簪の奇妙な冒険 -宇宙翔け夢物語-   作:原作未読の魔改造フェチ(百合脳)

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 就職したので初投稿です。
 そして就職したので今まで以上に投稿は不定期になる事でしょう。
 ただ第0部だけは今月中に終わらせたい(願望) まだ入学してすらしてねーよ……

 ……信じ難い事に。当初の予定では、過去編は神父戦まで含めて三話くらいで終わらせる予定だったようです。過去の俺はどんな計算をしていたのか、コレガワカラナイ


そこにロマンはあるのかしら

 突然ではあるが、更識簪は落下中である。

 

 

 

 

「く、うっ……! これはロマンというよりスリルだねっ……!」

 

 全身に風を受けながら、果てしなく流れていく景色に目が眩みそうになる。だがいつまで経っても地面には辿り着きそうも無い。それもその筈、彼女は『地面に向かってはいない』のだから。

 地球上の万物は、地球の中心に向かって『落下』する。それはニュートン以降の人類にとって常識となった物理法則である。だが時として、物理法則をも超越するのが『スタンド能力』なのだ。

 

 

   ※   ※   ※

 

 

 特別懲罰房での一連の戦闘において、空条徐倫は『ホワイトスネイク』―――プッチ神父と対峙した。最終的にはあと一歩のところで取り逃がしてしまったものの、命を落としたF.Fや、徐倫に恋する殺人鬼『ナルシソ・アナスイ』の助力もあり、父親・空条承太郎の記憶DISCを取り戻すことには成功したのだった。

 その記憶を読んだ結果判明した、神父の『目的』―――それは嘗て神父の親友であった、最悪の吸血鬼『DIO』が目指した『天国』へと辿り着く事。DIOはその野望を実行に移す前に空条承太郎によって滅ぼされたが、その『方法』を記したノートも彼の手で焼き捨てられていた。故に、神父は承太郎の記憶を欲した―――『天国へ行く方法』は、もはやそこにしか残っていなかったから。

 

 神父は特別懲罰房での戦いの末、『天国』への鍵となるモノを手に入れたらしい。承太郎のDISCを取り戻した徐倫には目もくれず、彼はDIOによって預言された『天国への階段(ステアウェイ・トゥ・ヘブン)』となるべき()()……【北緯28度24分・西経80度36分】の場所へと旅立っていった。

 徐倫にも他の仲間達にも、()してや承太郎にすら、彼らの求める『天国』とは一体何の事なのか、まるで理解できていない。ただ一つだけ分かるのは、それが()()()()()()であろうという確かな実感だけ。他者を押し退け、踏み躙り、どんな犠牲を強いてでも辿り着こうとする『天国』とやらが、人々にとって()()()()だとは到底思えなかった。

 

 

 空条徐倫は、神父を止める為に後を追う事にした。それは神父の目的に計り知れない(おぞ)ましさを感じたから、というだけではない。記憶DISCを通じて、父の意思を知ったからだ。

 徐倫は幼い頃から父親と離れて育った……承太郎は、自らの家庭を避けている節があった。それは両親が離婚した後も変わらず、彼女は父の愛情を感じられずに育ち、この刑務所に入るまで―――神父の放った刺客と『ホワイトスネイク』自身との連携攻撃から命懸けで庇われるまで、己の父親の事を嫌っていた。

 だが今、父親の記憶を垣間見た事で、漸く彼の思惑が分かった。承太郎は徐倫を、自分の娘を確かに愛していた。愛していたからこそ離れていったのだ……自分の事情に愛する家族を巻き込まない為に。

 彼は徐倫が生まれるずっと前から、世界中の『悪』と戦い続けていた。学生時代に打倒したDIOを筆頭に数え切れない程の悪党スタンド使いと敵対してきた承太郎は、自らが誤解され家族から憎まれるのも厭わず、徐倫や母親を危険から遠ざけ一人戦いの道を選んだのだ。

 

 承太郎の思いを知り、自らの感じてきた『孤独』の意味を―――父の愛を理解した徐倫は、だからこそ父親と同様に危険を冒してでも戦う事を選んだ。父が仮死状態でさえ無ければ、きっと神父を止めただろうから。()()承太郎の娘・()()徐倫として、悪を見過ごす訳にはいかないから!

