イリヤスフィール・フォン・アインツベルン/シトナイ
聖杯戦争の途中で現れた怪奇現象によって、私達の世界は別世界と融合したみたい。それでも聖杯戦争を継続しようとした私の下に現れたのは無数のサーヴァントの力を持つ魔術師や存在しなかったマスターとサーヴァント。それでも私のバーサーカーの敵じゃなくて、駆逐して聖杯として完成を目指した。
そんな私を倒しにきたシロウとリン。その二人に召喚されたサーヴァント、セイバーとアーチャーをヘラクレスで撃退し、追撃戦に入ろうとしたら今度はアインツベルンの森が深い霧に覆われて、セラ達が苦しみだした。この霧は酷い酸性で魔術師を殺し、サーヴァントすらもダメージを与える効果を持っていた。私は持ち前の魔力でどうにかしたけれど、リズとセラにはそれができない。
だから、原因を倒そうとした。そいつらは文字通り、私を狙ってやってきたのもあって、捕まえたらバーサーカーに犯させてぐちゃぐちゃにし、奴隷として飼って飽きたら惨たらしく殺して餌にしてやるつもりだった。
それが敗北して奴隷になることは免れたけれど、ハイ・サーヴァントとかいうのにされて妻になることになった。妻といっても、逆らうことはできないしただ身体を差し出して従うしかない。なので、処女を奪われた後で猫耳と尻尾、首輪をつけられてにゃーにゃー言って甘えさせられるのも許容するしかない。
そう、私は自分で言った通り、ぐちゃぐちゃに犯されて飼われるという立場を教え込まれた。まあ、自分で言った言葉だから仕方ないけど、交渉だけはしてセラとリズには手を出さないようにお願いした。その代わり、何時でも何処でも望まれたら身体を開いて喜んで受け入れるということになった。魔術師としてはハイ・サーヴァントになったことで寿命を気にしなくなり、私自身かなり強くなれたし神々が使っていた神秘が手に入った。これらを解析すれば根源へと近づける。それ以外にもご主人様、マスターと一つなることで彼の体内に根源への繋がりがあるのも発見した。嬉しいこともあるし、魔術師としてはプラスなのでよしとする。それにぼそっとバーサーカーみたいな姿になって犯してやろうかと言われたので泣きながら謝った。ハイ・サーヴァントの身体なら身体は死にはしないだろうけど、それ以外は色々と死んじゃう。
行為自体は魔力供給の意味もあってやったら、気絶させられて気が付けば隣で美遊や他の子達が可愛がられて喘いでいる。そこから美遊も一緒になって私を虐めてくる。身体を貪られて最初は気持ち悪かったけれど、我慢して耐えればそのうち気持ちよくなるだろうし頑張った。そう思っていたら、えげつない手段を行われて虜にされた。魔力を奪われ、枯渇状態からの過剰供給。それを繰り返されるこでサーヴァントの身体は完全に堕ちちゃった。さらに令呪で感度もあげられたらどうしようもない。
次の日、目覚めたら大きなベッドの上で全員で眠っていた。起き上がって背伸びをすると、なんだかとってもスッキリとした目覚めで姿見の前に立つと、肌がきめ細やかになっていて、つやつやになっていた。
後ろをみてベッドの上の女の子達も同じで、マスターはどこかゲッソリとしている。皆でたっぷりと搾り取ったということみたい。ただ、私と美遊の聖杯から魔力供給が行われているようで魔力自体は回復していっている。それに興味深いことだけれど、マスターの魔力の質はかなり高い。量は多くないけれど、異常といいぐらいには高い。
「お嬢様。湯浴みの用意は整っております」
「そう、ありがとう。貴女達もどう?」
「いくー」
「お願いします」
振り返ればジャック・ザ・リッパーとジャンヌ・ダルグ・オルタ・サンタ・リリィ(?)という意味わからない子、シータという受肉したサーヴァントの子が起き上がっていた。前二人は寝ていないのだろうし、サーヴァントらしく周りを警戒している。バーサーカー……じゃない、私のシロクマも雪の中で丸まりながら警戒しているから、ぱっと見はわからない。
