美遊とジャンヌと共にハイエースをレンタルしてかなでと護衛をしているシータとジャックを向かえにいく。二人共、後ろの席で楽しそうにこれからどこへ行くか相談している。
かなでの高校のに到着したが、まだ時間がある。シータとジャックもこっちにやってきたので合流する。
「そうだ。美遊はもちろんのこと、ジャンヌ達も気を付けてくれ。可愛い女の子はハイエースされるという言葉があってだな……」
詳しいことを教えると、皆がかなででやりたがったので遊び半分でやってみることにした。
流石というか、なんというか、ジャック達サーヴァントの身体能力を持ってして、扉を開けた瞬間にかなでを車に引きずり込んで逃走。かなでも直感とかで普段は抵抗するのだろうが、相手が俺達なので抵抗もなし。そのまま連れ去る。しかし、すぐにかなでが俺達だと理解して、止めるように要請してきたのだ。
「止めて。友達がいるわ」
「あ、やばいな」
普通に停止させて扉を開けたかなでが外にでて携帯を構えていた友達のところに向かっていった。その間に皆に攫われたら、これからどうなるかを説明する。後で実際に山に登ってやる予定だ。天体観測をしたいとのことだからだ。
「説明してきたわ。まったく、やりすぎよ。コウまで悪乗りしないで」
「わるいわるい」
「「「ごめんなさい」」」
かなでの後ろにはもう一人、女の子がいた。
「女の子がいっぱい……本当に大丈夫なの?」
「大丈夫よ、ありがとう。それで、これからどうするの?」
「映画行ってご飯だな。その後は近くの山に登って天体観測をする。予定があるなら別に構わないが……」
「いえ、大丈夫よ。それじゃあ、いってくるわ。また明日」
「またね」
かなでが乗ってから車を発進させる。
「あの子達、どこかで見た感じが……」
遠出して映画を見たので食事を行う。今回のお店は皆大好き、卵の木というオムライス専門店にした。
「いらっしゃいませ、ご注文をどうぞ」
「メニュー全部よ」
「え?」
「メニュー全部」
「すいません、それでお願いします」
通された席でとんでもないことを平然と言い放つかなでに驚いているが、それで通してもらう。皆は映画で買ったパンフレットやグッツに夢中だ。そんな感じで食事を終えると、俺のスマホに音が聞こえた。近くに居たかなでが確認して見せてくれる。俺達のスマホロックは互いに登録し合っているのでどちらもみれる。
「コウ、イベントよ」
「みたいだな」
FATE/VRが起動してイベントのお知らせというのが出ていた。参加条件は召喚魔術を使えることとサーヴァントと契約していること。俺はシータ、ジャック、ジャンヌちゃんがいるので問題ない。
「参加するの?」
「そうだな。皆、いいか?」
「いいですよ」
「うん。とっても楽しみだよ」
「マスターのお心のままに」
「私も大丈夫です。外にはでれるんだよね?」
「もちろんだ」
「じゃあ、大丈夫だよ」
「よし、ではイベントに参加しよう」
参加ボタンを押すと、詳しい情報が表示され……なかった。ただ、位置情報とメニューナンバー、合言葉のみだ。
位置情報にあった場所は閑古鳥が鳴いているさびれた中華料理店。店の名前は泰山。もうこれだけでもわかる。一応、向かうのは俺とかなでだけで、他の三人は車で待機だ。ジャック達だと他の連中にばれるかもしれないしな。
「いらっしゃい」
店の中にはイベントに参加するためか、すでに何人かの人がいた。召喚魔術を手に入れた連中か、普通の店かはわらかない。
「666番、二人前。じっくりことこと唐辛子ましまし、激辛聖杯麻婆豆腐」
「わかった。席につくがいい」
席に座ってからしばらくすると、大きな杯に注がれた麻婆豆腐が運ばれてくる。みるだけでも痛い。目がひりひりする。
「かなで、いけるか?」
