Fate/VR   作:ヴィヴィオ

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第24話

 

 

 パッションリップの襲撃(?)から逃れた俺達は福袋を販売している店へと移動した。そこではおなじみになった麻婆神父がいた。それも近くには麻婆を売っているのだ。

 

「う~辛いのだ~」

「美味しいけど、辛い奴ですね」

「うぅ……私は辛いのが苦手です」

「そう? 美味しいのに」

 

 かなで達は襲撃の事を忘れたように楽しそうに話している。まあ、あんなことはどうでもいい。そんなことよりも麻婆神父だ。彼が福袋の販売員のようだ。福袋は見た感じ五段階あるようだ。

 

「あの、福袋が欲しいんですが……」

「なら、星1の福袋が1万だ。星2は10万、星3は100万、星4は1000万。星5は1億だ。それぞれ星のサーヴァントが確定で入っている」

「横暴だよ!」

「高すぎます……」

「コウ、買える?」

「無理だな。諦めるか」

 

 流石にそんな金はない。BBに借金すればいけるかも知れないが、後が怖すぎる。

 

「マスター、こちらに参加すればいけるのではないですか?」

「ん?」

 

 シータが服の裾を引っ張って、教えてくれたのは麻婆料理のメニューだった。難易度は1から5があり、攻略すると難易度と同じ星の福袋が貰えるらしい。

 

「ふ、気付いたか。この福袋を大金を使わずに手に入れるには私が用意した料理を平らげることだ。食べた数によって福袋を手に入れられる数が増える」

 

 どうやら、10皿完食毎に福袋が追加されるようだ。

 

「一度の挑戦でいくらだ?」

「一人1万だ」

「かなで、いけるか?」

「任せて」

 

 両手で握り拳を作り、脇を閉めるかなで。やる気満々である。

 

「では、何に挑戦するかね?」

「当然、ランク5よ」

「ふむ。その心意気やよし。全力を持って相手をしよう」

「おとーさん、私達も食べたい」

「ジャック達は普通のにしておこうな」

「は~い」

「味見とかはありますか?」

「見本をみせよう」

 

 そう言って麻婆神父が5皿を出してくる。最初は赤く、どんどん黒くなっていっている。3方は近づくだけで肌が痛くなってくる。5に至ってはもっとやばい。焼けそうな感じすらする。人間の食べ物じゃない。

 

「マスター、私も挑戦してみていいですか?」

「シータが?」

「はい。やってみたいです。マスターが駄目だというのなら、諦めますが……」

「いや、構わない。じゃあ、二人で残りは普通に食べるか」

「心得た。チャレンジャーは二人だな。期待するとしよう。では、まずは優しい麻婆カレーだ」

 

 店頭に用意された席に座って食べていくことになる。すぐにギャラリーが集まってきた。かなでとシータに出されたランク5の麻婆カレーは唐辛子がしみこまされたであろう赤い米に黒いカレールーがかけられ、その上にまるでトッピングのように唐辛子の粉末がかけられている。その料理がだされた瞬間、ジャンヌちゃんと美遊は泣いて離れた。ジャックは涙目で耐えている。俺もきついが離れる訳にはいかない。野次馬も離れた。

 

「では、制限時間は一時間だ。精々足掻くがいい」

 

 その言葉と同時に巨大な砂時計が回転して開始を知らせてくれる。二人はすぐに食べ出した。

 

「どうだ?」

「辛いわ。でも、美味しい。これならいけるわ」

「……ちょっと、つらいですが……問題ありません……せめて10皿はマスターの為にも食べきってみせます」

「そうか。じゃあ、俺達は応援しよう」

「そ、そうですね!」

「頑張ってください」

「ふれーふれー」

「ん。ありがとう。それとおかわり」

「はやっ!?」

 

 もう一人前を完食したようで、次の料理を出せと麻婆神父に告げるかなで。麻婆神父も笑いながら次は麻婆豆腐をだしてきた。それを一分もかからずに完食してしまう。

 

「すげー」

「あんなの食えないぞ」

「というか、食べ物じゃねえだろ。兵器だぞ兵器」

 

 もきゅもきゅという感じでどんどん消えていく。麻婆春雨や茄子、拉麺などが出されるが何の問題もなく食べている。いや、シータとかなでの汗の量が尋常じゃない。

 

「ほら、水をしっかりと飲めよ」

「ん、ありがとう」

「ありがとうございます」

 

 そこでふと気付くと二人の服が汗で透けてきていた。流石に暑いのか薄着になっていたので見えてきている。男共の視線がどんどん集中してきている。

 

