簪の奇妙な冒険 -宇宙翔け夢物語-   作:原作未読の魔改造フェチ(百合脳)

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年末年始で忙しい時期も過ぎ、何とか書きあがったので初投稿です。

これからは更新頻度も戻せると思います。
……って言う人ほど失踪率が高い気がする(当社調べ)
でも実際問題、月一くらいのマターリペースが性に合うんだよなぁ。
そも自分用に書いてるようなssだし、気長にやってくか。
うん、更新頻度は隔月くらいで()


「星」の導き! その2

「父親を助ける為、か……人情(ロマン)溢れる話だね」

「並行世界、とはね……やれやれだわ」

 

 簪と徐倫一行は互いに情報(自身の能力や『ホワイトスネイク』の一味と戦った経緯など)を交換し合い、互いの状況を把握した。並行世界からやってきた、という俄かには信じ難い簪の事情は殊の外すんなりと受け入れられた。超能力(スタンド)や幽霊が実在するのだから並行世界云々が存在していてもおかしくは無いだろう、という見解で一致したからだ。ましてや『知性を持ったプランクトン』なんて存在まで身内に抱え込んでおいて、今更『並行世界人』を否定する事はできなかった。

 

「でもよー、並行世界の件に関してはあたし達がしてやれる事は何もないと思うぜ……脱獄の方は手を貸せる事があるかも知れないが、それよりあたしは徐倫の事情に手を貸したい……あんたの事は二の次だ、簪。悪いとは思うけどな」

 

「うん、それでいいよ。私も貴女達の都合を曲げてまで脱獄を手伝って欲しい訳じゃ無いし、並行世界の件については最初から期待してなかったから。ただ私の現況を理解してもらうのに必要だったから喋っただけだしね」

 

 件の『知性を持ったプランクトン』ことF.F(フー・ファイターズ)の発言は簪への協力に対して消極的だったが、簪はそれを許容した。むしろ徐倫の事情―――姦計に嵌まりスタンドと記憶をDISCにされ奪われた仮死状態の父親、『空条承太郎』を助ける為に『ホワイトスネイク』を追うという目的―――を聞いた後では、自分の方が徐倫に手を貸したいとすら思う。だからそれを提案してみる事にした。

 

「貴女達さえ良ければ、私にも手伝わせて欲しい……駄目かな? 少しは役に立てると思うけど」

 

「それはありがたいけど……無理してあたしの事情に付き合う必要は無いわよ?」

 

「ううん、私が『そうしたい』から『そうする』の。脱獄は焦る必要も無いし、どうせ『ホワイトスネイク』が邪魔になる。なら皆と一緒に戦った方が効率的だし、その過程で後の脱獄の為の布石も打てるかもしれないしね」

 

 そもそも徐倫達とは無関係に『ホワイトスネイク』とは敵対状態にあったのだ、どの道戦闘は避けられなかっただろう。なら敢えて孤軍奮闘する理由も無し、共闘すれば徐倫の目的も手伝えて一石二鳥。更に『ホワイトスネイク』一派との戦闘に伴う騒動が激しくなれば、一般の看守達もそちらに気を取られるだろうし、脱獄の良いカモフラージュになるかもしれない、と考えれば、手を貸すしか無かろう。

 ……とまぁ、色々理由は付けてみたものの、簪の飾る事ない本音をぶっちゃけると。

 

「それより何より、貴女の事情(ロマン)に対して手伝える事があるのに黙って引き下がるなんて……そんな浪漫(ロマン)の無い展開、私は絶対認めない!」

 

「……簪、お前本当に『ロマンに生きる女』なんだな……さっきの事情説明も半分くらいロマン云々の話だったし」

 

「最近まで自覚してませんでしたけど、私にとって『生きる事』と『ロマンを追求する事』は同義なんです。だからロマン第一で行動しますし、つい熱く語っちゃうのも仕方ありません」

 

「……ついでに聞きたいんだが、なんであたしにだけ敬語なんだ? 「タメ口で構わない」って言った筈だし、現にF.Fや徐倫にはタメで話してるじゃねーか」

 

 簪は年上である徐倫達に対し、最初は敬語で話していたのだが、「そーゆうのムズ痒くなるっていうか、変に畏まられても面倒なだけだから」と言われたので口調を崩す事にしたのだった。……エルメェス以外に対しては。

 では何故エルメェスにだけ引き続き敬語なのかと言えば、それは―――

 

