簪の奇妙な冒険 -宇宙翔け夢物語-   作:原作未読の魔改造フェチ(百合脳)

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あれおかしいな、今回中には簪さん覚醒する予定だったんだがな……
やっぱり前フリ長すぎたか? でも『スタンド攻撃を受けているッ』感は必要だよなぁ……


『もう一つの物語』その1

 G.D.st(グリーンドルフィンストリート)刑務所内の規律は乱れに乱れている。ルミルノが行っている賭博行為を始め、囚人間でのイジメやカツアゲなど日常茶飯事。看守達は咎めるどころか賄賂を推奨する始末で、一応は法が統べる檻の中だというのに無法地帯もいい所だ。

 この場所で面倒事に巻き込まれたくないならば、「力を示して黙らせる」か「金を握らせて黙らせる」か、どちらかが最も手っ取り早い方法だろう。どちらにしろ、それ自体が既に面倒事な気もしなくは無いが。

 

 その中にあって、簪は少しばかり特殊なケースであった。暗部の家系の出身とはいえまだ年端もいかぬ少女である簪に、暴力的手段で周囲の人間を抑え込むなど出来る筈も無い。

 そもそも刑務所に収監されている以上、誰も彼もがそれなりの犯罪者。中には殺人すら犯した者もいるだろう。そんな成人女性(しかもガタイが良い連中が多い)の札付き共に喧嘩を売買するような度胸は無い。かと言って賄賂で身の安全を買う訳にもいかない。というより着の身着のままこの刑務所(というかこの世界)に放り込まれた簪に手持ちの金などある訳も無い。普通に考えて詰んでいた。

 

 にも関わらず、今のところ簪は囚人達から標的にされていなかった。それは偏にルミルノのおかげである。

 と言っても、本人は別に簪を助けようとか思っていないし、彼女がどんな扱いを受けようがどうでもいいと考えている。ルミルノの同室である簪を相手に、周りの人間が勝手に一歩引いた対応をしているだけだ。

 ルミルノはこの刑務所内で一定以上の『私財』を貯めこんでいるばかりか、一部の看守すら巻き込んだ賭博の元締めとして一目置かれていた。そんな彼女の相部屋となった『新入り』を相手に皆が距離感を掴みかねているからこそ、簪は未だ手出しをされていないのだ。

 一言で言うと「虎の威を借る狐」の状態だが、それで平穏に過ごせるなら簪はそれで構わなかったし、ルミルノも自分に影響が及ばないなら止めはしなかった。

 

 

 そんな訳で簪がルミルノと朝食を食べている間も、好奇の目で見られてはいるがちょっかいを出してくる者はいない。時折ルミルノに話しかける人間はいたが、簪は殊更に避けている。それが日常であった。

 

 

 だがその日は少し違った。

 別に誰かが何かアクションを起こした訳ではない。いつも通りこちらを眺める視線を感じるだけだったが、簪はその視線にこそ違和感を感じた。今まで感じていた視線はこちらの隙を窺うかのような、粘ついたものばかりであった。しかし今感じる視線の中には、ほんのちょっぴり異質なものが混じっている気がする。もっと無機的にこちらを見つめる、淡白な視線。その出所が気になり、そちらに目を向けると―――

 

「……人形?」

 

 何時からそこにあったのか、離れた所に落ちている美少女の人形(ドール)がこちらを向いていた。いやに無機質な視線だと思ったがなるほど、無機物が向ける視線ならば納得だ。しかしあの人形、どこかで見覚えがあるような……と思い返してみれば、今朝自分の房で見かけたルミルノの『戦利品』では無かったか。

 遠目でよく分からないが、取り敢えず本人に尋ねてみた。

 

「……あの、ルミルノ、さん……あれって……」

 

「ん? どうしたカンザシ、何か用か?」

 

「いえ、あそこの人形って……あれ?」

 

 貴女の人形ではないか、という問いが口から出ることは無かった。ルミルノに話しかける為に少し目を離した隙に、人形は姿を消していたからだ。一瞬混乱したが、何の事は無い、誰かが拾って持っていったのだろう。よく考えればルミルノが人形を持ち出している様子は無かったし、きっと今朝のとは別物だったのだと結論付けた。

 