「おい何しやがるんだ!」

「えっちいのはいけません!」

 

 ジャンヌちゃんが槍をもって振り回し、近付こうとしていた連中を追い払った。

 

「おかわりー!」

「ほう。童女もなかなかやるではないか」

「えへへへ、次は星4ね!」

「うむ」

 

 知らない間にジャックも参戦しているようで、既に星3を10皿食べ終えていた。

 

「ふう……面倒ね。鍋ごと持って来て」

「っ!? いいだろう!」

 

 どんと、机の上に置かれるのは巨大な鍋。その中には化学薬品どころかマグマのような麻婆豆腐があった。

 

「これは予想以上。でも、転身」

 

 かなでがセイバーモードになった瞬間、鍋を掴んで一気に飲みだした。野次馬から拍手が起こった。

 

「麻婆豆腐が飲み物だ、と!?」

「流石はセイバー、アルトリア。底なしの胃袋か!」

「むしろ、鉄、いえオリハルコンの胃袋っ!」

「これで何皿分かしら?」

「ぐ……20皿だ。だが、まだ負けん!」

 

 分身を作って料理していく麻婆神父。そんな中、マイペースに食べていくシータとジャックちゃん。

 時間が経ち、一時間を過ぎるころには大量の鍋や皿が積み重なっていた。

 

「えっと、シータが5を12皿で、ジャックちゃんが4を19皿、かなでは……」

「129皿分だな……」

「ぶい!」

 

 可愛らしくブイサインを出してくるかなでを抱きしめて、撫でてやる。

 

「身体は大丈夫か!?」

「平気よ。むしろ幸せなひと時だったわ」

「おとーさん、おかーさん凄いね! 私達は全然だったよ」

「いや、充分だ。よくやった」

「えへへへ~」

 

 ジャックを二人で抱きしめて撫でてあげる。ジャンヌちゃんもとシータもやってきたので撫でてやる。すると男どもの視線がやばい。というか、女もだ。何故かと思ったらシータを見ているようだった。シータ&ラーマ信者かも知れない。

 

「さて、福袋よ。合計で星5が13回。4が1回ね」

「いいだろう。選ぶがいい!」

「おかーさん、おとーさん、引きたい引きたい!」

「いいよ。ジャックは4と5を引くと良い。まずは一人一回だな。美遊ちゃんもな」

「私もいいんですか?」

「構わないわ」

「ありがとうございます」

「たのしみですね!」

 

 誰から選ぶかは悩むが、ここは功労者であるかなでから引いて貰う。

 

「かなで」

「さっさと選ぶがいい」

「そうね……これにするわ」

 

 迷う事なく、星5の中から一つの袋を取ったかなで。

 

「中身はなんですか?」

「なんだろー?」

 

 かなでが中を開くと一枚のクラスカードが入っていた。

 

「アルトリア・ペンドラゴン。ランサーね」

 

 そのカードはかなでの中へと光となって消えていった。

 

「どうやらクラスを選択できるようになったみたいよ。クラス・ランサー」

 

 セイバーモードからランサーモードへと変化すると、白銀の鎧へと変化する。しかし、身長は変わらないようで、本人も胸を押さえてがっかりしていた。

 

「うぅ……成長していないわ……」

「今のかなでが俺は好きだぞ」

「そう……なら、いいわ……」

 

 抱きしめて撫でまわしてあげると、納得したようでジャックの方へと視線をむけた。

 

「えっと、じゃあ私達はこれだよ! あっ、これ私達だ!」

 

 ジャックが選んだ福袋にはジャックのカードが入っていた。

 

「おい、どういうことなんだ? 普通なら有り得ないだろ」

「ふっ、持ち主が引いた場合、そのカードも入っている。強化に使えるのだ」

「なるほど」

 

 これで解体聖母がレベル2になるのか。

 

「星4はこれ! なんか呼んでる気がする!」

 

 現れたのはナーサリーライムのカードだった。確か、イベントでも仲良しだったよな。まあ、人形がないので召喚はできないが。シータみたいに受肉するとどうなるかわからないので危険すぎる。それにナーサリーライムは不安定だった気がするしな。

 

「次は……」

「あ、お先にどうぞ」

「ありがとうございます! じゃあ、私が引きますね。来てください、かっこいい綺麗な未来の私!」

 

 ジャンヌちゃんが引いたのは確かに要望に沿っていた。だが、それは未来の私という意味でだった。

 

『残念。私でした。どうどう、悔しい? ニアピンした惨めな気分はどうかしら? くすくす、ばーかばーか』

「むきぃいいいいいいぃぃぃぃぃっ!」

 