「他は寝ているのね……」
「おかあさんとおとうさん、美遊は人間だしねー」
「人間……? まあいいわ。こっちよ」
四人でお風呂に入っていく。お城のお風呂はドイツ式だけど、切嗣がいたときに改装したのでおっきなお風呂もある。寝間着のまま移動して、そこでシャワーで汚れを洗い流していく。
「洗って~」
「わ、わたしは大丈夫です……」
「……ジャックはイリヤがお願いします……」
「んーわかったわ」
「えへへ~」
ジャックを座らせて髪を洗っていく。この子に手足を斬り落とされて殺されたと思うと、手付きが乱暴になってくる。
「わぷっ!? やー!」
「暴れない!」
「うー」
頭が終わったら背中も洗ってあげる。それから今度は交代して洗ってもらう。背中だけだけどね。身体を執拗にしっかりと洗って綺麗になったら、三人で湯船に入ってゆっくりとしていると、ジャックとジャンヌが泳ぎ出した。私とシータはぼーとそれを見ている。すると扉が開いてマスターが美遊とかなでを連れて入ってきた。何も着ていない身体に昨日のことを思いだして顔が真っ赤になっていく。
「おはよーおかあさん、おとーさん」
「おはようございます」
「おはよう」
皆が挨拶している中、三人もシャワーを浴びて互いの身体を洗っていく。流石に襲うことはないみたいで、普通に身体を洗ったら湯船に入ってきた。すると遊んでいた二人が抱きついて甘えていく。
「今日の予定だが……」
「アーチャーを攻めないの?」
「アーチャーか……」
私が聴くと、なぜか美遊の方をみる。どうしたんだろう?
「美遊、どうなった?」
「えっと、BBお姉ちゃんが、捕らえて引き渡したらご褒美をあげるって……」
「BBからのご褒美か……」
「期待できるわ」
「それ、急げって言われてるか?」
「ううん。別にどっちでもいい感じみたい。アレだったら新婚旅行が一区切りついたら自分で遊びに行くって言ってるし……」
BB……私の身体を好き勝手に改造してくれたあの女ね。あいつの力は凄かった。バーサーカーでも勝てないと思う。
「イリヤ、マスターとサーヴァントの情報はあるか?」
「ん~アーチャーとセイバーのマスターはわかる?」
「ああ、わかる」
「昨日あった」
「それなら、誰が知りたい?」
「キャスターとアサシンだな」
「そいつらとは会ったことがないわね」
「そうか……なら、今日の夜はキャスターとアサシンのところに向かう。どうせ近くだからな。それまでは引越し作業とかしないとな」
「私はサーヴァントとしての身体に慣れたいから、誰か戦ってくれる?」
「シトナイは弓を使うのでしたね。では、私がお相手しましょう」
「シータ、お願いね」
彼女なら同じ弓使いだから、教えてもらえばいい。それにしても、アサシン、セイバー、ランサー、アーチャー、アルターエゴ二人か。そして、シロクマの皮を被ったバーサーカー。結構な、過剰戦力ね。しかも内容が酷いし。この中でましなのってジャンヌくらい? ジャックは女性に限定したらかなり強いし。
お風呂から出ると、セラとリズが用意してくれていた服に着替えていく。ジャック達は私の服でマスターは同じ服ではなく、執事服。なぜそれかはわからない。それから食堂で皆で食事を取る。
「ああ、そうだ。イリヤ」
「なに?」
「マスターは止めてくれお兄ちゃんって呼んでくれ」
「え? 変態? いや、変態だったわね」
「外でマスターと呼ばれるのは困るからな。シータもだ」
スルーされた。でも、確か変に思われるかも。お兄ちゃん、お兄ちゃんかぁ~。シロウは弟だし、間違ってはいないわね。お兄ちゃんも欲しかったし、別にいいか。
「わかった。お兄ちゃんって呼ぶね」
「ああ。シータは……」
「マスターでは駄目ですか……?」