「愚問よ。コウも食べてみて。美味しいわ」
「あ、ああ……」
あ~んという感じで一口食べさせてもらったが、吐きかけた。口の中が焼け爛れるような感じで、思わず魔術を発動しようとする。
「お客さん、ずるはいけない」
「ぐっ……」
「これは25番目の私が丹精込めて作った麻婆豆腐だ。お残しもずるも許さない」
俺はかなでと一緒に吐きそうになるのを我慢して食べた。しかし、完食してもなにもない。不思議がっていると、かなでが俺の服をひっぱってきた。
「どうした?」
「これ」
皿になっていた杯にQRコードが描かれていた。QRコードをスマホに読み込ませると、画面が変わった。そこに移り出た文字は俺達にとっては馴染みのある言葉。
【第五次聖杯戦争。対象のマスターもしくはサーヴァントを討伐せよ。討伐した場合、関係するサーヴァントや所有物が手に入る。
注意
すでに所有者がいるサーヴァントは変更させる。
現在、アルトリア・ペンドラゴン、エミヤシロウは所持されているため、別の者となっている。参加する場合、下記のURLにアクセスせよ】
こんな風に書かれていて、目標となるセイバー、アーチャー、ランサー、キャスター、ライダー、アサシン、バーサーカー、???????のURLが乗っている。挑戦者の数も同時に乗っていて、すでに何人かが戦いを挑んでいる。
「注意事項だ。当方は例え死んでも一切の責任を取らぬことを了承するように。また、遺書を書くことをお勧めする」
「いくぞ、かなで」
「ええ」
店から出ようとすると、待ったがかかった。
「二人前、締めて二万五千円になります」
「わかった。ついでにゴマ団子も欲しい」
「まいどあり」
支払ってから車に戻る。その瞬間、もっとも俺にダメージがきた。
「あ、近付かないでください。その、刺激臭が……」
「目が痛いよ!」
「うぅ、今のトナカイさん達には近づきたくないです」
「マスター……私は、大丈夫です」
美遊、ジャック、ジャンヌちゃんが拒否してくる。シータは頑張ってくれているが、涙目だ。
「この唐辛子をどうにかしないといけないな」
「ホテルに行きましょう」
「そうだな」
運転してその手のご休憩ホテルに入る。フロントには驚かれたが、近付いたら唐辛子の匂いでわかってもらえた。着替えも売っていたので、購入しておく。もちろん、普通のにみえるが下着とかはエロい奴だ。
さて、俺とかなでは風呂に入り、他の子達はゴマ団子を食べつつ備え付けのゲームをしているか、映画をみているのだろう。
風呂に入ってから気付いたが、今なら虚数魔術を使ってもいいかもしれない。そう思ったのだがかなでが止めて来た。
「嫌な予感がするわ。やめましょう」
「わかった」
風呂の中で膝の上にかなでを乗せて後ろから抱きしめ、まったりとしつつスマホでFATE/VROの第五次聖杯戦争について調べてみる。そこでチャットがでていた。内容は簡単だ。ランサーが、ランサーが強すぎる件について。???????はもっとやばい。流石はAUO。やっちゃえバーサーカーを生で聞けた。その後、潰されたとか色々とある。
蘇生薬が10万円で一応販売されている。これを買わないとやってられないレベルらしい。ちなみに相手はガチの英霊様、マスターありなので英霊の力を借りても一人じゃ勝てない。レイドモンスターだと思われることが書かれていた。
「さて、狙いはどうするよ」
「旦那様にお任せよ」
「そうだな……第五次聖杯戦争ってかなり強いサーヴァントばっかりなんだよな……」
ランサーはクー・フーリンで一撃死持ち。おそらく、かなでや美遊なら対応できる。かなではアルトリア・ペンドラゴン系統をガチ積みしているし、美遊は聖杯の力でゲイ・ボルクを改変すればいい。勝てるかと言われたら、厳しいだろう。
