼にはきつく言っておいてくれるかのう。器物損害は厳禁じゃと。婦人が戻ってくるまでは代理の肖像画に頼まねばならんが、先ほど聞いてきたんじゃが、カドガン卿しか立候補せんかった。彼は責任感はあるが、決闘狂で難題好きの気があるからのう。合言葉が大変なことになりそうじゃ」

 

「それは勘弁したいですけどね。それじゃあ、おやすみなさい」

 

「ああ、おやすみ」

 

あたしはもう一回寝袋に入る。取り敢えず、明日の夜にはシリウスに説教しなくちゃ。

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