「……いえ、何でもないです……ごめんなさい」

 

「……? よく分からんが……まぁいい」

 

 そして二人は何事も無かったかのように食事を続けたのだった。

 

 

   ※   ※   ※

 

 

 午前の刑務作業―――この日は刑務所敷地内にある農場での畑仕事だった―――を終え、昼休憩の為に戻ってきた簪とルミルノ。慣れなのか体格の差なのかは知らないが、体力を使い果たし息が上がっている簪を尻目にルミルノは余裕な顔して先に行ってしまう。

 彼女とは単に相部屋であるというだけの関係で、別段仲が良い訳では無いのだが、それでも一応相部屋の誼なのだから多少は気遣ってくれてもいいんじゃないかな……などと益体も無い事を考えながら、何の気無しにふと農場の方を振り返る。

 

「……えっ……?」

 

 

 ―――振り返ったそこには、どこかで見た『双子の美少女の人形』が並んで立っていた。寒色系のドレスに身を包んだ金髪の人形が二体。紛れも無く今朝見かけたルミルノの人形であった。その二体が互いの手を結び、何の支えも無く起立してこちらを見つめているのと『目が合った』。

 

 

「……っ! …………!? え、あっ?」

 

 ぞっと身震いし、目を擦って二度見する。すると朝食の時の人形と同じく、二体の人形の『影も形も見当たらない』。その事実に困惑し、そして背筋を伝うような寒気を覚えた。

 

(きっと疲れてるんだ。最近は色々ありすぎたし……幻覚でも見たんだよ、きっと)

 

 そういう事にした。幻覚でないとするならば、あの人形は『呪いの人形』か何かとしか考えられない。非科学的だとか何とかは現在進行形で並行世界に居る自分が言える筋合いは無いのだが、ルミルノの『戦利品』である人形が本当にオバケか妖怪の類だったとしたら、私はそれと同居しなければならないという事ではないか。そんな恐怖体験は御免なので、現実逃避気味に自身の疲労の見せた幻だと思い込むようにした。

 

 

 そうして足早にルミルノの後を追っていく簪の背中を、二体の人形の四つの瞳が見つめていた。

 

 

   ※   ※   ※

 

 

 午後になって、二人は看守に呼び止められた。用件を尋ねると、図書室に溜まっている古新聞を近いうち処分したいのでヒモで縛って図書室前の廊下に置いておけ、との事だった。どうも看守が上司に言われた仕事を面倒だからとそのまま簪達に押し付けてきたようだったが、相手は看守でこちらは囚人。断れるはずも無いし、午後の作業はチャラにしてくれると言うので、そこまでの手間でも無さそうだと引き受けた。

 

「しかし……ったく、何で私達があの看守の仕事を肩代わりしなければならないんだ? アイツが私の賭博に関わってたら上手く言い包めたものを……賭け事に興味無いヤツには影響力ないからなァーーー私」

 

「……いえ、私に愚痴られても……。……大した仕事でも無いですし、早く済ませましょうよ……」

 

「真面目なのは良いがなカンザシ、足がフラついてるぞ……その新聞の束、お前には重いんじゃあないのか? まあ私には関係無いし持ってやるつもりも無いが」

 

 縛った古新聞を両手に持って歩いているが、量が量なので結構重い。午前の作業で体力を使い果たした簪には少々きつかったのか、足取りが覚束無い。それに引き換えルミルノはまだまだ余裕そうだったが、手伝う気は無さそうだ。

 ルミルノも同じ重さを運んでいる以上は文句も言えず、ただ自分の体力の無さを情けなく思っていた時に『ソレ』を見つけた。見つけてしまった。

 

「………!? きゃっ!?」

 

「なっ、おい、どうしたカンザシ!?」

 

 ふと見上げた本棚の上。天板に腰掛けるようにして、青いドレスの少女が彼女を見下ろしている。言うまでもなく例の『双子の人形』の片割れであった。思わず運んでいた新聞紙を取り落とした簪であったが、それも構わず本棚の上を指差し叫ぶ。

 

「ルミルノさんッ、あそこに! あそこに『人形』がッ!!」

 

「は? 人形? ……何も無いが?」

 