セイバーとアーチャーは不明。
キャスターは多分、全員で挑めば勝てると思う。こっちには対魔力Aでアルトリア・ペンドラゴン複数持ちのかなでがいるからだ。アサシンも勝てる。原作通りなら山門から動かないから、シータで爆撃すればいい。切嗣と同じような感じだ。
ライダーはあの高機動がやっかいだが、ジャックの霧で封じ込めて解体すればいい。霧で居場所もわかるし、夜な上に女性だから特攻が入る。美遊のメルトリリスの力で一撃入れればどうとでもなるだろう。
???????はギルガメッシュだから、勝てるはずもない。
そして、バーサーカーは勝てるかどうかといえば全員で十二回+一回を殺し切ればいい。それぞれの宝具も使えばたぶん、可能だと思う。いや、そうだ。アレをすればいい。原作で桜がやったように取り込んでやればいい。原作ではできなかったが、今ならまだいける。美遊の聖杯とメルトリリスにサポートさせればいける! そして何より、あの書き方なら家が手に入る。
「かなで、城で生活してみたくないか?」
「素敵ね」
「じゃあ、決定だ」
バーサーカーはまだ倒されていない。ライダー、アサシン、キャスター、アーチャー、セイバーに人は集中している。
「セイバーの正体は誰なの?」
「そうだな……あ、沖田総司だな。アーチャーは不明のようだ」
「有名な人ね。まあ、いいわ。あがりましょう」
「ああ」
風呂から上がり、水を飲む。備え付けのビールは飲まない。夜の間にやりたいからだ。
「何をみているの?」
「FATEの映画。あの、お兄さん。私、イリヤを助けたいです。私の友達になってくれた子だから」
「イリヤスフィール・フォン・アインツベルンか。まあ、彼女を狙うのもいいな」
「ロリコンね」
「かなで……」
「私達は賛成だよ。お友達は大切だもん」
「そうですね。それにこの子、死んじゃいますし。魔法少女している方でも結構酷い目にあってますし、助けてあげましょう!」
「かなで、駄目?」
「駄目とはいっていないわ。でも、助ける前に私達が死んだら駄目」
「でしたら、みなさんで研究しましょう。バーサーカーについて」
そこから映画やアニメ、漫画などみまくってバーサーカー、英雄ヘラクレスについて調べる。
「これ、私達はあまり役にたたないかも」
「私もです。ランクBを抜け……いえ、アレなら抜けるかも。とっても、と~っても嫌ですけど」
「いや、大丈夫だ。ヘラクレスとはほぼ戦わない。先にマスターをやる。ジャックの力でイリヤの両手両足を切る。そのタイミングで俺が影に取り込むから、他の皆はヘラクレスの足止めに入ってくれ。その中で美遊が治療と黒化を慣行する。イリヤの身体を乗っ取ってしまえばこちらの勝ちだ」
「えげつないわ」
「容赦がありませんが、仕方ないですね。相手はあの英雄ヘラクレスです」
「私は嫌ですが、アイツなら大喜びしそうです」
「私が頑張ればイリヤは助かる……頑張る」
「私達も頑張るよ」
バーサーカーのURLにアクセスすると、彼女達の居場所が判明した。そこはとある町の近くにある森。その中にアインツベルンの城ができていた。つまり、現実世界だ。
「あの町ってやっぱあの作品か。これはやばいな」
色々と調べてみると、色んな作品がごちゃ混ぜになっていた。一応、現代物がメインにはなっているが、それ以外も存在しているだろう。だが、レネゲイドウイルスとか、SAOとかあるのはどうなってんだ。まあ、考えても仕方ない。なにしろ、冬木市まである上に第四次聖杯戦争の災害もあったようだしな。つまり、このままいくと普通にやばい状況が起きる。イリヤに俺達プレイヤーが持つサーヴァントの力が過剰に集まるのだ。世界が終わる可能性すらでかい。
「向こうの天気はどうだ? 霧はでるか?」
