大広間にいる全員の目がハリーに向けられる。誰もなにも話さない。唯一、マクゴナガル先生がダンブルドア先生に何かを耳打ちしたぐらいだ。その、ダンブルドア先生が再び口を開いた。
「ハリー・ポッター!ハリー!ここへ来なさい!」
ハリーが立ち上がり、ゆっくりとこちらへ向かって来る。その顔は、困惑で占められていた。
「さあ……あの扉から。ハリー」
ダンブルドア校長がハリーに言う。ハリーが扉を出て行くと、広間は途端に騒がしくなった。
「皆の者、ハプニングはあったが、代表選手は選ばれた!ハリー・ポッターの名前が出てきた原因はわからん。ただ一つ、彼がこの試合に参加することになったことだけははっきりとしておる。ハリー自身は入れてはおらんじゃろう。では、寮へ帰りなさい。第一の課題の詳しい日程は、また後日に」
ダンブルドア校長の話が終わり、関係者は隣の部屋へ移動した。先に入っていたバグマンさんが既にハリーについて話していたらしく、他の三人の視線は鋭かった。
「ダンブリー-ドール、これは、どういうこーとですか?」
「私も是非、知りたいものですな、ダンブルドア。ホグワーツの代表選手が二人とは?開催校は二人の代表選手を出しても良いとの規則は伺っておりませんが?」
マダム・マクシームとカルカロフ校長が冷たい声で言う。
「誰の咎でもない。ポッターのせいだ、カルカロフ」
スネイプ先生が低い声で返す。
「ポッターなら年齢線を何かしらの形で突破していてもおかしくはあるまい。なぜなら、彼は入学してからの四年間、規則を何百、何千と破ってきているのだから」
「セブルス、これはおそらくじゃが、誰かの陰謀かもしれん」
スネイプ先生の言葉を、ダンブルドア校長が否定する。校長先生は四枚の羊皮紙をテーブルの上に広げた。
「見ると良い。セドリック・ディゴリー、ビクトール・クラム、フラー・デラクールの羊皮紙には、名前の他に所属校も書かれておる。じゃが、ハリーの羊皮紙にはそれがない。空白の、存在しない四校目としてゴブレットは処理したのじゃろう。残念なことに、ゴブレットの火は消えてしもうた。次の試合まで、火がつくことは決してないじゃろう」
「ポッターは狙われてるかもしれんぞ、ダンブルドア」
抗議しようとしたカルカロフ校長をひと睨みし、入り口付近に陣取ったムーディ先生が言葉を紡ぐ。
「この試合に出ると言うことは、危険が付きまとうと言うことだ。ポッターを殺して得をする者は?ゴブレットには並外れて強力な〈錯乱の呪文〉でもかけてあったのだろう。そうでもしないと、あのゴブレットの目を騙すことはできん。生徒たちの中に──例えば、スリザリンなどに──死喰い人でもいるか、彼らに協力者として死喰い人がついているか、もしくは──」
「我々の中に裏切り者がおると言いたいのかね、アラスター」
「そうだ。ゴブレットを騙眩かすほどの強力な呪文を使えるのは生徒にはおるまい。わしら、教師の中にしかな。その時点でリアス・クリミアは犯人ではないわけだ。そもそも、こいつはポッターを参加させるメリットがない」
「そうじゃのう……とりあえず、これは試合を始めるしかあるまいて。バーティ、最初の指示をお願いできますかな?」
マダム・マクシームとカルカロフ校長、スネイプ先生はまだ納得してないようだったが、渋々とダンブルドア先生の言葉に従った。
「最初の課題は、君たちの勇気と運、知恵を試すものだ」
「つまり、優勝するための資格のほぼ全てじゃのう」
「ダンブルドア、口を挟まないでいただきたい。どういった内容なのかは教えないことにする。ミス・クリミアも、できる限り代表選手に接触しないよう。未知のものに遭遇した時の勇気は、魔法使いにとって非常に重要な資質である。
最初の競技は、十一月二十四日、全生徒、並びに審査員の前で行われる。選手は競技の課題を完遂するにあたり、先生方、並びに生徒からの援助を頼むことも、受けることも禁止されている。生徒とともに呪文の練習を、競技よりも前にすることぐらいは平気だが。選手が持ち込んでいいのは杖のみ。第一の課題終了後、第二の課題の情報が与えられる。試合は過酷で、また時間のかかるものであるため、選手たちは期末試験を免除される。
……アルバス、これで全部かね?」
「けっこうじゃよ、バーティ。ほれ、休んで行くといい。目の下の隈が凄いことになっておるぞ?」
ダンブルドア先生はクラウチさんを休ませようとしてるみたいだけど、効果なし。クラウチさんはさっさと行ってしまった。
「やれやれ……代表選手たちはそれぞれの寝床へ帰りなさい。それとリアス、君にフリットウィック先生から話があるそうじゃ。少し残ってくれるかのう」
四人が出て行き、あたしはダンブルドア先生に連れられて、フリットウィック先生の元へ向かった。なぜかマクゴナガル先生も一緒だけど。
フリットウィック先生は部屋に居たけど、何やら羊皮紙の山に埋もれていた。一枚一枚に、びっしりと何かの魔法の理論が書かれている。
「来てくれましたか、ミス・クリミア!」
キーキー声で駆け寄ってくるフリットウィック先生を見て、マクゴナガル先生が目を見開いた。
「もしや……完成したのですか?」
「もちろん!貴女のおかげですとも!」
ん?マクゴナガル先生とフリットウィック先生は共同で魔法の開発をしていたのかな?
