また、主人公名はアニメにならって藤丸立香に変更しました。
「……ぱい。起きてください、先輩」
目を開いたとき、最初に飛び込んできたのは、超至近距離からこちらを純粋な目で見つめる美少女――マシュ・キリエライトの姿だった。
「気がついてくれましたか、よかった……」
どうやら、自分は大の字になって倒れていたようだ。とりあえず、上半身を起こして周囲を見渡してみる。
周囲には人里はなれた山奥にあるカルデアには存在しないはずのビル群。足元はアスファルトで舗装された道路。道路標識や路上の広告などは全て日本語で書かれている。そして、彼はその視界の片隅にある看板を見てほくそえむ。その看板には、「冬木市民会館この先400m」と書かれていた。
「マシュ!怪我は大丈夫なのか!?」
内心でガッツポーズをしつつも、表面上はまるで事態を飲み込めていないかのように彼は振舞う。
「先輩。私は大丈夫です」
最初から全てを理解していながら、マシュの怪我を確認した彼は、続いてマシュに問いかけた。
「一体、何が起こったんだ?俺にはさっぱり読み込めない……」
そして、全てを知っていながら白々しくもマシュに事態の説明を求めた。
――特異点Fだ!!作戦通りィィ!!
これまで誰にも話していなかったが、彼には前世の記憶があった。彼は、所謂転生者というやつだ。生前は型月作品に熱中していた普通の会社員だった。ある日、通勤につかっていた駅のホームで突然後ろから突き飛ばされ、電車に轢かれたと思ったらこの世界に転生していた。
アニムスフィア家に縁のある魔術師の家系に生まれたことでこの世界が型月ワールドであることを知った彼は、生誕直後からカルデアにマスターとして参加するために全力を注いできた。
スマホ向けゲーム『Fate/Grand Order』も当然プレイしていた彼は、おっぱいタイツ師匠や乳上に会いたい一心で魔術の鍛錬に幼いころから熱心に取り組み、オルガマリーと交流する機会も積極的に利用してきたのである。
その甲斐もあって、マスターとして選ばれた彼は、原作の流れに乗るためにこの日まで万全の準備を重ね、行動にも細心の注意を払ってきた。
この世界には過去にゴジラが出現していたり、カルデアにロード・エルメロイ二世と衛宮士郎らしき赤毛の青年がいたりと、自分の知るシナリオとの相違点がいくつか存在していたため、不安視していた部分もあった。
しかし、マシュの説明を聞いた分では、今のところシナリオには大きな剥離はないようだ、彼は、Fate/Grand Orderのシナリオ通りに展開を進められていることを確信する。
「事態は分かった。だけど、ここでジッとしているのは危険だ。すぐに……」
シナリオ通りなら、ここにいればエネミーに襲撃されるのは確実。すぐにサーヴァントを召喚して戦力を整えた上で霊地まで移動。カルデアとの通信体制を整えた上でキャスターの兄貴と協力体制を結ぶ。
この時のために幾度となくシミュレートしてきた状況だ。彼は次になすべきことを瞬時に判断して行動に移そうとする。
しかし、ここでふと、違和感に気づく。自分の知るFate/Grand Orderの序章、炎上都市冬木は、文字通り燃え盛る都市が舞台だったはず。破壊を免れた地域もあるかもしれないが、周囲に
まさか、自分という異物が混入したことによりストーリーのズレが生じたのか!?――そんなことを考えていたその時、地面が震えた。
「■■■■ー!!」
ズン……ズンという巨大な物体を大地に叩きつけているような振動に次いで、巨大な咆哮が空気を震わす。
そして、その声の聞こえてきた方向に視線を移した彼は絶句した。
そこにいたのは、ここに出現するはずの雑魚エネミーでも、シャドーサーヴァントでも、相変わらずの中ボスっぷりを発揮するはずの黒い騎士王でもない。
直立歩行する肉食恐竜のようなイメージのスマートなフォルムに、巨大な角。まさにステレオタイプな「怪獣」らしいデザイン。
映画にまで出演し、毎回見事な「噛ませ犬」っぷりを見せつける凶暴怪獣。
――そう、アーストロンがそこにいた。
「何でさ」
Fate/Grand Orderのシナリオ展開が序章で木っ端微塵に砕けたことを理解した彼は、ただ呆然と運命の夜の主人公の台詞を呟いた。
<おまけ TVCM風予告>
*この予告通りにシナリオが展開されるとは限りません
人理継続保障機関・カルデア。
それは、人類の決定的な絶滅を防ぐために成立された特務機関である。
ここには、人類史を存続させるというただ一つの目的のために、全世界から優秀な研究者が集められた。
そして、彼らは見事に期待に答え、数々の成果を挙げる。
代表的なものを挙げれば、疑似地球環境モデル・カルデアス、近未来観測レンズ・シバ、守護英霊召喚システム・フェイト。そして霊子演算装置・トリスメギストスだ。
