比企谷八幡は失踪することにした。(渋滞中) 作:amedama
作者は少し精神が病みかけています。
下手すると八幡がもっとおかしくなる・・・
文化祭、修学旅行が終わり、再び登校日がやって来た。
正直、今はもう学校なんて行く気になれない。
『あなたのやり方、嫌いだわ』
『人の気持ち、もっと考えてよ!』
修学旅行の時、あの二人にこう言われたっけ。
やり方が嫌い?自分で受けて解決も出来ずに俺に丸投げしたくせに。
人の気持ち考えろ?相手のことも考えずに軽々と依頼を受けたくせに。
俺の2人に対する憤りは凄まじい物だった。
あいつらは自分にとって都合が悪いと拒絶し、自分が正しくて他人が間違ってると考える。
これからどうしようか・・・。
学校に行けば間違いなく2人に拒絶され、文化祭の件に加えて修学旅行の件が加算されて、俺の悪評や陰口も倍々ゲームでエスカレートするだろう。
文化祭のいじめでかなりダメージ受けたってのに。
もう耐えられそうにない。
そんなことを考えていると電話が鳴った。
どうやら京都に住む叔父からだった。
この叔父はうちの親とは違って俺に良くしてくれる。
小町にも良くしてくれるのだが、俺程ではなかった。
ほんとに不思議だ。普通どの人も小町を可愛がって俺に関しては放任主義なのに。まさか、哀れに思って俺に良くしてくれるのではないかと思って尋ねてみたことがある。
『お前は昔の俺に良く似ているんだよ』
そう返された。哀れに思って俺に良くしてくれるわけではなかったのだ。
俺はそれがとても嬉しかった。
中学生になってからは一年に一度叔父の家に遊びに行っている。
電話の主を確認した俺は電話にでた。
「はい、もしもし」
『久しぶりだな、八幡。学校はどんな感じだ?上手くいってるのか?』
優しい声で問いかけてくる。
決心がついた。全部話してしまおう。
「結構長いですよ?」
『気にするな、大丈夫だ』
俺は全てを話した。奉仕部のこと、入れられた経緯、文化祭でのこと、修学旅行でのこと。
全て話した後。
『そうだったのか・・・、辛かっただろう。良く頑張った』
叔父は全てを理解し、受け止めてくれたようだ。
『で、お前はどうする?八幡』
「正直、今の辛い状況ではいたくない」
『その修学旅行や文化祭に関して、お前の潔白を裏付ける証拠とかはあるのか?』
「あるにはある。修学旅行に関して、葉山の連中との一連のやり取りとかを記録した動画や音声はある。文化祭にしても、議事録や出欠簿、相模とかとのやり取りを記録した動画や音声もきちんと揃ってる。」
『用意が良すぎないか・・・』
全くその通りだ。
「で、それをどうしろと?」
『その奉仕部や葉山を良く思わない奴らに横流しして、お前は学校から姿を消していれば良い。その間は俺の所にでもいればいいだろ』
「授業とかどうすんだよ」
『参考書でも持ってこい。現役教師の俺が教えたる』
「登校日足りなくなるだろ・・・」
『そのときは俺経由で比企谷一族のコネ使えばいい。うちの一番上の兄さんは文部科学省の事務次官なんだし。二番目は千葉県教育委員会のお偉いさん。こんな濃厚なコネ使わなくてどうするんだ』
「やっべ・・・、完全に忘れてた。まあ、情報流して逃げるのが最善なんだろうな。その内そっちに逃げるから待っててくれ」
『勿論だ』
こうして、俺の失踪計画は幕を開けたのだ。