 

 

 ―――こうして彼女は、簪達と共にG.D.st刑務所を()()()()のだ!

 

 

   ※   ※   ※

 

 

 ……図らずも当初の目的であった『脱獄』を(案外簡単に)果たす事となった簪だが、感慨に耽る余裕も無い。DIOの『預言』によれば、『天国』到達への制限時間(タイムリミット)は『次の新月の時』。それまでに神父に追い着かねばならない上、これまで以上に強力な刺客達が次々と襲い来る。

 それでもなお、神父に手が届きかけた場面もあったが……まるで運命が神父に味方するかのように、偶然が重なって取り逃がしたばかりか、逆にウェザー・リポートが神父の手に掛かってしまった。

 ……悲しみに暮れる暇は無い。神父の野望を止めるため、F.Fやウェザーの仇を取るため、彼女たちは決戦の場所―――北緯28度24分・西経80度36分に存在する『ケネディ宇宙センター』へと向かっていた。

 

 そこで起きた異変こそ、『あらゆる物が"横向き"に落ちていく』という……『重力が()()()()に働く』という超常現象。徐倫や簪達には知る由も無いが、これは神父の『ホワイトスネイク』が進化して生まれた新たな能力、『C-MOON』による重力操作の影響である。

 突然の出来事に対処できず、『横』から()()()()()瓦礫に巻き込まれ、あれよと言う間にエルメェスは遥か彼方へ吹っ飛ばされて(落っこちて)行ってしまった。となれば、彼女を兄貴分と慕う簪が救助に向かうのも自然な成り行きである。

 神父との決戦を前に戦力を分散するという愚を犯そうとも、仲間の安否を気にして目の前の敵に集中できないよりはよっぽど良い……と理屈を捏ねるより早く、反射的に行動していた。徐倫達に「すぐに追い着く」と言い残し、簪は自ら地平線の果てへと身を投じたのだった。

 

 

   ※   ※   ※

 

 

 そうして、終わりの見えない落下を幾らか続けた後。

 あっと言う間に落ちて行った所為で一時は見失いかけた兄貴分の姿が視界に入った。

 

「……見えたッ! エルメェスの兄貴、今行きます!!」

 

「!? 簪かッ!? 助けに来てくれたのか!!」

 

 スタンドで落ちてくる障害物を捌きつつも、為す術無く落ち続けていたエルメェスだったが、簪が救援に来た事に気付くと表情を明るくする。

 オルタンスの能力で自らの落下に別ベクトルの動きを加え、進行方向を微調整した簪は遂にエルメェスに追い着いた。彼女の体を抱えるように(体格差から抱き着いているようにしか見えないが)しながら、ヴィオレットを繰り出して全ての運動エネルギーを停止させる。

 

 

「はぁっ……これで一先ずは安心、かな……?」

 

「ああ……いや、そうでも無いみたいだぞ簪ッ! 『上』だッ!!」

 

 一息吐く間も無く叫んだエルメェスの声に、ハッと上方向……自分達が今落ちてきた方向を見遣れば、落ちてくる一台の車。とはいえ、そこらの乗用車とは訳が違う。もっとデカくて、重くて、恐らくは大量の『中身』を積載しているであろう()()は、一言で言うならそう―――

 

「え、ええ……『こんな物』まで降って来るの!?」

 

「何してる簪ーーーッ 早く止めろォーーーーッ!」

 

 

 

 

 ―――『()()()()()()()()()!!