世界が怪獣や外宇宙からの侵略者の手で脅かされる中、人理継続保障機関により人類史は百年先までの存続を保証されていた。
しかし、西暦2015年。何の前触れも無く未来領域が消失。精査したところ、人類は西暦2017年――つまりは、僅か2年後に絶滅する事が判明―――いや、証明されてしまった。
人類存続の尊命を担う人理継続保障機関はこの事態に対し、術者を霊子化させて過去に送りこみ、事象に介入する事で人類史の消失原因たる歪みを取り除く計画を立案する。それに伴い、全世界からマスター適性を持つ48人の候補を集めた。
そして、ついに術者を霊子化させて過去に送りこむレイシフト実行の日。
人類史を遡り、失われた未来を取り戻す、史上最大の聖杯戦争が、いま開幕する。
未来の失われた世界。
ロード・エルメロイ二世はかつて憧れた戦士の志を継ぐ青年と、偶然(?)生き残った少年と共にマスターとなって探求の旅に出る。
果たして、人類を否定し、人類史の破滅を願うものは何者なのか。
人理定礎値 C+
第1の聖杯 魔女覚醒 西暦1431年 邪神百年戦争 オルレアン
「私はフランスを許さない」
――天地否それ滅びなん――
最初の
本来であれば、以後数百年間における国境をほぼ定めた百年戦争の最中にあるフランス王国。
邪神が産声を挙げるとき、古の民が時の揺り篭に託した最後の希望が蘇った。
災厄の影の舞う空の下で光の聖旗と闇の聖旗が雌雄を決する。
人理定礎値 B+
第2の聖杯 The Real Guardian of the Universe 西暦0060年 永続狂気帝国 セプテム
「主が、『名は何か』とお尋ねになると、それは答えた。『わが名はレギオン。我々は、大勢であるがゆえに』」
――消滅するのは、人理か、レギオンか。――
2度目の
ギリギリまで踏ん張る勇者たちのもとに駆けつけたのは、地球が生み出した大地の光。
そして、ローマを守るべく、ティベリス川にはローマ帝国の総力を結集した最終防衛ラインが敷かれる。
今、賽は投げられた。
人理定礎値 A
第3の聖杯 わたしが地球人 西暦1573年 封鎖終局四海 オケアノス
「人間は今では自分たちが地球人だと思ってるけど、本当は侵略者なんだ」
――人類はこの地球を故郷とすることすら許されないのだろうか――
3度目の
数多の海賊たちが財宝とロマンを追い求めて海に出た大航海時代。
大地を取り戻せと叫びながら襲い来る、海に住まう海底人たちとその眷属たち。
海底人の守護神獣に対するは、かつての東洋の覇者たる大海軍の末裔たちの駆る超兵器。
そして、人理焼却にその果てを海に閉ざされた
人理定礎値 A-
第4の聖杯 闇の支配者 西暦1888年 死界暗黒都市ミストシティ ロンドン
「たとえ人の心から闇が消える事が無くても僕は信じる……!!人間は……自分自身で光になれるんだ!!」
――人類の未来をつくるのは、死者ではない――
4度目の
文明の発展と隆盛を迎える産業革命期の大英帝国。
新たなる時代に進もうとする人類の前に、滅びの使い、怪獣ゾイガーが蘇る。
闇に包まれ、進むべき未来を閉ざされた都市に最後に来るもの。恐ろしい闇、巨大な悪。
その時人は、自分自身の力で絶望から立ち上がり、光となる。
人理定礎値 A+
第5の聖杯 明日へ…… 西暦1783年 北米神話大戦 イ・プルーリバス・ウナム
「人類よ、そのもの達の中へと同化せよ」
――恒久的世界平和、その答えの一つがそこにはあった――
5度目の
世界を支配する超大国が生まれる以前、夜明けを待つ大地に現れた完璧な世界。
完全無欠の生命体。争いの無い世界。滅びのない永遠。
人は今、歩むべき未来を問われる。
人理定礎値 EX
第6の聖杯 超決戦!ベリアル銀河帝国 西暦1273年 暴虐皇帝要塞 マレブランデス
「ウルトラ戦士の心なんて何万年も前に捨てたよ!」
――光の国の長い歴史の中で、一人だけ力の誘惑に負けた者がいた――
6度目の
多くの人々の信仰の寄る辺となる聖地は、そこにはもはや存在しない。
そこにあったのは、光の国で唯一闇に墜ちた狂戦士が統べる超帝国。
暴虐と破壊と殺戮の支配する大地を取り戻すべく、地球を地球人より愛する親子が立ち上がる。
人理定礎値 ?
第7の聖杯 シン・Grand Order 西暦1941年 絶対怪獣戦線
「■■■■■■――!!」
――私の役目は終わった――
最後の
全世界に同時に出現した怪獣たち。
しかし、それはある一体の怪獣を蘇らせた影響を受けたにすぎない。
人類史を終わらせようとした存在の目的は、最初からあの怪獣にしかなかったのだ。
怪獣王が、人類史上最大の戦乱の中で怨嗟に満ちた産声をあげる。