Fate/VR   作:ヴィヴィオ

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第18話

 

 

 

 肉体を取り戻した俺はエリちゃんとジルの死体から宝珠を回収して、使用した。使って手に入れたのは黄金律と嗜虐のカリスマのスキルだ。ジル・ド・レェからは黄金律(B)を、エリザベート・バートリーからは嗜虐のカリスマ(A)だ。どうやら、習得できるのは相手の持っていたスキルだけみたいだ。一応、同種のサーヴァントのスキルも回収できるようなので、危険な狂ったジルからではなく、セイバーのジルから黄金律を貰った。これなら現実でも使えるだろう。かなでの食費を稼ぐためにも必要だしな。

 嗜虐のカリスマ(A)は味方全体の攻撃力をアップし、自身以外の女性サーヴァントの攻撃力を更に上昇させる事が出来る。つまり、ジャック達にはかなり効果があるという事だ。戦闘続行も欲しかったが、こちらにした。攻撃こそ最大の防御だ。

 スキルを習得した俺はジャックとシータ、ジャンヌちゃんを連れて先へと進んだ。次の階層は極寒地帯のようで、トナカイや雪だるまのエネミーが沢山居た。そこで、経験値稼ぎの為に狩りまくる事にした。何せ、こいつら……プレゼントを落とすのだ。サンタであるジャンヌちゃんが居るのと黄金律を習得したせいか、高確率で落としてくれるので資金稼ぎにも丁度いい。

 

「ひゃっほ~解体だよ~!」

「違いますよ、ジャック。纏めて引き連れて来てください。雪玉を投げてタゲを取るんです」

「は~い!」

 

 シータがせっせと雪玉を制作して、それをジャックが持って行って泥のエネミーにぶつけて、逃げ回りながら引き寄せてくる。大量のエネミーを引き寄せたら、今度はジャンヌちゃんの出番だ。

 

「連れてきたよ~」

 

 75体くらい引き連れて、ジャックが戻ってくる。ちょっとした津波だ。それに合わせて、嗜虐のカリスマを発動させて攻撃力を上昇させる。

 

「聖なる夜、ステキでムテキな奇跡の一瞬。優雅に歌え、かの聖誕を(ラ・グラスフィーユ・ノエル)

 ……しゃんしゃんしゃん♪ しゃんしゃんしゃん♪ しゃんしゃんしゃん♪ しゃんしゃんしゃん♪ 」

 

 空から大量のプレゼントが降って来て、箱の中に入っていた可愛らしい生物がエネミー達を潰していく。ジャックやシータにはプレゼントを渡してくれる。

 

「残りました。お願いします」

「任せてください」

「行くよ~!」

 

 倒し切れない敵もシータとジャックが上がっている火力で倒していく。後にはドロップアイテムと泥だけだ。その泥を俺が吸収していく。

 

「いっぱい集まったよ~」

「頑張りました」

「マスター、どうぞ」

 

 ドロップアイテムとジャンヌちゃんの宝具で貰ったプレゼントを持って来てくれる。それを受け取って自身の影に入れる。泥を吸収した事で出来るようになった便利魔術だ。さて、仕舞った後は上目遣いでこちらを見ている女の子達の頭を優しく撫でてあげる。

 

「よくやった。次も頼むな」

「えへへ、任せて~」

「はい!」

「マスターのお望みのままに」

 

 嬉しそうにする女の子達を褒めて可愛がった後、もう一回行って貰う。ジャックが行っている間にジャンヌちゃんのテンションを上げる為に可愛がって宝具の準備を行う。これを延々と繰り返して、充分だと思えるぐらいに強くなったので、戻って魔法陣から外に出た。

 

 

 外に出た瞬間。晴れ着姿のかなでが抱きついてきて、ポカポカと俺を殴ってくる。

 

「かなで?」

「心配した。それに一人だけ除け者だった」

「ごめん。でも、流石にかなでを連れていくのは……」

 

 俺はかなでと同じく、晴れ着姿のBBに視線をやる。

 

「精神汚染される可能性もありますが、ちゃんと準備を整えたら大丈夫ですよ。ですが、まさか本当に生き残るとは思っていませんでした」

「おいおい」

「まあ、これで弟子として正式に認めてあげます。取り敢えず、虚数魔術はもう使えるはずですよ」

「もしかして、このアイテムボックスぽいの?」

「そうです。それが虚数魔術です。まあ、まだCランクみたいですが、これから頑張りましょう。ちなみに魔術回路が30本ほどそれ専用になってます」

「ちょ!?」

「ですが、魔力もちゃんと増えているので問題ありません。そうそう、これから出かけるのでステータスを確認していてください。私はジャックちゃん達を着替えさせますので」

 

 確かにBBの言う通り魔力が多くなった感じはしている。ステータスを確認してみるか。

 

 

 マスター:桜坂幸田

   属性:虚数・混沌

   筋力:1→2

   耐久:60→103

   敏捷:1→4

   魔力:109→430(2100)

   幸運:1→10(100)

   SP:0

  スキル:召喚魔術(B:3/5)、虚数魔術(C)、自己改造(B)、精神汚染(C)、竜の心臓(B)、魔力強度(B)、黄金律(B)、嗜虐のカリスマ(A)

 クラスカード:アーチャー1枚(星3)

 

  クラス:アサシン(限定召喚1000+1000/2500)

   真名:ジャック・ザ・リッパー

   属性:混沌・悪

   筋力:E→D

   耐久:E→D

   敏捷:C→B

   魔力:E→D

   幸運:E→D

   宝具:暗黒霧都(ザ・ミスト)解体聖母(マリア・ザ・リッパー)

