ハリー・ポッターと魔法生物の王   作:零崎妖識

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クリスマスプレゼント

クリスマス・イブの夜。休暇を家で過ごす生徒たちが汽車に乗り込むために荷物をしまい、城を出て行く。残るのはあたしたちグリフィンドールの一部とレイブンクローの一部ぐらいだろう。

マクゴナガル先生に許可を貰い、フクロウ小屋に荷物を受け取りに行く。細長く、それでいて素人のあたしでも綺麗だとわかる滑らかな曲線を描くそれは、あたしたちが待ち望んでいた物だった。

 

「ミス・クリミア。それが受け取りたかった荷物なのですか?」

 

「はい。ハリーへのプレゼントに、ちょっと細工をしたファイアボルトを」

 

「なんですって?ファイアボルト?そんなに高級な箒をですか?ああ、何もそれを買ったことを咎めているわけではありません。ただ、あなたの家のお金は大丈夫なのですか?」

 

「大丈夫ですよ。シリウスに出させたので」

 

「……確かに、ブラック家ならお金は有り余ってるでしょうね。それで、何か危険な魔法は仕掛けられていませんね?私はまだ、ブラックを信用しきっているわけではありません」

 

「大丈夫ですって。わざわざ完成品をメーカーが分解して、安全なように細工をしただけですから」

 

「ではもう一つ質問を。先ほどから度々出ている細工とは一体なんのことですか?」

 

「ハリーのニンバスの欠片、それを箒の柄に組み込みました」

 

「なんと、まぁ……ポッターはあの箒を信頼しきっていました。箒は乗り手によって態度を変えます。ポッターのニンバスは自らの乗り手を信頼していました。ええ、彼も安心することでしょう。少し預からせてください。簡単な検査をした後、真夜中に談話室のクリスマスツリーの下に置いておきますから」

 

あたしはファイアボルトをマクゴナガル先生に渡して、寮に戻っていった。

 

 

 

次の日の朝、ハリーとロンの絶叫で目が覚めた。途中で寝ぼけ眼のハーマイオニーと合流して、談話室に下りる。

クリスマスツリーのそばで大はしゃぎしている二人の手──より正確には、ハリーの手の中には、あたしが昨日、マクゴナガル先生に渡したファイアボルトが握られていた。

 

「二人でなんではしゃいでるのか、教えてくれるかしら?」

 

ハーマイオニーはハリーに近づき、抱えていた猫、クルックシャンクスを落としてしまった(クルックシャンクスはちゃんと着地していた)。

 

「まあ、ハリー!誰がこれを送ってきたの?」

 

「カードが二枚。一枚はマクゴナガル先生からだ。『この箒の安全は保証されていますので、安心して使いなさい』って。もう一枚は、誰からか書いてないんだ。読み上げるよ──『ハリー、この箒は私からのクリスマスプレゼントだ。誰なのかは口止めされているが、君の友達から、君が使っていたニンバス2000の欠片を一つ貰い、メーカーに掛け合って組み込んで貰った。本来のファイアボルトよりも使いやすいはずだ。いいクリスマスとクィディッチを』」

 

「わお、最高じゃないか、ハリー!最高峰の箒に君が愛用していたニンバスの欠片だ、きっと君にとても合った箒だよ!」

 

「でも、危険じゃないかしら?もし、シリウス・ブラックがハリーを殺そうと送ってきたのなら大変よ。ほら、その欠片に呪いをかけたりとかして!」

 

「でもハーマイオニー、マクゴナガルの保証付だぜ。これほど安心なことってあるかい?」

 

「それも罠だったらどうするのよ!ブラックがマクゴナガル先生の筆跡を真似したりしてそのカードを書いていたら!」

 

「なら、マクゴナガル先生に聞きに行けばいいんじゃない?」

 

三人の視線があたしに集中する。これまでクルックシャンクスをもふってたあたしが急に喋りかけたからね。

 

「マクゴナガル先生が保証したのなら、マクゴナガル先生はそのことを覚えてるでしょ。だから、確認しに行けばいいと思うんだけど」

 

「そうだよ、マクゴナガル本人に確認すればいいんだ!ごめん、ハーマイオニー。行ってくる!」

 

「僕も行くよ、ハリー!ハーマイオニーはここで待っててくれ!」

 

「ちょっと、二人とも!……まったく、男の子って単純なのね。ところでリアス、粉々になったニンバスをハリーに届けたのってあなたよね。まさか、メッセージカードの友達って……」

 

「そのことは神のみぞ知るってことで、ね」

 

 

ハーマイオニーの確信を伴った質問に、遠回しにYESと答える。あたしはクルックシャンクスを抱えたまま談話室を出て、大広間へと向かった。早く七面鳥を食べたい。




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