 そう、出たのはジャンヌ・ダルク・オルタのカード。いや、トップレアの一枚なのだが。こら、そんな扱いしちゃいけません。地面に叩き付けようとしたらいけない。慌ててキャッチしようとする。しかし、その前にジャンヌちゃんがカードを食べてしまった。

 

「ふんだ。養分にしてやったのです」

「えっと?」

「スキルは手に入れましたから、問題ありません。使いませんが。ええ、使ってやるもんですか!」

「じゃあ、次は美遊だな」

「はい。これにします」

 

 美遊が引いたのは星5バージョンのアーチャー・衛宮士郎。どれだけお兄ちゃんが好きなのだろうか。

 

「これ、私が貰ってもいいんですよね?」

「ああ、いいよ」

「わかりました。お兄ちゃんにあげてもいいですか?」

「ああ、いいよ」

 

 美遊が嬉しそうに持っているので、これはこれでいいだろう。さて、次は俺だ。シータは最後がいいみたいだからな。

 

「どれがいいだろうか? かなで、選んでくれ」

「私でいいの?」

「ああ。かなでの直感に信じる」

 

 おそらく、かなでだったらいいのを引いてくれるだろう。

 

「わかったわ。じゃあ、これね」

 

 俺が引いたカードは訳の分からないものだった。名前が読めない。文字化けしていやがる。だが、絵柄は金髪碧眼の可愛らしい美少女。ただし、血を舐めている姿だ。手に取って、改めて見ようとすると勝手に動いて身体の中に入っていきやがった。

 

「おい!? インストール解除!」

 

 ステータスを開いて取り出そうとしても一切効果がない。

 

「どういうことだ!」

「ふむ。貴様は彼女に魅入られたようだな。諦めろ。もはや解除はできない。インストールされたままであろう。そこの娘も解除できまい」

「私も、確かにアルトリアを取り出せない。正確には取り出してもすぐに戻る」

「呪いかよ」

「相性がいいとそういうことが起きる。お前達が自分自身のものを引き当てたようにな」

「くっ、まあいいか。戦えるならそれでいい。何がかわったかはわからないが……。シータ、引いてくれ」

「わかりました。では、私はこれにします」

 

 って、これってやばいかも知れない。シータが引いたら、とんでもないものがでてくるか?

 

「これは……っ!? 頭が……」

 

 シータが引いたカードは10の顔と10対の両腕を持つ異形のサーヴァント。クラスは不明。名前はラーヴァナ。

 

「シータに関係のある奴だな。大丈夫か?」

「はい、なんとか……もう一回、いいですか? それで、何かがきそうな感じが……」

「ああ、いいぞ」

 

 一人2回はいけるからな。シータがもう一回引くと、それは猿だった。

 

「あっ、ぁあああああああああああああぁぁぁぁぁっ!!」

 

 シータはそれを見た瞬間、握り潰して燃やした。黒いオーラが全身から出ており、オルタと言われても信じられるくらいだ。

 

「大丈夫か?」

「無性にお猿さんは嫌いになりました。全滅させたいです」

「そうか……」

 

 ラーマを引くかと思ったんだが、よりによって猿か。まあ、助かったな。俺はシータを手放すつもりもないし。なんか、破滅しそうだな。このビーストみたいに。

 

「次は美遊だな」

「はい」

 

 美遊が引くと、それは変なカードだった。

 

「これは私? クラスはキャスター……え? 魔法少女? え?」

「魔法少女だって、凄いね! とんで魔砲を撃ってかんきょーはかいをするんだよね!」

「大規模な破壊を撒き散らかすんですね! 殴って説得するんですよね!」

「え? それ、私の知ってるのと違う……」

 

 まあ、イリヤがキャスターの星5だったから、美遊も星5で間違いはないだろう。

 

「ほら、次はジャンヌちゃんだぞ」

「っと、そうでした。今度こそ!」

 

 そして、引いたのはまたしてもジャンヌ・ダルク・オルタだった。

 

「うがぁああああああああああああぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 うん。貰うだけ貰ってそっとしておこう。でも、ジャンヌオルタも可愛いし、好きなんだよな。今度、実体化させよう。という訳で、一枚は確保した。

 

「じゃあ、次は私達だね! これだよ! うにゃ? ありゅ、ありきゅ? 変なの! まあいいや! 強化に使っちゃえ!」

「ちょ、まっ!」

 

 強化に使ってしまった。ジャックちゃん、やばいのを取り込んだぞ。身体に異状はないみたいだし、もういいか。次は俺だな。

 

「今度こそ、使えるものを……マーリンこい!」

 