 

「わぁあああああああっ!?」

「うぉおおおおおおおっ!?」

 

 

 ……全ての元凶たる吸血鬼の幻聴が聞こえたかは定かでは無いが、気付いた時には既に目前まで迫っていたその大型車両が彼女達に激突する寸前、ギリギリでヴィオレットを滑り込ませる事に成功する。その細い腕が猛然と迫るタンクにちょんと触れた瞬間、それまでの勢いが嘘だったかのように鉄塊は中空で動きを止めた。

 

「あ、危ねェーーッ! あとちょっぴり気付くのが遅かったらと思うとゾッとするぜ……」

 

「そ、そうですね……警告ありがとうございます、兄貴……」

 

 冷や汗をだらだら流しながら今度こそ一息吐いた二人。その鼻に焦げ臭いような匂いが届いたのは、ほぼ同時だった。

 

「……なァ簪、何か匂わねぇか……?」

 

「……確かに、この匂いは……まさかッ……!?」

 

 再びタンクローリーを見上げた時にはもう手遅れ。降って来る途中で他の瓦礫やらとぶつかったのか、よく見ればタンクローリーはボコボコにヘコみ、その運転席からは小さいながらも火の手が上がっていた。それは今まさに、燃料を満載したタンク部分に燃え移り―――

 

「ま、マズイッ!? オルタンス―――」

「ダメだ、間に合わ―――」

 

 慌ててオルタンスを前に出し、タンクローリーを遠くへ吹っ飛ばすよりも早く。

 タンクの中の燃料に引火して、その車体ごと大爆発を起こす。無情にも一瞬で燃え広がった爆炎は、直近に留まっていた簪とエルメェス、二人の無防備な身体を無遠慮に飲み込んだ。

 

 

 

   ※   ※   ※

 

   ※   ※   ※

 

 

 

 炎に全身が包まれた瞬間―――それと()()に、彼女達二人は離れた所から爆発を見つめていた。

 

 呆然としたのはほんの一瞬、すぐに自分達の無事に気付き、安堵するよりも混乱が先に出る。

 

 

「……えっ? あ、あれっ? こ、これは……?」

 

「……は? な、何だ? アタシ達、今確かに爆発に―――」

 

 

 

「爆発の瞬間……私が君達を安全な位置まで移動させた。()()()()()()……やれやれだぜ」

 

『ハッ!!』

 

 背後から聞こえた声に振り向けば、そこに立っていたのは身長2mにも届こうかという長身の美丈夫……被っている帽子が後ろ髪と一体化して見えるのは気のせいだろうか。西洋人のように彫りの深い端正な顔立ちは、彼にヨーロッパ系の血が流れている事を示しているが、彼自身は日本生まれ・日本育ちの日本人だ。その理知的で穏やかな双眸の裏には、正義の熱情と誇り高い精神が隠されている。

 既に40代に差し掛かったというのになお若々しい、というか学生時代よりも若く見えるこの男性とは、簪もエルメェスも初対面だ。にもかかわらず、彼女たちはこの男の事を()()()()()

 その人物は、徐倫が神父から取り戻した後、SPW財団に受け渡す前に見せてもらった彼女の父親の記憶DISCで知った男。否、正確に言うならば、その記憶の()()()()()。―――即ち、徐倫の『父親』。

 

 

 

   ※   ※   ※

 

 

 

 ―――その男は『正義』だった。

 

 ……人々を虐げる理不尽への義憤を込めたその拳は、蔓延る悪を悉く討ち払ってきた。

 

 

 ―――その男は『無敵』だった。

 

 ……"希望"を暗示する名を冠する能力で、強大な相手にも果敢に立ち向かい、打倒してきた。

 

 

 ―――――その男は、正に『英雄』だった。

 

 

 

 

 ―――その名は、『空条承太郎』―――!

