【艦これ】私立相談役と元ブラック鎮守府   作:泉井 暁人

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 不慣れな部分もありますが、それでも楽しんで下さればありがたいです……。


第4話 初めましてと過激なる歓迎

 潮風を浴びながらバイクを走らせる自分は漸く姿が見え始めた横浜鎮守府に少し嬉しさを感じたが、その近くで黒煙が見えた。

 「も、もしかして深海棲艦!?」

 瑞鶴の言葉にバイクを急ブレーキをかけて、双眼鏡を取り出すと、黒髪ショートの女性が一人で戦っていた。

 「瑞鶴さん、陸奥さん!!今すぐ向かってくれる!!」

 「了解です!」

 「任せて」

 二人は快く承諾してくれた。幸いにも海岸の近くだった為に二人はすぐに行ける。その時、自分は陸奥さんに「陸奥さん!単装砲用の砲弾を3つ程貰える?」と聞く。陸奥さんはハテナマークを頭に浮かべながら「良いですよ…」と言ってくれた。

 その際にインカムを二人に渡して、

 「それを今戦っている人に渡して。自分はここから指揮を執る。良い?安全第一だよ。もしも何かあったら遠慮なく言ってくれ。全力でサポートする」と言った。

 「「分かりました!」」

 そう言って二人は応援に行った。

 「さて、あぁ言っちゃったから自分も頑張りますか……」

 そう言って先程陸奥さんから貰った単装砲の砲弾を見つめながら、呟いた。

 「全く、こんなものでアイツ等は倒されるのか……。忌々しい屑共は…!!」

 そう言って積んでいた荷物の中から細長い物を取り出すと布を外す。それは太陽の反射で輝いていた。

 「銃火器の威力、舐めるなよ?」

 

 「(此処までなのかな……。)」

 満身創痍の状態である私はそんなことを考えていた。

 大破寸前でこのまま深海に堕ちてゆくのも悪くないかなと思っていた時だった。

 「お願い!九九式爆撃機!!」

 後ろから声が聞こえたのと同時に目の前の深海棲艦に攻撃が行われていた。

 「えっと、高雄さんですよね?本日付で佐世保鎮守府から転属して来ました瑞鶴「陸奥です!今は目の前の事態に集中よ!」了解!」

 瑞鶴さんと陸奥さんが私の応援に来てくれた?私は涙を堪えていると、陸奥さんに「後、これを」と通信機器の類を渡され耳に装着すると、

 「聞こえてますか?」

 声が聞こえた。歳はまだ若い印象を持たせた。

 「聞こます」

 そう返事すると声の主は「良かった。後は二人に任せて海岸の方まで来れる?無理なら陸奥さん達にお願いするけど」と言ってくれた。

 「いえ、一人で行けます」

 多分新しい提督なのだろうと思うと気が重くなる。

 だからこそ、敵からの砲撃に気付けなかった。

 「避けて!!」

 「え?」

 後ろを振り向いた瞬間、砲弾が見えた。

 「(あぁ、死ぬんだな……)」

 と、思えた。でも、次の瞬間遠くから何かが砲弾に当たり、爆発。私は無事だった。

 

 「ふぅ~。一発目は助ける為」

 そう言って散弾銃に砲弾を装填、標準を深海棲艦に狙いを定めて、

 「くたばれ」

 引き金を絞る。

 発射された砲弾は散弾銃には不可が大き過ぎる。しかし、その砲弾はそのまま深海棲艦に直撃、轟沈した。

 「皆、海岸の方に帰って来て。簡単な治療をするから」

 インカムを通じて言い、終了すると辺りには静けさが残る。

 

 声の主に言われた通りに海岸に戻ると眼鏡をかけた少年が「ご苦労様。えっと、名前教えてくれます?」と私の方を見て言った。

 「え、はい!高雄型1番艦 重巡洋艦『高雄』です。先程はありがとうございました」

 「いえいえ、一人で戦っている姿が見えたから偶然一緒だった彼女らを行かせたんだよ」

 その人はそうは言ってくれたけど、小刻みに震えていた。

 「あ、寒かったよね!?ちょっと待って!」

 そう言って彼は自分が来ていたパーカーを私に羽織ってくれた。

 「て、提督?」

 「ごめんごめん、気付かなくて……。ってか、自分は提督じゃないよ。一応代理は頼まれたけど……」

 その言葉に私は驚きが隠せなかった。書類上では正式な提督が来ると聞かされていたから……。

 「え、って事は……」

 瑞鶴と陸奥さんがガクガク震えながら彼を見る。

 「それじゃ、改めて自己紹介するのも何だけど。初めまして、本日付で横浜鎮守府に配属された“提督代理”の材原明斗だ。まぁ、別に海軍出身でもないしただの民間人だから普通に明斗とか材原で良いよ」

 私は驚いてそこからの記憶がない。

 

 「で、落ち着いた?」

 とりあえず三人が気がつくまで待った自分は三人に尋ねると三人ともやっぱり驚きが隠せないようで「ほ、本当に提督何ですか……?」と聞く。

 「あぁ、駄目駄目。提督って言葉は禁止です。今は心のケアの為に明斗か材原のでお願いします」

 そう言った自分。三人は納得してくれた様子で「分かりました」と言ってくれた。

 「さて、少々定員オーバーだけど行こう。横浜鎮守府に」

 そう言って定員オーバーしているバイクで横浜鎮守府に通じる橋を渡った。

 

 横浜鎮守府 正門前

 

 六年前に完成したばかりの横浜鎮守府の正門前に立つ自分達4人はそのあまりにの悲惨さに自分は驚いていた。

 「こ、ここが横浜鎮守府ですか……?」

 陸奥さんと瑞鶴さんも呆然としていた。別館が消えている上に正門の柵の向こう側から雑草が生えている。

 「あれ、何だか涙が出てくるよ……」

 自分の豆腐メンタルだときついよ……。とりあえず、自分は柵を開き、敷地内に入ると突然砲弾を浴びる。

 「殺ったか!?」

 「手応えがあった!」

 「えっと、他の人に迷惑だからさぁ……」

 そう言って取り出していた壊れた軍刀を地面に放り投げて言った。

 「人を恨んでいるのは分かるけど、場所を考えてね?」

 自分が生きていることにあっちは驚きを隠せずにいるようで、自分は自己紹介をすることにした。

 「初めまして、私立相談所所長であります私立相談役の材原明斗と申します」

 


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