  スキル:気配遮断(B+)、情報抹消(E)、霧夜の殺人(A)

 

  クラス:ランサー(限定召喚600+1000/2000)

   真名:ジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィ

   属性:混沌・善

   筋力:D→C

   耐久:E→D

   敏捷:E→D

   魔力:D→C

   幸運:E→D

   宝具:優雅に歌え、かの聖誕を(ラ・グラスフィーユ・ノエル)

  スキル:自己改造(EX)、かりちゅま(E) 、対魔力(EX)、聖者の贈り物(C)

 

  クラス:アーチャー(受肉)

   属性:混沌・善

   真名:シータ

   筋力:B→C

   耐久:B→C

   敏捷:D→E

   魔力:A→B

   幸運:E→E

   宝具:疑似・インドラの矢(アルカンシェル)

  スキル:記憶喪失(B)、神性(C)、魔力放出炎(A)、黒の欠片(C)、対魔力(D)、単独行動(A)

 

 

 なんか、大分スキルが増えて強くなっている。

 虚数魔術は分かる。あの空間に堕ちて、泥を手に入れたのだろう。属性が新たに出て虚数になっている。まあ、これはわかる。精神汚染は泥に触れたり、取り込んだりしたからだろう。

 竜の心臓と魔力強度で魔力補正が500ずつ掛かっている。竜の心臓に至っては回復速度も上がっている。

 黄金律と嗜虐のカリスマはいいだろう。ちょっと前に説明しているし。まあ、嗜虐のカリスマはジャック達の話によると受けると痛気持ちイイらしい。ちなみに魔力強度が上がったからか、召喚魔術もランクアップしている。後、2体まで召喚できる。

 さて、次はジャックだ。竜の心臓とかによる補正で第二の宝具が解放され、スキルも一段階強化されている。そこに加えて霧夜の殺人(A)を習得した。こちらは殺人鬼という特性上、加害者の彼女は被害者の相手に対して常に先手を取れる。ただし、無条件で先手を取れるのは夜のみ。昼の場合は運次第というスキルだ。これがあったから、ジャックはエリザベート・バートリーを問答無用に解体出来たのだ。

 ジャンヌちゃんは宝具と、聖者の贈り物が増えた事だな。これの効果は宝具で貰えるプレゼントが、良い物になるようだ。まだ、空けてないので後で開けて貰おう。

 さて、問題のシータだ。まず、状態が受肉となっている。シータの方を見ると、かなでに着替えさせてもらっている。

 ステータスに戻る。ステータスが下がっているのは、聖杯からのバックアップが無くなったからだろう。これからは俺が供給しないといけない。一応、ラインはあるが魔力の供給にはアチラをしないといけない。現状は単独行動があるから問題ないだろうがな。

 スキルに記憶喪失がある。記憶が無く不安定であり、無垢なる存在であるとの事。そのために生前のデメリットである()()()()()()しているとの事だ。つまり、今ならラーマと出会える。ただし、記憶が戻るとその限りではないのだろう。再開したとしても、相手は記憶を失っており、見る事しかできない。何処までもあの呪いは邪魔をするのだろう。

 神性は詳しくはわからないが、神話だからか? わからん。もしかしたら、泥に交じっていたのかも知れないしな。何かが混じっているのは確実だ。何せ、()()()()が入っている。どう見ても()の欠片ですね、ありがとうございます。魔力放出はそのままで、単独行動はマスターが居なくても二日間なら行動可能というスキルだ。今、シータが少ない魔力で行動出来ているのはこれのお蔭だろう。対魔力は魔術に対する耐性だ。

 

「コウ、愛人の着替えが終わった」

「愛人って」

「違うの?」

「違わないが……」

 

 シータちゃんみたいな美少女が自分から全てを差し出してくれているのに、食べないとか無い。草食系ではない。肉食系だ。もちろん、ラーマの事に関しては思う所があるが……欲望には逆らえない。前なら我慢したのだろうが……今は出来ない。精神汚染を受けて、かつ魔力を供給するためにやる事をやるのだから、我慢できるはずがない。

 

「どう?」

 

 かなでが青い晴れ着で、シータが赤い晴れ着だった。どちらも綺麗な花柄だ。

 

「わたしたちも見て~」

「どうですか?」

 

 ジャックが黒色で、ジャンヌちゃんが白色だった。四人共、かなりの美少女であり、その着物姿はとても可愛かった。

 

「さて、初詣に行きますよ。貴女達の役目は先輩からあの小娘を引き離す事です。いいですね! お小遣い……お年玉をあげますから、しっかりとしてくださいね!」

「は~い」

「わかりました」

 

 ジャック達がBBからお年玉を受け取った。それから、BBは俺に分厚い封筒を渡してきた。

 

「交際費です。失敗したら、お仕置きですから、頑張ってくださいね」

「イエス、マイロード」

「よろしい。では、先輩の所に転移します!」

 

 そう言えば今日から新年だったな。初詣か。毎年、一人か親や祖父母に顔を出すくらいだったが……今年は楽しめそうだ。というか、かなでの事を紹介しないといけないんだよな。やばい、どうしよう。隠す事は無理だ。戸籍を調べられたら一発だしな。いや、頑張るしかないな。でも、そうなるとジャック達を預けるしかないんだよな。

 

 

 

 

 

 




日付計算したら、もう新年だった。仕方ない。なんせ、6日はクリスマスから過ぎているからね!

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