 そうしてルミルノは簪の指差した方を向くが、そこには何も無い。簪自身も訳が分からなかった。ほんの一瞬、瞬きした間に『人形』は再び消えてしまったのだ。半狂乱になりながらも、簪は必死でルミルノに言い募る。

 

「い、居なくなっちゃいましたけど、……確かに居たんです! あそこに! 貴女の『人形』がッ!!」

 

「おいおいカンザシ……マジに大丈夫か? 何言ってるんだオマエ? 私の人形って……」

 

「あ、貴女が昨日『賭け』で貰って来た『双子の女の子の人形』です! それがあそこに……」

 

「落ち着けカンザシ、『何も無い』のは見て分かるじゃあないか……そもそも私は昨日、『賭け』で『負けた』んだぜ? 何も『貰ってなんか無い』し、むしろバスケットボールを持ってかれちまったくらいだ。まっ、看守相手にわざと勝たせてやったんだがね……」

 

「…………え?」

 

 

 ―――今、彼女は何と言った? 『賭け』で『負けた』? なら、今朝部屋に『増えていた』あの『双子の人形』は、一体…………どこから湧いたというのだ? 頭に冷水をぶっかけられたかのように思考が凍り付いていく。もはや半狂乱ですらいられなくなった。

 

 

「………ッ!」

 

「お、おいカンザシ? どうしたんだよ、おいってばッ」

 

 いよいよ薄ら寒いものを感じてきた簪は、先程落とした新聞紙の束を慌てて拾いあげると部屋の外に向かって歩き出す。何がなんだか分からないが、とにかくこの部屋から出たかった。動いていないと恐怖でどうにかなりそうだった。困惑するルミルノを置いて、簪はさっさと仕事を終わらせるべく歩き去っていった。

 

 

 ……尤も、体力の差で後から追いついたルミルノの方が先に古新聞を片付け終えて、簪を捨て置いて夕食へ向かってしまったというのは余談である。

 

 

   ※   ※   ※

 

 

 さて、そんなこんなで夕方の食堂。他の囚人達と共に、簪も夕食の配膳を受けるべく列に並んでいた。普段と違いルミルノの傍に居なかったせいか、何人かの囚人が簪の前の列に割り込んできたりしたが、どうでもよかった。とにかく人が沢山いるというだけで安心できた。

 おかげで簪の分は殆ど残らずに、いつもより少なめの夕食となったが、早く食事を済ませて部屋に戻って布団を被って眠りに落ちたい簪としては却って都合が良かったかもしれない。彼女の精神はもう限界だった。昨日までとは別の意味で泣き出しそうだった。

 

「カンザシ……今日のお前、なんかおかしいぞ? 本当に大丈夫なんだろうな?」

 

「…………。……大丈夫、です……少し疲れてるだけ、ですから……」

 

 ルミルノの近くに座ると彼女の方から話しかけてくる。普段は余り簪に干渉してこないルミルノも、流石に今日の挙動不審っぷりは気になったのだろう。対して簪は、少し疲れているだけだと、自分の弱った心が見せた幻覚なのだと、むしろ自分自身に言い聞かせるように返事をした。

 

 そうして食事を始めようとした瞬間、紫色のヒラヒラした何かが視界の端に映った気がした。

 

「なっ……あ、あぁ………!!」

 

 反射的にそちらを向けば、それは紫のドレスを身に纏った金髪の『人形』。食堂の端の方―――朝食の際に落ちていたのと同じ場所から簪を見つめていた。それに気付いてしまった瞬間、全身から冷や汗が吹き出る。心臓の鼓動が早鐘のように聞こえてくる。

 

「カンザシ? 急に立ち上がってどうしたんだ、何なんだ一体?」

 

「あ、……その、あ、あぁ……!」

 

「………どうしちまったんだ、本当」

 

 知らぬ間に席から立ち上がっていたようだ。隣のルミルノが話しかけてくるが、呂律が回らず答えられない。辛うじて『人形』を指差すが、彼女がそちらを見る前、簪達と『人形』との間を他の囚人が横切り視線が遮られた隙に『人形』は消えていた。訝しげに首を傾げるルミルノ。

 

 その瞬間、違和感を覚え簪は視線を落とす。つい今しがたまで自分が座っていた座席。

 

 

 ―――そこに、『双子』のもう片方。青のドレスの少女が座っていた。

 座って、こちらを見上げていた!