「え、貴女は私の『兄貴』ですし、『妹分』としては敬うのは当然じゃ無いですか」

 

「いつの間に妹分に、ってかあたしはオンナだって言ってんだろーがッ!」

 

「大丈夫、『心の兄貴』って意味だから身体が女性でも精神的に『(オトコ)』なら問題ありません!」

 

「あたしは心もカラダも正真正銘『乙女』だァァーーーー!!」

 

 

(…………乙女? いや流石に無理があるんじゃ……)

 

 エルメェスの発言に対し、皆の心は一致した。斯く言うエルメェス自身、(自分で言っといて何だがあたしって『乙女』ってガラじゃあねーよな~~くそっ、何か恥ずかしくなってきたッ!?)とか思ってたりする。

 顔を赤らめながらも徐倫達を睨みつけるエルメェス、慌てて視線を逸らす彼女達。その光景を見ながら簪は、やっぱり兄貴って弄り易い人だなー、私の目に狂いは無かった……とか若干失礼な事を考えながらくすくすと笑う。まるでコントのようなやり取りは、簪が彼女達に馴染み始めた証だった。

 

 何はともあれ、こうして簪はこの石の海(けいむしょ)を共に航る(たたかう)、(愉快な)仲間達を得たのだった。

 

 

   ※   ※   ※

 

 

「さてと……そろそろ部屋に戻らなくっちゃ……」

 

「待って簪……今はまずいわ、あれを見て」

 

 話し合うことは粗方話し終え、自分の監房へ帰ろうとした簪を徐倫が制止する。何事かと彼女の指し示した先……幽霊部屋の出入り口である壁の隙間から外を覗くと、階段の上に人影が見えた。

 人影は二人。向こうからはこの部屋……壁の隙間が見えていないようだが、こちらを見下ろして何か話し込んでいる。その二人の内の一人に、簪は見覚えがあった。先ほど、ここへ来る途中で絡まれたスキンヘッドのチンピラ女囚だ。もう一人の方は知らない顔、短髪黒髪と右目の下の縫い傷が特徴の女。

 

「今出て行ったらあの二人に目撃されてしまう……彼女達が立ち去るのを待とう」

 

「分かった、そうする」

 

 そう言って待機することにした簪だったが、ふと隣を見るとエルメェスが思案顔で階段上の二人、というか縫い傷の方の女を見つめている事に気づいた。

 

「兄貴、どうかしたんですか? 何か気になる事でも?」

 

「……兄貴云々については置いとくが、あの黒髪の女……見覚えがある気がするんだよな」

 

「見覚え? そりゃあ、同じ刑務所に服役してるんだからどこかで見かけた事があってもおかしくは無いんじゃないですか?」

 

「いや、そういうんじゃなくって、何つーか……例えるなら『植物図鑑』でしか知らないような、『食虫植物』とかの()()()()()を偶々そこらの道端で見つけて、「ああ見たことある植物だ、でも何て名前だったっけ」って感じの……」

 

「シッ、二人とも黙って……あいつらの声が聞こえるわ」

 

 徐倫に言われ耳を傾けると、部屋の外から二人の女の会話が聞こえてきた。……いや、会話というより何か言い争っているようだ。

 

「だから! アタシは知らねーッつってんだろ!」

 

「『知らない』という事は無いだろう……ここまで案内したというのに、何故『ここから先』を隠そうとするのかね?」

 

「隠すも何もねェーよ! もう一度言うぞ、アタシは目が覚めてすぐにあの『青髪のジャップ』を追った……アタシに対して舐めたマネしてくれた()()をする為にな! 目に付いた囚人共を片っ端から締め上げて行方を聞き出して、漸くこの階段で追いつきかけたんだ……もう一人の女と一緒に階段を降りる後姿は確かに()()!」

 

「ああ、そこまでは納得しよう。だから私はここまで案内して貰ったのだからね……それで?」

 

「だがアタシが階段に差し掛かった時には、既に居なくなってた……消えちまったんだよッ! 下の階に降りた様子も無い、誰に聞いても『見ていない』とほざきやがる! まるで『階段の途中』から『どこか別の場所』に行っちまったみたいにッ! 忽然と姿を消しやがったんだよあのガキはッ!!」

 

「それで納得できると思うのか? ン? 私はその少女が『今どこにいるのか』を知りたいのだ! 階段を降りた後()()()()()()()()? それを正直に話せと言っている!!」