 だが、やはりさっきの意味の分からない少女だった。それがまた中に勝手に入った。

 

「もう、かなでがラスト2回、頼む」

「任せて」

 

 二つを選んだかなでは一つをあけると、そこには謎のヒロインX、Xオルタがあった。何、ほぼコンプリートしてくれてるんですか。残ってるのって星4のアルトリアランサーと水着アーチャーだけじゃないか。もう、アルトリアマスターだな。

 

「よーし、帰るぞ」

 

 ジャンヌちゃんをお姫様抱っこして、ジャックを肩車して、左右にかなでとシータを連れて、前を歩く美遊ちゃんの先導に従って移動する。

 

 

 

 

 

 帰宅してからかなで達が食事の準備をしていくので、俺は生活する場所である倉を魔術で綺麗に片付ける。というか、取り込んで要る物と要らない物を分別して終わりだ。埃とかは処理したので、綺麗になった。後は運び込んだ布団を設置するだけだ。

 

「マスター」

「シータ、どうした?」

 

 後ろから抱き着いてきたシータは鏡に写った顔を見る限り真っ赤にしていた。

 

「してください。魔力が欲しいです」

「いきなりだな」

「今、私が私じゃなくなってきています……だから、今の間に刻み込んでください」

 

 シータを引き離して、正面から向き合って視線を合わせると、不安そうに涙目になっている。

 

「話してくれ」

「今日、取り込んだカードはラーヴァナと呪いをかけた猿です。そのせいか、記憶が戻ってきて、私が私じゃなくなるような感じがしてきて不安なんです……私はマスターのものなのに、別の誰かを愛した記憶が……」

 

 おそらく、ラーマの事だろうな。このシータは本来とは別の人格か並行世界の、IFのシータなのかも知れない。イレギュラーな彼女は本来のシータが目覚めることを恐れている。

 

「わかった。シータは俺の女だからな。他の誰にも渡さない。それにラーマを手に入れて俺に使えば問題ないだろう。どちらも一応、俺になるんだから」

「無茶苦茶な理論ですが、ありがとございます……マスター」

 

 そのままシータを布団の上に押し倒して、口付けを交わして魔力を送り込む。前に感じた時よりも容量がかなり増えているようだな。

 

「キス……気持ちいいです……もっと、してください……」

「ああ」

 

 唾液の橋をかけながら、シータの身体を貪っていく。何度も何度もやっていく。

 

 

 

 

「ご飯だよ~」

「なっなななななにしてるんですかぁぁぁぁっ!!」

「あうあう」

 

 

 二時間後、迎えに来た三人娘に見付かってしまった。三人は真っ赤にしていながら、行動が全然違った。

 

「私達も混ぜて!」

 

 ジャックは飛び込んできて、残り二人は顔を逸らして変態だのなんだのいってきたのだ。

 

「というか、ダメですよジャック! 私達には早過ぎます!」

「そ、そうかな?」

「美遊!?」

「じょ、冗談だよ」

「じゃあ、ジャンヌはしなくていいんじゃないかな~? 私達はおとーさんに可愛がってもらうし」

「というか、かなでさんが居るのに浮気ですよ!」

「取り敢えず、ご飯を食べてから話そうか」

 

 俺の言葉を令呪を使ってどうにかいう事をきいてもらう。その後、かなで達の作った料理を食べて話をする。

 

「別にいいわ」

「え?」

「正直、コウの相手は一人じゃ辛いわ。魔力供給の事もあるから、歓迎よ。他の男とするのは私は嫌だけど。コウがいいなら、別に構わないわ。それに他の知らない女ならともかく貴女達なら、いいわ。私が後から入ってきたようなものだし」

「やった!」

「うぅ~」

「そ、そういう事なら私は自分の部屋で寝るので、後は皆さんで……」

「駄目よ。美遊もするのよ」

「い、嫌です!」

「何処にいくの?」

「お風呂です!」

 

 急に立ち上がって逃げるように風呂へといった美遊。

 

「かなで」

「別に事実よ。わかっているでしょう? 私もBBから言われたわ。彼女の為よ」

「そうか……」

「じゃあ、私達も準備しましょう」

「何をだ?」

「決まってるでしょ。魔力供給よ。身体が熱いの」

「あっ、私達もだよ。ポカポカしていい気持ちなの!」

「わ、私もです……変ですよ、こんなの……」

 

 皆は俺の身体に身体を擦りつけてくる。

 

「かなでさん、何かお薬を盛りましたね」

「? BBから渡された薬を料理に入れただけよ」

「それですね。媚薬とかでしょうか……」

「ちょっと待て。そんな状態で風呂に行った美遊は……」

「溺れるかも知れませんね」

「まずい!」

 

