皆さんはどんな一日をお過ごしになる予定ですか?
作者は普通にアルバイトで一日が潰れます。カップル?ケーキ?
そんなもの存在しませんよ?
それはともかく、続きです。
「改めて、紹介します。本日より着任する材原明斗特別陸将補です。加賀さんの件に関して皆が自分を憎んでいるのは知っている。でも、自分を殺すのは別に構いもしないけど、三日だけは待って貰えるかい?」
自分は本館の食堂で皆に宣言した。前回はまともにしていなかった挨拶を今こうして出来た。
けれど、やっぱり不安はあるらしく自分に『巫山戯るな!!』とか『消えろ!!』と聞こえる……。
「消えても良いけど、君達にとっては不利になるだけだよ?」
自分はそう言って初春さんからある物を受け取る。
「この鎮守府で解体、もしくは轟沈処分になった艦娘、『金剛』、『比叡』、『日向』、『赤城』、『翔鶴』、『大鳳』、『龍田』、『川内』、『能代』、『酒匂』、そして『大和』。計十一名はある場所に居て、生きている」
自分はハッキリと言うとやはり死んだと思っていた人達が生きていると解り、喜ぶ。
「ハッタリよ!!皆騙されないで!!」
「ハッタリだと思いなよ?」
自分は霧島さんに言うと、
「けどねぇ、生きている人間の命を捨てることになっても構わないの?」
ニッコリと満面の笑みで言った自分。別に怖らがせるつもりはなかったけど皆顔面蒼白で震えていた。
「怖らせて如何する……。明斗」
「そんなつもりは無かったんだけど……」
長門さんに言われて自分は頭を掻く。すると、茶髪の女性が一歩前に出て自分に「ならば提督、その救出作戦に私も同行したいです」と申し出た。
「お姉さんが心配だから?」
自分は彼女にそう尋ねた。彼女は少しだけ表情を歪ませて言う。
「本音はそうです…。でも、一つだけ約束をしてほしいんです」
「出来る範囲ならなんでも」
自分は彼女に聞くと、予想外の返答が帰ってきた。
「もし、皆が無事に戻ったら。全ての行為を私にだ「巫山戯るな!!」え?」
大声で怒鳴った自分に第六駆逐隊が震えていた。
「良いか!自分は前のクソ野郎共と違う!!この鎮守府に所属する君達は最大限の敬意と人としての権利もある!!兵器だ、ただの奴隷?違うだろ!!君達は!!自分達には倒す事の出来ない深海棲艦を倒す力も、能力を持っている!!君達の誇りを!!名前を!!艦娘の存在を否定する人間は!!この自分が許さない!!」
大声で皆に言い切る自分。それに対して加賀さんは「流石です。明斗提督」と褒めている(?)と思いたいが、初春さんとかには「大丈夫なの?」と心配する声も聞こえた……。
「だ、だったら……。暴力を振るいませんか?」
「振るわない!」
「入渠禁止とか、残飯だけの生活も……」
「一切ない!!」
「夜の情事も……」
「無し!!人としての生活をここで保証する!!」
一瞬の静寂、その言葉に皆が歓声を上げる。泣き崩れる人、大喜びする人、二度と味わうことのない生活を手に入れた事に今皆が喜んでいる。
「流石、鏡子提督の息子さんだ。あの人とそっくりだ」
母さんを知っている人からは言われた自分。母さんに似ていると言われて少しだけ恥ずかしいと感じた自分。
すると、先程の榛名さんと霧島さんが自分の前に来て、
「「先程は、失礼しました!」」
謝る二人に自分は顔を上げるように言い、
「お姉さんが心配で、前任達の行いの中で必死に耐えていたんでしょ?なら、仕方ないよ」
二人に言った自分。すると、涙と鼻水を出しながら二人は自分に抱きついて号泣する。
それを見た他の人達も抱きついて、何故か長門さん達も抱きついてきて身動きが出来なくなった自分は色々とまずい気持ちを必死に抑えていた。
もう、どれだけの月日が流れたんだろう……。それさえ解らないまま、太陽の光も水平線もずっと見ていない。
薄暗い地下牢に囚われたまま、ずっと奴隷の様な扱いを受けている。あの屑提督に脅されて連れてこられた場所がここで、賭けに負けたので担保にしていた私を連れてきたとハッキリと言った。
私の前に解体、轟沈処分になっていた艦娘もいた。
後から聞いた話、ここは艦娘遊郭と呼ばれている場所で、身売りや金儲けの為にここに連れてきては毎晩の様に犯す。
勿論私も見知らぬ男性に無理矢理抱かれ、イカ臭いまま地下牢に囚われたままでいる。
逃げ出せなくもない。でも、残された皆を人質にされて逃げ出せない。他の艦娘も同様に……。
日本国籍の艦娘だけでは飽き足らず、ドイツ、アメリカ、イタリア、イギリス、フランス国籍の艦娘もこの場所にいる。
けど、その日は少しだけ違和感を感じた。毎日変わらない風景の中で、一つだけ、些細な違和感。
「へぇ、ここが艦娘遊郭……」
白の軍服に仮面をつけた人が呟きながら入口から入って来た。
他の鎮守府提督や関係者はその彼を見て一斉に自前の二十六年式拳銃をその人に向ける。
「貴様……。何者だ!!」
禿げ頭の提督が声を張り上げてその人に問う。そして、その人は緊迫した雰囲気の最中で「何者?何、自分はただの犯罪相談役の者ですよ」と少々気の抜けた声で言う。
けれど、その人は仮面を外して不敵な笑みで名乗る。
「初めましてブラック提督及び堕落した海軍、大本営上層部の皆さん。自分は犯罪相談役の黄泉、ある人からのご相談で貴方方を殺しに参りました」
その直後に一発の銃声が響くと先程声を張り上げた禿げ頭の提督が額に穴を開けた状態で倒れた。
「さぁ、断罪の時間ですよ?」