 

 話を聞くに、スキンヘッドの女は簪が階段から姿を消した事を訝しんでいるようだが、それは問題無いだろう。どんなに考えても「何も無いように見える『壁の中』に『幽霊の部屋』があり、そこに隠れたのだ」という結論は導き出せまい。

 問題なのはもう一人の縫い傷の女。彼女は簪の事を探しているらしい。だが簪とあの女は知り合いでは無い。では何故彼女は簪を追っているのか? スキンヘッドと同じように新人イビリ、という訳では無いだろう。あそこまで執念深く追いかけようというのだ、それだけの理由がある筈だ。まさか、ひょっとすると彼女は、『ホワイトスネイク』の―――

 

 そんな事を考えているうちにも、外の二人の口論はヒートアップしていく。顔を突き合わせてスキンヘッドと言い争う縫い傷の女。簪から見えるその背中には、黒地のベストに映える白い頭蓋骨の刺繍がされていた。よくあるドクロマークのデザインの筈なのに、彼女が身に纏うソレは異様に目を惹いた。

 

「『ジョリー・ロジャー』だ……」

 

「え?」

 

 後ろから覗いていたエンポリオがボソリと呟き、皆の視線が集中する。

 

「あれはジョリー・ロジャー、所謂『海賊旗』ってヤツだよ……」

 

「まぁ、そうだな、ドクロマークといえば『海賊』だもんな」

 

「違うよ、そういう意味じゃないッ! 見覚えのある顔だと思ってたけど今思い出した、アレは『本物』なんだ! 新聞で読んだことがある! 彼女はあの、二年前の……!」

 

 二年前にはまだこの世界に存在すらしていなかった簪はピンと来なかったが、他の皆には充分伝わったらしい。徐倫、エルメェス、F.F……皆一様に驚いた顔を見せている。

 

「二年前って……あの『海賊』のこと? マスコミが散々騒ぎ立てたヤツ……」

 

「ニュースで言ってたあの『狂人』かよ、道理で見覚えがある訳だ……同じ刑務所に居たとはな」

 

「あたしの記憶の中にもあるぞ、確か名前は……」

 

 

 

「もういい、分かった……君はこの私『アディ・D・アース』船長(キャプテン)に対して虚偽を報告すると言うのだな? ここが私の船の上だったなら海に沈めていた所だぞ貴様ッ!」

 

「だ・か・ら! アタシは嘘も吐いてねーし何も知らねーッてんだろこのガイキチがッ!」

 

 一段と大きな怒鳴り声が聞こえ、思わずそちらに意識が向く。興奮して喚き立てるスキンヘッドだったが、『アディ』と名乗った縫い傷の女は今までと打って変わって落ち着いた態度で、宥めるように話し始める。

 

「まあ落ち着き給え、私は今「海に沈める」と言ったがな、ここは生憎(おか)の上だ。私の船上じゃあないんだよ、ン?」

 

「……?? だから何だってんだアタシを馬鹿にしてんのかアァァーー!?」

 

「落ち着けって……簡単な話だよ、「海に沈める」なんて脅し文句使った所で肝心の()が無ければお話にならん……そうだろう?」

 

 言いながらアディはスキンヘッドと肩を組むような形で彼女の背に腕を回す。スキンヘッドは気付いていないようだが、彼女の肩に置かれたアディの腕はいつの間にやら、ゴムのような質感の真っ赤な『着ぐるみ』のような物に包まれていた。

 

「だからな、やはり海に沈める事にしたよ……」

 

「は?」

 

 そう言うとアディは肩を掴む腕に力を込める。それに伴い遠目からでも分かる程に、彼女が纏うゴムに圧力が加わり張り詰めていく。呆然と目前の出来事を眺めていた簪達も、ここに到って漸く我に返り制止しようと飛び出すが、一歩遅かった。

 

「!! 待っ……」

 

 

「貴様から流れ出る()()()の中になァァーーーー!!」

「だばっ……」

 

 ゴムの反動は予想以上に強く、反発力で弾かれたスキンヘッドは頭から床に突っ込み、その衝撃で頭部が炸裂し弾け飛んだ。頭を失った亡骸はそのまま階段を転がり落ち、幽霊の部屋から飛び出した簪達の目の前に血液の大海原を創出する。その中に沈むスキンヘッドの女だったモノに、今更彼女達がしてやれる事は何も無かった。

 

