皆さんも何か見つけたら教えていただけるとありがたいです。
では、続きをどうぞ。
「さて、先に言うけど自分はさっきも名乗った通りただの民間人で提督じゃないよ?」
「そ、その前に何で生きているんだよ!?普通だったら死んでるぞ!?」
おっと、中二病臭い感じの人からそう言われた。確かに、普通の民間人なら死んでいるからね。
「こう見えて元軍人で、つい反射的に落ちていた軍刀で砲弾を斬ったんだよ」
「(いやいや、軍人でも不可能ですよ!?)」
その返答に思わず心の中で突っ込んだ一同。しかし、当の本人は気にもせずに言葉を続ける。
「だから、仲良くしてくれとは言わないけど、命を狙うなら演習場だっけ?そこでならいつでも申し出を受けるからさ」
そう言って近くに設置されていたテントが気になって高雄さんに聞く。
「えっと、コレなに?」
「執務室(仮)です。本館はその、提督反対派がこの書類とテント類だけを外に放り出して立て篭っている状態で……」
「あ、そうなの……」
まぁ、別館が放火されたら仕方ないか……。
自分は何も言わずに積み上げられた書類を見る。
「これって前任の提督が置いていった書類?」
「えぇ、そうです」
あはは、笑えないわ……。
そしていつの間にか先程の連中は姿を消していた。
「さて、書類仕事の前に」
そう言って自分が言ったのは、
「草むしりだ!」
「「「……はい?」」」
皆が聞き返したのでもう一度言った。
「ですから、草むしりですよ。テントとかを設置するので。もしかしてこの寒さの中をあれで過ごす気ですか?」
そう言って愛車の方に向かい、荷物に積んでいた鎌を三個程取り出す。
「た、確かに分かるけど…」
陸奥さんがそう言う。
執務室(仮)で寝袋だけだと確実に寒い。
「だったら、急いで始めましょう。今晩のご飯も作らないといけないので」
後ろからの声に自分は後ろを振り向いた。そこには加賀さんと長門さんが草刈り機を手に持ってそこに立っていた。
「長門姉さん!」
「ム?転属してきた陸奥だな。改めて宜しくな」
「さぁ、高雄さん達も一緒に始めましょう。彼自身が提督ではないと言っても一応提督代理として今日来てくれたのです。……ね?」
高雄さんや陸奥さん、瑞鶴さんがそれぞれ鎌と草刈り機を持って始めてくれる。
「草むしり終わったらお土産のお菓子もあるので……」
その時の自分は苦笑いしか出来なかった。
「チッ!忌々しい奴め!!」
本館の執務室の窓から提督反対派が草むしりをする明斗を見ていた。
「しかし、先程のあいつの口ぶりから本当に提督ではない可能性があるぞ?」
褐色の肌にクリーム色の髪色。大和型2番艦戦艦『武蔵』である。彼女は先程の明斗砲撃現場にはいたが、彼の人間離れした戦闘能力には疑いを持っているが彼が提督と言う件は違うと考えている。
「けど!この鎮守府にいる艦娘は判るでしょ!!あのクズ野郎のせいでどんな目にあったかも!!」
声を荒げて言った女性、金剛型3番艦戦艦『榛名』だ。彼女の身体には至る所に擦過傷や痣の痕が白の袴等から見えていた。
「だったら、殺ろう」
誰かが呟いた一言。それはか細い声でその部屋に居た艦娘は誰が言ったのかさえ分からないでいたが、
「そうだな……。始末すれば早い話だな」
「行動を起こすなら早い方が良いよ」
「なら、今夜だ」
悪魔の様な微笑で鼻に土がついている明斗を見ていた。
東京 大本営 第5会議室
重苦しい空気が漂う会議室内で、白髪頭の老人は大声で叫ぶ。
「一体何を考えているんだ!!ただの一般市民に依頼するなど!!」
「元帥。そのことでご報告が」
白髪頭の老人、改めて元帥は部下からの報告を聞く。
「何か分かったか?」
「えぇ、彼の両親は元軍の関係者でした」
そう言って部下は話を続ける。
「父親は陸上自衛隊の特殊作戦群所属でした。そして、何より面倒事なのが母親の方です。母親は海軍の大元帥の『音針 源蔵』氏の一人娘である事が分かりました」
その言葉に室内にいた一同は目を見開いて報告した部下を見る。
「ば、馬鹿な!?あの『海神』の孫だと申すのか!?」
元帥もこの事態には流石に驚き、考える。
「元帥。もし暗殺などを企て、世間に露見すれば私達は間違いなく処刑行きになりますが、いかがなさいますか?」
部下の言葉に、頭を悩ませる元帥。しかし、この機を逃せば確実に不味い事になる。そして、
「今すぐ横浜鎮守府の視察団と後任の提督を任命するのじゃ!その後に暗殺する」
元帥は「阿破破」と笑う。
この先に起こる問題など知らずに……。
「こんな感じで良いかな?」
4時間かけて草を刈り、テントを3つ設置した自分達は自炊の用意を加賀さんと長門さんがしている間に他の人は荷物をテント内に置いたり着替えをしていた。
え?自分は何をしているかって?書類の整理をしているけど?
「これも無理。アレも駄目だな」
殆どが現状ではとても出来ない任務ばかりでそれらを全て自炊の為に焚いた炎の中に放り込んで炎の勢いを増させる。
「明斗さん、すいません。衣服お借りしてしまい……」
「良いよ。前任は皆の給料も私腹に肥やして贅沢三昧だったんでしょ?」
パーカーと白のカッターシャツ等を高雄さんに渡した自分。
男性物だからブカブカではあるが、特に問題はなさそうだ。
「……皆、出来たわ」
加賀さんがそう言って皿にカレーを盛り付ける。
簡単なカレーにして簡易椅子に座って皆で食べる。
「う、美味い……」
「久々の食事だな……」
高雄さんと長門さんの言葉に自分は手の動きを止めた。
「え、えっと~。あ、そうだ!明斗さんはご両親と一緒に住んでいるんですか?」
瑞鶴の言葉に自分は気持ちが冷めて、カレーを椅子の上に置いて「ごめん、夜風を浴びてくる」と言ってその場を後にした。
「え、えっと……」
明斗が去った後、重苦しい空気になっていた。
「すまない、別に彼を傷付けるつもりで言った訳では……」
「皆分かってる。彼自身が特に……。でも……ご両親の話は今後彼の前では禁止」
長門が謝ると加賀が弁論をするが、両親の話だけは少し怒りの表情を見せていた。
「何か、あったのですか?」
陸奥が加賀に尋ねると、彼女は答えた。
「彼のご両親は、10年前の『1109事件』で……。亡くなったのです」
第1波止場
思わずこっちまで来てしまったが、本音では艦娘も深海棲艦も嫌いだった。母さんを、父さんを殺した連中が嫌いだった。殺してしまいたい程に。
でも、瀕死の状態で訪ねて来た加賀さんを見て、そんな気持ちは消えていた。むしろ、夜這いや物を落としただけで異常に怯えたり、何かと精神が不安定だった。
だから、加賀さんを家に居候と名目でカウンセリングを行いつつ事情を聞き、全てを終わらせた。
でも、まだ前任の爪痕がある。
「自分がしっかりしないとなのに……」
両親と自分、そして妹と一緒に撮られた家族写真を見つめていた時、「おわっ!?」と声が聞こえて後ろを振り返るとそこには数人の少女と女性。そして、小さな小人がいた。
「て、天誅を!!!!」
そう叫んで鉄パイプを自分に振りかざす。でも、それを手で掴んで、言った。
「えっと、カレー皆で食べる?」