【艦これ】私立相談役と元ブラック鎮守府   作:泉井 暁人

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第14話 帰還と悪夢

 加賀さんが死に、指令も意識不明の状態のまま私達、横浜鎮守府の艦隊は横須賀鎮守府を後にした。

 凬森さんと大元帥から「ここで、しばらく気を休めてから……」と言われたけど、今はただ、鎮守府で休んでいたい……。二人の思い出のある……。

 横浜鎮守府の正門を開くとそこには見覚えのない人達が陸奥さんに怒鳴っていた。

 「如何ゆう事だよ!!加賀が死んだって!!?」

 「私も詳しくは聞いてないけど……」

 陸奥さんがこちらを見て、他の人も見る。兎みたいな耳の機械を装着した人がこちらに近づくと、

 「オイ、答えろ長門。何で加賀は死んだんだ!!」

 「ブラック鎮守府提督を拘束、大本営に護送する前に、その鎮守府の艦娘が加賀と明斗を提督だと思い込んで砲撃、加賀は死亡、明斗は意識不明の重体だ」

 簡潔に、事務的に言った長門さん。でも、俯いて悔しそうな表情をしていた。

 「くそ!!俺達は提督さえいなくなれと思ってはいたが…、何で加賀が死ななきゃいけないんだよ!!!」

 その人はとても憤怒していた。加賀さんにとても過敏に……。

 「まずは、加賀に追悼しよう。明日には別館の工事も入るとの事だから今日しかないだろう……」

 長門さんの言葉に皆が頷いて簡易的だけど木の板で十字架を作り、皆で追悼した。自然と私は、涙を流していた……。

 

 あれから3日が経った。

 俺はやりきれない気持ちを吐き出せずに苛々していると長年一緒にいる武蔵から呼び出された。

 「それで…、呼び出した理由は言ってくれるよな?」

 「当たり前だ。お前にとっても、私にとっても非常に吉報な事だ」

 そう言って武蔵は大きな茶封筒を俺に投げる。すかさずキャッチした俺は茶封筒の中身を確認した。

 「おい、嘘じゃないよな?」

 「当たり前だ。もう一つ補足するとあの材原明斗は鏡子提督の息子さんだ」

 武蔵の発言に、俺は驚いて睨む。

 「あの人の家族は全員死んだ!!俺はそう聞いているぞ!!」

 「上層部の情報規制と嘘の情報を流したのだろう…。元を正せば大本営と海軍の失態によって起きた事件だからな」

 俺は更に苛々が募り、近くに置かれていたドラム缶を蹴り飛ばす。

 「他の鎮守府に行った別のメンバーの話にもよれば、明日辺りに正式な後任が着任する。前任と同様の男だ」

 「……、もう打つ手は無いのか?」

 俺は武蔵に聞く。武蔵は「はぁー」と深い溜息を吐いて、言う。

 「ある。しかし、本人が立ち直らない限り無理だがな」

 その発言で、俺は察した。

 「つまり…、お前はクソ野郎をとるか鏡子提督の息子かを選べって言うのかよ?」

 「それしか無いだろう。本人は意識不明のまま、状況はまたあの時と同じくなるぞ?」

 俺は考えた。こんなクソみたいな状況を打破する方法は一つしかない。

 「仕方ない。俺は『パァァン!!』何だ!?」

 俺と武蔵は音がした方に走り出した。如何やら正門付近からで、木々を抜けた所で目の前の光景に、驚き、動けなかった。

 「おや?まだ居たのかね?」

 「に、逃げろォォォォ!!!」

 血まみれの状態で叫んだ長門。男の手には拳銃が握られていた。俺は後から来た武蔵の手を引いて「逃げるぞ!!」と言い、走り出していた。

 「ほらほらほらほら!!滑稽に逃げて見せろ!!俺は後ろから撃つぜ?」

 何発も聞こえてくる銃声、他の皆の呻き声や叫び声が聞こえている中で、俺と武蔵は海に出るとそのまま横浜鎮守府から逃げた……。

 

 「フン……」

 脱走したのが二人だけ…、詰まらないものだな。

 「さて、この私がこの鎮守府に着任した『大木田』提督だ…!」

 元ブラック鎮守府、私の遊び場程度にはなるだろうな?

 「さぁ、執務室に案内したまえ?」

 また面白い場所に来たぞ。

 

 そして、1ヶ月の時が流れ、

 

 「ん……?」

 眩しい光に目を細め、身体中の骨を鳴らしながら身体を起こした。

 何故自分は病院に居るのかが分からない。けど、その後に体が冷たくなっていく加賀さんが脳裏を過ると全てを思い出した。

 「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 自分の叫び声に気づいた看護師や医師が慌てて「どうしました!?」と自分に声をかける。

 あの時、自分は外で待機しててなんて言わなければ……。先に扉を開け無ければ……!!!!

 「うわあああああああああああ!!」

 目一杯声を張り上げ、嗚咽交じりの泣き声も出していた……。

 

 「少し、落ち着きましたか?」

 「はい……」

 十数分叫び続けて、ようやく気持ちに余裕が出来た。

 担当医師から全ての事情を聞いて、3日後には退院と言われたが、明日に退院したいと無理を通して明日退院になった。

 「ごめん……」

 誰にも届かない、懺悔の言葉を自分はポツリと呟いていた……。

 

 次の日、無事退院となりタクシーで一旦事務所の方に帰った。

 重い足取りで歩いていると、入り口付近に誰かが倒れている事に気づいた。

 「おい、大丈夫か……」

 自分は思わず、目を見開いた。

 何故なら、そこに倒れていたのは……。死んだはずの加賀さんだったからだ。

 

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