 

 

「き……きゃああああああああああああああああああ!!」

 

「か、カンザシッ!?」

 

 もう限界だった。後ろも振り返らずに走り出すと、何事かと寄って来た看守に「気分が悪いので監房に戻る、夕食はいらない」と早口に告げて食堂を飛び出した。

 

 

   ※   ※   ※

 

 

 廊下を一目散に走りぬけ、自分の房を目指す。早くベッドに横になって眠ってしまいたい。目が覚めた時には何事も無く、全ては悪い夢であって欲しかった。あと少しで到着する、と思ったとき、彼女の足は止まった。

 

「あ、ああああっ……!」

 

 廊下に置かれたゴミ箱の横に、『双子人形』が並んで置かれていた。ゴミ箱で死角になっていて気付かなかったため、すぐ傍にまで近付いてしまったッ!

 

 思わず立ち竦んでしまった彼女は、何かが自分の頬を撫ぜたのを感じた。否、頬だけではない。全身を撫ぜるこの感覚は、まるで『そよ風』のようだったが……それにしては『おかしい』。まずここは室内で、風が入ってくるような隙間も無い。窓も近くには無いし、そもそも開いてないだろう。

 だがそれ以上に奇怪なのは、「風を受けている『感覚』はするのに、『風圧』は感じられない」事である。確かに風が吹いているのを感じるのに、それに髪が揺られる事も無い。まるで風が体をすり抜けるかのように、風が物理的な影響を及ぼす気配がないのだ。

 

 戸惑っている間に、段々と風が強くなってきた。今や突風と言っても過言では無い強風だが、やはり風は簪の体を吹き飛ばすような事も無い。ただ『吹いている』だけだ。何かヤバイ、と感じて今来たのと逆方向へ逃げ出そうとした簪だったが、その瞬間何かにぶつかってしまう。

 

「わっ、と……漸く追いついたぞ、カンザシ」

 

「あ、ああぁぁ……!?」

 

「少し『聞きたい事』があるんだが……どうした?」

 

 簪がぶつかったのは、食堂から彼女の後を追いかけてきたルミルノであった。よろめいた簪を支えるルミルノだったが、簪はそれどころでは無い。『新たな恐怖』を発見してしまったからだ。

 

「う、うし、うしろ……!」

 

「後ろ? 後ろがどうしたんだ? ほら、『言わなきゃ何も分かんない』ぞ、落ち着いて『説明』してくれ」

 

 

「あ、貴女の後ろにッ……『怪人』がッッ!!」

 

 簪の紅色の両目に映っていたのは、まるで特撮番組の怪人のような、ヒトガタの異形。全身緑色のその怪人はどこか女性的なフォルムだが、その耳の部分はまるでエルフのように伸びている。またその緑色の肌からは、同じく緑色の付箋のようなものがビッシリと生えている。

 何にしろ、人間には見えない『ソレ』が、床から少し浮遊しながら、ルミルノの背後に立っていたのだ!

 

 そして簪は半ばパニックに陥りながらルミルノに叫んだが、彼女の反応は非常に淡白だった。

 

 

 

 

 

「そうか、やはり『見えている』のか……いや『説明』ありがとうカンザシ、『聞きたい事』はこれで分かったよ。やはりお前は『獲物(ターゲット)』……『スタンド使い』だった」

 

「え……!? う、ぐぅぅぅッ!?」

 

 言うが早いか、ルミルノは簪の腹を蹴り飛ばす。吹っ飛ばされて廊下を転がる簪の右腕に、突如鋭い痛みが走った。見れば、何かに『切り裂かれた』ような傷から出血している。傍には、スペードの3……一枚の『トランプ』が落ちていた。

 

「な、何!? 何がっ起きて、これは!? ルミルノさんッ!?」

 

「何……って言われてもな。『何故お前がこんな目に合うのか』って意味ならば、お前は『運悪く運が良かった』んだよ。例えば麻雀だと『九蓮宝燈』って珍しい役があるが、「この役でアガった奴は死ぬ」なんて言われてる……まぁ迷信だがな。そしてコッチは私が『裏カジノ』で実際目撃した話なんだが、賭けポーカーで「ロイヤルストレートフラッシュ」なんて揃えちまったばっかりに、大負けして逆上した対戦相手にブッ殺されちまった、なんて奴もいる……」

