ハリー・ポッターと魔法生物の王   作:零崎妖識

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最近、本好きの下剋上とハリポタのクロスオーバーを書きたいとか思ってしまってる作者。だがしかし、様々な事情(連載継続中の二つがエタるかもしれない、本好きの方の設定を詳しく読み取れていない、本好きの世界観を上手く表せない、そして何よりも時間が足りない)により書けない。どうしたものか……


ムーディ先生の授業─〈服従の呪文〉

「フィレンツェ、ありがとう!」

 

「いいえ、久しぶりに良き占いが出来ましたから、こちらがお礼を言いたいです。ありがとう、リアス」

 

フィレンツェにお礼を言い、森を出る。日が陰ってきたし、探索は今日は無理そうだ。

ぶつかってきた亜空虫はフィレンツェに占いを聞いている間にどこかに行ってしまったけど、木の実をいくつか拾ってきてくれた。中々見つからない実のようで、貴重な魔法薬の材料のようだ。彼はすぐにどこかへと跳躍していった。……すぐそばでフィレンツェが痛みをこらえる声を出していなければカッコよかったね。今度は彼の頭に当たってしまったようだ。

 

 

 

玄関ホールに戻ると、何やら騒ぎが起きていた。ムーディ先生が杖を振っている。杖の先には真っ白な、とても綺麗なケナガイタチが。あ、振り回し始めた。可哀想だとは思うけど、声が聞こえない。多分、人間が変身したのがあのイタチなんだろう。先生の近くにはハリーとロン、ハーマイオニー、クラッブとゴイルが立っている。てことは……まさか、あのイタチはドラコなの?

マクゴナガル先生が途中でムーディ先生を止め、イタチに杖を向けた。次の瞬間、イタチの居た場所にはドラコが這いつくばっていた。今度は何をしたのやら。

ムーディ先生はドラコを連れて地下室へ向かい、野次馬のみんなは食堂へ入っていった。

 

 

 

特に事件なども起こらず、最初の闇の魔術に対する防衛術のある木曜日になった。強いて言うなら、ネビルが六つ目の大鍋を溶かしてしまったことぐらいが、事件だろう。

昼休みが終わり、教室へと向かう。始業のベルが鳴るよりも前に、みんなは列を作って教室の前で待っていた。

教室が開くと、あたしは真ん中より少し前の席に座った。ハリーたち三人は一番前のようだ。

少しして、硬い足音を鳴らしながらムーディ先生が教室に入ってくる。

 

「そんな物、しまってしまえ」

 

先生は机に向かうと、そう言った。

 

「教科書だ。そんな物は必要がない」

 

みんなが教科書を鞄にしまうと、先生は出席を取り始めた。グルグル動く義眼は、名前が呼ばれた生徒をジーッと見つめている。

 

「このクラスについては、ルーピン先生から手紙を貰っている。お前たちは、闇の怪物と対決するための基本をかなりまんべんなく学んだそうだな。真似妖怪(ボガート)赤帽鬼(レッドキャップ)おいでおいで妖怪(ヒンキーパンク)水魔(グリンデロー)、河童、人狼など。そうだな?

しかし、だ。お前たちは遅れている。非常に遅れている。呪いの扱い方について、だ。防衛のための呪文──武装解除などについてはいくつか知っているようだが、肝心の、本気で人を害するための呪いについてはほとんど知らないようだ。わしの役目は、魔法使い同士が互いにどこまで呪い合えるものなのか、お前たちを最低線まで引き上げることだ。わしの持ち時間は一年だ。その間にお前たちに、どうすれば闇の──」

 

「え、ずっといるんじゃないの?」

 

ムーディ先生の言葉を遮って、ロンが声を出す。先生はロンを見据えると、あたしが知る限りで初めて笑った。

 

「お前はアーサー・ウィーズリーの息子だな?お前の父親のおかげで、数日前、窮地を脱した……ああ、一年だけだ。ダンブルドアのために特別にな。その後は静かな隠遁生活に戻る」

 

ムーディ先生は両手を叩き、話を戻した。

 

「では、すぐに取り掛かるとしよう。呪いだ。呪う力も形も様々だ。杖を使う呪いもあれば、杖を使わない、そこらにある物だけで行うことのできる呪いもある。さて、魔法省によれば、わしが教えるべきは反対呪文であり、そこまでで終わりだ。違法とされる闇の呪文がどんなものなのか、六年生になるまでは生徒には見せてはいかんことになっている。お前たちは幼すぎ、呪文を見ることさえ耐えられぬ、というわけだ。しかし、ダンブルドア校長は、お前たちの根性をもっと高く評価しておられる。わしとしても、今のうちから敵については知っておいた方がいいと考えている。もし今年や来年、お前たちが六年生になる前に襲われたらどうする?お前たちの知らない呪文で、一方的に襲われる。どうだ、恐ろしいだろう?本来なら一年生か二年生あたりで教えるのが一番いいと思うのだがな。油断大敵!」

 

ムーディ先生が叫ぶ。声は教室中に響き、全員が飛び上がった。

 

「闇の魔術には程度がある。凶悪になればなるほど、厳しく罰せられるというわけだ。その中でも、一番厳しく罰せられる呪文が三つある。答えられる者はいるか?」

 

何人かが中途半端に手をあげる。ハーマイオニーはピシッとあげているし、珍しくロンもあげている。

 

「ウィーズリー、答えてみなさい」

 

「えーと、パパが一つ話してくれたんですけど……〈服従の呪文〉とかなんとか……」

 

「その通り。お前の父親なら、確かにそいつを知っているはずだ。一時期、魔法省を手こずらせたことがあるからな」

 

ムーディ先生は机の引き出しを開け、ガラス瓶を取り出した。中には黒い大蜘蛛が三匹入っている。

先生はそのうち一匹を取り出すと、みんなに見えるように手のひらに乗せて、杖を向けて一言つぶやいた。

 

「〈服従せよ(インペリオ)〉!」

 

蜘蛛は一瞬震えた後、先生の手から飛び降りて芸をし始めた。本来ならできないはずの動きとかも。

みんなが笑う──ムーディ先生とあたしを除いたみんなが。

この呪文はとても恐ろしい。だって、家族やペットが操られて、あたしを襲ってくるかもしれないから。その時、あたしは冷静に対処できるだろうか──いや、できないだろう。混乱して、呼びかけて、なすすべもなく倒される。

 

「面白いと思うのか?わしがお前たちに同じことをしたら、喜ぶか?」

 

笑い声が消える。

 

「完全な支配だ。わしはこいつを、思いのままにできる。窓から飛び降りさせることも、水に溺れさせることも、誰かの喉に飛び込ませることも……。

何年も前になるが、多くの魔法使いたちがこの〈服従の呪文〉に支配された。誰が無理に動かされているのか、誰が自らの意思で動いているのか、それを見分けるのが、魔法省にとって一仕事だった。最悪を誇る三つの呪文のうち、〈服従の呪文〉だけは対処ができる。これからそのやり方を教えていこう。しかし、これには個人の持つ真の力が必要で、誰にもできるわけではない。できれば呪文をかけられぬようにするほうが良い。油断大敵!

 

みんながビクッと震え、ムーディ先生はとんぼ返りをしている蜘蛛を瓶の中に戻した。

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