「でるみた」
「情報抹消しながらやればできるか。ジャック、頼むぞ」
「任せて」
こうして俺達はイリヤスフィール・フォン・アインツベルン捕獲作戦を開始する。特に天気予報を中心に調べていく。
URLにはご丁寧に転送用の魔法陣まで用意されていたのでそれを利用する。それはさながらレイシフトのような感じだ。シヴァはないのにそれに似たような物は作られているのかもしれない。なんせ、BBがいるのだから何が会っても不思議じゃない。すくなくともムーンセルはあるのだから。
※※※
アインツベルン城。常冬の城で寒く、基本的に明かりが落とされる事のない不夜城。建造物その物は俯瞰すれば凹字型になっており、中央のへっこみ部分が中庭に当たる。対霊加工は完璧で、半端な幽霊では進入出来ない。出来るとしたらそれは霊格の高い、名のあるモノのみ。
俺達はそんな城のある森へと侵入し、すぐに作戦を開始する。すでにそこかしこで戦闘音がするので、何人かが侵入してきているのかもしれない。
「行くぞ、ジャック、美遊」
「行こう、お父さん!」
「うん、よろしく」
俺と美遊はジャックの影に入って、ジャックは森と城を含めて霧を発生させる。この霧は暗黒霧都(ザ・ミスト)。ロンドンを襲った膨大な煤煙によって引き起こされた硫酸の霧による大災害を再現する結界宝具。
魔術師ならばダメージを受け続け、一般人ならば数分以内に死亡する。英霊ならばダメージを受けないが、敏捷がワンランク低下する。
また、結界から脱出するには直感などのスキルの効力か外部からの手引きが必要になる。
結界の範囲・対象は自由に設定可能であるため、敵味方が入り乱れた状況でも敵だけに効果を発揮できる。
「相手がでてくるまではこのままだ」
「大丈夫だよ。任せて」
「ああ。かなで達は派手にいけ」
「ええ、行くわ」
あちらはシータがこの魔術を発動しているようにみせかけ、ジャンヌちゃんとかなでが護衛という感じでおびきだす。俺達三人はジャックの影に隠れて一緒に気配遮断を使って隠れる。
しばらく様子を見ていると三人の人がやってきた。女性二人に男性一人。女性と男性はぼろぼだ。女性は黒髪で男性はよく知っている人だ。現に美遊も驚いている。
「ああ、もう! なんなのよ、この霧っ!」
「落ち着け、遠坂。今はこの霧を出ないとまずいんだろ。大丈夫か、セイバー」
「ええ、大丈夫……こふっ」
「セイバーっ!」
「この霧は私には答えます、シロウ」
そうやって来たのは原作組だ。つまり、アーチャーはヘラクレスにやられている可能性がある。
『お兄ちゃん……?』
『違う。アレは別の世界のシロウだ。あっちのシロウは今頃、新婚旅行の真っ最中だろう』
『そっか。いろんな世界が混ざってるから、テレビでみたFATEの世界も入ってるんだ……』
『大丈夫か?』
『うん。今の私には兄さんや皆がいるから平気だよ』
このまま様子をみる。あくまも狙いはイリヤのみだ。そんなわけだが、囮の三人はそうはいかない。
「貴女達ね! いますぐ結界を解除しなさい!」
「待ってください、凛。あちらの彼女二人はサーヴァントです。一人は受肉していますが、そこの人は人間です」
「それってもしかして……」
「たぶん、そうでしょうね」
かなでが魔力で編んだ銀色の鎧と青色のドレスに身を包む。常にインストールしている状態なので、アルトリア・ペンドラゴンとかわらない。
「クラスはセイバーね。まったく、なんなのよあの魔術礼装は!」
「あなた達、やる気?」
「アンタのせいでアタシ達は死にかけてるんだけど?」
「いや、待ってくれ。もしかして、お前達の狙いはバーサーカーじゃないのか?」
「そうよ。だから、貴方達とは戦いたくないわ」
「そういうことね。わかったわ。私達はこのまま逃げるから、結界から出してくれないかしら」
