目覚めた時、森の中にいて、よく分からないやつらに囲まれていた。
「はっはー、観念しな」とか「この数が相手だ。何もできまい」とか言っている。格好はなにかで見たことがある。クナイを持っているし、忍者っぽい。
というか、俺の視線が少し低い気がする。不思議と力はわいてくる。襲われそうだから正当防衛で懲らしめようと思う。
あれ? どうして怖くないのだろう。むしろ戦闘意欲は増してきている。いや、細かいところは後でいい。緊急事態だから。
「行くぞ、慢心忍者ども。チャクラの貯蔵は十分か」
そうだ。今言ってから気が付いた。ここはNARUTOの世界だ。
なぜならチャクラを感じるから――。
――気が付くと、真っ暗な場所にいた。
目の前には大きな牢屋。俺自身も鎖でしばられている。
どうしてこんなことになったのだろう。
ああ、思い出した。気持ちよく暴れていたところで、金髪の男が現れたんだ。
そんで、そいつに触れられた途端に視界が変わった。封印されたのだろう。
たぶん、あいつは四代目火影になる波風ミナトだ。
そんでたぶん、俺はリンの中に封印されている尾獣なんだ。なんでこの世界に来たのかはさっぱり分からないけどね。
うん。でも、これは少し望んでいたことかもしれない。
マンガを読んでいた時に、なんとかリンをオビトに出会わせたいと思っていたから。黒くなった後のオビトにね。
本当は人間がよかったけど、それは変化の術でなんとかしよう。
それよりも、リンを生かす方法を考えたい。
何事も無く木の葉でいられるといいけど、霧隠れの実験体らしいから、たぶんそれは無理。
里抜けも、どの道霧隠れに追われちゃう。霧隠れに亡命もなんだか怖い。
だから、死んだふりをしよう。それが一番安全だ。
ほら、八尾のやっていたタコ足の分身の術と変化の術。あれをすればバレないよね。写輪眼のサスケにも気づかれてなかったし。
できるかどうかが問題だけど。
「リンちゃーん、リンちゃーん」
ともかく練習あるのみだ。リンに相談してみよう。
相談する方法すら分からないから適当に呼んでいるんだけどね。
尾獣は人柱力と感覚を共有できるらしい。気になってちょっと意識してみると、リンの視界を見ることができたよ。
夜空の星を眺めているね。オビトが星になったとか思っているのかな。生きているのにね。
しばらく感傷に浸った後、リンは眠りに落ちた。
たぶんチャンスだ。この隙に声をかけまくってみる。
「……ちゃーん。リンちゃーん。リンちゃーん」
「……誰?」
返事があった。よかったよ。
「リンちゃん。僕は君の中にいる尾獣ってやつだよ」
「尾獣?」
「簡単に言うと莫大なチャクラを持つ獣だよ。獣と言っても僕はけっこう理性的だよ。それにきみの味方だから、安心してね」
「よく分からない」
うん。まあ夢心地なわけだしね。
そんな細かい思考は無理だよね。
「リンちゃん。だけどきみは急がないといけないんだ。もうすぐ霧隠れの忍びに襲われちゃうから」
「どうしてあなたに分かるの?」
「前に聞いたことがあるんだ。きみが霧隠れになにか、実験をされちゃっているらしいって」
「よく分からない」
反応は薄いけど、さっさと用件を言っておいた方がいいね。
「ともかく、きみは狙われている。そして、生き残るためにはきみの偽物の死体を用意するしかない。分かった?」
「分からない」
まだダメか。
でも、迷ってはいられない。
「いや、分からなくても言うことを聞いてね。死体を用意できないときみは死んじゃうからね。カカシと結ばれることもなくね」
「えっ、カカシ?」
お、やっといい反応があったよ。
恋心はいろいろと便利だね。
「そう。カカシの目の前で死んじゃうんだ。死体が作れないとね。それも、よほど精巧な死体じゃないといけないよ」
「じゃあ、どうすればいいの?」
「僕の尻尾の先をちょっと切って、それを変化させればいいらしいよ。だけどそのやり方が分からないから、今すぐ練習だね」
「ふーん」
が、やっぱり反応が薄い。
それも仕方ないけどさ。眠いだろうし、理由も不透明だからね。
「いや、今すぐ練習なんだよ。僕とリンちゃんとで一緒に」
「そうなの?」
「ほら、早く」
「まあ別に、いいけど」
その瞬間、リンがスッと目の前に現れる。
「おっす、オラたぶん三尾」
本名は覚えていない。
「私はリン。というか、デカッ」
うん、やっぱり驚くよね。
大きいだけでなくて、けっこう醜いしね。
でも、目を見開いているリンちゃんはかわいいよ。
「まあそんなことはいいから、さっさと術の開発を始めようよ。時間があまりないからね」
「まあ、いいけどさ」
とは言っても、俺には何をどうすればいいかが全く分からない。
術の開発に関してはリン主体になるだろう。
「ええっと、あなたの尻尾を私に変化させるのよね」
「うん。そうだよ」
返事をしてから後ろを向く。
それから、リン目がけて尻尾を伸ばしてみる。
ガン、と牢屋にぶつかる。
首を回して後ろを見てみる。
大きな封が牢の中央に貼られている。
「邪魔だね。それ、はがして」
「えっ、それは」
さすがに躊躇している様子。
しょうがないから、チャクラだけを送ろうとしてみる。
「えっ、あ、ああ。す、すごいチャクラね」
うまく送れたようだ。
でも、これが何になるのかって話だよね。
いや、いい案が思い浮かんできたぞ。
「そうだ。このまま僕のチャクラをたくさんあげよう。そんで、僕よりリンちゃんが強くなった時点で、リンちゃんが封をはがせばいいんだ」
「なるほど。って、そういうものなの?」
「まあやってみてよ」
俺は勝手にチャクラを送っていく。
リンは「えっ、ええっ」なんて驚いている。
しばらくして、俺もバテテきた。
再び話しかけてみる。
「はあ、はあ。もう僕は虫の息だよ。これで怖くないでしょ?」
「というか、本当にすごいチャクラなのね。こんなのもらっちゃっていいのかしら」
「いいんだよ。いいからさっさと開けちゃって」
「えっ、うん。まあ、今ならいいけどさ」