比企谷八幡は失踪することにした。(渋滞中)   作:amedama

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どうも、作者です。
こっちの作品の方が意外と良い反応がありました。

では、どうぞ


#1 準備①

叔父との電話を終えた俺は、ある人と喫茶店で待ち合わせをしていた。

来てから5分経ち、その人が来る。

「ごめんね比企谷君、遅れちゃった?」

「いえ、大丈夫ですよ、城廻先輩」

城廻めぐり。

総武高校の生徒会長だ。

文化祭、体育祭と、この人と関わる機会が多かった。

任期も後わずかのところだろう。

「早速本題に「ちょっと待って、先に言いたいことがあるんだけど」・・・何でしょうか」

「比企谷君、ごめんなさい‼」

先輩は勢い良く頭を下げ、そう言った。

「文化祭の時、君のとった行動の真意に気づけないまま、私は表だけで君を批判して、拒絶してしまった。あの後よく考えてみたら、君の行動の真意がわかったの。君は、スローガン決めの時は、自分が敵に回ることで文実を結束させて、文化祭の時は相模さんを被害者に仕立てるために君は相模さんを罵倒したんだよね。本当にごめんなさい!」

「先輩、頭を上げてください」

俺がそう言うと、城廻先輩は頭を上げた。

「先輩は悪くないですよ。あの状況であの方法しか取れなかった俺の方が悪いんですから」

「比企谷君は悪くないよ、むしろ優しすぎるまであるよ。他人を救うために、自分のことを後回しにして、他人のことを優先して考えるなんて、他の人には到底できないよ」

「そんなこと言わないで下さい、俺は優しくなんかない。他人のことをけなすような最低の人間です。ぼっちで、目が腐ってて、ひねくれてて、それで最低だ」

「そうやって自分の事を卑下するの、良くないよ。君は自分の事を過小評価しすぎだよ。周りは君が思っている以上に君の事を評価しているんだよ。私もそう」

城廻先輩はそう言って微笑んだ。

「そうですか」

「ねぇ、比企谷君。何か私にできることはないかな?罪滅ぼしに」

「最初から先輩を頼ろうとして呼んだんですよ」

「そうだったね。それで?」

「結構長いですよ?」

「うん、良いよ」

そして俺はこれまでの事を全て話した。

話した後、

「結構辛い思いをしたんだね・・・。比企谷君は良く頑張ったと思うよ」

先輩は涙目になりながらも微笑んだ。理解してくれたのだ。

「それで、頼みたいことがあります」

そう言って、俺は資料を出した。

「ここに、文実の議事録と、出欠簿があります。これを、情報公開という名目で拡散してほしいです。そうすれば、俺の潔白は証明されるはずです」

「でも、これを拡散したら、相模さんやはるさんが・・・」

「相模には俺以上の批判とかが襲いかかるでしょう。けれど、それは相模の自業自得。いい気になっていた分の仕返しです。雪ノ下さんについても大丈夫ですよ。もし雪ノ下一族や葉山一族が俺を潰しにかかろうとしても、逆に雪ノ下一族がダメージを受けますから。比企谷一族の大半は中央省庁のエリート幹部とか、千葉県のお偉いさんとか、武家の出の雪ノ下一族より力は大きいんですよ。たかが千葉ローカルの名家(笑)とその顧問弁護士がエリート官僚一族に敵うわけがない」

「比企谷一族チート過ぎない?」

先輩は少し引いていた。

「安泰を目指しすぎた結果というやつです」

「そうだね。分かった、これを拡散すれば良いんだね?」

「はい、お願いします」

「うん。所で、拡散して君はどうするの?」

「家に置き手紙を残して、しばらくの間失踪します。そうした方が効果が良さそうなんで。教師が突っかかって来ても、官僚の力があれば大丈夫ですし」

「つくづく酷だね・・・。分かった、後は任せて。じゃあね」

「はい、また」

城廻先輩への手回しは済んだ。次はあいつらだな。


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