 

 

 

   ※   ※   ※

 

 

 その男が今、目の前に居る。道端の大きな案内標識の(よこ)に立ち、(よこ)に落ちないよう簪達もその場に引っ張ってきたのだ。無敵と呼ばれるそのスタンド、『スタープラチナ』の()()()()()()()()能力によって。そうして彼女たちは、間一髪助けられたという訳だ。

 

「エルメェス・コステロ、更識簪……君達の事はSPW財団から聞いている。私の娘……徐倫に協力してくれているらしいな。こんな事に巻き込んでしまい、すまないと思うが……できれば、力を貸してくれ」

 

 簪達を気遣う素振りを見せながら、やはりプッチ神父という巨悪を前にしては猫の手も借りたいのだろう。申し訳無さそうにしつつ協力を要請する承太郎に対し、慌ててエルメェスが口を挟む。

 

「い、いや、徐倫の親父さんよォ、そんな気にしないでくれって……どの道神父は放っておけないし、何より徐倫は親友なんだ。言われなくたって協力するし、むしろ『着いて来るな』って言われても聞かねーぜ」

 

「……そうか。……徐倫は、良い友と巡り会ったようだな」

 

 一見無愛想に見える友人の父親からの素直な賛辞を受け、少し照れ臭くなるエルメェス。だがここで、隣にいる妹分の様子がおかしい事に気付く。先ほどから硬直したまま、一切身動ぎもしなければ一言も喋ってはいないのだ。承太郎も、訝しげに彼女を見つめている。

 

「オイ簪、どうかしたのか……?」

 

「あ、あ……あ……!」

 

「あ?」

 

「あ、握手して下さい承太郎さんッッ!!!」

 

「……は?」

 

 漸く出てきた言葉がそれかよ、という表情で固まるエルメェス。承太郎さんなんて「イカれてるのか? この状況で」とでも言い出しそうだったが、何とか堪えた。学生時代によく周りで騒いでいた、鬱陶(うっおと)しい女子達を思い出しながらも、断る理由もないので適当に握手に応じてやる。

 ……これがもし、もっと切羽詰まったのっぴきならないピンチに、突然「娘さんを下さい」とか言う空気の読めない求婚とかだったなら、先ほど思った台詞も口をついて出たかもしれないが……まさかそこまで意味不明な人間はいなかろう。そんな風に思案しながらも、表面上は全く顔色を変えず淡々と簪の手を握る。

 

「……これでいいのか?」

 

「は、はいッありがとうございます!! うわ~兄貴どうしよー、ナマ承太郎さんと握手しちゃったよ私ー!」

 

「分かった、分かったから落ち着け簪……あー、承太郎さん、気にしないでやってくれ……。コイツ、あんたの記憶DISCを読んでからすっかり()()()になっちまったみたいでさ」

 

 

 

 ……念の為補足しておこう。ご存知の通り、更識簪はオタク気質を持つ少女である。アニメは勿論、マンガでも特撮でも何でも、正義の味方が悪を挫くという勧善懲悪で王道なヒーローの物語が特に大好物だ。デパートの屋上で開かれるようなヒーローショーにも当然の如く参戦し、並み居る幼稚園児や小学校低学年の子供ら低年齢層に混じり、歓声を上げながら最前列でステージを楽しむタイプの少女! ……以前までの簪なら流石に恥ずかしがったかもしれないが、色々吹っ切れた今の彼女なら本当にやりかねなかったりする。

 

 ともかく。たった今そんな彼女の目の前には、正真正銘本物の『英雄(ヒーロー)』がいる。神父の情報を得ようと少し覗かせてもらった承太郎さんの記憶は、想像していたよりもずっと強烈で、濃密で、輝いていた。

 先祖から受け継ぐ因縁、海の底から蘇った邪悪の化身、突如目覚めた特別な能力、仲間達と往く50日の旅路―――。それは今までに見てきたどんな物語よりも奇妙な、そして心震える叙事詩(ロマン)。それもフィクションでは無く、全てこの世界で現実に起こった出来事だというのだ。

 故に、その主人公とも呼ぶべき男……吸血鬼DIOを倒し冗談抜きに世界を救った英雄(それ以外にもシリアルキラーと戦ったりと色々武勇伝は有るが)空条承太郎に対して、このロマン厨少女が強い憧れを抱くのも必然と言えよう。

 

 

 ……まあ、それだけが理由では無いのだが。

 

 

 

「ところで承太郎さん……一つだけ、言っておきたい事があります」

 

「……何だ?」

 