「いいわよ」
「本当か?」
「随分とあっさりね」
「狙いはあくまでもアインツベルンだけ。貴女達に興味はないわ」
「……むかつくけど、今は逃がさせてもらうわ!」
三人は大人しく通したが、これで問題ない。何故なら……空からソレが降って来たからだ。
「■■■■■■■■■■■―――!」
「こんなに鼠が入り込んでるなんて思わなかったわ。ましてやこんな結界を張るなんて許せない! バーサーカーに犯させてぐちゃぐちゃにして奴隷にしてやるわ! そして、飽きたら惨たらしく殺して餌にしてやるんだから!」
巨人のような大男に乗った彼女は飛び降りる。相手は大英雄ヘラクレス。
「何をそんなに怒っているの?」
「そうですよ!」
「さあ、わかりません」
「うるさいうるさい! 令呪を持って命じるわ。やっちゃえ、バーサーカーっ!」
「■■■■■■■■■■■―――!!!!」
斧剣を凄まじい速度で振り下ろしてくる。それに対してかなでの取る方法は一つである。
「全て遠き理想郷(アヴァロン)」
全て遠き理想郷(アヴァロン)はセイバーの魔力に呼応し、持ち主に不老不死と無限の治癒能力をもたらす、約束された勝利の剣(エクスカリバー)」の鞘。
アーサー王伝説における常春の土地、妖精郷の名を冠した鞘。アヴァロンはギリシャ神話において、”不死の林檎”があるとされる島から連想されたという理想郷。
持ち主の傷を癒し老化を停滞させるだけでなく、真名を以って開放すれば数百のパーツに分解し、所有者をあらゆる干渉から守りきる。
魔法の域にある宝具で、あらゆる物理干渉、並行世界からのトランスライナー、多次元からの交信(六次元まで)をシャットアウトする。
カウンターとして使用することも可能。ただし、守りとしての真価を発揮するのは真名開放時なのでタイミングはきっちり計らなければならず、その性質上、展開したまま攻撃する事は当然出来ない。
というのだから、とんでもない宝具だ。ただし、逆転の発想からすればこれはある意味、最強の手札になる。
「なん、で……バーサーカー?」
バーサーカーはアヴァロンによって
「れっ、令呪を持って命じるっ、きなさいバーサーカーっ! きてっ、きてよっ!」
「無駄です」
「大人しくしなさい」
「嫌よっ!」
ジャンヌちゃんが槍で攻撃するが、イリヤは交わして銀色の鳥を放ってくる。それらはシータちゃんが全て止める。
「どちらにしろ、詰みよ」
「──此よりは地獄。わたしたちは炎、雨、力。
――殺戮をここに。
時間帯が夜、対象が女性(または雌)、霧が出ているの三つの条件を満たすと、対象を問答無用で解体された死体にする。
そうこの宝具は使えば相手を確実に絶命させるため一撃必殺。標的がどれだけ逃げようとも霧の中にいれば確実に命中するため回避不能。
守りを固め耐えようとしても物理攻撃ではなく極大の呪いであるため防御不能。更に情報抹消によって事前に対策を立てることが出来ないため対処不能。つまり、女性の天敵だ。
「え?」
霧の中からイリヤの背後へと現れたジャックは一切の容赦なく、イリヤスフィールを解体する。それはもう、とっても笑顔で。解体された瞬間に影から出て虚数魔術で血の一滴に至るまで確保する。
「美遊」
「任せて。インストール、メルトリリス!」
やることは簡単だ。イリヤスフィール・フォン・アインツベルンの三分クッキングだ。そう、今回の作戦とはヘラクレスさえどうにかして隔離する。なら、後はマスターなど英霊からしたら雑魚でしかない。アヴァロンが反則すぎるだけではある。