 

 コツ、コツと足音を立てながら一歩一歩接近してくるルミルノ。簪も逃げようとするが上手く立ち上がれず、半分倒れたまま体を起こし、わたわたと後退る様にして退いていく。

 

「……まぁ何が言いたいかっつーとだな、お前は『スタンド』という常人には無い『超能力』に目覚めた。或いは『素質』があってもまだ目覚めてないのか……それは分からんが、とにかくその『才能』を持ってた『幸運』は同時に『不運』でもあったって事さ。―――私に目を付けられちまったんだからな」

 

 じりじりと後退していったが、やがて廊下の壁に背が当たった。これ以上は退がりようもない。そう思ったとき、ルミルノが何かを投げつけてきた。

 それは数枚のトランプ。ひらひらと舞い落ちるかと思われたそれは、ルミルノの背後に立つ『怪人』が腕を振るうと同時に吹き荒んだ『乱気流』に乗り、不規則に舞い上がって簪の体を何度も掠めた。と同時に、トランプが掠めた部分の肌が薄く切り裂かれるッ!

 

「あ、うあああああああああああ!! 何!? 何なの一体!?」

 

「その『何』ってのが『今起きている現象の正体は何か』って意味ならば、それは私のスタンド『ルーネイトエルフ』の能力さ」

 

 簪の言葉にルミルノが答えるが早いか、背後にいた『怪人』―――『ルーネイトエルフ』が彼女の前に歩み出た。屹立するルミルノと『ルーネイトエルフ』は全く同一のポーズを取って佇んでいる。

 その様子を見た簪は、目の前の『怪人』がルミルノの分身……むしろ一心同体の『彼女自身』である事を何となくだが理解した。

 

「私の能力は「風を起こすこと」……とはいえ、この風は他のどんな物質にも物理的影響を及ぼす事はできない……ただ一つ、『紙』という物質を除いてな。そして、『ルーネイトエルフ』の『風』に舞う『紙』はッ!」

 

 ―――瞬間、背筋に走る悪寒。簪は殆ど反射的に、横滑りに跳んだ。と同時に、さっきまでへたり込んでいた場所をトランプが通り抜け、周囲に舞ってゴミ箱に殺到する。無数のトランプに切り裂かれ、ゴミ箱はバラバラになった。

 

「このように『切断力』を持つって寸法さ! ……さてカンザシ、一応相部屋の誼で心の準備ができるまで待ってやった心算だが……そろそろ覚悟はできたか?」

 

「あ……あぁぁ……!!」

 

 当然、心の準備などできる筈も無い。背中の壁を支えに何とか立ち上がるが、逃げ道が無いのは変わらない。

 

「お前に恨みは無いが、私も賭博の為に『金』が必要でね。……何、ギリギリで殺しはしない、『生け捕り』が条件だからな。『ホワイトスネイク』の奴が『DISC』を取り出すのに死体じゃ都合が悪いんだとよ。面倒だが、私に与えられた『命令』なら仕方ない……『金』と『DISC』の『ギブ・アンド・テイク』だしな」

 

 喋りながらルミルノは懐から新品のトランプの箱を取り出すと、中身を全てバラ撒いた。同時に彼女の周囲を風が取り囲み、五十余枚のトランプはルミルノの周囲を回り始める。

 

 

「それじゃあカンザシ、お前はここで再起不能(リタイヤ)だッ!!」

 

「いやっ、こんな……こんなァァァァ!!」

 

 

 未だ壁に張り付いたままの簪に次々とトランプが飛び掛っていく。周囲のゴミ箱の残骸なども巻き込んで、簪の体は徐々に切り刻まれていった……。

 

 

 ……To Be Continued→




今更ですがオリスタンド注意です。

さて絶体絶命ですねかんちゃん。
果たして助かるのでしょうか、それともここで『勝ったッ! 第6部完!』されてしまうのか!?


(ネタバレ1:次回こそかんちゃん覚醒です)
(ネタバレ2:ルミルノ氏は一発キャラです)
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