 さっきまでとは打って変わって、真剣な表情で語りかける簪。対する承太郎は大人らしい落ち着き払った雰囲気を崩さぬまま顔を向ける。

 

「徐倫と再会したら……一言、謝ってあげて下さい。今までの事を」

 

「……!」

 

 そんな彼も簪の一言を受けると微かに、だが確かに動揺の色を見せる。

 

「貴方が徐倫を放っていた、本当の理由は知ってます。『巻き込みたくなかった』っていう気持ちは分かる……徐倫だって、『知った』今ならもう納得してると思う……でもやっぱり、寂しいものは寂しかったんだし、傷付くものは傷付くんです。―――私も、そうだったから」

 

 それこそが、簪が承太郎の『ファン』になったもう一つの理由。彼女の姉、楯無との共通項。

 

 簪は承太郎の記憶を垣間見て、彼が徐倫や家族を遠ざけた理由を知った時―――自らの姉の真意を、完全に理解した。過去の彼女を呪いの様に縛り続けた、何も出来ないままでいなさい、という言葉は、妹を暗部という危険な生業に極力関わらせたくないと願う姉の、精一杯の優しさだったのだ。……その事に、ようやく気付く事ができたのだ。

 もう少し言葉の選び方があったんじゃないか、とか思う所はあるが、シスコン拗らせ過ぎて妹限定で不器用になるあの姉の事だ。ある意味仕方無いのだろう。今となってはほとんど笑い話みたいなものだし、姉妹仲に罅が入ってから自分の失言を後悔して相当あたふたしただろう様子を想像すると、若干微笑ましい気もする。

 ……いや、寧ろ()()()()。つーか抱きしめたい。そんで二度と離したくない。何かもー、姉への感情が溢れ出して止まらない。今までの反動か、好感度がマイナスからプラスにガクンと傾いて、傾き過ぎて限界突破している気がする。だがまあ、元より楯無に劣らずシスコンの気があった簪である。改めて考えれば『異世界の英雄(ヒーロー)と同じやり方で自分を守ろうとしてくれたお姉ちゃん』という状況だったのだ、姉への憧憬更に倍率ドン。そりゃあ、こうもなろう。

 

 ―――とはいえ、あの言葉で散々傷付いて、苦しめられたのもまた事実。すれ違いの結果であって、お姉ちゃんの意図する所では無かったとはいえ、そこはしっかり謝ってもらおう。そしたら私もお姉ちゃんに謝って、きちんと仲直りして、それから―――

 

 ……なんて心の中で考えつつ、必ずお姉ちゃんの下に帰ってみせる、と決意を新たにしながらも、今はとりあえず目の前の()()()な『父親』へと自分の考えを告げる。

 

「だから必ず、謝ってあげて下さい。……そして、認めて上げてください。徐倫は、もう貴方が思うほど子供じゃ無い……貴方に守られなくとも自分の人生を歩んでいけるほど、十分に強く逞しいんだから」

 

「そう、か……そうだな。『親』としては『子』が自立して守ってやれなくなるのは、ちと複雑な気もするが……俺も子離れできない父親になるつもりは無いからな。……徐倫とは、後でゆっくり話がしたいものだ」

 

 苦笑しながら独白する姿は、『英雄』ではなく一人の『父親』だった。

 

 

 

(―――本当に、徐倫は良い友と巡り会えたようだ。嘗ての私のように)

 

 ……その脳裏に浮かんだのは、今は亡き星屑のような戦友達か。

 

 

   ※   ※   ※

 

 

 何はともあれ、考え得る限りの最大戦力を味方に加えた簪達。

 その後、約3km先まで続くという重力操作の射程の外まで一旦下り、支援の為にやってきたSPW財団の部隊と合流。エルメェスの『シール』を貼り増やした銛を、彼らの設備を用いて重力異常の中心部に『砲撃』した後、シールを剥がし一つに戻す事で高速移動。スタンド使い三人纏めて、落ちて来た時と同じかそれ以上の速さで決戦の真っ只中へと突入する事に。

 

 

 