「いやあ、最近ミス・クリミア──貴女のお母様であるエリザが多くの魔法を作り上げるものですから、私も感化されてしまいまして。年甲斐もなく研究に没頭していたのですよ」
「フリットウィック先生が構築していた魔法理論の中に変身術の関わる部分があったのです。私もこの魔法は見てみたいので、研究に関わったのですよ」
フリットウィック先生が一枚の羊皮紙を差し出してくる。複雑すぎてわけがわからない。一番下に書いてある魔法名は──ゴーレム作製?
「では、実際に使ってみるとしましょう。場所は校庭でいいですかな?」
「いいとも。この魔法はロマンに溢れておる。理論は完璧なようじゃ」
校長先生の言葉を聞いて走り出すフリットウィック先生。優雅に、されど早足で追いかけるマクゴナガル先生にその後ろからゆっくりとついていくあたしとダンブルドア校長。
校庭につき、杖を抜くフリットウィック先生。マクゴナガル先生は珍しく目を輝かせ、ダンブルドア校長もワクワクした顔で見守っている。
「では、参りますぞ。〈
フリットウィック先生のキーキー声とともに校庭の土が蠢き始め、十秒ほどで、一体の土でできた鎧が片膝をついていた。
「どうですかな?エリザの使い魔作製魔法を元にして作り上げたのですが、いやはや、あの子は恐ろしい。あんな難解な理論をどのようにして構築しているのやら。この魔法を作るのに半年以上かけましたよ」
「理論上は、その場に存在する素材ならなんでも使えて、材料の量と魔力量さえ足りればあらゆる生物──それこそ、ドラゴンや古龍でさえ──作り出せるはずです。ただし、ゴーレムですのでもちろん弱点は存在しますが」
ゴーレムの胸元を指差す先生。そこには、『
「これの『e』を消し『
フリットウィック先生が文字を消す。途端に、鎧は崩れて土塊に変わる。
この魔法で作り出されたゴーレムに自我は無く、製作者の命令に忠実に従うそうだ。また、定期的に魔力を補給しなければ動かなくなるらしい。ゴーレムが車で、魔力がガソリンってとこかな?
この魔法は明日、ママに教えるらしい。どんな顔をするのやら。
オリジナル魔法
ゴーレム作製魔法。○○には素材名が、××には雛形となる物体の名前が入る。その場にある素材しか使えない。また、単一素材でしか作れない。気体もダメ。固体・液体のみ。
理論上は魔法生物も作れる。魔力量次第で種族としての能力も使えるようになるかも。ブレスとか。
どこかに必ずemethの文字が現れる。eを消してmethに変えるとゴーレムは崩れ去り、素材の山に戻る。
一番作りやすい素材は土か泥。元々ゴーレムは土人形、泥人形のため。自我は無い。
液体、もしくは炎でゴーレムを作製した場合、どこかに核を入れることになる。湖などから作製した場合、湖のどこかに文字を刻むことでの発動も可能ではある。その場合はゴーレムは湖から上がることは出来なくなる。
フリットウィック・マクゴナガル共同製作
ちなみに、