さて、イリヤスフィールを確保したので、彼女を甦らせる。一度殺した理由は簡単だ。それは必要だったから。イリヤスフィールはホムンクルスで、聖杯になるように調整されている。彼女の寿命はかなり少なく、あと一年生きられたらいい方だろう。そして、このままだとギルガメッシュと言峰神父にその身体を利用される。そんなのはごめんだ。
なので色々と考えた。イリヤを助けつつ、俺達に復讐をさせないようにする。令呪よりも強力な絶対命令権を得る。ステイナイトのイリヤはかなり危険だ。平気で殺しにかかったり、凛をヘラクレスに犯させて殺そうともする。プリズマ時空とは違い、魔術師として冷徹なのだ。そんなわけで、容赦はしません。
「さて、先生……お願いします」
「お願い、その……お姉ちゃん……イリヤを助けるの、手伝って」
「ふふふ、任されましょう! お姉ちゃんに任せなさい!」
呼び出したのは簡単だ。メルトリリスをインストールし、イリヤにメルトウイルスと泥を入れて身体を繋ぎつつ、メルトリリスを通してBBに協力を要請する。説得は美遊によるお姉ちゃんよびで士郎の妻として完全に認めていることを示し、かつ別世界とはいえ士郎の姉を助けることで士郎の好感度もアップする。などなどしっかりとお伝えしましたとも。
「ふふふ、うふふふふふ、うふふふふふ、うふふふふふ、これが終わったら先輩にたっぷりと褒めてもらえます!」
「師匠、実は彼女狙われていまして……相手は英雄王ギルガメッシュです。それに対抗できる力をあげてください。あと、隔離しているバーサーカーなんですが、狂化を解除できますか?」
「それは無理です。狂化を解除したヘラクレスはすでに持ち主がいますからね」
「そうですか……」
「でも、私の妹なんですから、ハイ・サーヴァントにしちゃいます。えいっ♪」
なんだか窯が現れた。そこにイリヤスフィールが入れられる。彼女の身体は溶けたのか、ぐるぐるの渦の水に消えた。
「ここで素材を入れます。素材はアイヌの女神シトナイ、フィンランドの女神ロウヒ、北欧神話のフレイヤの北方の三柱の女神です」
「え? いいのかな?」
「いいんです。それにこのロリコン弟子もそれを願っていますし」
「シトナイ欲しい」
「デスヨネー。というわけで、シトナイちゃんです」
BBが棒でまぜまぜかき混ぜて窯を棒で叩くと、虹色の光となって窯から飛び出したら裸のシトナイになった。まるで錬金術だ。
「はい、ここまでは普通のシトナイちゃんになるので面白くありません。ここからさらにエッセンスを加えます。具体的にはこの綺麗な身体にいっぱい落書きをします」
筆でシトナイの身体をなぞると、イリヤが持っていた無数の令呪が現れた。それらは彼女の身体に定着して消えていった。
「第二に、美遊の聖杯と繋げて二つの小聖杯をリンク。増幅させます。第三にシトナイちゃんと言えばシロクマちゃんです。というわけでーー」
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■―――!!!!」
怒り狂うヘラクレスがアヴァロンが解除されてこちらに走ってくる。令呪が有効だったようだ。かなではへたり込んでいるが、ジャンヌちゃんとシータがいるので大丈夫だ。
「させません。吼え立てよ……」
「あ、大丈夫ですよー」
「わ、わかりました」
「ほい」
やってきたヘラクレスをできたシトナイちゃんを盾にするBB。斧剣の軌道を無理矢理変えてイリヤことシトナイにあたるのを防ぐ。しかし、それは致命的な隙だ。
「シロクマさんになっちゃえ~♪」
「■■■■■■■■■■■■■―――!!!!」
なんとういうことでしょう。あの巨人だったヘラクレスがもっふもふの白い熊になってしまいました。
「ふ、この子を通してやればBBちゃんには楽勝なのです。えっへん! あ、もちろん、シロクマちゃんは狂化を解除してあります。この子はヘラクレスの力を持ったシロクマちゃんなので、ヘラクレスとは別ですからね。これで彼女も魔法少女シトナイちゃんになれましたね。よかったですね~」