「……着いたっ、ここに皆居るはず……」

 

「!! 見ろ! あそこだッ!」

 

 早く皆を援護しようと辺りを見渡せば、少し前方にエンポリオ少年と殺人鬼アナスイを発見。相変わらず滅茶苦茶な重力の所為で、思うように動き回れず四苦八苦しているようだ。そんな彼らの視線の先には―――

 

「プッチ神父と徐倫!?」

 

「不味いッ、徐倫が追い詰められて―――!!」

 

 宇宙センターの建物の中、神父に追い込まれ絶体絶命の徐倫と、一人重力の影響を受けずに自在に動き回るプッチ神父が居た。神父は拳銃を手に、徐倫に向けて銃撃を放つ。もはや救援は間に合わなかった―――()()()()()()()限りは。

 果たして、友人達が焦るまでも無く『父』はとっくに行動を開始していた。

 

 

 

   ※   ※   ※

 

「『スタープラチナ・ザ・ワールド!!』」

 

   ※   ※   ※

 

 

 

「―――問題なかったみたいだな」

 

「ですね」

 

 ほっと一息吐く二人。その前方では残りの二人も漸く状況を察し始める。

 

「徐倫が消えた……いや移動した? って、エルメェスに簪! 戻ってきたんだね!」

 

「エルメェスと更識が来た、っつー事は、あそこで徐倫を抱えてる男……あの人が徐倫の……」

 

 エンポリオとアナスイも、援軍の到着に安堵したように緊張を解く。

 そして建物の中を見れば、突如姿を消した徐倫に困惑する間も無くスタープラチナで殴り飛ばされる神父の姿。簪はその様子を目端で捉えながら、もう一方の……少し離れた地点で、漸く再会し久方ぶりに言葉を交わす親子を眺めた。ここからでは遠くて声が聞こえないが、父親が何かを告げているようだ。対する娘も、何事か言い返している。たった二言三言のやり取りだったが、遠目からでも分かるほど潤んだ徐倫の瞳と安らかな表情は、親子の(わだかま)りが氷解した事を示していた。

 

 

(素晴らしきかな、親子愛……これも一つのロマンの形だね。……元の世界に帰ったら、私も取り戻せるかな……ううん、必ず取り戻して見せる。お姉ちゃんとの姉妹愛(ロマン)を―――)

 

 

 

 

 

   ※   ※   ※

 

 ……さて。いよいよ舞台の上に役者は揃った。

 

「遂に囲まれたぞ……プッチ神父」

 

 

   ※   ※   ※

 

 

 ならばこれ以上、語るべき事も無い。

 

「『位置』が来るッ!!!」

 

 

 

   ※   ※   ※

 

 

 

 運命の奔流は紛れた異物(かんざし)など容易く飲み込み―――

 

「最後に一つ言っておく……『時は加速』する」

 

 

 

 

   ※   ※   ※

 

 

 

 

 そして物語(ロマン)は残酷なまでに流転し、一つの結末へと向かう。

 

「『(オーシャン)』に出ろッ!」

 

 

 

 

 

   ※   ※   ※

 

 

 

 

 

 ―――そう、残酷なまでに。

 

「『二手』……遅れたようだな」

 

 

 

 

 

 

   ※   ※   ※

 

   ※   ※   ※

 

   ※   ※   ※

 

 ……To Be Continued→




漸く終わりが見えてきた……やっと入学させてやれる(神父に勝てるとは言ってない)


本文中では特筆してないけど、かんちゃんは記憶DISCを読んだ事によって承太郎さんの戦闘経験値をラーニングしました。今作品中一番のチートな魔改造です。
「このスタンド攻撃、空条ゼミで見た奴だ!」

あと前回に引き続いて『楯無さんの与り知らぬ所でかんちゃんの好感度爆上げ作戦』実行中。というかほぼ完了。好感度MAX状態です。卒業式の日に伝説の木の下に呼び出されるレベル。後は告白イベントさえこなせばルート確定します。(ヒント:たっちゃんはヘタレ)
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