 慌てて風呂場に行くと、服着たまま湯船に入った美遊を見つけた。どうやら、倒れたようだ。

 

「なんで服を……」

「誰のせいですか! 身体が変で、すぐにはっきりしたくて……」

「そうか」

 

 取り敢えず、美遊の服を脱がす。抵抗するが、無理矢理脱がして湯船に入れる。

 

「いいか、落ち着いてきけ。美遊にもう選択肢はない」

「ど、どういう事ですか?」

「メルトリリスとパッションリップに聞いてみろ。詳しい事を教えてくれるだろう」

「は、はい……お、教えてください……」

 

 それからしばらく沈黙していたので、俺も服を脱いで湯の中に入る。だんだんと美遊の顔が蒼白になって震えてきた。俺は彼女を抱きしめて温めてやる。

 

「理解したか?」

「はい……」

 

 こくこくと頷く美遊はもう、理解していた。残虐性の塊である二人に色々と聞いて、見せられたのであろう。

 

「美遊が俺の女になってくれるなら、必ず守ってやる。例えBB達と戦うことになってもだ」

「……わかりました。お兄さんやジャックちゃん達は好きですし……お兄ちゃんと一緒に居られるなら……」

「少しはいられるだろう。妹としてならBBも許容すると言っていたしな。だが、女としては駄目だ。俺の女になることで、ギリギリ許せるんだろう。今まで色々と邪魔をしてきたことも水に流してくれるみたいだしな」

「お兄ちゃんを守れるなら構いません。それとちゃんと私のことも愛してくれるならですけど」

「もちろんだ。約束しよう」

「じゃあ、お兄ちゃんに何かあれば桜さんとも戦ってくださいね」

「それは命の危険がかなりあるな」

「私の身体に加えて心もあげるんです。それだけの価値はありませんか?」

「あるな」

「即答ですか。お兄さんは変態のロリコンですね。こんな身体のどこがいいのか……」

「こんな身体じゃないさ。最高の身体だろう」

「はぁ……さっさとでましょう。ここでするのなんて嫌です」

「わかった」

 

 風呂から出ようとしたら、皆が入ってきた。

 

「洗いっこしよ~」

「その、身体を綺麗にしてからが、いいですから」

「大事よ」

「マスター、御背中流しますね」

「……身体を洗ってからですね」

「ああ、そうだな」

 

 エロエロな洗い合いを行ってから、美遊の部屋に敷き詰められたように敷かれた布団の上で皆と愛し合った。

 

 

 

 翌朝、士郎さんに呼び出されて道場に行くとつやつやなBBとげっそりとした士郎さんがいた。もっとも、俺も士郎さんと同じだ。絞り尽された。

 

「昨日はお楽しみでしたね」

「それはもう、楽しみましたとも! やっと先輩と結ばれたんですからね! そちらもよかったようで何よりです」

「美遊の事を頼むぞ」

「もちろんです。いえ、ここはこう言おう。妹さんをください!」

「断る! と、いいたいがいいだろう。条件次第でな」

「条件?」

「俺と戦って勝て。少なくとも美遊を守るに値する力を出して貰う」

「無理げーといいたいんですが……」

「安心してください。私が、この私が徹底的に鍛えてさしあげますよ。先輩との時間を作る為にスパルタでいきます。教師陣は私、桜ことBBと」

「パッションリップ……面倒。ロリコンとか死ねばいいのに……よし、殺そう……」

「駄肉より、私のような肉体美を選ぶのは素質があるわね。このメルトリリス様がしっかりと鍛えてあげるから、風穴を開けながら感謝なさい」

「それと俺自身もお前を鍛えてやる。取り敢えず、最低限はアンリミテッドブレイドワークスの展開状態で俺を倒すぐらいには鍛える」

「無理ゲーすぎんだろ!! 手加減をっ!」

「「「「却下」」」」

 

 美遊達と結ばれた俺を待っていたのは地獄とは生温い、悪鬼羅刹が逃げ出すような修行のようだ。明らかに致死量満載である。

 

「あっ、死んでも蘇生してあげますから、安心してくださいね。安全安心のBBちゃんサポートです。良かったですね、ロリコンさん」

「あ、ありがとうございます……」

 

 やっぱ死ぬ前提なんだな。そりゃそうか。というか、士郎さんですら、ちょっと気の毒そうな視線を飛ばしてくるくらいだしな。だが、妥協はしてくれないだろう。何せ、大事な大事な妹の為なのだから。

 

 

 

 

 

 


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