「なにしてくれてんの! 人の身体を玩具にして、バーサーカーまでこんなにしてっ!」
「おや、もう起きたんですか。流石は私、完璧ですね」
シトナイはもう目覚めたようで、泣きながらシロクマ(ヘラクレス)に抱き着いている。
「ほらほら、泣いていていいんですか? ご主人様への挨拶がまだですよ? 貴女の生殺与奪権とか、未来永劫存在そのものが全部彼の物ですよ」
「「「え?」」」
「貴女はヘラクレスを呼び続けました。だから、私はその願いを(曲解して)叶えてあげました。あなたは例え二人が、三人が死んでも必ずまた出会って彼に服従し、美遊の友達になります。運命を操る女神フレイヤと聖杯の力で決定しておきました。よかったですね、何時でもご主人様のところに飛んだり、呼べたりしますよ。世界を超えて」
「さ、最低よ!」
「あれ~? おかしいですね~。さっきかなで達を犯して奴隷にして殺させるっていってましたし、似たようなことをされる覚悟は当然ありますよね~」
「あ、あれは……って、そうだ! わかった、わかったから! 奴隷でも友達でも永遠になってあげるから、なんでもするからセラとリズを助けて!」
「どういうことだ?」
「兄さん、多分ジャックのせい」
「わたしたちのせい? そんなまさかー」
「あ、ホムンクルスの二人ならザ・ミストで死にかけてますね」
「ジャック、宝具の解除」
「ん、やったよー」
「急いで助けるぞ」
「私も手伝う」
その後、BBは手伝ってくれなかったが、シトナイに令呪で命じてシロクマに乗って走らせた。俺と美遊も一緒で、二人でサポートしてシトナイの力でセラとリズを治療し、なんとか助けた。どうやら、イリヤが怒りまくってキレていたのは大切な二人が霧で死にそうになっていたからなようだ。ホムンクルスの二人は霧が致命傷だったようだ。
まあ、互いに謝ってシトナイとなったイリヤは俺のサーヴァントととなった。正確には俺と美遊のサーヴァントだ。おそらくだが、BBの狙いは美遊の護衛兼囮としてイリヤを配置したのだろう。美遊とシトナイとしてのイリヤの聖杯なら、イリヤの方が大きく気配も大きい。このことも話し合ったら、イリヤは溜息をつきながら納得してくれた。
「妹を守るのは姉の務めよね。いいわ、異世界だろうと士郎の妹なら私の妹よ」
「ありがとう」
「感謝する」
「別にいいわよ。それとここに住むのよね?」
「そのつもりだ」
「まあ、私のご主人様が家なしってのは駄目ね」
「ご主人様ってのは認めるんだ」
「マスターなのは事実だし」
シロクマを撫でながらイリヤは諦めた表情でいってくる。
「駄目よ」
「なんで?」
「奴隷は駄目よ。家族だもの。道具じゃないわ」
「いいの?」
「俺もそっちの方がいい。みんなもそうだろ」
「うんうん」
「家族が一番です。一緒にお嫁さんになりましょう」
「あ~そっか、そっちの方でもいいんだ。どうせ残り微かな命だったわけだし、うん。よーし、切り変えていくね。じゃあ、まずは……アーチャーの処理からしましょうか」
イリヤから聞いた話ではアーチャーには逃げられたようだ。そのアーチャーだが、どんな奴かといえばBBが下僕として使っているあの人だった。確かに彼だったら森があれば逃げられるな。よし、BBに連絡しておこう。
シトナイちゃんをお迎えできたので、こちらでもお迎え。シトナイちゃんテラ可愛い。
そんなわけで、イリヤちゃんをシトナイちゃんに改造。十二の試練とナインライブス持ちのシロクマ・ヘラクレスもいるよ。美遊と一緒に聖杯魔法少女アルターエゴです。
アーチャー? 奴はもうわかる人は多いでしょう。緑のあの人です。