「……ん? 何だ貴様達は……()()()()()()()()()()!?」

 

「ハッ!!」

 

 そして当然、アディも彼女達の存在に気が付いた。『発見』された事を悟り、簪達の顔に冷や汗が滲む。

 

「その容姿、その面貌……知らない顔も混じってはいるが! 『ホワイトスネイク』が言っていた『賞金首』! 『更識簪』、そして『空条徐倫』の一味に相違無いな!?」

 

「くっ……やはりあの女! 『ホワイトスネイク』の!!」

 

「『刺客』だ! アイツは『刺客』! 簪を追ってきたんだ!!」

 

 徐倫とエンポリオが叫ぶ。それと同時、既に行動を開始している者も居た。

 F.Fの右手の指が拳銃に変化し、そこからF.Fの体の一部……本体から切り離された分体のプランクトンの塊が発射される。通称F.F弾、プランクトンの群体であるF.Fの特性を活かした攻撃であり、彼女が最も多用する得意技である。

 その隣では簪がポケットから取り出した数発のパチンコ玉をその場に放る。その直後、彼女の体から飛び出すように出現したオルタンスの連続突き(ラッシュ)により銃弾並みの速度で射出された。

 先手を取ったのは簪とF.F。しかし二人の先制攻撃にも動じずにアディは自らのスタンドを展開する。

 

 

「『ウィーアー!』」

 

 

 その声を契機に、アディが腕に纏っていたゴムの着ぐるみが、今度は彼女の全身を覆い尽くす。全身タイツのようにも見える厚手のゴムスーツは目下に広がる血の海よりも紅かった。一箇所だけフルフェイスヘルメットの如く透けている顔の部分から見えた彼女の表情は、不敵な笑み。

 そして着弾。過たずアディの体に命中したF.F弾とパチンコ玉。だがその衝撃は全てゴムスーツに緩和・吸収され、アディ自身にダメージを与える事は無かった。

 

「ふむ、『ホワイトスネイク』の危惧は正しかったようだな……本当に『更識』と『空条』が合流しているとは。本来なら合流前に『更識』の方から叩き各個撃破する『予定』であったのだが……問題無いな、どうせ『皆殺し』にする『予定』は変わらんのだから」

 

「うっ……あれは!?」

 

「危ない! 避けろ二人とも!!」

 

 自身に向けられた攻撃を意にも介さず独り言を呟くアディ。彼女が行動するまでもなく既に反撃は始まっていた。ゴムの反動によってF.F弾とパチンコ玉が射手の下へと返ってきたのだ。その弾速は打ち込んだ時のおよそ二倍!

 

「くっ、ヴィオレット!」

 

「ぐあぁっ!?」

 

 簪はヴィオレットの連続突き(ラッシュ)によってすんでの所でパチンコ玉の停止に成功したが、F.Fは回避も防御も間に合わずF.F弾の直撃を食らってしまい吹っ飛ばされる。

 

「F.F!? 大丈夫!?」

 

「……いって~、が大丈夫だ。ブッ飛んだのは痛かったが……弾丸自体は元々()()()()だからな、命中して体内にめり込んだ所で私に戻るだけだ。そっちは問題ないけどよォ~~……どうする? この状況」

 

「ヤツのスタンドは全身を覆う『スーツ型』……『ゴム』のように衝撃を『吸収し』『跳ね返す』のか!? だとすると、僕らはどうやってヤツにダメージを与えればいい? 全身が隙間無く防御されてるし、きっと近距離パワー型の連続突き(ラッシュ)すらヤツは『跳ね返す』ぞッ!」

 

 F.Fの無事は確認できたが、エンポリオが解説したように状況は悪い。こちらの攻撃は殆ど封殺されたも同然だし、無理に攻めても反撃によってダメージを負うのは自分達だ。逆にアディは防御をスタンドスーツに任せて攻撃し放題。どう考えても一筋縄では行きそうも無い。

 

 仲間達と共に往く石の海の『初船出』は、波乱の幕開けであった。

 

 

 ……To Be Continued→




オリキャラ二人目、もちろん一発キャラ。
「二年前」がどうとか言ってるけど、実は伏線でも何でもなかったりする。
その辺は次回語られると思うけど、吉良吉影の下半身のスタンドがモナリザでレクイエムしたエピソードと同レベルでどうでもいい話なので気にしないで下さい。

次回で何とか、撃破まで書きたいが……どうだろ?
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