「できたら……」
「では、ご主人様で」
「それはもっとやめてくれ。二人や家族だけの時はいいがな」
「……やっぱり、マスターがいいです……」
涙目で見詰めるシータに負けたみたいで、お兄ちゃんは結局は認めてしまった。これでマスター呼びが普通にできる。からかって困らせるためにいいわね。
「私はどうしたらいい?」
「美遊はジャンヌ達とここにいてくれ。俺とかなで、ジャックで荷物を取ってくる。ジャックは隠れて傍にいてくれ」
「護衛ね。お願い」
「まかせてー!」
家に残るのは私、セラとリズ、シータ、美遊、ジャンヌね。
「お金は多少あるけど、買ってくる物はあるか?」
「服がたりないわ。セラ、お金を渡して」
「はい。こちらになります」
「了解。預かる」
「そのカード、あげるから好きに使ってよ。私の夫だったら、それぐらい持ってていいから」
「わかった」
「お菓子かってきて欲しい、です」
「お菓子……」
「買ってくる。というか、この家は車はあるか?」
「ある。こっち」
リズがお兄ちゃんを連れていくけど、二人にしたらなにをするかわかったもんじゃないからさっさとジャックとかなでにも向かってもらいましょう。
「かなで、ジャック。そのまま行ってきて」
「は~い」
「ん、また」
「また」
別れた後は美遊とジャンヌは探検に出掛けて、私はシータと一緒に特訓をする。本職のアーチャーのようにはいかなかったけれど、それなりに命中するようになったし、沢山の魔力が身体から溢れてくる。それを利用して森を更に強化していく。
サーヴァントとしての知識で、私は道具作成Bと陣地作成Aがあるので工房を上回る神殿レベルの陣地が作成可能なのよね。そんなわけでアインツベルンの森と城を神殿にしちゃう。
んーどうせだから、皆に協力してもらって雪だるまでも作ろうかな。魔術で氷を生み出し、そこにゴーレムにするための魔術を施していく。
「ジャンヌ、美遊、シータ。バーサーカー、雪だるまを作りましょう!」
「わかった」
「は~い」
作っていった沢山の大きさの雪だるま達。ゴーレムにしたそれらに消音、魔力消沈、透明化をもたらす姿隠し、使い魔化の魔術を施して森の中に放つ。他にはスノーフェアリーの能力を使って木を氷らせてそれもゴーレムにしていく。バーサーカーと同じ熊を沢山配置すれば偽装にもなる。
他には……そうだ。良い事を思いついたわ。凛にも嫌がらせになるし、これから戦うキャスターにも十分な嫌がらせになる。
「美遊~」
「イリヤ、どうしたの?」
「すこーしお願いがあるの」
「うん、いいけど……」
「じゃあ、まずはお兄ちゃんに連絡をしましょう」
「わ、わかった……」
念話を送ってみよう。
「お兄ちゃん、イリヤ、お願いがあるんだけど……」
『なんだ?』
「お城の防衛と今夜襲撃するキャスターの力を削いだりするいい方法があるんだけど、やっていい? 誓ってお兄ちゃん達にとっても素晴らしいことになるから」
『いいだろう。やってみろ』
「ありがとう。じゃあ、神殿を……神域を作りましょう」
くるりと振り返って笑う。
「うわぁー」
何故か引かれちゃった。でも、いいの。魔術師としてとっても楽しい実験だから。
「大丈夫。痛くないよ。ちょ~と身体の中にある聖杯を弄らせてもらうだけよ。大丈夫。さっきちょだけ」
「ひっ!?」
壁際まで追い詰めて美遊の胸に手をつき、そのまま入れる。中にある聖杯に触れて繋げ、操作する。溢れ出てくる膨大な魔力を互いに合わせて大地に流し込む。
「サモン・メルトリリス」
「何の用かしら?」
「魔力の流れに乗って龍脈に入ってちょうだい。そして、ここに龍脈の中心点を作ってちょうだい。他の拠点には最低限しか流さなくていいわ」
「とっても素晴らしい嫌がらせね! 任せなさい!」
さあ、聖杯よ。私の願いを叶えなさい。そして、凛にぎゃふんと言わせるのよ。